もどる

    かけはし2016.年11月7日号

パク大統領の内部文書流出疑惑


ところで―チェ・スンシルは?

3つの疑惑と大統領支持率の低下

 日本のメディア各社は10月30日、前日の29日にソウルをはじめ韓国各地でパク・クネ大統領の退陣を求める集会・デモが繰り広げられたと伝えている。ソウルでの集会・デモは主催者発表で2万人超。発端は大統領の友人で民間人、そして大統領府の影の実力者と呼ばれるチェ・スンシル氏への情報漏えいや同氏による国政介入疑惑によるもので、韓国検察は同日、これらの疑惑容疑で大統領府を捜査した。以下は、これらに至る過程での「チエ・スンシル・ゲート」の実情を伝えている。(「かけはし」編集部)


去る9月26日から始まった国政監査で、パク・クネ大統領の影の実力者と呼ばれているチェ・スンシル氏に関するニュースが毎日のようにあふれています。むいてもむいても出てくるタマネギのような「チェ・スンシル・ゲート」の複雑・多様なニュースを幾つかのカテゴリーに分けて易しく説明申しあげます。国政監査の場とメディアを通じて出てくる「チェ・スンシル・ゲート」のニュースは、大まかに言って3つに分けることができます。
第1に、チェ・スンシル氏の娘チョン・ユラ氏(20)に対する疑惑です。チョン氏が梨花女子大で特恵を受けたという内容が主として出てきました。
第2に、チェ・スンシル氏が介入したものと伝えられたミル財団とKスポーツ財団です。両財団を青瓦台(大統領府)レベルで管理していたという疑惑です。
第3に、チェ・スンシル氏と親密な関係と伝えられるチャ・ウンテク広告監督に対する疑惑です。「文科系の皇太子」と呼ばれるチャ監督は、政府や企業から事業を独占せんばかりに受注したとの疑惑を受けています。

娘チョン・ユラ氏特恵疑惑


まずチェ・スンシル氏の娘チョン・ユラ氏についての内容を探ってみます。チョン氏が昨年、体育特技生(乗馬)として入学する際、梨花女大が特恵を提供したとの疑惑が出てきました。梨花女大はチョン氏の入学時点で、以前にはなかった乗馬の項目を新設しました。
また面接当時、入学処長は「金メダルを取ってきた学生を選べ」と指示します。応募生の中で金メダルを取った人はチョン氏が唯一だったがゆえに事実上、チョン氏を選べという意図だった、と当時の面接委員が明らかにしました。チョン氏の金メダルは入学書類提供の締め切り期限の9月16日以降に取ったものなので、書類選考に反映することのできないものでした。だから、面接に際して入学処長がチョン氏に有利になるように直接便宜を図ったということです。
チョン氏は入学以降も特恵を受け続けます。チョン氏は入学後、授業をほとんど受けませんでした。チョン氏が授業を欠席し続けると、それを見かねた指導教授が「除籍もあり得る」と警告します。するとチェ・スンシル氏が直接学校にやってきて指導教授を変えてしまいました。
もちろんチョン氏は除籍されませんでした。梨花女大がチョン氏に有利なように学則を変更したからです。出席もせず、課題物の提出もせず、それでもチョン氏は学点を履修することができました。ある教授はチョン氏がメールで課題物をしながらミスによってファイルを添付しなかったにもかかわらず、「えゝ、しっかりなさいました」と称賛したんですね。
チョン・ユラ氏は海外訓練においても特恵を受けているようです。去る9月、ヨーロッパの乗馬専門紙などが「サムスンがドイツの乗馬場を買った」と報道するとともに、サムスンがチェ・スンシル氏の娘を支援しているのではないのかと疑惑が提起されました。ところがテレビ局JTBCの最近の報道によれば、該当乗馬場を文具類企業モナミの代表が買い入れたということです。乗馬場の価格は28億ウォンです。乗馬場を買収したティペックスというモナミ系列社の営業利益は5億ウォン程度なのに、これに比べれば28億ウォンは余りにも高価です。思いがけなくも、モナミが乗馬場を買収する3日前、サムスンから99億ウォン台の仕事を受けたことが表面化しました。このためにサムスンがモナミを通じてドイツの乗馬場を買収し、チェ・スンシル氏の娘を支援したのではないのかとの疑惑が提起されています。

