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    かけはし2016.年10月24日号

トヨタは今すぐ争議解決を


9.18〜19

フィリピントヨタ労組連帯行動

私たちは絶対にあきらめない

237人不当解雇・組合つぶしから15年


 【愛知】九月一八日〜一九日、名古屋市と豊田市でフィリピントヨタ労働組合連帯行動が行われた。二〇〇一年に結成されたフィリピントヨタ労働組合は国の機関に承認されたがトヨタ資本が承認せず、団体交渉は一方的に拒否された。それに対してストライキを決行すると二三三人(後から四人を追加)の組合員を解雇するという暴挙を行った。トヨタ資本は当時のアロヨ政権に対し、投資の引き揚げをちらつかせるなどして組合つぶしを認めさせようとする行為まで行った。
 ILO(国際労働機関)は「解雇は団結権の侵害であり、無効」と裁定し現地にも調査団を派遣してフィリピン政府に解決するよう勧告しているがトヨタ資本はこれを無視し一五年経った現在も敵対し続けている。長期化する闘いとなったが今年もフィリピントヨタ労組の労働者二人が来日し、解決に向けた決意も新たに、日本の労働者と共に二日間にわたる共同行動を闘いぬいた。

名古屋市民に
アピール行動
初日の一八日、午後三時からはJR名古屋駅前の高層ビル、ミッドランドスクエア前で恒例の情宣が行われた。このビルの一七階から四〇階にトヨタ自動車が入居し、主に海外経営のための拠点となっている。定刻になるとまず名古屋の支援者らが情宣を開始した。マイクを握った支援者らは通行する市民にむかってトヨタのフィリピンでの不当な労働者への仕打ちを明らかにし、共に闘うよう訴えた。おくれて関東から来た支援の労働組合員とフィリピントヨタ労組のエド・クベロ委員長とジェイソン執行委員が合流し、トヨタに対して早急に争議を解決するよう訴え、周辺の市民からは大きな注目を受けた。

四〇人が参加
して交流集会
街宣が終了後、参加者は名古屋市から豊田市まで移動し、午後六時三〇分から豊田市福祉センターで交流集会を行い約四〇人が参加して成功した。最初に支援する会代表の猿田正機さんが開会あいさつを行い、ジェイソン執行委員が闘いの要約を、エド委員長からはドゥテルテ大統領が政権を握ったフィリピンの労働組合、運動の状況について報告が行われた。

ジェイソン執行委員からの報告

 「アキノ政権の時は何も変化はありませんでした。今年、大統領選挙でドゥテルテが選ばれ、とてもうれしく思っています。七月三日に労働雇用省前で抗議活動を行いました。ここには私たち以外の労働組合のリーダーたちが多く参加しました。
この時初めて雇用省の副長官が出てきて私たちと話をしてくれました。この人は以前は労働組合のリーダーだった人です。彼もドゥテルテさんに任命された人です。彼が提示してくれた労働者の争議についていろいろと話をしました。この間さまざまな争議の中で三つ解決しましたがトヨタについては別の方法が必要だと述べました。九月には副長官とミーティングが実現しトヨタの問題のみを話し合うことができました。一〇月の第三週にILOの使節団がフィリピンに来るので立場表明を提出しなさいという事でした。また副長官からドゥテルテに話が通るようにしますと言いました。
さらにマラカニアン宮殿の前で抗議活動をしてみてはどうかと提案しました。そこでトヨタのような大きな会社が一五年にもわたって争議を解決せずに現在に至ることを多くに人に知らせることができるし、宮殿の中にはいって大統領にこのことを伝えるようにすると言ってくれました。一九日はフィリピンでも日本との共同行動を計画しています。朝九時からGTタワー、メトロバンク、日本大使館、労働雇用省の前で抗議活動を行います。最後にドゥテルテさんにたいしてはいろいろな情報はありますが労働者への救済策を打ち出しているのは事実ですので勝利を信じて頑張りたいと思います」。

