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    かけはし2016.年12月5日号

トランプに翻弄される安倍外交


トランプ・安倍会談は何だったのか

消せない「TPP離脱」の衝撃

国際展望においても新しい難題

 安倍首相は、一一月一九日からペルーで行われたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議への出席に合わせて、ニューヨークに立ち寄り、米国の次期大統領に選出されたトランプとの会談を行った。日本出発の予定を一日早めてまで行った一一月一七日(日本時間一八日朝)のこの会談は、トランプ次期米大統領と会った初めての各国首脳として印象づけるための演出であったことは間違いない。
 安倍は、トランプの勝利宣言から一五時間後の一一月一〇日朝(日本時間)に電話をかけ、ニューヨークでの会談実現の約束を取り付けたのだという。ここには日本の外務省にとってもきわめて関係の薄かった「トランプ人脈」と関係を築くための焦りがうかがえる。
 世界の首脳と同様、予想外だったトランプの当選に安倍政権は不安の色を隠していない。「アメリカ・ファースト」を掲げてTPPからの離脱を選挙公約の柱に据え、プーチン・ロシア大統領への親近感を隠そうともしないトランプの姿勢は、たんに選挙用に考えられたポーズではなく、来るべきトランプ政権の政治的骨格をなすものだと考えられる。
 「トランプ氏は米国の自由貿易協定を繰り返し否定した。同盟関係においては相手国が十分な費用分担をしていない、同盟を放棄すべきだと述べた。温暖化対策のパリ協定や、イランの核開発問題での合意といったオバマ大統領の外交の成果を酷評した。トランプ氏のスローガンである『アメリカ・ファースト』は、世界を批判することと同義のようだ」(シーラ・スミス米外交問題評議会シニアフェロー)。
 「政策のディテールは著しく弱い。ロシアはけっこういい国だとか、中国は為替操作をしているとか言うが、中国の人権問題を批判したことはない。基本的に儲かるか儲からないか、通商で得をするかしないかが、彼の国際政治観を作っていて、人権や価値の問題、軍事・安全保障の軸が欠けている」(久保文明東大教授――引用はいずれも週刊『東洋経済』11月26日号より)。

「信頼関係」という空語


 一一月一七日にトランプの長女イバンカ、その夫ジャレット・クシュナー、そしてトランプ政権の国家安全保障担当大統領補佐官となることが内定したマイケル・フリン元国防相情報局長が同席した、「トランプ・タワー」での一時間半に及ぶこの会談の内容については一切非公表とされているが、安倍はこの会談について「ともに信頼関係を築くことができる、確信の持てる会談だった」と語った。安倍首相はトランプとの会談後「選挙期間中のトランプ氏の姿とは、全然違う別人だった。日本のことも、よく勉強していた」などと、トランプとの「関係づくり」の成果を取り巻きたちに語っていたという。
 しかし一一月二〇日にペルーのリマで閉幕したAPEC首脳会談が「あらゆる保護主義に対抗する」との宣言を出した直後の二一日、トランプは就任一〇〇日以内で進める優先政策の一部を発表し、そのトップとして就任初日にTPPからの離脱を表明する、と明らかにしたのである。これはいち早くトランプのもとに出向き、TPPの早期発効を働きかけ「信頼関係を構築できた」と喜んだ安倍首相にとっては、冷や水を浴びせかけられた思いであることは間違いない。
 トランプ次期政権が就任初日に着手する政策とされているものではTPP離脱以外に、「エネルギー産業での雇用を損なうような規制の撤廃」(すなわちCOP21=パリ協定の枠組みの否定)、移民規制に関して「米国人の雇用を損なうすべてのビザの乱用を調べるように指示」など、地球温暖化問題・環境問題への取り組みの拒否、「不法移民」追放など「アメリカ白人ファースト」の排外主義の思想が露骨に表面化している。
 しかしメンツをつぶされた安倍首相はAPECから帰国後の一一月二四日に開かれたTPP関連法案を審議する参院特別委員会の場で、トランプが「信頼するに足る人物」と高く評価した根拠について、二人で話したことの内容を外に出さないようにしようとの「約束」を守っているから、との強弁ですり抜けようとしたのである。安倍は、米国のTPPからの離脱によって発効が不可能になるのに、なぜTPP批准の強行を図ろうとするのかを問われ、次のように答弁した。「保護主義が蔓延するなか、自由で公正な経済圏を作っていく意義は変わらない。まさに自由世界における貿易第二位の日本の責任」と。
 こうして安倍政権は、TPPが発効しなくても「TPPを批准し、関連諸法案を成立させることが日本の責任」というまさに苦しい言い訳で、大資本の利害に奉仕し、中小自営農民や労働者・市民の生活を破壊するTPP批准強行に突進する無謀な賭けにうって出る以外の選択肢がないことを自ら表明したのだ。

