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    かけはし2017.年5月15日号

被搾取・被抑圧階級の政治的代表が不可欠


フランス

大統領選第1回投票が終わって

新自由主義・緊縮と対決できる
民主的で統一的な闘争枠組みを

アントワーヌ・ララッシュ/レオン・クレミュー

 以下の文書は、署名者二人が提出した草案を基礎に討論され、豊かにされ、四月二九・三〇日のNPA・CPN(全国政治評議会)会合に提出された。それはCPNメンバーから最大の票数を得たが、絶対多数にはならなかった。この会合では、政治路線での多数票はまったくなかった。
 大統領選キャンペーンを精力的に導いた者たちの多数が共有する分析として、またNPAの仲間たちをはるかに超えて広がる論争への貢献として、この文書を公開することは重要だと思われる。(筆者)
 フランス大統領選第一ラウンドは、投票に先立つ三カ月に鮮明になったことを、以下のように確証した。
▼六〇年間この国をまとめてきた二つの政党の深い危機。つまり、右翼への強力な政治的分極化を伴う、共和党(LR、ジャック・シラクが生み出した政党UMPの後継)と社会党(PS)だ。
▼国民戦線(FN)の定着、この勢力は、民族主義的でレイシズム的政治を通して民衆諸階級を引きつけることによって、地方行政区の半分で第一位に達し、第二ラウンドに進み、この極右政党およびその指導部のファシスト的翼に対する「悪魔視の解体」を証明した。
▼「反システム」イメージを伴ったマクロンの介入は、有権者と社会党機構の一部の位置感覚を乱すことに、また中道右派支持者の重要な部分を引きつけることに成功した。
▼ジャンリュク・メランションにとっては相当な前進があった。彼もまた、社会党票の一部を吸い上げ、左翼の唯一のしっかりした候補者として登場することに成功した。
▼五〇〇人の署名を集めるという障壁を克服し、いくつかの社会的諸課題と政策に関する幅広い影響を作り上げるすばらしい反資本主義的キャンペーンを行うNPAの能力。それは、出合った共感的反応と獲得した票数(七面表参照)間に、ある種の落差があったとしても言えることだ。

1.深い不安定性、右翼への分極化


PSとLRの危機は、違った形でだが、第一ラウンド後にもその深化が続くだろう。PSは現実に、バルス(前首相)を軸にした一部の党機構によってバラバラになる可能性がある。このバルスは、マクロンを軸にしたあり得る大統領多数派に加わるために、分裂するとの決定をすでに公表している。機構の残りがこの動きを巻き戻すことは困難だろう。
一方で、社会民主主義とケインジアン的なアイデンティティへの回帰は、緊縮政策の継続を拒否した、一月の予備選における左翼の支持者によって幅広く歓呼で迎えられた。他方では、PS機構の基本部分はすでに長い間社会自由主義に獲得されていて、マクロンはこの空間を占領している。PSの大政党としての生き残りはそれゆえ、もはや確実ではない。
LRも異なった性格の諸困難を前にしている。フィヨンは、そのスキャンダルの前でさえ、彼の立候補をもって右翼支持者のもっとも反動的、伝統主義的部分を刺激し、戦闘的な強硬右派を結晶化してきた。今回のキャンペーンはこの軸を中心に行われ、スキャンダルと腐敗によって衝撃を受けた民衆的右派支持者に語りかけることのできるあらゆる綱領は排除された。
LRはこれを修正しようと試みるだろう。彼らの危機はPSのそれよりも深さでは程度が小さいとはいえ、ここにもまた、アラン・ジュペ、エストロッシ、ル・マイルを軸とした若い人々のような、党指導部と党機構の一部があり、彼らは、マクロンが第二ラウンド後彼らに十分窓を開く用意ができている限りは、マクロンのカードで勝負する準備を整えている。
いずれにしろ、マクロン選出のあかつきに、国民議会選挙に向け「アン・マルシェ」(前進、マクロンの選挙母体:訳者)を支持する多数を獲得するに十分な勢いをマクロンが受け取るとしても、この陣形の異質性は、議会の不安定性という一時期の幕を開けると思われる。そしてこのことがすでにマクロンに、指令による法制定を約束するほどまで圧力をかけている。
第五共和制の諸制度が六〇年にわたって、多くの政治的、社会的けいれんに適応できてきたとすれば、そこに求められているのは、多数をもつ党をまとめる大統領の存在だ。オランドは彼の任期中、彼自身の党を管理する能力の不足によって進路をふさがれてきた。これは、今後の数カ月で繰り返される可能性がある。決起と体制の正統性に対する疑問の突き付けに向け、数々の窓が開くだろう。
この全体的情勢は、何十年もの社会的国家の掘り崩し、大量解雇、そして民衆諸階級に打撃を与え続けている緊縮諸政策を経て、何らかの政治的信用性と十分な社会的基盤を維持する点での、ブルジョア諸政党の全般的困難性を映し出している。EUの枠組みの中でフランスで実行されているこの政策が結果として残したものは、極右プラス戦闘的右派(ルペン+フィヨン+他の右翼二候補)がこの第一ラウンドで票の四七%を引き寄せたという事実、そして二四%以上が新自由主義の資本主義綱領の実行加速化を約束している候補者に票を投じたという事実だ。
FNの本性、LRの諸政策、そして指令による統治というマクロンの意志は、次のことを示している。つまり支配階級は、彼らの政策を押し通すためには一層権威主義的で抑圧的な諸手段を使わなければならないだろう、ということを分かっている、ということだ。

