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    かけはし2016.年10月17日号

大規模自然破壊のヘリパッド建設


沖縄報告 10月9日

2万4000本の立ち木伐採が進行

沖縄 K・S

10.5

高江集中行動日 資材搬入に抗議

ゲート前と訓練場内でヘリパッド反対の闘い

N1ゲート前に250人

 一〇月五日は水曜集中行動日だ。N1ゲート前に早朝から多くの市民が結集したが、東京警視庁を中心とした警察機動隊は大部隊を動員して先にゲート前を制圧し、ゲート前での抗議行動を完全に排除する作戦に出た。ゲート前に車を止めさせない、座り込みの際の足場板を置かせない、という強硬な規制を続けたのである。七月二二日の強制的なテント・車両の撤去直後をほうふつとさせる異例の事態だ。この日、県議会、各市町村議会は会期中のため議員の参加がなかった。しかし、日本カトリック正義と平和協議会の人々が大型バスをチャーターして早朝から駆け付けたほか、埼玉やうるま市のバスが到着し参加者は最終的に二五〇人にふくれあがった。そしてゲート前集会という我々の権利を奪還したのである。
警視庁の機動隊は新しい警官に入れ替わっていた。どうやら一〇月一日付で変わったようだ。新しい機動隊は荒っぽい。先の国会での安倍の「高江ヘリパッド年内完了宣言」を受けて警察庁、防衛局はがむしゃらな工事強行に動いている。二五〇人もが結集しているにもかかわらず、九時半ごろダンプを通過させるための強制排除に乗り出してきた。沖縄は三〜四日にかけて、中心気圧九〇五ヘクトパスカルという猛烈な台風が通過した。当然工事どころではない。二日は日曜日で休みだった。一日は土曜集中行動で砕石・資材の搬入ができていない。つまり四日間資材搬入ができていない。そのためこの日は何が何でもダンプを入れるという態勢をとってきたのだ。一時間以上かけて乱暴に座り込みを排除し、砕石を積んだダンプ一二台と資材を積んだトラック三台を通して、この日の搬入は終了した。

N1裏に20人が結集しG地区ヘリパッド現場で抗議行動

 他方、N1裏に結集した人びとは台風でたたんでいたテントを立て直す作業に取り掛かった後、二〇人足らずが北部訓練場内の工事現場へと向かった。北部訓練場内に入り森歩きをすること一時間足らず、G地区に到着した。今回の高江ヘリパッド建設のN1(A、B)、H、Gの四カ所の内でも自然が最も豊かだと言われている地域だが、宇嘉川に近く海陸空の総合訓練をするうえで米軍が何よりも欲しがっているヘリパッドでもある。
われわれが到着した時、作業員がチェーンソーで木を切ったり、バックホーで伐採した木の片づけをしている最中だった。直径七五mのヘリパッド用地の造成の第一段階の立ち木の伐採が半分以上進んでいた。われわれは作業員のところに行き工事をやめるよう訴える。「森が泣いていますよ」。作業員は工事をしながらもわれわれとの対話に応じる。「私にも生活がある。家のローンがまだ残っている」などと自己弁護する。中には無言で工事を自主的にやめる作業員もいる。しばらくしてチェーンソーや重機の音が止まった。われわれはいつものように作業現場のあちこちに座り込む。
三〇〜四〇分後、防衛局と機動隊が登場した。機動隊は一〇人足らずだが、防衛局は一五人ほど、うち三人はハンドマイクの音声班、三人は撮影班だ。防衛局はこの間訓練場内の抗議行動に対する撮影に熱心だ。後々「刑特法違反」の裁判のための証拠集めでもしているのだろう。ハンドマイクの音声班は驚くほど同じことしかしゃべらない。しかも三台のハンドマイクで一斉に叫ぶのでとにかくうるさい。「ヤンバルクイナがうるさいと言ってるゾ」「マイクを使わなくても聞こえるからマイクをヤメロ」と言っても聞かない。そういう上からの指示なのだろう。「ここは提供施設内です。直ちに退去してください」と叫ぶ防衛局職員に、「県民は提供していないゾ」と反撃し、工事現場から断固退かない。

