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    かけはし2018.年1月1日号

海兵隊は沖縄からただちに撤退せよ!


普天間飛行場を閉鎖し、辺野古埋立ての中止を

沖縄 K・S

はじめに

 ND(新外交イニシアティブ)は一二月一一日名護市で開いたシンポジウムで次のように指摘した。米海兵隊の大半が海外に転出する米軍再編後の沖縄には、米海兵隊の実戦部隊は約二〇〇〇人程度しか残らないという。運用次第で沖縄駐留の海兵隊はすべて県外に転出することができる。安全保障・経済の観点から辺野古新基地は必要ないし、広大な海兵隊基地も必要なくなる。日米両政府は真剣に沖縄駐留海兵隊の県外転出をはかるべきだ。――NDは沖縄、東京、大阪、ワシントンでシンポジウムを開催し、政府関係者や議員に精力的に訴えかけている。詳しくは『辺野古問題をどう解決するか―新基地をつくらせないための提言』(岩波書店、2017年6月)
 ところが他方、キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブをはじめ沖縄各地で、日本版海兵隊の発足をめざす自衛隊と米海兵隊との共同訓練が頻繁に行われている。日本政府の目論見は、米海兵隊の空白を自衛隊で埋め、日米共同基地として運営することだ。天皇制明治政府が沖縄を「帝国の南門」として帝国の破滅まで支配したように、安倍政府は米日の軍事要塞として沖縄を半永久的に縛り付けようとしている。奄美から宮古、石垣、与那国の自衛隊配備と沖縄島の日米共同基地化は一体だ。日米戦争へと突き進んだ東条英機など戦前の戦争指導層たちそっくりに、安倍政権は、北朝鮮や中国の脅威を扇動しながら、米軍の下で戦争する国づくりに邁進し、軍拡・増税・福祉切り捨て政策の下、破滅の道へ国民を引きずり込んでいる。
 悲惨な沖縄戦と戦後七二年にわたる基地の島の歴史に終止符を打ちたいと切実に願う県民は、安倍の基地固定化を断固拒否する。普天間飛行場を閉鎖し、辺野古埋立を中止して、米海兵隊は沖縄からただちに撤退せよ!

