もどる

    かけはし2016.年12月19日号

エネルギー政策の根本的
な転換が問われている


元東京電力労働者に聞く B

電力自由化と
エネルギー問題

――今年の四月から、発送電分離・電力の自由化が始まりました。新電力ができたりで、電気が競争にさらされるようになっています。アメリカでは発送電分離によって、送電部門に投資しなくなり、送電事故で停電が相次ぐなど社会的な問題となりました。電気や水など生活に欠かせないものをカネもうけ・競争原理にまかせるのはどうだろうか。

 難しい問題と思いますが、基幹エネルギーの供給を競争原理で単価を安くすることや、金儲けという視点だけでは問題があると思います。例えば原子力を推進するという人の中には温暖化に対して原子力はCO2を出さないので有効という意見もある。しかし、核廃棄物は一〇万年も管理しなければならない。現代人が誕生してから二〇万年しか経っていない。一〇万年先まで廃棄物を管理できるのか。そんな問題もあるから、温暖化の解決策といえない。一定の費用はかかっても太陽光とか風力とか水力も大規模なものではなく小規模の水力発電所を作っていく。それは単にエネルギーを使うコストではなくて、環境を維持する、よくするコストとして我々が払っていく。未来を見て、もっと総合的にエネルギーの問題を考えたいです。

――日本は山国ですが外国産の木材を輸入し、国内産が衰退し山は荒れてしまっている。この木材をバイオマス発電に使う試みがやれている所があります。オーストリアでも国民投票で原発建設を中止し、豊富な森林資源を使いバイオマス発電を行い、今では近隣国に電気を輸出することになっています。化石燃料に頼るのではなく、こうした試みをもっと国が率先してやるべきではないでしょうか。そうすれば原発をゼロにすることはできるはずです。

 私自身は太陽光発電が一番良いと思っています。今は、太陽光の電気への変換率が一割程度ですが、一平方メートル当たりの光の量は、一キロワットの電気にあたると言われています。家庭だと四平方メートルぐらいあればまかなえる(理論的には)。こういう所に開発費用を投資していいものを作って、三割ぐらいの交換率のものが作られれば十分やっていけるだろうと思いますよ。

エネルギー供給
の多様性が必要


――太陽光発電の設備機械は石油製品だったりして、必ずしもクリーンとは言えないのではないかという意見を聞いたことがありますが。

 そういうのはあるでしょうし、ひとつのものというよりもっと多様に地域に合わせて、林業とバイオマス発電とするとか。林業の廃棄物を利用し、単価的にも安くできる。林業の盛んな地域ではそれは有効でしょう。雇用も促進するし、循環型のエネルギー社会建設にもつながる。
林業も輸入材に押されて成り立たない。私の聞いた話ですが、五〇、六〇年育てた杉とか檜を切り出して売ったとしてもうけが一本二〇〇円くらいだという。林業そのものの問題もあるんです。林業は保水、酸素の供給、周りの動植物をも育てるなど、環境への役割もある。そういうのもをコストの中に入れて考えればよい。熱供給も併せてやればもっと効率よくできる。そういうエネルギー供給の多様性を考えた社会的仕組を作っていけば、電気も安く使えると共に環境もよくなる。

東電をどう
するべきか


――事故直後に、東電を倒産させろ、解体し国有化などの意見が出されましたがどうお考えですか。東電が経営合理化をさらに進めることと引き替えに、国からの交付国債の枠が五兆円から九兆円に増額された。回収は三〇年後で、利息一二六四億円は税金が使われる。賠償に六兆四七八六億円(2016年10月28日現在)や除染に三兆七六〇〇億円支出し、中間貯蔵施設に関する費用に一兆一〇〇〇億円と見込むとともに、除染費用については、原賠機構が保有する東電株の売却益、中間貯蔵施設建設費については電源開発促進税(エネルギー対策特別会計を経由。原資は各電力会社の電気料金収入)でカバーすることとした。また、廃炉については二兆円を捻出することを東電が約束したが三〇〜四〇年を超えるとされ、大きく超えるだろう。現行制度では原発の廃炉は原発を保有する大手電力会社が自社の電気料金から費用を回収することになっているがあまりにも費用がかかりすぎるとして、新電力にも負担させる案が政府から出されている。つまり、税金や利用者に原発事故関連費用を押しつけようとしています。