防衛局の嫌がらせを押し返し揚水発電所ゲートから生還

 二〜三時間現場にとどまり工事を遅らせた後、機動隊も増えてきた中で、退去しようとして、G地区のヘリパッドへの進入道路が通じている揚水発電所方面に向かって歩き始めた。Gに至る進入道路は予想以上に出来上がっていた。立木の伐採は既に終わり地面はならされている。道の両側の伐採された木々はほぼ片付けられており、残されている物も大分しおれている。この道路は揚水発電所のゲートにつながっている。訓練場外へ出るには最も安全で短時間に出ることのできる道である。ところが、防衛局はこの道路を通過させないとピケットを張り、我々と対峙した。
訓練場内に勝手に入ってきたから勝手に出ていけという訳だ。「来た道を帰れ」と言い続ける。われわれは道に沿って森の中を進みまた道に出て防衛局と対峙しまた森の中を進みしながら、やっと揚水発電所の舗装された道に出た。ここからゲートまでは数百メートルだ。するとまた防衛局はガードマンと共に阻止線を張り通さない。G地区のヘリパッド造成現場を撤退し始めてからかれこれ四時間。みんな昼を食べていない。水も底をつき始めた。こむら返りで歩けなくなった人も出た。疲労困憊だ。「熱射病で全員入院か」という冗談も出始めたとき、県警が仲介をとり、無事揚水発電所のゲートから出ることができた。ゲート前には仲間が、アイスキャンデ―と水とおにぎりを持参して出迎えに来てくれた。
進入路の通行を最後まで妨害した防衛局は敗北した。長時間の粘り強い闘いのすえにわれわれは防衛局に対する小さな勝利を手にした。非常に疲れたが、気分は爽快だ。こうして、訓練場内の工事現場での闘いは毎日続く。

10.8

高江集中行動日 N1ゲート前に250人

砕石・資材の搬入を阻止

訓練場内では150人が3カ所で抗議行動


八日土曜日の集中行動はN1ゲート前に二五〇人、訓練場内のG地区、N1ゲート脇の砕石集積場など三カ所で一五〇人が高江ヘリパッド建設に反対して行動した。
N1ゲート前の集会は午前七時半から、赤嶺政賢衆議院議員と糸数慶子参議院議員もゲート前の座り込みに参加する中、和気あいあいと体ほぐしのラジオ体操から始められた。そして恒例の「おきなわを返せ」「座り込めここへ」を全員で力強く歌った後、統一連、平和市民連絡会、平和運動センターのあいさつ、赤嶺さん、糸数さんの国会活動報告と続いた。
防衛局はこの日の集中行動に前もって備え、六日、砕石を積んだダンプ三二台、ショベルカーなどを積んだトラック五台、七日、ダンプ四三台をN1ゲートから搬入した。八日の砕石・資材の搬入はなかった。集中行動日の砕石・資材搬入が難しいことを見越して、前もって大量搬入を強行したわけだ。

恐れることはない!
「威力業務妨害」は基地内抗議行動を取り締まれない

 他方、訓練場内工事現場での闘いはこの日も朝早くから二〇人によりG地区のヘリパッド建設現場で行われた。この日の琉球新報は、日米両政府が北部訓練場に限定して日本の警察の基地内逮捕で合意したことを伝えていた。刑特法を適用して基地内抗議行動を取り締まるには軍警(米軍に雇用されたガードマン)が必要とされるが、米軍は北部訓練場が広大でMPの陣容などから「自らの軍警による対応は難しい」として日本政府に対応を求めたという。日本政府は当初、基地内の抗議行動に刑特法を適用し、沖縄防衛局の職員が私人逮捕して基地外で警察に引き渡す方式を検討していたと言われるが、方向転換して刑特法の適用を諦め「威力業務妨害」で逮捕することに日米が合意したという。
訓練場内の抗議行動に手を焼いた日米両政府がとうとう基地内逮捕に踏み出すという内容だが、実のところ、基地への立ち入りそのものを取り締まる刑特法ではなく単に「威力業務妨害」にすぎないから、訓練場内に入り抗議行動をすること自体を取り締まることができないと公に認めたようなものだ。これで訓練場内抗議行動が後退するどころか、逆に訓練場内での非暴力による抗議が拡大していくだろう。

宇嘉川でも抗議行動

 一方、N1ゲートに集まった約三〇人は、米海兵隊とオスプレイの海空陸訓練が想定されている宇嘉川河口から上流へさかのぼってG地区ヘリパッドへと至る行動に取り組んだ。宇嘉川河口は標高五〇〇m級のやんばるの森が直接海に開けた急流で、亜熱帯の木々が生い茂り、川魚やエビが住む清流だ。宇嘉川の河口から見て左手にGをはじめとしてH、N1のヘリパッドが位置する。川からヘリパッドに至る米海兵隊の訓練のための歩行ルートもある。ここはもともと米軍基地ではなかった。一九九六年のSACO合意で、北部訓練場の一部返還の条件が、ヘリパッド六カ所の高江集落周辺への建設とこの宇嘉川の河口海域と流域の米軍への新たな提供だった。北部訓練場の返還予定地は米軍自身認めているように、米軍にとって「不必要」な土地だ。その代り米軍は海空陸の総合訓練を実施することのできる高江周辺の六カ所のヘリパッドと宇嘉川河口海域と流域を手に入れるのである。
さらにN1ゲート前の参加者一〇〇人余は午後、県道七〇号線から小山を登り、N1ゲート際の砕石集積場に向けた抗議行動を繰り広げた。砕石集積場のフェンス沿いに基地内を進み、N1ゲートからN1ヘリパッド・ポイントへ通じる仮設道路で機動隊に遮られながらも一時間余りにわたって行動を続けた。こうして集中行動日の八日は、ゲート前でのダンプ進入を阻止するとともに、訓練場内の三カ所で一五〇人が抗議行動を断固として展開したのである。

