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    かけはし2016.年10月10日号

沖縄の闘い共に、改憲阻止を


安倍首相の臨時国会所信表明演説批判

安倍政権打倒へ共同の取り組みの強化を

南スーダン派兵阻止、TPP批准を許さない

「世界一」を連発する安倍

 安倍首相は九月二六日の臨時国会開会日に、所信表明演説を行った。彼の施政方針演説や所信表明演説(通常国会の冒頭に行う基調的演説が「施政方針演説」で、臨時国会で行うのが「所信表明演説」ということになっている)には、特徴的なパターンがある。それは一つのキーワードを使ったイメージ操作である。
二〇一二年の年末総選挙で自民党が圧勝し第二次安倍内閣が成立した後の二〇一三年二月の通常国会でのキーワードは「世界一」、昨年の「戦争法国会」での施政方針演説では「戦後以来の大改革」だった。そして今年一月に召集された通常国会の施政方針演説のキーワードは「挑戦」となった。安倍はこの時、「挑戦」という言葉を一八回も使っていた。今回の臨時国会でのキーワードは、再び「世界一」となった。同時に「世界一への挑戦」という形で二つのキーワードが重ねあわされることになった。
安倍は演説の冒頭で「リオ五輪」での日本のメダルラッシュを「世界一への執念」がもたらしたもの、と自己陶酔的に訴える。
「四年後の東京オリンピック・パラリンピックは、必ず『世界一』の大会にする。何としても成功させなければなりません。同時に我が国の『未来』を切り開く。私たちもまた世界一暮らしやすい国、世界一信頼される国をめざし、新たなスタートを切る時です」「世界の真ん中で輝く、日本の『未来』を、皆さん、共に切り拓いていこうではありませんか」と。
リオ五輪の閉会式で、地球を貫通した「スーパーマリオ」として登場した安倍は、まさに自民党総裁任期の「二期六年」を延長し、二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックを首相として迎える宣言を、この所信表明演説の中で、ハッキリと行ったのである。この宣言は、「改憲」を首相として自らの手で執り行うという決意表明でもある。
この高揚感と自己陶酔が最も象徴的に表現されたのが、「現場では、夜を徹して、そして、今この瞬間も、海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が、任務にあたっています。極度の緊張感に耐えながら、強い責任感と誇りを持って、任務を全うする。その彼らに対し、今この場所から、心からの敬意を表そうではありませんか」という呼びかけであり、自民党議員が一致して行ったスタンディングオベーションだった。この全体主義的パフォーマンスに自民党議員のほぼ全員が何の違和感もなく付き従ったというところに、安倍自民党の現在の姿が表現されていると言っても過言ではない。

破綻を深める「アベノミクス」


安倍所信表明演説は「はじめに」の「世界の真ん中で輝く日本の『未来』」宣言に続き、「災害復旧・復興」、「アベノミクスの加速」、「一億総活躍」、「地方創生」、「地球儀俯瞰外交」と続いている。
この構成の中に、今日のグローバル資本主義の危機脱出の破綻と危機の深まりの中で「アベノミクス」と自ら名付けた経済・社会政策の頓挫が改めて浮き彫りになっている。
「英国のEU離脱、失速する新興国経済。世界経済は今、大きなリスクに直面しています」――ここでは「アベノミクス」と名づけられた経済路線それ自身の抱える問題点ではなく、もっぱら世界経済を「外圧」として捉え、「アベノミクスの加速」によって問題の解決が可能だとする転倒した強がりで破綻を隠蔽する手法があらわである。安倍は「アベノミクスによる経済の好循環」を強調する。しかし円高の進行などによって様々な指標から判断しても「アベノミクスによる景気回復」という展望には重大な破綻要因が拡大しており、「好循環の加速・継続」という唯一の「売り」にしがみつくことはできない。
そこで持ち出されたのが「一億総活躍」とその一環である「同一労働・同一賃金」「不合理な待遇差の是正」「長時間労働の慣行を断ちきること」などの「働き方改革実行計画」であった。安倍は施政方針演説で「『非正規』という言葉を、皆さん、この国から一掃しようではありませんか」と大見栄を切った。
しかし思い返してみよう。「日本を世界で最も企業が活動しやすい国をめざす」と二〇〇三年の施政方針演説で語ったのは安倍本人だった。「大資本が最も搾取しやすい国」を意味する安倍のこの立場は変わっていない。安倍の「働き方改革」とは、この「企業が最も活動しやすい国」という目標に適合する形でしか構想され得ないのである。それは「格差と貧困」を決してなくそうとするものではない。「企業が最も活動しやすい国」と適合した「働き方改革」は労働者の雇用・賃金・暮らしにかかわる諸権利と根本的に反するものにならざるをえないことをしっかり見抜いて、闘いの社会的陣形を築き上げる必要がある。