エド委員長からの報告

 「ドゥテルテは選挙のときの公約として、『私が大統領になれば契約労働者はいなくなる』と述べました。フィリピンの一日の最低賃金は九一ペソです。しかしマニラ以外ではこれ以下という事実があります。大人ふたりと子どもふたりがいた場合、これでは食べていけないというデーターが出ています。一九八九年の一日の最低賃金は八九ペソでした。ほとんどあがっていない、労働者の現実を無視した政策だと思います。労働組合は一二五ペソの最低賃金にしようというキャンペーンを行っています。このような中、富裕層はさらに大きな富裕層になりました。
労働雇用省は州にまかせて賃金を上げるために動こうとはしていません。ドゥテルテは非正規をなくすと主張していました、賃金をあげるべきとも主張していましたが労働雇用省のやっていることはこれと矛盾しています。雇用省の長官は労働者の現状と派遣企業の実態を調査すると今は言っています。ドゥテルテ大統領の言っていることと労働雇用省の間には未だに、大きな隔たりがあり疑問に思っています」。
「今、フィリピンではドゥテルテを多くの人が支持する状況になっています。だけど私たちは主張しなければいけない、強い政権になると以前のマルコス政権のような独裁にまた戻ってしまう。政権に好き勝手にさせないことを訴え続けなければいけないと思っています。彼は自らを社会運動派といっていましたが以前は右翼のような活動をしていた時期もあります。最後にフィリピンの労働者階級はこのような状況ではありますがドゥテルテ政権に希望をもって闘っています。問題は今の政権の中でドゥテルテは孤立しているということ。協力者がいない。以前からのアキノ政権の閣僚もいます。労働者の力が必要だと考えています」。
報告のあと、質疑応答を行い、フィリピントヨタ労組と家族からのビデオメッセージを受けた。新たな闘いと決意に燃えて、参加した各団体労組の労働者が紹介され、翌日のトヨタ本社への抗議行動の説明を受けてこの日の交流集会は終了した。

出勤するトヨタ
労働者に訴え
一九日は午前七時から愛知環状鉄道「三河豊田」駅や工場入り口などで出勤してくるトヨタ労働者への情宣活動を行った。例年通り職制がゴミ袋をもって受け取ったビラを捨てるように仕向けるなど妨害はあったが、カバンにすぐにしまう労働者も多数存在した。
八時四五分頃からは正門前に集合し、抗議集会と申し入れ行動を行った。エド委員長とジェイソン執行委員、他に支援代表四人が本社に向かい、応援のシュプレヒコールを元気いっぱいに叫んだ。申し入れを行っている間は門前集会を行い、関東、東海、関西の労働者が発現し、トヨタへの怒りと争議を長引かせたことに対して糾弾した。

要望書拒否したトヨタに闘いの決意
申し入れ行動を終えたエド委員長らが報告を行った。トヨタはまたしても申し入れ要望書の受け取りを拒否するという不誠実な対応を行った。これに対し、エド委員長は報告で「出てきた男性は会社の代表として話を聞くといいましたが我々の要望書を豊田章夫社長にわたすことを最後まで拒否しました。トヨタは受け取りを拒否しましたが、闘いはこれからも続くということと、我々にとっては勝利だということを確認したい。そして解雇された労働者と家族はこれからもみなさんと共に勝利するまで闘い続けていきます」と怒りと新たな闘いへの決意をこめて発言した。最後に参加者全員でトヨタ本社に向かって怒りのシュプレヒコールを上げ、解決するまで絶対にあきらめず最後まで闘うことを誓い合って二日間にわたる行動を終了した。       (越中)

投稿

南スーダンとアフリカ問題
そして私たち

たじまよしお(長野/画家)

南スーダンの若者たち

 南スーダンの「駆けつけ警護」のことが問題になっていて、いろんな文献を読んでいるところです。南スーダンは二〇一一年に独立した世界で一番新しい国で、人口は一一三〇万人で公用語は英語となっていますが部族語は多数あるといいます。国家収入の九八%は石油で識字率は二七%といいます。東アフリカに位置するこの国に住む人々にとって何が問題でどんなことを悩んでいるのかを考えてみたいとおもいます。『世界』4月号に南スーダンで支援活動をしてきたNGOの中島英昭さんの「紛争地の現実と国際支援・南スーダンにいかなる支援が必要か」という手記が掲載されていますので、私見を挟みながら紹介してゆきたいとおもいます。
 南スーダンの若者たちは生まれてからこのかた戦争しか知らない。だから働いて収入を得て、そのお金で買い物をしたりして生計を立ててゆくという感覚を持ち合わせていないということです。だから彼らがレストランで働いたとします。注文した飲み物が運ばれてこないので客がそれを催促しますと、彼はその客に暴力を振るう、そのような考えられない光景が「散見される」というのです。
 以下は中島英昭さんの文章の抜粋です。
 「戦争しか知らない若者達は意志疎通の方法においても乱暴な者が多かった。当然、お金と引き換えに労働を提供するという賃金労働に従事した経験がなく、その概念を十分理解している者は少なかった」「このような状況のジュバで筆者達は特に若者に対する職業訓練に注力した」「研修では実際に飲み物を注文したのに待たされた客がクレームをつけたことへのよい対応と悪い対応という寸劇などを取り入れた。悪い対応とは客に対して怒り、暴力を振るうというもので、他方、よい対応とはすぐに上司に報告し、上司とともに謝り、ただちに飲み物を運ぶというものである」「二カ月の訓練で多くの若者の目つきが真剣になってくるのが如実に感じられた。学ぶ喜び、これによる自信、自分がもうすぐ職を得られるであろうという期待などが高まってくるのである」「彼らは人間として能力は私たちと変わるはずはないのに、学びの機会を奪われ続けてきたのだ」。
 この若者たちは私の孫くらいな年齢で、とても他人事には思えないのです。「駆けつけ警護」で自衛隊員が殺し殺される状況に入ってゆくことなどあってはなりませんが、同じような年齢の南スーダンの若者たちのことも心配になってくるのです。決して分け隔てなどあってはならないと思うのです。