2.FNの民衆浸透への闘争を


ルペンは自身の目標を達成しなかったとしても、第二ラウンドに現れ、LR以外の右翼の集会で証明されたように、彼女の政治的境界の先まで引力を及ぼし始めている。これらの境界を飛び越え、隔離という決まりを壊す中で、大統領選の先にある目標は、第二ラウンドを国民議会選への跳躍台にすることだ。それは、政治的重みを確保できる国民議会内部にFNグループを押しつけることによってということだが、それは議会の不安定性が事実となる際はなおのこと意味をもつ。
国民戦線は、二〇一二年大統領選よりも一〇〇万票上乗せし、二〇〇二年大統領選よりも三〇〇万票上乗せしたことと一体的に、自身を根付かせ続け、その活動家の埋め込みを強化し続けている。ルペン支持票は労働者、公共部門被雇用者、そして投票した失業者内部では多数派だ。FNは、フランス北部でその根付きを深くし、そこでは、オー・ド・フランス(リール、カレーを含む、北海に面しベルギーと国境を接する北部の地域圏:訳者)の行政区すべて、地方の自治体、そして今や中規模の都市でも第一位になった。
第二ラウンドの前そしてその後でわれわれにとっての挑戦課題は、国民戦線が他と同じような政党になるはずという考えそれ自体と闘うことだ。それは極右の党であり、その基盤はなおジャンマリー・ルペンのファシスト的FNの遺産なのだ。その綱領は、民主的諸権利の破壊、労組運動と社会運動のあらゆる権利に異議を突き付けることだ。
この勢力は、資本主義諸政策によって苦しめられた民衆諸階級の中で基盤を前進させるために、低い賃金の増額や六〇歳での退職といった僅かの社会的要求をデマ的に取り上げた。他方でその経済綱領は経営者の綱領であり、移民出身の人物に対する差別、レイシズム的憎悪の綱領を強化し、貧困と失業に真に責任ある者たちを助けることを狙った、搾取された者たちを分断する綱領を展開している。
FNは、第一に難民をはじめとして、移民の住民、移民出身の住民に対してはすぐさまの脅威だ。それゆえわれわれはFNを、これもまたシステムの党、資本家と銀行を保護する資本家政党であるとして他と共に強く批判しなければならないがしかしまた、労働者運動、搾取され抑圧された者たちの最悪の敵としても、糾弾しなければならない。