改憲加速化にストップを

 安倍の所信表明演説は、「おわりに」の項目の冒頭で、天皇の「生前退位」の意向を受けて「有識者会議において国民的な理解の下に議論を深めていきます」と語りつつ、最後に憲法改悪への論議を進めていくことを呼びかけた。
「憲法はどうあるべきか。日本が、これから、どういう国を目指すのか、それを決めるのは政府ではありません。国民です。そして、その案を国民に提示するのは、私たち国会議員の責任であります。与野党の立場を超え、憲法審査会での論議を深めていこうではありませんか」と。
天皇の「生前退位」問題ともからめあわせながら、それを利用して憲法改悪の「悲願」を実現しようとする安倍の思惑が明らかに透けて見える。戦争法の施行と「南スーダン派兵」、日ロ首脳会談を含めた緊張する東アジアへの外交的・軍事的戦略、新たな危機と分解、「カオス化」を深めるアジア、中東、アフリカなどの政治社会情勢。そしてグローバルな資本主義システムの危機の新たな深まりと排外主義の拡大。
労働者市民は、この急速に流動化する世界の中で、改憲に集約される安倍政権の攻撃に立ち向かう共同の取り組みを、昨年の戦争法反対の行動を引き継ぎながら継続・発展させていく必要がある。民主党新執行部の与党へのすり寄りを許すな。辺野古・高江に示される沖縄の闘いに続こう。来年冒頭にも取りざたされている解散・総選挙の取り組みを、こうした大衆的運動を土台にして進めていこう。     (平井純一)

9.22

さようなら原発・さようなら戦争

福島は何一つ解決していない

豪雨をついて9500人


医療費無料の
健康手帳を
九月二二日正午から、東京・代々木公園野外ステージで「9・22さようなら原発さようなら戦争大集会」が「さようなら原発」一千万署名市民の会の主催で開かれ、九五〇〇人が参加した。東京は早朝から激しい雨が降り続き、集会中も止むことがなかった。それにもかかわらず、福島や北海道、福井など全国各地から参加者が集まった。会場には多くのテント・ブースも並んだ。
正午から第一部、福島被災者からの訴え、北海道の運動の報告が行われた。そして、寿の歌が参加者と一体となり披露された。
まず、福島からの報告が行われた。長谷川健一さん(飯舘村、ひだんれん共同代表)。「飯舘村出身です。汚れた村になった。遅れて避難したので断トツの被ばくをした。八人家族で牛五〇頭を飼っていた。村は悲惨な状況になっている。今年の七月末フレコンバッグが一八〇万個。一カ月で一〇万個増えている。何の保障も確約もなく、来年の三月末に避難解除になる。自己責任で帰れと。限界を超えている」。
「国に求めていることはヒロシマ・ナガサキで行われているような、健康手帳を交付し医療費を無料にすることだ。いずれは村に帰る。農家がほとんどなので、高齢者だけの村になるだろう。そこで生産・生活しなければならないので、チッソが汚染された魚を買い取ったように、売れないものを買い取ってほしい。チェルノブイリに行ってきた。悲惨だった。二度と原発を再稼働させるな、原発をなくす運動をやっていこう」。
蛇石育子さん(福島県郡山市議)が八〇〇〇Bq/s以下の放射性廃棄物なら安全なので再利用するという国の方針を批判し、「東電が管理すべきである。放射能汚染土壌の処理については、何よりも安全安心対策を最優先すべきで、汚染土壌を再利用することは、放射線被ばくを軽視し許容する言語道断の方針だ」と批判した。そして、具体的に@県中浄化センターA産業廃棄物最終処分場の建設予定B原子力バックエンド推進センターによる焼却灰減容化実証実験について紹介し批判した。
中手聖一さん(避難の権利を求める全国避難者の会共同代表)は「今、札幌に避難している。自力で避難せざるをえなかった被災者を国は放置してきた。避難者は宙ぶらりんの生活を強いられてきた。今、母子避難者が増えている。避難する権利がある。住宅保障があるべきだ。住宅支援の継続を求めて行動を起こしている」と話した。
長田秀樹さん(北海道平和運動フォーラム代表)は「三つの課題に取り組んでいる。@泊原発再稼働反対A幌延での高レベル放射能廃棄物地層処分研究反対B大間原発(青森県)建設反対。泊原発3号機(90万kW)の再稼働(2017年)に向けた審査が山場にきている。敷地内の断層が問題になっている。北海道は一月が一番電力を使うが原発の電力がなくても電力不足は起きていない。核の廃棄物は持ち込ませないという県の条例が作られた。二〇〇一年から地層処分研究が始まったが二〇二一年頃には施設を全部撤去して終わらなければならないことになっている。幌延で毎年反対の集会を開いている。今年は三一回目を開く」と報告した。