食いつくされるアフリカ

南スーダンについて考えるには、アフリカと先進諸国・多国籍企業との関係について掘り下げてみる必要があるとおもいます。図書館で『食い尽くされるアフリカ・欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日』(トム・バージェス著・山田明美訳)を借りてきて読んでいます。私なりの解釈を試みますと大雑把に次のようになります。
農業・製造業・サービス業などがそこそこバランスがとれて回っている社会では、そこで働く労働者や企業からの税収で経済は動いていますから、納税者・企業などから厳しいチェックを受けることになります。福祉や教育などをまるまるおろそかにすることは出来ません。しかし、南スーダンの場合、国家収入の九八%が石油で、その富は直接支配層の手に渡るのです。石油権益を自己のものとするため、軍事費に六五%も費やし暴力装置で周りをガジガジに固めるのです。福祉・教育などにはほとんど予算を回すことなく、識字率は二七%となっているのです。以下括弧内は「食い尽くされるアフリカ」の抜粋です。
「天然資源で利益を上げている政府は、国民に対する借りがないため、政府の利益になることに国の収入を費やす傾向がある。そのため、教育支出は減り、軍事費がふくらむ。また、資源産業には汚職がつきものだ。泥棒政治が幅をきかせる。一度権力の座につけば、そこを離れようとしない。その結果、大量の資源収入に基づいた経済は、独裁政治を生み出す。大統領在職期間が世界一長い人物の上位四人は、いずれも石油や鉱物資源に恵まれたアフリカの国の支配者である。具体的には赤道ギニアのテオドロ・オビアン・ンゲマ、アンゴラのジョゼ・エドゥアルド・ドス、ジンバプエのロバート・ムガベ、カメルーンのポール・ビヤだ。この四人の在職期間を合計すると一三六年になる(p20)」。
「二〇一〇年にアフリカから輸出された鉱物資源の総額は三三三〇億ドルに上る。これはアフリカへの支援額の七倍以上にあたる。(汚職や脱税によりアフリカから流出した膨大な資金はここには含まれていない)だが、こうした資源を供給するところと消費するところでは、かなりの生活格差がある。その格差を見れば、石油や鉱物資源の取引でどちらが得をしているかがわかる。大半のアフリカ人がいまだぎりぎりの生活をしている理由もそこにある。たとえば、女性が出産時に死亡する割合を見ると、フランスは砂漠国ニジェールの一〇〇分の一である。だがフランスは、その経済を支える原子力発電の燃料であるウランを、主にこのニジェールから輸入している(p21)」このニジェールという砂漠国と中国との関係を本書は掘り下げていますが、そのことは次稿で紹介したいと思います。
トム・バージェスは「フィナンシャル・タイムズ」の調査報道特派員。二〇〇六年より南アフリカのヨハネスブルグとナイジェリアを拠点に特派員として取材活動を続けてきた。二〇一三年、鉱物資源国、アンゴラとギニアの汚職の実態を暴いた報道でフィナンシャル・タイムズ・ジョーンズ・モスナー記念賞を受賞。同年、王立文学協会のジャーウッド賞ノンフィクション部門も受賞し、本書の取材のための資金を得る。二〇一六年、本書で第七七回アメリカ海外記者クラブの国際報道ノンフィクション図書部門最優秀賞を受賞。現在はロンドン在住。
山田美明翻訳家。東京外国語大学英米語学科中退。訳書に『動物たちの武器』(ダグラス・J・エムレン(エクスナレッジ)、『大戦前夜のベーブ・ルース』(ロバート・K・フィッツ、原書房)、『史上最大のぼろ儲け』(グレゴリー・ザッカーマン、CCCメディアハウス)などがある。



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