ミル、Kスポーツ財団疑惑


ミル財団とKスポーツ財団の理事長はチェ・スンシル氏が通っているスポーツ・マッサージセンターの院長だという事実は既に明らかになっています。このようにチェ・スンシル氏が関係する2つの財団が担った事業には、とりわけKで始まるものが多いです。Kミル、Kスピリット、Kタワー、Kエイドなどです。
このうちKスピリットはテコンドーの師範団だが、今年5月のパク・クネ大統領アフリカ訪問に同行しました。本来は国技センターが同行することに予定されていたのが、突然にKスピリットへと変わったのだと言います。野党議員らは「Kスピリットは大学の同好会レベルの実力だと評価されている。青瓦台の下命なしには不可能なこと」だと指摘しました。
韓国―イラン文化交流事業であるKタワーの場合、国務会議(閣議)への報告用として作成された文書に「このプロジェクトは大統領の関心事として積極的推進が不可避だ」と書かれていました。残りの「Kシリーズ」事業のいずれも大統領の海外訪問とつながります。
ミル、Kスポーツ財団を青瓦台レベルで管理したのではないのかとの疑惑は続いています。国政監査では、両財団が各大企業から800億ウォン近いカネを募る過程で、アンジョンボム政策調整首席の介入があったという内容の肉声が公開されました。ある大企業の関係者が「アン・ジョンボム首席が全経連(全国経済人連合会)に話をし、全経連が一括して割り当てを行い、そうして(募金を)したものだ」と話したのです。
ミル財団の性格について「大韓民国の国家ブランドを高めるための、政府(青瓦台)と財界(全経連)が主管する法人設立の推進」と書かれている大企業内部の文書も発見されました。10月10日にはパク・ピョンウォン韓国経営者総協会会長が「(政府が)予め財団法人『ミル』というのを作り、全経連を通じて各大企業をねじふせて、既に450億ウォンを出すことにして回しているようだ。あきれ返ったこと」だと嘆いている内容が公開されもしました。それにもかかわらず、青瓦台は依然として両財団との関係を否認しています。

チャ広告監督特恵疑惑

 今や最後の「チャ・ウンテク・ゲート」に行ってみましょう。チェ・スンシル氏と親しい間柄として知られるチャ・ウンテク監督に関わる疑惑は、また別の「ゲート」と呼ばれるほどに膨大です。まず、チャ監督はミル財団と密接に結びついています。チャ監督の広告業界の先輩が代表になっている「プレイグラウンド」という会社はミル、Kスポーツ財団が関わるさまざまな事業を主に進めています。先に説明した「パク・クネ大統領海外訪問Kシリーズ事業」のほとんどを、この会社が担当しました。
業界関係者は「チャ・ウンテク監督が運営しているアフリカ・ピクチャースの人々が、プレイグラウンドができるとともに一部、移動した。また昨年ミル財団が設立されるとともにプレイグラウンドで仕事をしていた職員たちが、派遣形式でミル財団の名刺を持って仕事をした」と話しました。
プレイグラウンドはこの3月、大統領の海外訪問の行事と関連して15億ウォン台の国庫補助金を申請するとともに、「異常な」履歴を記載したりもしました。「医療財団の少女保健の動映像制作の件」という履歴なのだが、調べて見ると、この事業は2カ月後の5月に契約する事業でした。契約もしていない事業を「履歴」として書き入れたのです。自分たちがこの仕事を手にするだろうということを予め知っていたのでしょうか。
チャ・ウンテク監督は、このほかにも政府や企業からさまざまな特恵を受けています。韓国観光公社のKスタイル・ハブ事業(韓流体験など)は本来は予算が26億ウォンだったのに、チャ監督が担当者として来るとともに171億ウォン分の事業になりました。また今年2月から9月までの8カ月間のKT広告47編のうちチャ監督が関与している会社で26編を制作したことが明らかになりました。
金融委員会は去る1月、予定になかった1億3千万ウォン分の広告を作ったが、この広告をチャ監督の会社が入札の手続きなしに受注しました。チャ監督が関与したまた別の会社は創造経済革新センター17カ所のホーム・ページすべてを作りました。公開入札ではなく随意契約を結んだが、随意契約の限度である2千万ウォンに合わせるために、17カ所を別々に契約するという便法が動員されました。これらすべての疑惑が事実であれば、チェ・スンシル氏は政府や企業を思いのままにすることができるというものすごい権力を持ったのです。「チェ・スンシル・ゲート」は依然として現在進行形です。はたしてどこまで行くのでしょうか。(「ハンギョレ21」16年10月24日付、ソン・チェギョンファ記者)

