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    かけはし2018.年1月1日号

いよいよ憲法改悪阻止の正念場

東アジアの労働者民衆は連帯し
平和と人権を共に闘いとろう!



安倍・トランプ「戦争同盟」打倒へ

沖縄からすべての軍事基地撤去せよ

朝鮮半島を核の戦場にするな

間一髪!米軍ヘリの落下物


 二〇一七年の本紙新年号巻頭論文は、冒頭で米軍普天間基地所属のMV22オスプレイが名護市安部の海岸に墜落した事故(二〇一六年一二月一三日)を糾弾し、在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官による「住宅地への墜落を避けたパイロットの行動は沖縄を守った。表彰ものだ」という居丈高な居直りへの怒りを表明した。二〇一八年の新年号論文も、二〇一七年の奇しくも同じ一二月一三日に起きた、米軍普天間基地所属のCH53Eヘリの窓が基地に隣接する普天間第二小学校の運動場に落下した事故への糾弾から始めなければならない。
 一片の長さ九三センチ〜六五センチの台形で金属枠の窓は、重さ七・七キログラム。体育の授業で運動場にいた普天間二小の六〇人の児童たちから一三メートルしか離れていない場所に落下した。ほんのわずかの差で、人命にかかわる事故となったことは間違いない。沖縄県の抗議にもかかわらず、翌一四日には米軍は普天間基地からのヘリ飛行を再開している。
 同事故の一週間たらず前の一二月七日には、米軍ヘリの部品が同じ宜野湾市内の緑が丘保育園に落下した。まさに日常的な米軍による事件・事故が繰り返し、沖縄の人びとの生命・生活を脅かしているのだ。
 しかしこのような報道に対して、「自作自演」だとか「そんなところに学校や保育園を作るのがおかしい」という本土からの中傷メールや誹謗の電話が保育園に殺到している、と報じられている(「朝日新聞」一二月一六日)。これもまた汚濁に満ちた「本土」世論の現実なのだ。この許しがたい状況を背景にして、「辺野古への早期移転」を促す圧力が、さらに強まるに違いない。沖縄の闘いを孤立させることなく、デマ・中傷に満ちた沖縄差別のキャンペーンに抗して、「本土」と沖縄を結ぶ闘いで、普天間基地即時返還・辺野古新基地建設断念を実現しよう。
 朝鮮半島の戦争危機をはねのけ、東アジアの平和・人権・民主主義・エコロジー・脱原発のために共同の闘いを作り出そう。安倍政権とその追随勢力は、「朝鮮核戦争危機」をあおりたてながら「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)を新防衛計画大綱の中に盛り込み、自衛隊が米軍と一体化し、あらゆる事態を想定して武力行使にあたる計画を推進しようとしている。改憲を前提とした日米共同作戦計画だ。
 二〇一八年は、まさに安倍政権の改憲スケジュールが本格的に発動される年であり、二〇一八年中の改憲発議こそ安倍政権が避けて通れない課題となるだろう。沖縄の反基地闘争と結びついた改憲阻止の闘いを軸に、安倍政権打倒へ!

