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    かけはし2016.年11月21日号

民主労総 ゼネストを準備


パク大統領の退陣求めて100万人が決起

1987年6月民主化抗争以来最大規模のデモ

 パク・クネ大統領がチェ・スンシル容疑者に国家機密を漏らしていたことが判明したことを発端に、民衆の怒りが爆発した。毎週の土曜日のパク退陣を求める集会・デモは拡大し、数十万人の規模になっていった。そしてパク大統領の支持率は急落し、二週連続で五%を記録。二〇代にいたっては、ついに支持率ゼロになるなど、若い年代の反発が際立っていた。
 一一月一二日、ソウル市庁前のソウル広場と光化門広場一帯に「パク・クネ退陣」のスローガンが響き渡った。市庁広場で民衆総決起大会を終えた市民は午後五時一五分頃からデモ行進を始めた。 「青瓦台を取り巻く国民大デモ行進」は、全国各地から集まり巨大な波になった。主催側は午後六時過ぎに「一〇〇万人が集結」したと発表した。これは一九八七年六月の民主化抗争以来最大の規模で、光化門などソウル都心は労働者・市民で埋め尽くされた。
 午後四時、ソウル広場で行われた民衆総決起本大会では、二〇一五年一一月一四日の民衆総決起で警察の放水銃を受けて結局死亡した故ペク・ナムギ農民国家暴力責任者処罰、 拘束収監中の民主労総のハン・サンギュン委員長釈放、セウォル号惨事真相究明と責任者処罰など三項目の特別要求を発表した。制服を着た中高生やベビーカーを押す家族連れの姿も目立ち、学生など様々な人々が各所で独自集会を行い、思い思いのプラカードや旗を持った参加者たちが巨大な波を作り出した。そして光化門広場で朴槿恵退陣三次汎国民行動文化祭を行った。
 午後二時からソウル市庁広場で民主労総は民衆総決起大会に先立ち「全泰壹烈士精神継承2016全国労働者大会」を開催した。全国各地から上京した約一五万人の民主労総組合員が参加した。 民主労総はパク・クネ政権退陣を掲げたゼネストをすると明らかにし、政権との全面的な闘いを宣言した。民主労総は一一月一七日に中央執行委員会を開いて具体的なゼネスト計画を議論する予定で、一一月のゼネストを皮切りに波状―巡回―無期限全面ストライキなどを展開する予定だ。    (M)

「謝罪」は憲法・法律違反を「自白」

大統領を懲戒制裁すべき

「チェ・スンシル・ゲート」の全貌を明らかにせよ

 パク・クネ大統領の友人にして大統領府の影の実力者と言われるチェ・スンシル容疑者の国政介入疑惑を巡って、パク政権の退陣を求める抗議集会・デモが11月12日、ソウル中心部で行われ、ソウル市当局の推計で126万人が参加。1987年の民主化闘争以降で最大規模の反政権デモとなった。以下の記事は10月29日以前に執筆されたと思われるので事態展開のスピードに合わない点があるが、「チェ・スンシル・ゲート」の本質をつくものとして紹介する。(「かけはし」編集部)

 彼は正しかった。パク・クァンチョン青瓦台(大統領府)公職機構秘書官室行政官は、公務員として自身の職務を誠実に遂行するとともに、憲政びん乱や国政乱脈の現実を警告した。だが首が飛んだ。当時、パク氏がとんでもないことを言っているとして誹謗し嘲り迫った者たちは今や何と言うのだろうか。
青瓦台の内外に布陣したチェ・スンシル一党が各財閥のわき腹を突いて数百億ウォンを集めたという事実だけでも驚くべきことだった。ところが大統領を「オンニ(お姉さん)」と呼んでいる女性は、CF(宣伝フィルム)監督や元スポーツ選手などの側近と共に、青瓦台ならびに政府の高官職人事、政府組織の改編、対北接触などの情報までをも青瓦台からリアル・タイムで受け取りつつ国政を牛耳っていた。大韓民国がチェ・スンシルという「上王(注1)」が「垂簾聴政(注2)」をしている国になったのだ。