 企業としては当然倒産だと思いますが、今後のことは何が良いのかは難しいですね。そもそも原発を作る時に、推進母体としては国だった。国が方向性を作り、電力会社もそれにのっていった。福島第一原発を作ったGEは、事故の責任についてもちゃんと詰めておくように東電に対してアドバイスしているみたいですが、結局政治的にも詰めなかった。原子力行政そのものが安全性や核廃棄物についても、事故についてもちゃんと議論をしないで、開発推進を決めたんですね。
安全性も結局メーカーがいう安全性を信用してやっているだけだった。断層の問題だとか地震の問題だとか本当に詰めてやっていない。それが三・一一事故で明らかになった。普通に言えば、倒産ですね。それが一番良かったのかしれない。そうすればもっといろんなことが明らかになった。倒産しちゃえば、当事者たちが何の制約もなく言えると思うんですが、別会社ですから。どちらにしても、もっと、現場の声が聴きたいですね、事故に関係したすべての人の声を、そうすれば、本当のことが見えてくると思います。

原発輸出なん
て許されない


――安倍政権は原発重大事故を起こしたのもかかわらず、積極的に原発輸出を行っていますが。

 三・一一の教訓を生かさず、他の国に輸出を拡大しているのは問題ですね。ドイツは福島の事故を見て、再度脱原発に切り替えました。一番大きいのは核廃棄物だろうね。どうしようもないもんね。科学的・物理的に放射能を減らすことができない。

――廃棄物もそうですが現に被ばくした福島の人たちは命、土地、生活をすべて奪われてしまった。今でも一〇万人も帰れず避難している。未来を奪っている。無理な物を作った負債は消せない。東電は柏崎・刈羽原発を再稼働させて、年間一〇〇〇億円をかせぎたいとしている。これって何なのと思いますよね。

 これは政治の問題だよね。一電力会社が経営のために再稼働するとかしないとかの問題ではない。国としてどうするのか。福島の事故は、一歩間違えれば日本と言う国の半分くらい人が住めない状態になっても、何の不思議もないと思います。また、チェルノブイリ原発事故に見るように、決して一国の問題でもありません。核開発の問題を考える、いい機会ではないでしょうか。

まともな労働
運動を作ろう


――地震・火山の問題は解決できないでしょう。火山列島・地震列島の上に原発が立っている。想定外のことが起こりえる。

 火山専門学者が日本で原発を作るのがいかに無謀かと言っていますよね。スリーマイル島事故とかチェルノブイリ事故が起きているけど、日本では三・一一が起きるまで想像力として出てこない。いくら言っても一般に浸透しない。遠いロシアの話だから、アメリカのスリーマイル島はメルトダウンしたけど初期の段階で収まったので福島に比べれば運がよかった。福島も運がよかったといえば運がよかった。外国から見れば日本はおしまいだから、みんな避難したわけです。吉田調書では所員が福島第二に避難したことになっていますが、私は、言葉は悪いが、実際は逃げたと思っています。水素爆発についても現場の人たちは知っていたから、逃げるか死ぬか、そういう緊迫感はあっただろうと思います。

――最後に言いたいことは。

  私たちは東京電力の中で、まっとうな労働運動をつくるためにやっていました。基幹エネルギー労働者としての社会的な運動は、仲間内で熱心に取り組んでいる人もいたし、全電力の影響もあり一定程度はやりましたが、人もカネも時間も足りなかったですね。私自身はあまり熱心ではなかった。私は地域に出て部落解放運動に関わりを持った。一緒に闘っていた人皆が、いろんな地域の運動に参加していて、多くの人が今も続けています。今は、全員定年になって、私たちの運動は東京電力の中では残念ながら終わりました。労働運動の衰退は悲しいが、何か、私たちが想像できない形で、新しい運動が起きることは期待しています。     (おわり)

12.8

さようなら「もんじゅ」

さようなら核燃サイクル

核燃サイクルにとどめを!集会

 