3.深い危機にある左翼

 左翼は、そのあらゆる構成部分を合わせて三〇%以下、一〇〇〇万票しか獲得できなかった。労働者運動に源をもつ諸政党は、今回の選挙の第二ラウンドから排除されることになった。
得票率一九%の結果を得たメランションは、彼の立候補を固め、左翼の主な候補者として登場することができた。彼はいくつかの名簿に向けて勝負した。たとえば彼は、エルコムリ法と対決して昨年決起した人々の塊を、また全体として近年の社会的決起の諸潮流からなる塊を、これらの運動の主な要求を合体しつつ、引き寄せ獲得することに成功した。
同時に彼は、マクロンと同じように、PS支持者の重要な一部を吸い上げた。これらの人々は、第二ラウンドに左翼の候補者を確保する可能性を見ていた。また、最後の二、三週間には、メランションのキャンペーンは一層共和主義的、民族主義的キャンペーンとなり、もっとも急進的な諸側面と緊縮との戦闘という軸を消すようになった。それは結論的に、何百万という人々のシステムに対決する反乱と急進主義を、制度的で共和主義的な枠組みの中に今にも引き込みそうになっていた。
いずれにしろメランションは、キャンペーン期間中とその前に、民主的結集と一つのキャンペーン枠組みの構築を拒否することによって、彼自身が一つの困難の前にいることを見出すことになっている。彼独自のキャンペーンを軸にしたエネルギー注入は継続不可能なのだ。
今起きていることに関する論争を回避することは彼にとって難しくなるだろう。社会的勢力と政治勢力のある種の関係を生み出す必要は今後高まるからだ。メランションのケインジアン的な綱領は、たとえそれが社会運動の要求の多くを反映していたとしても、雇用主との必要となる衝突という課題を、「不屈のフランス」の綱領であってもそれを強いるための民衆的決起という課題を、回避していたのだ。
ギリシャの教訓は、緊縮に反対するあらゆる綱領は、一国的にまたEUレベルで、資本家の諸利益、およびそれらを保証している諸制度に直面する、ということを示している。加えて、あらゆる民主的で多元主義的な構造形成に対する拒絶が、メランションの選挙における成功を作り上げた諸勢力の、競合的な分裂(特に不屈のフランスとPCFの候補者間で、メランションはここまで、議席配分に関するどのような協定も拒否してきた)という形をとって、国民議会選挙期間中にあらためて強烈に現れるだろう。
PS左派、PCF、メランション支持者、またNPA同調者はそれゆえ、深い違いはあるとしても、一つの共通の問題に直面し続けている。それは、組織された労働運動の、搾取された者たちを守るために日々を基盤に闘う用意がある部分の、再建という問題だ。

4.NPAの訴えに共感成長


フィリップ・プトーの立候補は週を追う毎に、NPA内部では彼を軸に、またメディア内でもそれを無視できないものにした。われわれは、キャンペーンを終えるにあたって、その影響力の規模という点でキャンペーンは否定できない成功だった、と言うことができる。
職業政治家の悪評、またフィヨンとルペンのスキャンダルを背景に、フィリップ・プトーは、民衆諸階級の制度的な諸政党に関係する憤りと諸々の懸念を声高く表現する一人の労働者候補者として、四月四日後にはなおのこと、極めて幅広い層の前に登場した。
彼はまた、FNに対する彼の強い非難に基づき、世論に強い影響も与えた。このキャンペーンはいくつかの政治課題に関し二〇一二年の時以上に一定の影響をつくり出した。それは、特に警察の武装の取り止め、被選出代表の特権の取り上げ、また程度はそれより低いとしても、整理解雇の禁止だ。
強く個人化され、メディア露出度に焦点を絞られた選挙の中で、選挙に挑むにあたって必要とされた五〇〇人の署名獲得まで含んで、最初には周辺化という局面があった。対照的にプトーの立候補は、四月四日に行われた大がかりな候補者間テレビ討論後に、メディアでの強力な論点提示から利益を得た。それは、このキャンペーンでの数知れない努力が最後の三週間で実を結ぶ、ということに確証を与えた。
プトーと他のスポークスパーソンの討論参加、またキャンペーン資料は、われわれがNPAの綱領に含まれる他の側面を広めることを可能にした。それは、気候変動、原発、ノートルダム・デランデ空港、医療問題、差別問題と難民受け入れ支持、フランスの軍事介入拒否、そして反バシャル・アルアサドの闘いとの連帯などだ。
最終日におけるテロ銃撃が警察の武装取り止めという問題での立場を困難なものにしたとはいえ、反響は肯定的であり、成長を続けていた。他方キャンペーンは、NPAの緊急計画が提起する他の重要な論点、つまり失業との闘い(労働時間の分かち合い、整理解雇禁止、最低賃金引き上げ、その他)と社会に関する全体的構想、を展開することができなかった。
対照的に、メランションを第二ラウンドに連れ出すための、あるいはマクロン支持まで含んだ「効果的投票」に向け高まる圧力が、厳密に選挙に限った分野では、キャンペーンの、また票数の成功を限界あるものにした。この空気はまた、搾取され抑圧された者たちの代表という問題に関する立場の表現と論争をも、大いに妨げた。
諸々の集会への参加は、接触数同様一つの頂点に達し、これは、NPAの数多くの支部の戦闘的活動に、前向きの勢いを回復させた。これを活動力に転換すること、また広い範囲で可視性をもち、訴えを届けることができる一つの政治的存在を保つこと、これらは今後の課題として残っている。