政府の本音は
核武装だ
午後一時半から、第二部が開かれた。澤地久枝さん(呼びかけ人)が「もんじゅを止めると決めたのに、なぜ国は原発を止めるという勇気をもたないのか。福島原発問題は何一つ解決していない。ふる里を奪われた。戻って行く所がない。今後廃炉代金が電気代に上乗せされる。被ばく問題、患者が増えている。廃炉に向けて働く人の被ばく労働問題、賃金が三万から一万円を切るようにされている。不払い賃金問題で訴訟している労働者もいる」と問題点を指摘し、主催者あいさつを行った。
武藤類子さん(ひだんれん共同代表)が「避難解除、賠償の打ち切り問題、とても困っている。生活の再建ができない。途方にくれる人もいる。家を奪われた。自力避難者も強制避難者も両方とも救済すべきだ。国や県に交渉・申し入れを行っている。現実は厳しい。一〇月二〇日院内集会などを予定している。帰りたくても帰れない。誰が帰れなくさせたのか。甲状腺ガンの子どもが一七四人に増えた。子ども基金を立ち上げる。雇用を保障する制度が必要だ。命が守られる社会を作ろう」と訴えた。
アーサー・ビナードさん(詩人)。「この間の台風の大水で地下水が地上に達して地上水になっている。毒水をどうするのか。東電は希望にあふれる対策をとっていると言っているが。凍土壁で汚染水を遮断していると言う。凍らせて止める。凍らない凍土壁。新しい日本語が生まれてくる。『凍土のつまり』」。「東京電力は社名を代えた。東京電力ホールディングス。責任逃れだという人がいる。良い名前だと思う。『ホール』、穴が開いているのだ」。
「プルトニウムを平和利用すると言っているが本音は核武装したいのだ。オバマ米大統領が核兵器を先制しない宣言をし、核廃絶に向けたアピールをしようとした。安倍はそんな約束はしないで欲しいと要請した。とんでもない話だ。核兵器・原発に終止符を打とう」。
木内みどりさん(俳優)が落合恵子さんのアピールを代読した後、「キューバ革命がなぜ起きたのか知りたくてキューバに行ってきた。一九五八年の革命成功後の革命広場に一〇〇万人集会が開かれた。六〇〇万人の人口だったので、半分が動いたことになる。今の日本だと六分の一で二〇〇〇万人。私なりに二〇〇〇万人を動かす一人としてやっていく」と語った。布川さん(高校生平和大使)が平和な世界をめざす一万人署名について語った。

ついにもんじゅ
の運転を止めた
宮下正一さん(原子力発電に反対する福井県民会議事務局長)がもんじゅ問題について発言した。
「一九九五年八月にもんじゅの運転開始。同年一二月に冷却剤ナトリウム火災事故。二〇一〇年、燃料交換用の炉内中継装置が設計の問題で、原子炉容器内に落下するトラブルを起こす。二〇一二年、九〇〇〇点の点検漏れが発覚。二〇一五年規制委が今までの原子力機構が信用できない。新しい組織でやり直しを勧告したが政府は新しい機構を提起できなかった。こんなにデタラメはない。悪魔の原子炉だ。プルトニウムは茶さじ一杯で一〇〇〇万人もの人がガンになり死んでしまう毒性の強いものだ。原子炉が暴走した場合、制御棒を抜くしか止める方法はない。金属ナトリウムは水など反応すると大爆発する危険なものだ。高温で運転するので配管が破断する可能性がある。爆発すれば大量の放射能が出る。もんじゅを運転させてはならない。県などはカネのことばかり考えて廃炉にするなと言っている。年末までに大きな動きがあるだろう。県民は止めたいと思っている。まだ、生き返るかもしれない。声を集中してほしい。必ず勝つ。勝つまで闘いをやめない」。
協力団体から、木村辰彦さん(「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲行動実行委)が高江の攻防、九・一六辺野古埋立て不当判決について報告し、共に闘うように呼びかけた。
福山真劫さん(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委)が、「9・19国会包囲集会が二万三〇〇〇人、全国三〇〇カ所で行われたこと、今後、南スーダンで自衛隊が駆けつけ警護を行い、戦争に参加すること、それを阻止するために一〇月三〇日、自衛隊が出発する師団のある青森現地で反対集会を行う、そして、沖縄基地建設反対の統一全国署名を行うこと」を報告し参加するように訴えた。最後に、鎌田慧さん(呼びかけ人)が「原子力船むつを闘いによって廃船にしたことを思い起こし、もんじゅの廃炉という歴史的出来事を記憶」し、さらに脱原発・戦争やめろ、沖縄連帯を訴えて、閉会のあいさつとした。集会の後、デモが予定されていたが集会の途中では豪雨だったのでデモは中止された。九月二六日から臨時国会が始まる。闘いの秋、安倍政権と対決し、安倍の暴走を止めるようにがんばろう。                 (M)


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