1.工事はどこまで進んだか


 この間埋め立て工事の速度は上がっている。月曜から土曜のほぼ毎日、朝、昼、午後の一日三回、二〇〇台前後の工事車両が列をなして砂煙を巻き上げながらキャンプ・シュワブの工事用ゲートを通っていく。一日の最大は二七一台を記録した。大中小の砕石をはじめ、砂利、砂、鉄筋、鉄骨、鉄板、ブロック、コンクリートパイル、ジャバラ、鉄の構造物などのほか、生コン車、クレーン、ユンボなどが入っている。二〇トントレーラーもかなりの数にのぼる。生コンは、キャンプ・シュワブ内の作業ヤードで消波ブロック(テトラポッド)、被覆ブロックを製作するものだ。毎日ゲート前でチェックしているメンバーの集計によると、今年の一月から一一月二四日までに、砕石一一二四八台、生コン車一四一六台、その他八二三四台にのぼるという。
 埋立の総容量は約二一〇〇万立法メートル。一〇トンダンプに換算して約三四〇万台分だという。すでに相当な量の砕石が搬入され海に投入されたが、全体の埋め立て計画から見るとまだほんの一部だ。埋め立ての完成のためにはこれまでの搬入量の一〇〇倍以上の砕石、砂利が投入されることになる。辺野古・大浦湾が無残なコンクリートの固まりと化す。
 ゲート前の資材搬入の激増に伴って、埋め立て現場での工事の速度が上がっている。松田ぬ浜からもよく見える辺野古崎の南側、赤いドクロの絵の前のK1護岸づくりは、ダンプからものすごい音と砂煙と共に投下した捨石を四五度に固めた上に被覆ブロックを設置した護岸の長さが一〇〇mほどになっている。二重三重に汚濁防止膜とフロートで囲ったN5の中仕切り護岸も数十メートル延び、中間の工事用仮設道路の工事もかなり進行した。
 他方、大浦湾の方は、K9護岸工事が一〇〇mの所で止まったままだ。被覆ブロックを置かないで消波ブロックを置く仮設護岸で、先端は石材運搬の台船が停泊可能なターミナルとなっている。現在防衛局は来年三月までの予定で、大浦湾で三度目のボーリング調査に入っている。三年前の夏に始まったボーリング調査をまだ続けているのだ。一体どういうことなのか。長島から陸にかけて走る二本の活断層と石灰岩地層の存在は基地建設の致命的ネックだ。海底探査船「ポセイドン」による調査のデータは全く伏せられたままだ。何度調べても事態は変わらない。隠蔽して基地建設を強行すれば、未来に大きな災害のタネを残すことになる。
 これまでの護岸工事のための石材投入によって辺野古・大浦湾の海は海岸の方から段々と汚され壊されてきた。海に伸びた護岸や汚濁防止膜・フロートによる海流の変化や工事による影響で、三頭のジュゴンは姿を消した。生物多様性の海、辺野古・大浦湾は傷つきつつある。しかし、まだ始まりに過ぎない。工事の進行によって、これからもっと恐ろしい事態が待ち受けている。
 辺野古新基地建設はできないし、造るべきではない。翁長知事は三年前、知事就任にあたって次のように述べた(『戦う民意』一〇〇頁)
「おそらく工事はどこかで中断するでしょう。結局、一六一ヘクタールすべてを埋め立てることができず、たとえば三〇ヘクタール埋め立てたところで中断すれば、工事の残骸が残ることになります。日米政府にとって、最後まで基地建設の工事が続けられなかったという意味からすれば、そうした事態は完全な『敗北』でしょう。ではそのとき、私たちは『勝った』のでしょうか。私たちが守ろうとした大浦湾の美しい海は汚れて、ジュゴンがいなくなれば、それを『勝利』とは決して言えないと思います。むしろ『敗北』なのではないでしょうか。この工事は誰にとっても『勝ち』はないのです」
 この言葉をよく噛みしめるべきだ。辺野古・大浦湾の海は県民の財産だ。日米両政府が勝手に処分する権利はない。安倍の手下となって工事を急ぐ防衛省の幹部たちや政府の政策決定にたずさわる政治家・官僚だけでなく、日本の国民が自国政府の行っていることに責任を持って向き合い、辺野古新基地NO!の声をあげ、埋め立てを止めるために全力で行動して欲しい。一日も早く埋め立てを中止し新基地建設計画を白紙撤回しなければならない。