トランプの迷走と帝国の衰退


 二〇一七年の世界政治の流れは、トランプ米大統領の登場によって大きく揺れた。「軍とCEO(大企業経営者)の政治」としての性格を当初から明らかにしてきたトランプ米政権は、政権発足前からメキシコ国境への「壁」の建設、中東、アフリカの人びとの入国拒否、「難民」追放などのレイシズムに貫かれた「アメリカ・ファースト」のスローガンを掲げてきた。
 本紙二〇一七年新年号の巻頭論文で筆者は「『トランプ現象』は決してアメリカ政治の『突然変異』ではない。そしてトランプの『アメリカ・ファースト』の宣言は、アメリカの自信の表れではない。その逆だ。それは新自由主義的グローバル資本主義世界システムそれ自体の長期にわたる行き詰まりの政治的表現であり、アメリカ帝国主義が、新しい秩序の形成者たりえないことの宣言なのである。彼の言辞の余りにもストレートな『露骨』さは、やはりアメリカ帝国主義の政治的劣化の『例証』と言ってよい」と述べた。
 一月二〇日にワシントンで行われたトランプの大統領就任演説を批判した小林秀史論文(「トランプ政権と帝国衰退の新段階」本紙二〇一七年一月三〇日号)は「『米国第一主義』への転換は、英国の離脱に伴うEUの危機と相俟って一九八〇年代以降の新自由主義的グローバリゼーションの終わりの画期となるだろう」「それは同時に世界経済における米国の覇権の終焉の始まりを表現している」と分析した。
 「米ソ冷戦」の時代、そしてソ連崩壊後の一時期に語られた米国の「独覇(単独覇権)」時代を通じて多くの人びとによって語られたアメリカ帝国主義のグローバルな「秩序形成」能力はイラク戦争、リーマンショックなどを通じて大きく後退していった。オバマ政権の八年間は、当初の「核軍縮」への期待にもかかわらずそれは緒につくこともなく、「大国アメリカ」の衰退を押しとどめることにはならなかった。
 そしてトランプ政権の一年間は、その存在が、世界全体を通じて、最悪の「正義破壊・解体」要因であることを明らかにしたのである。
 イラク、シリア、リビアなど特定の中東諸国からの入国拒否、難民・移民の追放、メキシコ国境に沿った「壁」の建設などのレイシズムむき出しの強行措置、女性・LGBTの人びとへのセクシズムは米国内部からも大きな批判をよんだ。四月には、シリアの軍事基地を空爆し、アフガニスタンには「すべての爆弾の母」と呼ばれる巨大爆弾を投下した
 トランプの「アメリカ・ファースト」政策は、TPPからの離脱、気候変動というまぎれもない現実の拒否と「パリ協定」との決別へと帰結した。
 そして二〇一七年年末には、エルサレムをイスラエルの「首都」として認め、米国大使館をテルアビブからエルサレムに移す決定を下すことで、「中東和平」の道筋を決定的に閉ざし、英仏などの帝国主義諸国からもそのあまりの無責任さを非難されるという事態をトランプ政権は自ら招き寄せたのである。

政権中枢から
相次ぐ離脱劇
トランプ政権のこうした迷走は、政権中枢を担う主要メンバーが次々に政権を去っていったことにも示されている。
イエーツ司法長官代行 一月三〇日
フリン大統領補佐官(国家安全保障担当) 二月一三日
コミーFBI長官 五月九日
タブキ広報部長  六月二日
スパイサー報道官 七月二一日
フリーバス首席補佐官 七月三一日
スカラムッチ広報部長 七月三一日
バノン大統領首席戦略官 八月一八日
……このリストはさらに増えていくだろう。
そのうちフリン前大統領補佐官については、二〇一六年の大統領選で、トランプ陣営全体の意思としてロシア側と交渉したことを認めたと報じられており、フリン元補佐官とやり取りしたトランプ陣営の「最高幹部」はトランプ大統領の娘婿のクシュナー大統領最高顧問だ、とされている。トランプ政権の中枢をめぐる危機は、ただでさえ外交においても国内政治においても一貫性を欠くトランプ政権のいっそうの混迷と分解の危機を拡大せざるをえない。それは言うまでもなく国際政治におけるアメリカ帝国主義の主導権をさらに瓦解させることになるだろう(すでに北朝鮮への軍事攻撃に慎重とされるティラーソン国務長官の更迭も示唆されている)。
エルサレムをイスラエルの首都と認定した二〇一七年一二月六日の決定は、その表れでもある。こうした措置は、イギリス、フランスなど欧州の保守政権からも危惧と批判の目で迎えられている。

「武器商人」の東
アジア諸国歴訪
目を東アジアに転じれば、日本から始まり韓国、中国、ベトナム、フィリピンをめぐった一一月の東アジア歴訪は、戦争国家の武器セールスマンとしてのトランプの姿と、米国との巨額の契約によって北朝鮮への軍事的・経済的圧力を求めるトランプの要求をかわそうとした中国・習近平指導部のしたたかさが目立っただけだった。
もちろんわれわれはトランプ政権が北朝鮮金正恩政権の核ミサイル開発を口実に核兵器をふくむ軍事的攻撃に踏み出す可能性を否定することはできない。しかしそうした軍事的オプションは、中国・習近平体制の進める「一帯一路」戦略などを通じた政治的・経済的影響力の伸長に対する、押しとどめがたい危機感の表現ではあったとしても、トランプ政権のさらなる分裂と危機に帰結せざるをえないだろう。
トランプ政権の一年間は、「グローバルな地政学的カオス」化をもたらしている最大の要因がアメリカ帝国主義そのものであることをあらためて印象付けた。第二次世界大戦後、長きにわたって「世界の組織者」であったアメリカ帝国主義の政治的・経済的・軍事的イニシアティブの瓦解プロセスは、トランプ政権のわずか一年間によって決定的に加速したのである。トランプの「アメリカ・ファースト」の主張それ自体が、米国内の分裂を拡大し、そのことによって米国自身の国際政治への主導権を衰退させる結果を作り出しているのだ。