5.敵はFNと新自由主義両方

 NPAはキャンペーン期間中、幅広い統一戦線の広がりに基づき、いくつかの都市でFN反対の決起を始め、その中心にいた。そしていくつかの都市では実体のある成功も見た。しかし対照的に党は、第一ラウンドの結果判明後の数時間や数日に起きた諸々の決起では活動が低下し、第二ラウンドへのFNの通過に関係するキャンペーン撤退にしたがいつつ、期待に反した得票や正統性の限定を原因に、多くの場合主導性を発揮する大胆さをもてずに来た。
五月七日の第二ラウンドに向けて大事なことは、搾取された者たちと彼らの抵抗のツールにとって、FNが深刻な脅威、テロ攻撃を利用して確立された非常事態の資材増大によって強化された脅威であると、人々に納得させることだ。それを有利にするあらゆる投票に反対して闘うこと、搾取された者たちの陣営ではルペンに対しては一票もあってはならない、と語ることが基本だ。
われわれは、マクロンとルペンをイコールで結ぶことはない。とはいえそれは、マクロン支持の投票を勧めることを意味するわけではない。マクロンへの投票が諸制度への幻想をあらわにするかもしれないとすれば、棄権はその対称として、FNの危険に対する過小評価をあらわにする可能性がある。われわれとしては、FN票を減じることになる、マクロンの正統性を引き下げることになる、そして次期政権に対決する闘いを準備することになる、そうした動員を強調する。
FNを標的にすることを優先することは理にかなっている。FNは、われわれの陣営の死を呼ぶ敵なのだ。しかしFNとの闘いは、FNを育てている、EU諸機関に支えられPSとLRによって何年間も遂行されてきた、そしてマクロンをもって続くであろう、そうした新自由主義政策との闘いから切り離されてはならない。
われわれは、マクロンが夏になる前から行う諸政策に戦闘的に反対する労働運動を準備したい。われわれは今FNと闘わなければならない。しかし、マクロンによって行われるウルトラ新自由主義諸政策の五年間(あるいはそれより短い)は、同時にわれわれが搾取され抑圧された者たちの政治的表現の構築、それに基づいて現場で抗争し、レイシズムと抑圧された者たち間の競争に反対し、連帯と共有の闘争を基礎とした解放の展望をもつ、そうした表現の構築に向かおうとしないのであれば、極右を強化するにすぎないだろう、と自覚している。

6.集団的階級行動の再建へ


この選挙の総括点の一つは、組織された労働運動の重みの弱さ、緊縮政策に反対する集団的な階級行動に対する確信の後退、FNを利している自信と意識の喪失だ。しかしながら、雇用法に反対する昨年の諸決起、ノートルダム・デランデ、ガイアナ(大統領選挙と平行する形で反緊縮の大規模な民衆決起が続き、一定の勝利的成果を生み出した:訳者)、COP21をめぐる決起は、社会的諸決起がその政治的側面を完全にもつようになることを確実にする上で、基礎は存在しているということを示している。
この領域の上でこそわれわれは、これからの日々、われわれのすべての努力を注ぎ、集団行動のツール、諸労組、諸々の市民団体、統一的な枠組みを築き上げ強化するために行動するだろう。現在の政治的な諸条件の中で特に決定的であるのは、NPAの根が、われわれの活動家が集団行動形成の指針として抱えている社会運動、闘争に、諸決起、制度的な圧力への反対、社会的な、エコロジーの、フェミニズムの、そして国際主義的な諸闘争の結集を確実にしようと努力することを通じて、固く埋め込まれることだ。