コラム

新田川の秋

 夏過ぎてバテた身体に「食欲の秋」っ……と! だが……今年の秋はいつもと違う気配を感じる。市場の秋刀魚・鮮魚類は驚くほど高いし、日照不足、台風の影響で根菜類は高値推移で「カット野菜」が幅を利かす。「危い綱渡り」のなかに食糧問題が置かれていることに危機感を持たざるを得ない。そんな「御時世」のなかでも「庶民の台所」は【リアルタイム】で季節を映し出している。店頭に並ぶ山形産の「アケビ」。秋の山からの「贈り物」である「茸類」も沢山出回っている。一際大きな「コウタケ」(地元ではエノハナ)に目を奪われた。「見た目」は悪いが、「松茸」を凌ぐとも言われる香り抜群の茸で、軒下で乾燥・戻して「炊き込みご飯」で食した。山に分け入り茸を探し山栗、アケビ、山ブドウ等も収穫した。これからは「山芋掘り」に向かう秋の楽しみも「放射能」が奪い去った。
◆千段を超える階段を登り着くと、青い太平洋が水平線の彼方まで拡がり、海と陸の境界は緑の防風林に覆われている。光を浴び黄金色に輝く大地にポツンと「小さな町」が囲まれていた。
 落差三二〇m。頂上から発電所へ一気に下った水は新田川へと飛び込んで行く。上流は「新田川渓谷」。その昔「新田川林鉄」が動き軌道、隧道、朽ちかけた橋脚が今も残っているそうだ。
◆秋。同級生と米、サバ缶、飯盒を持ち自転車で行く「遠出」の先は新田川。澄んだ水で米を洗い、飯盒で飯を炊く。コゲ交じりのサバ缶飯で腹を満たし「冒険の旅」へ。行先は「蛇穴」(ジャアナ)鍾乳洞。入口の広さは奥行き・高さも一〇m程、杉の間伐材を数本束ねた「梯子」が岩壁に「ぽっかり」と空いた穴まで渡してある。これが「冒険の旅」の入口だ。濡れてる上にグラグラ揺れる危険この上もない「梯子」を恐る恐る這い上がり洞窟の中へ。松明の灯りを先頭に「そろり。そろり」と奥に進む。空洞の上には鍾乳石。侵入者を察知して「コウモリ」が蠢きだす。
 「アッ!」「松明」が消えた!慌てふためき学生服の「カラー」や、胸の「名札」を引きちぎり火を点け「必死」に出口へ………「ア〜ウトッ!」……真っ暗な闇。暫くして残留組の「救助隊」の助けで事なきを得たが、暫くの間「隊員」は「おめら泣いでたべ!」と弄られた。
◆流路延長約六三キロ、飯館村の標高六七〇mの「むくろい山」を水源とする新田川。阿武隈高原の豊かな水は渓谷を走り、平野を流れ太平洋へと注ぎ出す。流域の豊かな自然と豊富な栄養が数え切れないほどの「いのち」を育んでいる。階段を登り、頂上から見た遠い昔の南相馬の里景色は? 南相馬の秋は、黄金色の稲穂の波のなかに今もあるのだろうか?
 剥き出しの「フレコンバック」の黒い山が景色をざわつかせている。長い旅を終え故郷の川に鮭が還る秋。だが「母なる川」は、人間の欲望が生み出した放射能「セシューム」が堆積した「新田川」。「いのち」の呟きは【怒り】の塊となって海へと注ぐ。(朝田)


もどる

Back