父は憲法圧殺、娘は憲法凌蔑


チェ・スンシルが捨てていったタブレットPCから出てきた情報にしてからがそれほどなのだから、集めた情報、廃棄した情報はどれほど多いことだろうか。このように憲法びん乱の無残さは大統領の承認の下で行われた。だから執権与党、青瓦台民生首席室、検察、警察はチェ・スンシルの顔色ばかりをうかがい、おとなしく尻尾を下ろしていたのだ。
惨たんたるものだ。あきれ返る。憤まんやる方ない。パク大統領の表現を借りるならば、これは「魂が非正常」な人が勝手気ままにやっているということではないか。イ・ウォンジョン青瓦台秘書室長の表現を借りれば、「封建時代にもありえないこと」ではないのか。
大韓民国の公的権力構造や秩序は何の意味もなかった。国の運命が正体不明、資格の全くない人々の手に委ねられていたのだ。汎国民的民主化闘争によって樹立した民主共和国がこのような輩の手によって左右されていたということ、実に恥辱的なことだ。2013年2月以降、大韓民国は「立憲国」ではなく、「巫俗(シャーマニズム)国」だった。
筆者は2012年12月3日の大統領選挙を前にして、野党候補を支持する光化門での遊説で「パク・クネが大統領になれば、イ・ミョンバク(前大統領)をなつかしがるようになるだろう」と予言ならざる予言をした。パク・クネ政権はイ・ミョンバク政権よりも大韓民国を、よりダメにするだろうという確信があったからだ。
パク・クネ政権は大統領選挙の公約である経済民主化を破棄したし、その結果として財閥中心の経済政策が強化された。国家情報院(KCIAの後身)や国軍機務司令部による大統領選への介入という憲政びん乱の犯罪には大甘の「処分」をした。「創造経済」という見てくればかりのかけ声の下、二極化と民生の破綻が深化している。歴史教科書の国定化や「建国節」の推進を通じて極右的歴史歪曲が推進されている。「北韓(北朝鮮)の崩壊という希望的思考が支配するとともに、開城工場団地が閉鎖されるなど、南北関係は冷戦時代に舞い戻っていった。反対政派の指導者には随時、「アカ」のレッテルを張り攻勢を浴びせた。パク大統領の表現を再び借りるならば、「宇宙の気運」を集めて国を汚物の穴の中に落とした形だ。
「チェ・スンシル・ゲート」の一角が水面上に浮かび上がると、パク・クネ大統領は慌てて改憲のカードを持ち出した。「チェ・スンシル・ゲート」で怒っている民心を違う方向へ回して野党勢力を分裂させる一方、独自的大権走者(大統領候補)がいない「親パク」政権の再創出をしていくという多目的用のカードだった。憲法が国政びん乱の犯罪者を隠ぺいすることに活用する道具になったのだ。
パク・チョンヒが「維新憲法」によって憲法を圧殺したとするならば、パク・クネは「チェ・スンシルの盾用の改憲」によって憲法を凌蔑(ないがしろ)しようとした。法学者として、憲法を冒とくする政権に対して腹の底から怒りが湧いた。