 一二月八日、東京日比谷野音で、破綻する核燃料サイクルにとどめを? さようなら「もんじゅ」さようなら核燃サイクル東京集会がさようなら原発1000万人アクション実行委の主催で開かれ、九〇〇人が参加した。
 鎌田慧さん(ルポライター)が主催者あいさつをした。
 「原発政策は破綻だらけ。先がない、未来の展望がない。真珠湾攻撃と同じで、原爆が二発返ってきた。アジアの人々を二〇〇〇万人殺し、日本人も三〇〇万人死んだ。今日はもんじゅを完全に断念させる集会だ。高速炉開発で生き延びようとしているが決着はついている。再処理工場は二〇年動いていない。一兆円の予定が二兆三〇〇〇億円になっている。使用済み燃料は三〇〇〇トンが残っている。再稼働を止める、もんじゅを廃炉に、六ケ所村再処理工場をやめさせる。再処理サイクルの終わりを。断念するまで運動を続けよう」。
 宮下正一さん(原子力発電に反対する福井県民会議事務局長)がもんじゅ現地報告を行った。
 「政府は一二月二〇日、もんじゅの廃炉を閣議決定する。もんじゅはダメだと高木仁三郎さんが提起し、一九七六年に反対組織の敦賀市民の会、福井県民会議が生まれた。五人の代表の中には自民党の敦賀市議が入っていた。一九八二年、第二次公開ヒアリングが開かれ、九三〇〇人が徹夜で反対した。機動隊も一万人を動員した。すでに原発が九基あった。二一年前の一二月八日にナトリウム漏れが起き、もんじゅは止まった。二〇一〇年に原子炉内で落下事故が起きた。その他火災の発生など様々な事故があいついだ。一六〇〇トンのナトリウムがある。水と反応すると大爆発する。プルトニウムが二・五トンある。これが爆発したら日本の半分は壊滅する。私たちは必ず勝つ。なぜなら勝つまでやめないからだ」。

プルサーマル
をつぶそう!
新もんじゅ訴訟の海渡雄一さん(弁護士)が発言。「一九八五年にもんじゅ差し止めの提訴をした。もんじゅの廃炉は闘いの成果で、ひとつの勝利だ。しかし、ここ数カ月の動きは焼け太りのように、高速炉を動かすという。それに怒っている。もんじゅは冷却材にナトリウムを使っている。ナトリウムは水のように中を見ることができない。ナトリウムと蒸気で熱交換する。ナトリウムが沸騰したら暴走する。危険だ。異常で根本的な問題だ」。
「研究炉を作り、常陽を再開する。それまでフランスのアストリット(2030年にできるとされる)に三八〇〇億円のカネを出して、この研究炉を支えデータをもらうというのだ。実験炉、原型炉、実証炉、商業炉と四段階になっている。しかし、実証炉に進めるはずがない。もっと怒ってほしい。なめられている。核燃サイクル、伊方再稼働を止めよう」。
福武公子さん(弁護士)が技術的、カネがかかりすぎ、フランスの高速増殖実証炉スーパーフェニックスが中止になった経過を報告し、日本の増殖炉計画をやめるように語った。
浅石紘爾さん(核燃料サイクル阻止1万人訴訟原告団)が核燃料サイクルについて報告した。
「使用済み燃料のガラス固化に失敗した。東日本大震災にみまわれ、いま適合審査が行われている。六ケ所村の再処理工場は二二回運転が延期されている。二〇一八年に稼働の予定にはなっている。計画から二一年も遅れていて、施設も老朽化している。知事は積極推進。核燃やめるなら廃棄物を入れさせない。貯めてある廃棄物を運び出せと脅迫している。もんじゅの廃炉は要の一角が崩れる。もんじゅでプルトニウム燃料をつくるが使い道がない。プルトニウムはプルサーマルで使う」。
「闘いの目標は、プルサーマルをつぶすこと。プルサーマルを行っている伊方原発の再稼働をさせない。輪を断ち切る。高速炉開発、悪い冗談だ。原子力の亡霊がひとり歩きしている。毎年プルトニウムが五トン貯まる。再処理工場に今まで七兆三〇〇〇億円が投入されている。一日三億円の維持運営費がかかっている。即刻廃棄すべき。プルトニウムロードはデスロード、死の回廊だ」。

福島避難者の
きびしい実情
熊本美弥子さんが福島避難者の実情について訴えた。
「応急救助の期限が切れた。調査の三八〇〇世帯が避難先に留まりたいと答えている。避難者は苦しい立場に置かれている。アスファルトの上は一時間〇・二マイクロシーベルトなのに庭では五・四マイクロシーベルトだ。帰還か、貧困か、被ばくかの三つの選択が迫られている。都営住宅の優先入居で、七月二〇〇戸、九月一〇〇戸の募集があった。しかし、収入や世帯人数、年齢など募集要件が厳しすぎて、七一二世帯が要望したにも関わらず、一九二世帯しか仮あっせんが受けられなかった。都へ募集の緩和を求めているが明確な回答がない。国として住宅政策をつくるべきだ。交渉したいので力を貸して下さい」。
川内原発1号機再稼働反対のメッセージが紹介され、「もんじゅ今すぐ廃炉」のプラカードを掲げるパフォーマンスを行い、銀座・東京方面のデモでアピールした。       (M)


もどる

Back