欧州各国の選挙年


二〇一七年の欧州も、前年の二〇一六年のイギリスでのEU離脱国民投票という衝撃的結果を受けて、欧州各国で行われた議会総選挙の結果に注目が集まった。
最初に行われたのは三月のオランダ総選挙である。今回の総選挙では「移民排除」を主張するウィルダース率いる極右レイシストの自由党(PVV)が第一党になることも予想されていた。ちなみに自由党の党員は現在に至るまでウィルダースただ一人という文字通りの個人政党。したがって党大会、支部、機関紙など一切存在しないという。自由党の有力議員(彼も自由党会派の幹部ではあるが自由党員ではないという奇妙な位置にある)によれば「インターネットの発達した現代においては、市民と直接コミュニケーションをとり、その意見を吸い上げることが可能であり、党員や党支部といった中間的存在は無用の長物である。党組織を作ることはむしろ、自由党の官僚制化や硬直化を招く危険がある。自由党の提示する政党モデル、すなわち党員不在の『ヴァーチャル政党』こそ、『オランダで最初の近代的政党』であり、今後ほかの政党も見習うべきモデルなのだ」ということだそうだ(水島治郎『ポピュリズムとは何か』中公新書)。
党官僚システムをなくすのは「指導者原理」にもとづく個人支配だという主張だ。この原理は、橋下前大阪府知事の下での「おおさか維新」や、小池百合子東京都知事の「都民ファースト」「希望の党」にも通じるものではないか。
しかし選挙結果は、自由党は伸長したもののこれまでの六議席から二〇議席(議会定数は一五〇)に伸びたにとどまり、従来連立政権を構成していた自由民主国民党(VVD)が議席を減らしたものの三三議席を維持して第一党の座を守った。大敗したのはVVDと連立政権を構成していた中道左派の労働党で三八議席の第一党から、九議席に激減した。他方、左派の側では「緑・左翼」が四議席から一四議席に躍進し、社会民主主義の労働党にとって代わる勢いを示した。
五月のフランス大統領選挙では「リベラル中道」と呼ばれるマクロンと極右「国民戦線」のマリーヌ・ルペンが、決選投票に残り、第五共和制の二大政党だった共和国運動(共和党)と社会党は大きく後退して決選投票に残ることはできなかった。六月の総選挙ではマクロンの「共和国前進!」が三〇八議席を獲得したのに対しドゴール時代の共和国運動の流れをくむ共和党は一一二議席と大きく及ばず、社会党に至っては三〇議席という惨敗だった。他方、左派メランションの「不服従のフランス」が一七議席、共産党が一〇議席だったのに対し、ルペン派の国民戦線は八議席にとどまった。 
六月のイギリス総選挙は、当初、保守党の大勝が予測されていたがメイ首相の保守党は過半数割れの三一八議席にとどまり、左派のジェレミー・コービン率いる労働党が二六二議席を獲得した(この予想に反した結果についてはプレイディみかこ『労働者階級の反乱 地べたから見た英国のEU離脱』光文社新書に詳述されている)。
九月のドイツ総選挙では、メルケル首相率いるCDU/CSU(キリスト教民主同盟/社会同盟)が三三・〇%、最大野党の社会民主党が二〇・五%といずれも得票率を減らしたのに対し、移民排除のレイシストAfD(ドイツのための選択肢)が一二・六%を獲得した。他方、旧東独の政権党を継承する「民主主義的社会党」と旧西独社会民主党最左派のオスカー・ラフォンテーヌなどのWASG(労働と社会的公正のための選択肢)が合同した左翼党も九・二%を獲得し、同盟 /緑の党も八・九%を獲得している。
さらに一〇月一五日に行われたオーストリアの国民議会(下院)選挙では、右派の国民党が三一・五%で第一党、社民党が二八・九%で第二党、そして極右の移民排除勢力である自由党が二六・〇%で第三党となり、国民党・自由党の「右派・極右ブロック」による政権が誕生するという動きになっている。自由党はネオナチによって作られた排外主義政党だということで、この点からも危惧されている。
こうして二〇一七年のヨーロッパでの国政選挙をめぐる動向は、明らかに議会選挙のレベルでは、移民排除を訴える極右排外主義勢力の台頭が顕著なものになっており、それと同時に社会民主主義を超えた左翼の流れが社会的抵抗を土台に政治的レベルでどのように登場しうるかがあらためて問題とされる局面に入っていると考えなければならない。
カタルーニャをめぐるスペインのラホイ政権による、自治権の全面否定と自治政府のプチダモン首相らの逮捕攻撃は、自治・自決権の主張を「内戦」「国家犯罪」とする根本的に反民主主義な言説であり、絶対に許されるべきものではない。
トランプ現象は、決して米国の特殊現象ではなく、新自由主義的グローバル化の危機と表裏一体の関係にある、民主主義的価値・人権の否定、あからさまな「自国ファースト」の主張を共通の基盤とする政治家が台頭している。欧州の労働者階級と左翼勢力は、極右排外主義潮流の議会を通じた伸長と政権獲得まで射程に入れた攻勢に対して反撃の闘いを着実に開始していこうとしているが、同時にそれはEUレベルでの人権・環境・民主主義を掲げた社会運動・労働運動と結びついた新しい政治的展望を獲得するための闘いとなるだろう。
欧州政治をめぐるこうした一連の動きを、日本政治・社会の現在とも関連付けながら追っていく作業も必要である。