名護署前で「仲間を返せ」のコール

 午後三時過ぎにゲート前での集会を閉じた参加者のうち、平和市民連絡会のバスをはじめ約五〇人は名護署に向かった。訓練場内で防衛局職員を押し倒したとして逮捕された仲間は不当にも一〇日勾留がつけられた。名護署前で、パーランクを打ち鳴らしながら「仲間を返せ」を叫び、「不当逮捕をはね返して頑張れ」とエールを送った。
八日沖縄を訪問した菅は、米軍と「北部訓練場の年内返還に向けて交渉している」ことを明らかにした。先日の国会での安倍の「ヘリパッド年内完了」発言に沿うものだ。そのため彼らは森の破壊などお構いなしにがむしゃらに工事を強行している。沖縄森林管理署の公文書公開請求で得られた資料を基に分析すると、ヘリパッド四カ所、進入路、工事用道路すべて合わせて、二万四〇〇〇本以上の立木の伐採が進行しているという。この大規模自然破壊の結果つくられるのが戦争のための軍事基地であるという不条理に、官僚やメディアはなぜやすやすと従うのか。
高江現地に結集しよう!現状打開のカギは現地にある。

10.2 宜野湾市民会館で4回上映

映画「ザ・思いやり」

台風一八号が接近する一〇月二日、宜野湾市民会館で、ドキュメンタリー映画「ザ・思いやり」が午前から夜にかけて計四回上映され、数百人の人々が観賞した。
「思いやり予算」は一九七八年、当時の防衛庁長官・金丸信が基地に勤務する日本人従業員の給与の一部(六二億円)を「アメリカの負担を思いやって」日本政府が負担すると決めたことに始まる。もともとこれらの予算は日米地位協定の枠外の予算措置だったが、その後「思いやり予算」として定着し、年々拡大の一途をたどってきた。その金額は一九九九年に二七五六億円までふくれ上がったが、現在年間二〇〇〇億円近くで推移している。この「思いやり予算」のほかに、地位協定に基づくところの米軍用地の提供、基地周辺対策、米軍再編関連など米軍駐留経費の日本側負担がある。詳しくは、渡辺豪『日本はなぜ米軍をもてなすのか』(旬報社、二〇一五年)を参照されたい。渡辺さんは、基地の運営維持は米側、用地取得は日本側という地位協定二四条の原則に基づく役割分担が沖縄返還交渉で崩れたと指摘している。
リラン・バクレー監督は、アメリカ・テキサス州出身。高校1年の時埼玉県にホームステイしたのがきっかけで日本の大学院で日本文学を学んだあと、日本に住み、天野文子さんの広島原爆日記を英訳しアメリカ各地を訪問して原爆禁止を訴えるなどの活動をしてきた。現在、神奈川県在住、青山学院大で英語講師を務める。
朝コーヒーを飲みながら新聞を読むのが一番の幸せだというバクレー監督は、ある日、「グアム基地増強費は日本負担」「財源は増税」との奇妙な記事が目に留まった。費用の使い道は、基地内の住宅、学校、プール、ボーリング場、マクドナルド、ペットの世話までもあるというのだ。なんだこれは!? 日本人はこのことを知っているのか!? もっと詳しく調べなければ、と思って始まったのがこのドキュメンタリー「ザ・思いやり」の制作だという。
映画は、「思いやり予算」をやめて被災地支援を、との署名運動を進めている人たちの姿を描くところから始まり、普天間基地、横須賀基地、厚木基地、海兵隊のグアム移転計画、イラク戦争と、インタビューと映像を交えながらコメディタッチで軽快に進んで行く。バクレー監督によると、日本国民が負担している二〇一五年の米軍駐留経費の総計は八九一一億円に上る。映画は、日本国民のみなさん、みなさんはこれらの事実を知っていますか、このままでいいのですか、と問いかけている。



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