7.選挙闘争の成果を力へ

 NPAは、多重的な現場のイニシアティブ、公開集会、夏季大学の集会とその準備によって、キャンペーン期間中につくられた活動家のつながりを安定化し組織化しなければならない。
労働者、搾取された者たちはこの選挙で、さまざまなやり方で自らを表現した。投票権のない外国人以外にも多数が棄権した。あまりにも多くの他の人々は、それを民衆的な投票と見つつ、ルペンに引きつけられてきた。他の者は、これを彼らの闘争の、社会的公正を求める要求の表現と見つつ、メランションに、またアモンへも票を投じた。他の者は、彼の中にFNに反対する防波堤を見つつ、第一ラウンドでマクロンにさえも投票した。フィリップ・プトーへの投票は、反資本主義の闘争を承認した。
われわれは今彼らすべてに声をかけなければならない。搾取され抑圧された者たちの利益を代表する政党の不在は、民衆諸階級の諸々の敵にフリーハンドを渡すと。またわれわれは、街頭に、諸々の決起に、わが階級を、搾取され抑圧された者たちを、結集することに挑みたい。それがエルコムリ法に対決して結集され、フランス領ガイアナで、小雇用主や中間層までも含んで動員されたように、だ。
しかしわれわれはまた、これらの闘争に加えて、反資本主義の綱領、それが一国的か欧州レベルかに関わりなく、資本主義とその諸制度との革命的な決別を軸に、一つの共通の政治的勢力を組み上げる道筋を海図として印したい。
われわれはこの構想を、この必要な結集の道筋、構成要素となる諸組織や活動家を形成した活動家グループの確実性のある結集の道筋を追い求めている人々すべてと、特に自ら声をかけることによって、社会運動の中で活動家の開かれた会合を通して、討論したい。社会的諸権利と環境を破壊するこの資本主義に対するイデオロギー的オルタナティブと一つの政治的・社会的構想の再確立は、それが多元主義的で民主的な諸実践から現れ、活動家のネットワークに固く結びつき、社会運動の政党への従属を拒絶する形で――それゆえ「政治的」ということの抜本的な再定義を創造することによって――現れる場合にのみ、信用力を持ち、魅力的になるだろう。

▼アントアン・ララッシュは、NPA指導部の一員であると共に、第四インターナショナルメンバー。(「インターナショナルビューポイント」二〇一七年五月号)  

フランス大統領選第1回投票結果

1 エマニュエル・マクロン(無所属) 
8,657,326(24.01%)
2 マリーヌ・ルペン(国民戦線)        
7,679,493(21.30%)
3 フランソワ・フィヨン(共和党)        
7,213,797(20.01%)
4 ジャン・リュク・メランション(左翼戦線)  
7,060,885(19.58%)
5 ブノワ・アモン(社会党)         
2,291,565(6.36%)
6 ニコラ・デュポンアニャン
1,695,186(4.70%)
7 ジャン・ラサーユ
435,365(1.21%)
8 フィリップ・プトー(NPA=反資本主義新党)
394,582(1.09%)
9 フランソワ・アセリノ―
332,588(0.92%)
10 ナタリー・アルソー(労働者の闘争)
232.428(0.64%)
11 ジャック・シェミナード
65.598(0.18%)

