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    かけはし2016.年12月5日号

パク・クネ政権打倒!民衆権力を


パク・クネ退陣ヘ労働者の政治勢力化を

労働者階級の戦略が問われる

寄稿/ヤン・ギュホン




 韓国では腐敗に満ちたパク・クネ政権を打倒せよ、という行動が激しく展開されている。元韓国全労協委員長で、現在労働者歴史「ハンネ(労働運動の歴史を研究する公的法人)」代表のヤン・ギュホンさんに現在の闘いの意義とこれからの課題について寄稿していただいた。ヤン・ギュホンさんは、この闘いの高揚の中で労働者階級の政治戦略の鮮明化こそが最も必要と訴えている。(編集部)

パク・クネの時代は終った

 一一月二〇日 朴槿恵(パク・クネ)、崔順実(チェ・スンシル) ゲートに関する検察捜査の中間結果が発表された。検察捜査結果は、国民の期待に応えるものではなかったが、朴槿恵は憲政史上初めて大統領の容疑者となった。自らが犯した不正や国政の独り占めを隠すために必死になればなるほど、積り積もって腐敗した不正の数々が次々と明るみに出た。朴槿恵退陣民衆大会が繰り返されるたびに、民衆の怒りは爆発の様相を呈している。
 朴槿恵がこのような状況を打開したいのであれば、権力を放棄して退陣するしかないように思う。第三、四回民衆決起大会で一〇〇万を超す市民がソウルの中心を埋め尽くすと、公共放送は歴史的な出来事のように取り上げる。時間が過ぎれば過ぎるほど、民衆の怒りによる現実の政治への圧力によって、事態がより深刻化している。現在の情勢は、明らかに大きな変化を感じさせる情勢である。それに伴い、政治圏も右往左往している。
 セヌリ党内部で亀裂が広がりつつあるなかで共に民主党は、「古い遺物」の党首会談をうんぬんしながら大統領弾劾を主張している。諸野党は、今回の事態の行方が来年の大統領選挙を念頭に置いた政治的計算のうえで、多様な戦略を模索して立場を明らかにするどころか日和見に余念がない。青瓦台に向けられた一〇〇万民衆の叫びに対して青瓦台は、うわべだけの首席秘書官会議を通じてあたかも苦悩しているかのように見せかけようと必死である。このような状況を目の当たりにすればするほど、人々は彼らを「魂が抜けた大統領」とあざけ笑うのである。
 朴槿恵政権の時代は終わったといえる。二〇一四年四月に沈没した韓国旅客船セウォル号の運航会社会長の兪炳彦(ユ・ビョンオン)のように、今回の事態を崔順実に焦点を合わせようとしても無駄である。疑惑の主役は、社会全般に汚れた排泄物を注ぎ込んだ主犯が朴槿恵に他ならないからである。

問題の核心は財閥である

 最近の民衆決起大会の雰囲気は、以前とは明らかに違っていた。要求と主張は大々的ではあるが、怒りが感じられないのは筆者の感性が足りないからであろうか。大衆性を帯びた集会の雰囲気にふさわしくない限界があったのかも知れない。いずれにせよ筆者にはそのように感じられた。集会を開催して行進を行う民衆らの姿は、闘争の現場というよりはお祭りのようだと感じた。民衆大会連帯の闘争活動の場それぞれにおける労働者の闘争を呼びかける絶叫が、自分たちが組織した「非暴力・平和秩序」の枠内に閉じ込められてしまったのではないかと言わざるを得ない。生存のためにやむを得ず闘争を呼びかける労働者の怒りと、「秩序と非暴力、平和」を主張する市民とは明らかに矛盾していた。
朴槿恵の反労働者的政策に惑わされた財閥は、朴槿恵政権樹立の一番の忠臣であると同時に朴槿恵ゲートを招いた主体でもある。また、労働法改悪で実った甘い果実を味わい、内部留保金を山のように積み上げたのも財閥である。このような事実が早期に拡散し、検察も財閥調査を秘密裏に行い、その後大騒ぎになりはしたが、その結果は時期を逸したものと言える。検察自身も昨日今日の話ではない朴槿恵ゲート全般の解明が時期を逸してしまったと認めざるを得ない状況である。その原因は、幼稚なトリックによる問題の重大さからの逃避、危機的な情勢の克服のためのでたらめ極まりない猿知恵に他ならない。