大統領の法的責任を問うべき

 パク・クネ大統領は「チェ・スンシル・ゲート」に対して知らぬ存ぜぬで一貫していたが、否認することのできない証拠が出てくると仕方なく一部を認めた。新聞「ハンギョレ」とTV局JTBCの報道は、メディアの自由がなぜ重要なのかをまざまざと見せつけた。そしてパク・クネ政権がなぜメディアを統制し支配しようとするのかを知るところとなった。苦笑いが浮かぶのは、パク大統領をほめたたえ、政権を庇護するのに汲々としながら背後で利権を手にしていた者たちが、大統領の謝罪以降は突然、「批判者」になりすましていることだ。沈んだ船から脱出するネズミの体よろしくだ。
パク大統領の「謝罪」は憲法や法律違反に対する「自白」だ。だが今回の事態は「謝罪」で終わることではない。国民は史上類例のないこの「ゲート」の全貌を知る権利がある。そして大統領であれ誰であれ不法行為には政治的・法的責任が伴わなければならない。
現在、パク・クネ政権に対する国民の失望と怒りは雪のかたまりのように大きくなっている。「弾劾」「下野」という言葉が広範囲に言及されている。今や大統領のいかなる発言も行動も国民の信頼を得ることはできないだろう。行政府のトップであり、国軍統帥権者としての権威や令の立つわけがない。この状況で経済の危機や安保の危機を克服するのは期待できない。国の今後が心配だ。ここで以下のような事項を要求する。
第1に、青瓦台秘書室長と首席および青瓦台の「門番3人組」(注3)を含め、その全員が引きさがれ。自らの無能によって「封建時代」が作られたことも知らず、「パク大統領も被害者だ」というメチャクチャな弁護をしたイ・ウォンボン秘書室長は国民の前に謝罪せよ。
第2に、国務総理(首相)および内閣は全員辞退せよ。厚かましくも「チェ・スンシル・ゲート」に対して「流言蜚語をする者には法によって措置」云々していたファン・ギョアン国務総理は国民の前に謝罪せよ。
第3に、後任総理は与野の共同推薦を受けて任命せよ。「懲治」(注4)は、こういうときに言うものだ。新任総理は実質的な内閣提請権(提示した任命を請求すること、憲法第87条1項)を行使できるようにしなければならない。パク大統領は「チェ・スンシル・ゲート」の嫌疑者なので、すべての側面において自粛しなければならない。
第4に、国会は「チェ・スンシル・ゲート」特別検事制度(特検)を発動せよ。大統領の謝罪以降になって初めてミル財団、Kスポーツ財団、全国経済人連合会の事務室を押収捜索した検察、そして青瓦台への押収捜索をする意欲も出せない検察では真実を発見しがたい。また特検の場合も、パク大統領に免罪符を与える特検であるならば無意味だ。常設特検法の下では大統領が特検を最終選定するので、捜査の公正性や厳正さが保障されない。特検を国会が任命するように個別立法をしなければならない。
第5に、パク・クネ大統領を含め、「チェ・スンシル・ゲート」の関係者は国政調査や特検捜査に誠実に臨め。大統領も捜査対象になるとともに、内乱または外患の罪を犯した場合を除いては在職中に刑事上の訴追を受けないというにすぎない(憲法第84条)。国政調査や特検は不法や非理(道理に背くこと)を徹底して、もれなく、細かく、1つ1つ順々に明らかにし懲治しなければならない。

新任総理には内閣任命権を

パク大統領に一抹の「愛国心」があるならば、残された任期1年4カ月の間、国がいかなる形になるのか考えてみて、以上の要求を実践することを願う。自ら招いた「植物政権」の運命を謙虚に受けいれることを願う。国民の怒りは沸騰点に向かって沸き上がっている。キチンと反省せずに、責任者への処罰を回避するならば国民は臨界点を超えるだろう。(「ハンギョレ21」第1135号、16年11月7日付、チョ・グク・ソウル大法学専門大学院教授)
注1 太上王の略。王座を退いた、生存している前王を指す。
注2 昔、王が幼くて即位した時、王大妃(生存している先王の妻)や大王大妃(生存している、王の祖母)が王に代わって政事を見ること。
注3 大統領の核心的側近であるチョン・ホソン大統領秘書室第1付属秘書官、イ・ジェマン総務秘書官、アン・ボングン国政広報秘書官。
注4 懲戒し、いさめて混乱を収拾すること。制裁を加えて善導すること。


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