かみ合わない歯車

 安倍政権が、トランプ次期政権の登場でその国際的展望において新しい難題を抱えなければならない問題は、TPPだけではない。トランプが好意的に評価するプーチンのロシアは、シリア・中東問題でアサド政権を支援するロシアの立場にトランプの米国の同意を勝ち取ろうとするだろう。それはクリミア併合の強行によってEU諸国との関係を悪化させ、G8から排除されたロシアの国際的位置を高めることになるだろう。そのことは、「北方領土」交渉にプーチンを巻き込んで、「返還」へのなんらかの道筋をつけようとする安倍政権にとって困難な状況を作り出す。トランプのアメリカは、安倍政権の進めようとする「北方領土」返還交渉への援軍として期待することはできない。
また韓国のパク・クネ政権の絶体絶命の危機の中で、すでに一二月に構想していた日中韓首脳会談の道筋は、事実上きわめて困難になっていると考えられるが、それは韓国のパク・クネ政権の問題だけではなく、米国と日本、そして韓国との軍事的共同・一体化を通じた「対中戦略」の面でもギクシャクが生じる可能性を浮上させるだろう。
すでにフィリピンのドゥテルテ政権は、明らかに南シナ海の島嶼問題において中国との政治的・経済関係を改善する方向に動いている。それは東アジアの地政学的・軍事的構図に大きな変化をもたらさざるをえない。
トランプが「親中国」というわけではない。むしろトランプの「アメリカ・ファースト」の路線が、東アジアの軍事的・政治的な状況において「中国包囲網」に穴をあけ、中国のイニシアティブが発揮される可能性を高めることになるだろうからである。
われわれはトランプと安倍という、その政治的・イデオロギー的志向において似ていないわけではない二人の指導者の思惑が、「かみ合わない歯車」となることを見ておく必要があるだろう。
(11月28日 平井純一)

11.21

沖縄現地行動報告集会

寝っ転がりダンプを止める

高江・辺野古に行こう

 【東京東部】一一月二一日午後六時半から、東京・亀戸文化センターで「辺野古・高江への工事強行を許さない!!東京東部・沖縄現地行動報告集会」が沖縄の闘いと連帯する東京東部実行委の主催で開かれ、七〇人が参加した。
今年の六月四日から七日に引き続き、一〇月一八日から二二日まで高江現地闘争に五人の仲間が参加した。機動隊との攻防をやり抜く仲間たちの闘いをビデオで撮影したものを上映した。ダンプが砂利を満載して、ゲートから入っていく。それを守る機動隊との攻防。寝っ転がりダンプを阻止しようとするのに対して、機動隊は力づくで、阻止隊を排除していく。一九日は三五〇人が集まって阻止行動。山城さんの逮捕されている名護署への抗議行動。

身をもって闘
いを体験する
参加した仲間が報告した。「高江は遠く、集まりがそんなに多くない。一〇トントラックを一二台用意して、交替で砂利を運んでいる。もっと多くの人がいればダンプを阻止できる。皆さんも、高江・辺野古に行こう」。
「実行委としては第八期の現地派遣になり、一三回行っている。今回は身をもって闘いを体験した。過激に元気にがんばった。皆さんからいただいたカンパは高江に一〇万円、辺野古に二万円を闘争資金として渡した。ヘリパッドは年内に完成させると政府は言っている。そのために沖縄の機動隊の五〇〇人、全国から五〇〇人の機動隊の計一〇〇〇人の機動隊を配置している。すでにトラック二五〇〇台分を運んだという。崖淵や赤土の問題がありまだ工事は終わっていない。夜間も突貫工事をやっている。一二月二〇日、北部訓練場の一部返還式典をやる予定にしている。それに合わせるようにヘリパッドの完成も急いでいるのだろう。沖縄では戦争の足音が聞こえている。なんとしてもこれを止めよう」。

沖縄のガンジー
阿波根さんの闘い
六月派遣行動の時、伊江島のヌチドゥ宝の家資料館へ行き、阿波根昌鴻さんの闘いを学んだ。その時の映像を上映しながら、日本軍が沖縄で何をしたのか、米軍占領に対してどのように闘ったのかを報告した。
「クリスチャンの阿波根さんは戦前、農民学校を作り、教育・農業の振興を行っていた。ところがそれが戦争でつぶされた。日本軍が伊江島に滑走路を作り、対米戦に備えた。残っていた島民四〇〇〇人のうち一五〇〇人、日本兵二〇〇〇人が殺された。アハシャガマでは日本軍によって一五〇人の住民が強制集団死させられた。生き残った人たちは捕虜として強制移住させられ、二年後に返された。しかし、米軍の銃剣とブルドーザーにより土地を取り上げられ、基地を作られた。米軍基地の中に入って畑を耕したりせざるをえなかった」。
「阿波根さんは非暴力・徹底抗戦を貫き、伊江島の問題を沖縄全体に広めるために『こじき行進』を行い訴えた。阿波根さんは沖縄のガンジーと言われた。基地は六〇%から三五%に減らされた。今また、伊江島の滑走路を整備して使おうとする動きがある。これを許してはならない」。
次に、宮平真弥さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、流通経済大学教授)が沖縄・高江における警察の問題点と題して、警察の違法な取り締まりを批判した。続いて、石垣島出身で、一年半前に那覇に帰って生活している下見あつしさんが「沖縄は日本ではなく、植民地にされている。高江はなんでもありの世界で、法律なんか関係なく違法ダンプや機動隊の暴力が公然と行われている。沖縄の人の本音は選挙になると出ている。沖縄の未来は沖縄の人が決める」とあいさつし、沖縄の闘いへの連帯を訴えた。
最後に、一一月二五日の警視庁への抗議行動、一二月一〇日の日比谷野音集会への参加そして、東部実としては毎月、北千住駅(来年1月18日)と錦糸町駅(12月12日)での宣伝活動を行っているので参加の要請を行い、団結ガンバロウ―でしめた。    (M)


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