大統領選挙に向けた
労働者階級の戦略が必要


去る一一月一二日と一九日の民衆決起大会は、歴史的に大規模なものとなった。また歴代の大統領の支持率から見ても、大統領支持率五%という数字は歴史的である。このような状況は、今後の情勢が確実に大きく変わることを示している。この機会に乗じて政治的な利害関係が複雑化の様相を呈している。
しかし、労働者階級の組織的闘争に伴う包括的戦略は示されていない。闘争要求に政界からの下野や退陣を呼びかける一貫性はあるが、朴槿恵退陣以後の政治的進路と方向については、依然として不透明である。もちろん各組織やグループ別では、政治的なスケジュールに従った模索や方向性はあるにはあるのであるが、「朴槿恵政権を退陣させ、何をするべきか」という目標がはっきりしていない。朴槿恵退陣後に議論してもかまわないと思う人もいるかもしれない。しかし多様な立場が複雑に絡み合っている労働運動陣営において、一つのスローガンで行われる闘争ではない状況においては、労働者階級の政治的進路と方向性を一つに合流させることは不可能に近い。
朴槿恵政権退陣非常国民行動(以下、「退陣行動」)が行われた大規模集会での主張と要求は、大統領の退陣である。しかし、朴槿恵が現在の状況において簡単に退陣するとは思えない。朴槿恵の権力は、いまのこの状況においても、当面の危機からの脱出のための様々な戦略を練っているからである。
退陣行動に参加したグループの中には、それぞれ来年の大統領選挙を狙った政治的計算が盛り込まれており、その裏にはそれぞれの政治的立場に従った戦略も盛り込まれている可能性がある。そしてそれぞれの政治的なスケジュールと関連する立場は、退陣行動において統一されておらず、それぞれの立場もまちまちである。単に朴槿恵に対する一貫した怒りが、朴槿恵退陣の要求に盛り込まれているだけである。史上最大の人の波が光化門広場に集結した歴史的集会デモにおける労働者階級の今後の政治的戦略は、どのようなものであろうか。

これまでの失敗に対する評価を行
い、労働者階級の政治勢力化へ思
いを結集するべきである。

 ソウル都心に集まった民衆の怒りは、朴槿恵の政権交代を要求している。しかし朴槿恵以後の政治的路線の立場は、それぞれがバラバラである。しかし労働者階級は、朴槿恵が退陣しようが持ちこたえようが、闘争の現場において朴槿恵以後の労働者階級の政治勢力化について模索するべきではないだろうか。
労働者の政治勢力化は、単なる勢力の離合集散ではない。労働者が自らの世界観を持つとき、はじめて労働者階級の政治勢力化は可能である。過去数十年の経験によると、労働者階級独自の理念と政策がなければ、独自の政治勢力化の形成は失敗する。八七年闘争の成果が「とんびに油揚げをさらわれた」という嘆きとともに、その原因は「労働者が組織化されていなかったため」とされた。
しかし三〇年が過ぎた現在は、民主労総もあり、労働者階級の政治勢力化を主張する多様な政治組織も存在する。したがって最小限の労働者階級の政治勢力化に肯定的な組織だけでも、闘争の現場において朴槿恵以後の共同の立場を明らかにし、政治勢力化を世論化として盛り上げるべきではないであろうか。そうすることが八七闘争の限界や過ちを克服する過程となるのではないかと私は考える。「朴槿恵政権を退け、民衆権力を勝ち取ろう」。

 本紙1面の上の写真は2015年11月14日の民主労総主催の労働者大会後のデモの写真でした。最近の11月のパク・クネ退陣を求める写真を掲載するつもりでしたが誤って掲載しました。おわびして訂正します。



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