フランス

大統領選一回選、展望は依然「体制への挑戦」

システムへの共同した挑戦

反資本主義新党〈NPA〉4月23日夜

この声明は、大統領選第一回投票の夜にNPA(反資本主義新党)の名においてフィリップ・プトゥーが出したものである。

体制拒絶、だが
前には等しい敵

  まず何よりも、われわれ(NPA=反資本主義新党)に投票する選択をしてくれたすべての有権者に感謝したい。これらの人々は、自らの投票によって、しばしば腐敗しており、資本家や銀行家たちによる国家の統治を許している職業的政治家たちの体制を拒否することを望んだのだ。それは、変革が大衆動員とこの体制との断絶を通じてなされるということを表明したいと考えた人々だ。
 今回の大統領選挙戦は、民衆と政治体制とをますます疎遠にする果てしない深淵を明らかにした。この政治体制は、われわれを代表せず、われわれの生活条件を基本的に考慮に入れていない。実際、この体制は、年々、生活条件を悪化させている。……これらすべての政治家たちは、ますます少ない有権者しか代表しなくなっている。とりわけ貧困地域ではそうである。
 第一回投票の前代未聞の結果は、社会党の候補者も共和派の候補者も第二回投票には進めないというものであった。これは重大な政治的危機の兆候である。六〇年間にわたって国を統治してきた二つの政党が第二回投票から除外されたのだ。しかし、この数十年間にわれわれが受けて来た苦難は言うまでもないことなのだが、マリーヌ・ル・ペン(極右派の国民戦線)とエマニュエル・マクロンが第二回投票に進むというのもまたよいニュースではない。
 国民戦線(FN)は、自らが労働者を擁護する反体制の党であると称しているが、この党は、他の党と同様の資本家の党である。それは、多くの腐敗を抱えており、人員削減に対しても、さらには金持ちを守って搾取されている人々を厳しく打ちのめす経営者の計画に対しても、けっして闘うことはない。その上、それは重大な危険をもたらす党でもある。なぜなら、それは、人種差別主義を通じて、移民やエスニック的少数派に対する憎悪と分断を引き起こすからである。それは、賃金労働者の怒りが失業と貧困に責任のある連中に向かうのをそらそうと画策している。
 もう一人の候補者は、エマニュエル・マクロンだ。彼はいろいろな点でペテン師だ。彼は、新しい反体制の候補者ではなくて、銀行とフランソワ・オランド大統領の支流であって、この五年間にわれわれが受けて来た政策にオランドと同様に責任を負うべき人物である。そして、彼の政策は、より一層の緊縮生活と不平等を約束するものである。

EUとマクロン
への大衆決起を


この政治危機――主要政党が第二回投票から除外されたこと、そして国民戦線が多くの票を得たこと――は、われわれが事態を掌握し、大衆動員を行う必要があることを示している。国民戦線と新自由主義の政策に反対して、「共和派戦線」ではなくて、広範な大衆動員に、とりわけ青年の間の大衆動員に、依拠することが、二〇〇二年よりもさらに重要にさえなっている。このことが不可欠だ。第二回投票を待つことなく、職場で地区で闘わなければならない。
五月七日の日曜日、多くの人々は、マクロンに投票することによって国民戦線を阻止したいと考えるだろう。われわれは、マリーヌ・ル・ペンの当選が体現するであろう、すべての社会的進歩とすべての権利にとっての致命的な危険、とりわけ、移民にとっての致命的危険を退けたいとするこうした人々の望みを理解している。しかし、国民戦線と吐き気を催させるようなその考えの台頭の原因となっているのは、緊縮政策と治安政策であり、とりわけいわゆる左翼政府のそうした政策だ、という点を思い起こすべきである。マクロンは国民戦線に対する防波堤ではない。国民戦線を永久的に後退させるためには、極右派に反対して、そしてまた、マクロンのような、反社会的政策を強引に押し付けている、あるいは押し付けようとする、すべての勢力に反対して、街頭に出る以外のオルタナティブはない。NPAとその活動家は、国民戦線に反対するすべての抗議行動に積極的に参加する。
今晩、棄権した人々、あるいは投票する権利を認められていないすべての人々に対して、そして体制との断絶を望んでメランション(「不屈のフランス」派の候補者)に投票したすべての人々に対して、「労働者の闘争派」に投票した人々に対して、われわれが言いたいのは、これまでにもまして、われわれを代表する新しい政治勢力が必要である、ということである。資本主義体制に終止符を打ち、搾取といっさいの抑圧のない社会の展望を擁護する、われわれの日常闘争の手段としてわれわれの利益を代表する党が。
来るべき数週間、われわれはまず第一に、フランスが新植民地的介入を行っていて、人殺しのアサドが死と破壊を生み出しているこの時に、国際的な連帯を示すと同時に、われわれの民主的権利と社会的権利を防衛するためにも、五月一日に街頭に繰り出すだろう。その後、NPAは、この数か月間、私と私の同志たちが大統領選の選挙キャンペーンで取り上げて来た諸問題のために、職場で、大衆動員の中で、労働者地区や都市で、引き続き日常活動を継続していくだろう。
第一回投票のこの夜、展望は依然として、われわれみんながいっしょになって、この体制に挑戦することである。