安倍首相の改憲宣言


二〇一七年の日本の政治情勢は、安倍政権の進めようとする憲法改悪=九条改憲戦略を軸に目まぐるしい展開を見せた。五月一日には朝鮮半島での軍事緊張の激化に対応して日本海に派遣された米海軍の貨物弾薬補給艦を、空母型護衛艦いずもと護衛艦さざなみが護衛する任務についた。これは二〇一五年に成立した戦争法の下で新設された「米艦防護条項」の初の発動だった。
五月三日の憲法記念日には「日本会議」系の憲法集会で「九条の1項、2項を残しながら、自衛隊の存在を3項で書きこむ」という形式での改憲を二〇二〇年の東京五輪の年までに実現する、という宣言をした。同趣旨のインタビューは同日の読売新聞に掲載された。まさに強引に作られた現実の戦争国家体制の構築とそれに合わせた憲法改悪のプログラムが同時進行で進んでいったのである。
こうして日本の政治情勢は、北朝鮮・金正恩政権の相次ぐミサイル発射、核兵器開発と実験を背景にして、急速に二〇一八―一九年の改憲国民投票へと煮詰まっていった。この間、通常国会では改憲と並行した「戦争国家」体制構築と切り離せない共謀罪法案が「委員会採決」ぬきで強行採決・成立した。
この「共謀罪国会」は、同時に安倍首相夫妻と深い個人的つながりを持った「森友・加計」疑惑が国会審議の中でも浮上した時期に当たる。安倍首相夫人・昭恵と接近した「教育勅語」教育を推し進める籠池夫妻、そして安倍首相本人の長年にわたる「親友」である加計孝太郎が、小学校建設や獣医学部新設問題で格別の優遇を受けていたというこの問題は、安倍政権の土台を揺るがす政治疑獄に発展する可能性をふくんでいた。
実際、「森友・加計」問題の噴出、南スーダンにPKOとして派遣された自衛隊宿営地近辺で起こった「戦闘」についての「公報」隠しで、安倍政権の支持率は三〇%を割るほどの危機的状況にいたっていた。実際、通常国会が閉じられた後、七月二日投票の東京都議選では、小池東京都知事が率いる「都民ファースト」の前に、自民党はかつてない敗北を喫したのである。
「森友・加計」問題は、安倍改憲プログラムを支える政治集団の存在と密接な関係を持っており、たんなるスキャンダルではない。それは安倍政治の本質にかかわる問題であることを、われわれは改めて確認する必要があるだろう。すなわち資本の利害に基づく新自由主義的「規制緩和」と利害関係に基づく「お友達」政治(ネポチズム)、そして極右国家主義の接合である。

「希望の党」は何者か?


