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    かけはし2018.年1月1日号

総選挙後の情勢と展望


12.13

「九条の会・おおさか」講演会

渡辺治さんが明解に語る

 【大阪】「九条の会・おおさか」の講演会が一二月一三日、エルおおさかホールで開かれた。木戸衛一さん(「九条の会・おおさか」呼びかけ人、大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)が開会のあいさつをし、「ニュールンベルク裁判で裁かれたゲーリング元帥に米国の法廷心理学者ギルバーがインタビューしたとき、ゲーリングは『民衆は戦争なんか望んでいないが、民衆を戦争に引き込んでいくのは簡単だ。自分たちは攻められているといい、平和主義者は自分たちの国を守ることの足を引っ張っているのだと言えば、民衆はついて来る』といった」と語り、Jアラートの避難指示を書いたプリントを学校から持ち帰った子供たちが、一二月には京都にもミサイルが飛んでくるらしいとうわさ話をしていることを紹介した。
 講演に先立ち、疋田英司さん(ひらかた九条の会)、「社会教育団体として市の後援を受けていたが、今年からそれが中止になった」、小倉雅昭さん(大阪宗教者九条ネットワーク)、「会からネットワークに変えた。共通のスローガンは、『憲法は仏の心、神の愛』だ。あなたはこどもたちに平和の世をわたすことができますか?と訴えている」。
 渡辺治さん(「九条の会」事務局・一橋大学名誉教授)が「総選挙後の改憲をめぐる情勢とたたかいの展望」と題して講演をした。
 閉会のあいさつを、吉田栄司さん(「九条の会・おおさか」事務局長・関西大学法学部教授)が行った。        (T・T)

渡辺治さんの講演から

今こそ「九条の会」の出番

「改憲」前提した
安倍の衆院解散
安保関連法を成立させたが、憲法九条が依然として障壁になっていることを南スーダンPKOで痛感した安倍首相は、明文改憲の必要性を強く意識した。自公与党は三分の二議席を確保しても、野党第一党を改憲に巻き込まなければ国民投票では勝てない。一方、民進党は戦争法廃止の野党共闘に向かい、市民連合と野党の共闘がつくられた。
この共闘分断をねらったのが、安倍首相の一七年五月三日の九条改憲提言だ。自民党はその提言に基づいて改憲発議案をつくり、解散総選挙の前に改憲をしてしまおうと考えた。二〇二〇年末までに新憲法を施行したいが、一九年には統一地方選・改元・参議院選があるから国民投票は難しい。だから一八年通常国会で改憲発議をし、同年秋に国民投票をする。九条改憲が本命。そのため自民党は、改憲案に九条加憲論(公明党)と、教育無償化(維新の党)を取り込む考えだ。
九条改憲提言とは、憲法九条一項(戦争放棄)・二項(交戦権の否認と戦力不保持)をそのままにして、第三項を追加し自衛隊保持を明記するというもの。法律では後の部分が優越するので二項は死文化する。自衛隊保持の憲法規定により軍法会議も可能、安保関連法による自衛隊の海外武力行使や集団的自衛権行使は合憲化される。
ところが安倍首相の前に予期せぬ事態が発生した。それが、一七年七月二日都議会選挙での自民党大敗だ。さらに、民進党都議の都民ファーストへの離党の動きと都議選敗北、共闘見直しを掲げる前原民進党代表の誕生、小池新党づくりの動きで共闘を分断し、改憲勢力が増加する展望が出てきた。北朝鮮の弾道ミサイルや核実験は、安倍改憲に有利な事態だ。改憲を争点にした総選挙に打って出るチャンスは今だ。これが、一〇月の突然解散総選挙の理由である。

立憲民主党が
躍進した意味
安倍首相のねらいは、半分は成功した。九月二五日希望の党が立ち上がり、翌日民進党の希望の党への合流により、四野党共闘は破壊された。総選挙で改憲が初めて選挙の争点になった。改憲三党が足並みをそろえた。希望の党は重点公約に改憲を入れ、維新の党は九条改憲を容認した。願ってもない好機到来だ。
しかし、安倍首相のねらいの半分は失敗した。立憲民主党の結党と躍進、希望の党の失速、立憲民主党が野党第一党になった。希望の党の排除に直面した時、三年間の市民と野党の共闘の実績が立憲民主党結党をうながした。なぜ立憲民主党は躍進できたのか。それは、市民連合の共闘維持のための奮闘・共産党の妥協と奮闘・市民と野党共闘に共感する市民の立ち上がり、の三つだった。
典型的な選挙区をあげる。東京一区(海江田候補が逆転、自公比例得票率は四三%、立憲三党比例得票率は三四・三%、なんと八・七%の差を無党派層がひっくり返した)。高知二区(朝日の出口調査によると、共産党支持者の一〇〇%、立憲支持者の九四%、希望支持者の八一%、無党派の六九%、自民支持者の二四%、公明支持者の三割が野党統一候補に入れた)。
市民は、安倍政治に反対の旗を立憲民主党に期待したのだ。立憲民主党が小選挙区に一人の候補者も擁立しない地域でも、立憲民主党が比例区で躍進した(京都、六選挙区で候補者ゼロだったが、比例投票では希望・共産を抜いて野党第一党になった)。
希望の党は失速し、立憲民主党に野党第一党を奪われた。その理由には、小池の「排除発言」だけではなく、市民の改憲反対の機運がある。支配層内での取りまとめの難しさ、改憲実現の日程上の困難(一国会での強行の困難、一九年の改憲実行の困難)がうかがえる。決着はこれからに持ち越された。

今こそ市民の
共同で改憲阻止
「安倍九条改憲NO!全国アクション」これは、総がかり行動+九条の会のつくりだ。三〇〇〇万署名の取り組みは、今回の総選挙で投票した有権者五六〇〇万人の半分以上の署名を集め、九条改憲反対を実現する勢力づくりが目的である。総選挙での立憲三党の比例選得票数は一六四三万、戦争法廃止署名数一五六〇万。しかし、声なき声はある。山口県の出口調査では、希望支持者の六五%、公明支持者の三二%、自民支持者の一五%が九条改憲反対だ。地域の共同が三〇〇〇万署名運動の原動力だ。市民に若年層に、九条自衛隊加憲の危険性を届けよう。
京都新聞の出口調査では、自衛隊明記改憲に賛成三五・一%、反対三三・七%、内訳で一〇代賛否同数、二〇〜四〇代賛成多い(最高賛成二〇代四三・三%、三〇代三八・四%)、五〇代以上は反対となっている。安倍九条改憲阻止しても沖縄に憲法がない状態は解決しない。しかし、改憲阻止の共同の力で、今の社会をこれ以上悪くしないようにし、憲法を実現する方向に日本を向かわせることができる。今こそ、九条の会の出番、地域で市民アクションを!       (要旨)



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