ベネズエラ

オルタナティブ見えない中
経済的混乱と暴力への傾斜

フランク・ゴーディディショー/ペドロ・ウアルカヤ

 チャベス死後のベネズエラは、右派の攻勢が強まる中混沌化が深まっている。マドゥロ政権の対応も、強権性が目立ち民衆の期待に応えているようには見えない。特に今年に入っては、政権支持派が固める最高裁が国会の権力を一時制限するなど混乱が際立ち、この問題をめぐっては米州機構(OAS)から脱退を表明するまでになっている。一体何が起きているのか、極めて重大な局面を理解する一助として、以下の簡単な報告を紹介する。(「かけはし」編集部)

 ベネズエラでは、深刻な経済危機と南米を貫く変化した政治的絡み合いを基礎に置く、マドゥロ政権支持者と反対派間の分極化が、悲劇的結末を伴って、鋭さを増し続けている。
 二〇人以上の死に導いた暴力的な衝突に続いて、ベネズエラは数週間、マドゥロ政権とその反対派によるデモと対抗デモを伴って混沌に投げ込まれたように見えた。異質な連合であるMUD(民主統一円卓会議)は、ニコラス・マドゥロの政権を終わらせるために、即時の総選挙実施を要求している。
 この状況は、今年三月三〇日に最高裁(そこでは政権同調者が多数派)が国会からその大権を取り上げた時に悪化した。その理由とは、国会内に不正に選出された議員が三人いたことだった。ベネズエラの当局はこの動きが巻き起こしたスキャンダルに直面し、結局は後退し、一方ここ二回の大統領選挙における反政権派の候補者、エンリケ・カプリレスに一五年間の被選挙権停止を宣告した。
 政権の権威主義的漂流は、反政権派政治エリートを対象にしているだけではない。地方選と労働組合選挙もまた、それが今後いつ行われるかの日付けを一切示すことなく延期された。民衆居住区に安全を取り戻すことを目的にした「民衆解放作戦」は、数十件の殺人を理由に人権諸組織から告発されている。そして、現在まで「批判的チャベス主義」に近く、PSUV(統一社会主義党、マドゥロの政党)から自立した政治的諸組織、たとえばマレア・ソシアリスタやベネズエラ共産党は今、合法的存在を保つために、過酷な諸条件にしたがうことを余儀なくされている。
 MUDについて言えば、これは明確に新自由主義者に支配され、それが中心に置いているものは、社会的復讐、親帝国主義、支配諸階級と国際資本に奉仕する「安定した」政府の復古という政治的構想だ。二〇〇二年四月の失敗に終わったクーデター期間中、この同じ反政権派は法的な諸権威をすぐさま廃止し、民衆とチャベス支持者に直接の弾圧を加えた、ということを思い起こそう。
 マドゥロが権力に留まるか、それとも「国民統一」政府が正式なものになるかに関わりなく、ベネズエラ民衆諸階級の状況は依然極めて懸念を呼ぶものとして続いている。採掘主義と原油利権料にとらわれたこの国の経済は、二〇一四年夏以後の原油価格急落によって全面的に痛めつけられてきた。政府は絶望的な賭けとして、多国籍資本と連携し、軍の支配の下に、オリノコ川流域(超重質油の大量埋蔵が確認されている:訳者)における採油メガ計画を加速してきた。しかしこの構想は、この地域の環境、例外的な生物多様性、さらにそこに暮らす数多くの先住民共同体を犠牲にする形で、国土のおよそ一二%に悪影響を及ぼすのだ。

▼フランク・ゴーディショーは政治学博士であり、ラテンアメリカ関連の著作が数冊ある。フランス・ラテンアメリカ協会の共同代表であると共に、NPAラテンアメリカ作業グループの一員でもある。(「インターナショナルビューポイント」二〇一七年四月号)

 

 



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