安倍・自民党は九月になってから、大きな賭けに出た。惨敗した都議選の轍を踏むことなく、小池東京都知事をトップにした新党結成の動きに機先を制し、民進党の混乱につけこむ形で、九月末開催の臨時国会冒頭に解散を強行したのである。「高齢化」と「北朝鮮核ミサイルの脅威」を「争点」として並立させた「国難突破解散」だった。
安倍・自民党の賭けは的中した。九月の党首選で民主党代表に復帰した前原誠司は、民進党を解党して小池百合子東京都知事が代表を務めることになった「希望の党」に合流する方針を示した。その橋渡し役を演じたうちの一人は連合会長で新日鉄労組出身の神津里季生だった。
九月二八日の臨時国会日の民進党両院議員総会は、総選挙において民進党として闘わず、「希望の党」に公認を申請し、「希望の党」を全力で支援するとの方針をいったんは決定した。しかし「希望の党」の小池代表からの「護憲派」「安保法制反対」の候補は排除する、など「野党共闘否定」の一方的対応が明らかになるに及んで、民進党議員の中に大きな動揺、批判が拡大していった。「希望の党」の小池によるあからさまな「護憲論切り捨て・リベラル派排除」の姿勢は、「小池新党で反自民」という方向になにがしかの期待を抱いていた人びとの熱を冷ます効果をもたらした。
こうして「希望の党」「日本維新の会」という安倍翼賛の改憲派野党結集の動きは、選挙戦の中で急速に力を失った。安保法制や共謀罪に反対した人びとの中では、枝野幸男を中心に一〇月二日に結成された立憲民主党に支持が集まり、同党は共産党、社民党をふくむ「野党共闘」の中心に位置するに至ったのである。
安倍政権にとって、この選挙結果は野党第一党だった民進党の解体をもたらし、二〇一五年の「戦争法案反対運動」の中で作り出された「野党と市民の共闘」の枠組みを分解させ、安倍・自民党とつながった明確な改憲派「野党」である「希望」「維新」ブロックを結晶化させた、という点では思惑通りだった。マスメディアでは@「自民・公明」,A「維新・希望」、B「立憲民主・共産・社民」の「三極構造」という性格付けがなされてきたが、Aの「維新・希望」ブロックが明確に、安倍政権との関係においては改憲・安保政策を中心にあらゆる面で、安倍自民党への「準与党」としての位置を持っていることは明らかである。この点については、いかなるあいまいさも残してはならない。
安倍政権は、Aの「維新・希望」ブロックについては、基本的に改憲戦略の同盟軍として位置付けており、二〇一八年から一九年にかけた改憲プログラムは@Aの連携を通じて展開されることになるだろう。
Bの立憲民主・共産・社民を中心にした「野党共闘」について考えてみよう。二〇一五年の戦争法案反対闘争をベースにした安倍政権に反対する「野党共闘」は、二〇一六年の参院選では、二九の一人区のうち一一の選挙区で自公候補に勝利した。これは前回、二〇一三年の参院選では一人区での野党の勝利がわずか二であったことと比べれば大きな前進だった。とりわけ東北地方六県では秋田県を除く五県で野党共闘の側が勝利した。
今回の総選挙で立憲民主党の比例区での得票率は、前回二〇一四年一二月総選挙で民主党が獲得した一八・三%を上回る一九・九%に達した。二〇一七年総選挙では、民進党の分裂もあって二〇一六年参院選と比べれば「共闘」の範囲は狭まったが、それでも例えば新潟県では六の小選挙区のうち四つで「立憲民主・共産・社民」をベースにした共闘候補が勝利した(本紙二〇一七年一一月一三日号参照)。
このような「野党共闘」の動きについて同時に見ておかなければならないのは、立憲民主党は決して「護憲政党」ではないということであり、そのことは枝野代表もはっきりと述べている。立憲民主党は「安倍改憲」に反対し、「立憲主義」を踏みにじる自民党政治に反対する、と主張しているのであって、その本質を明確にしたうえで共同の原則を作り上げていく必要があるだろう。

反資本主義左翼への挑戦

 労働者・市民にとって安倍政権が全力を上げて二〇一八〜一九年に実現しようとする憲法改悪を阻止するために、まず何よりも求められるのは二〇一八年の改憲発議を阻止する闘いである。すでに自民・公明の与党ブロックは衆院では改憲発議に必要な三分の二の議席を確保しており、参院でも維新などを含めればギリギリ三分の二の確保が可能となる。
いま自民党は、与党である公明党や、明確な「改憲勢力」である維新・希望などとも調整を進めながら二〇一八年中の国会発議に向けて、まずは改憲条項の確定を党内、そして改憲派の他党との間で詰めていくことになると思われる。
こうした緊迫した状況の中で、改憲国会発議阻止の闘いに全力を上げよう。改憲「国会発議」阻止の闘いは、決して国会に向けた「野党応援」の闘いではないが、同時に「左派・リベラル共同戦線」という立場とは別のところから左派としての独自の闘いを構想できるわけではない。その意味で「三〇〇〇万署名活動」を含めて安倍改憲阻止の共同戦線の拡大を主体的に担っていくことは重要な課題である。また今後予想される、さまざまなレベルでの選挙の中で、安倍改憲阻止の共同戦線の一翼を引き受けることが求められているのは、言うまでもない。
同時に、安倍政権がまるで「元寇」でもあるかのように「国難」として強調する朝鮮半島の戦争危機を、沖縄の反米軍基地闘争、韓国民衆、東アジアの民衆とともにストップさせる闘いとして作り上げることが求められている。
われわれは北朝鮮の金正恩政権による核ミサイル開発、実戦化の動きに反対する。またトランプ政権による朝鮮半島での戦争プランと日米共同戦争体制=新防衛計画大綱の下での「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」、陸上からのミサイル迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入に反対する。それが何よりも東アジアの核戦争危機を平和と人権の道に転換させる民衆的プランに敵対するものだからだ。
沖縄での辺野古新基地建設をはじめとする一連の米軍基地再編強化、自衛隊と米軍の共同軍事訓練の拡大は、朝鮮半島の戦争危機、中国の海洋進出と密接に関連している。今こそ東アジアの平和、そして人権とエコロジーという展望をかけてアジアにおける新しい共同の討論と行動を作り出そう。
こうした挑戦は、同時に朝鮮半島における歴史と現実についての率直な討論と相互批判、あるいは共産党支配の下での「資本主義中国」の現実(一帯一路戦略)の検証と批判を進めていくことも課題となるだろう。
ここに挙げた一連の闘いは言うまでもなく、安倍政権と支配階級が進めているさまざまな攻撃への反撃と結びついて展開される。ここでは詳述できないが、六年目に入った「アベノミクス」政策の現実、「働き方改革」という労働者に対する攻撃の強化、七年目を迎える東日本大震災・福島原発事故と切り捨てられる被災者、そして相次ぐ原発再稼働、そしてその中でのさまざまな反撃。
最後に、われわれは安倍政権の改憲プログラムが、二〇一八年一〇月の「明治一五〇年」式典、二〇一九年の「天皇代替わり」の一大イベント、二〇二〇年の「東京五輪」という「近代日本賛美」の国家的プロジェクト、「祝祭」式典と結びついて宣伝されることにあらためて注意を喚起したい。
昨年の天皇「生前退位」発言を契機に、昭和天皇「Xデー」当時とは異なった形でのキャンペーンが展開され、それは二〇一九年五月一日の「改元」「即位」式典で頂点に達しようとしている。天皇制への異論を許さない「空気」を吹き飛ばそう。
こうした一連の国家的イベントは、憲法改悪が、資本主義のグローバルシステムの危機を帝国主義的ナショナリズムのベールで覆い隠す絶望的試みでもあることを浮き彫りにしている。
われわれは、「安倍改憲」を絶対に阻止する共同の闘いを、「左派・リベラル」共同の戦線として作り出す闘いを共に担うに止まらず、同時に「天皇代替わり」祝典や、東京五輪に反対する独自の闘いを作り出していかなければならない。それと共にエコロジカルな反資本主義の闘いを構想し、広げていく行動と論理を多くの労働者、市民、とりわけ若い世代に向けて共に引き受ける必要がある。
二〇一八年の闘いで、安倍政権の改憲の目論見を挫折させよう! 
東アジア、全世界の労働者民衆とともに新しい革命の時代を切り拓こう。
ロシア革命の勝利から一〇一年、改めて社会主義オルタナティブへの挑戦を!
(平井純一)


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