2.翁長県政の3年間を振りかえる

 二〇一四年一二月に翁長県政がスタートして三年が経過した。仲井真前知事の辺野古・大浦湾の埋め立て承認という公約違反に対する県民の憤激を背景に、辺野古新基地建設の阻止、オスプレイ配備の撤回、普天間飛行場の閉鎖・県外国外への移転を公約とした翁長知事は二〇一四年一一月の知事選挙で県民の圧倒的支持を得て当選した。これまでの三年間は、米軍の忠実な代弁者として辺野古新基地建設を強行しようとする日本政府と海を守りこれ以上の基地負担に反対する民意を背景とした沖縄県との熾烈な攻防の三年間だった。
日本政府は当初翁長知事を、たかが沖縄県知事、どうにでも懐柔ないし恫喝して屈服させることができると軽く考えていた。ところが違った。二〇年間に渡るあきらめない現地の反対運動と広範な県民の平和への熱意に支えられた翁長知事は懐柔にも恫喝にも屈しなかった。そして、沖縄県が地方自治体として有する行政権限を行使し始めた。
翁長知事は就任後まず、埋め立て承認を検証する専門家による第三者委員会を設置した。そして仲井真前知事が与えた岩礁破砕許可により進行中であった防衛局のボーリング調査にたいし、破壊の恐れのあるサンゴ等を潜水調査するために、沖縄防衛局に対し一週間ボーリング調査を中止するよう指示した。言うまでもなく、辺野古新基地建設は国策である。日本政府中枢で国家権力を操る安倍・菅たちは、地方行政権力を行使し国に逆らう沖縄県に対し、怒り恐れおののいた。沖縄県と日本政府との全面対決が始まった。
数度にわたる翁長知事と菅官房長官、安倍首相との会談は完全に翁長知事の主張の政治的正当性と道義的優位性を明らかにした。日本が沖縄を植民地として支配しおびただしい被害を与えてきた歴史に対する無知・無関心、全国の米軍専用施設の七〇%以上が沖縄に集中することにより生じる事件事故、犯罪、環境汚染の深刻な現状を放置する無責任、新しい基地の建設は絶対に嫌だという県民の切実な願望に対する政治家としての感性の欠如、新たな基地建設を「負担軽減」と言いくるめ言葉だけ「県民に寄り添う」と言ってはばからない鉄面皮――県・政府会談を通じて、このような日本政府の実態があぶりだされた。安倍・菅が勝っていたのは国家権力を握り金と暴力を行使することができるというただ一点であった。
県民の声、知事の訴えに全く耳を傾けようとせず、ボーリング調査を強行する日本政府に対し、二〇一五年一〇月一三日、翁長知事は前知事仲井真の埋め立て承認を取り消した。日本政府の国家権力の行使に対し、沖縄県の地方行政権力がSTOP!をかけて立ちはだかった。国交省を利用した承認取り消しの執行停止、政府による代執行裁判、県による国地方係争処理委員会への訴えと裁判への提訴など、沖縄県対日本政府の全面対決の局面が進行し、三・四和解に示された一時的な力の均衡に至ったのである。しかしその後、国による県の提訴、「違法確認」の高裁判決を経て、二〇一六年一二月二〇日の最高裁の「埋立承認取り消しは違法と確認する」との判決で、県は敗訴した。
高裁も最高裁も埋め立てについてまともに審理しなかった。仲井真前知事の埋め立て承認が、退任直前の公約破りであったという民主主義の点、公有水面埋立法の内容に照らして不合理であるという法律解釈の点、取り消しが知事の当然の行政権限であるという地方自治の点などすべてを無視し棚上げしたまま、「違法でない埋め立て承認を取り消したから埋め立て承認取り消しは違法」という机上の形式論理に終始した。現在の日本の司法の堕落のひとつの典型だ。行政に従属した司法が「三権分立」の衣装をまとって独立しているかのような幻想を与えながら、行政の違法行為に免罪符を与えるのだ。ここでは法律の知識は悪用するために使われ、国家権力の違法行為は裁判所によって合法化される。そしてマスコミが追随する。こうして社会全体が歪んでいくのだ。
最高裁の一二・二〇違法確認判決は執行力を持たないと言われる。沖縄県は判決に従わないこともできた。もし沖縄県があくまで判決に従わず違法とされた埋め立て承認取り消しをしなかったならば、日本政府は裁判所とグルになって、代執行裁判のような強制力のある新たな裁判や政府諸官庁の行政措置を通じて、強制的に埋立承認取り消しを取り消す法的手段を講じたに違いない。さらに、沖縄県が有する地方自治体としての行政権限を剥奪・無効化する悪だくみをしたかもしれない。安倍・菅の日本政府にとって、法律とは守るべきものではなくて都合のいいように解釈して利用するものにすぎないからだ。
最高裁判決の後、日本政府は埋め立て工事の強行推進に乗り出した。和解によって撤去していたフロート・汚濁防止膜を再び張り出し、中断していたボーリング調査を再開し、二〇一七年三月三一日の岩礁破砕許可の期限切れに対しても「漁協が漁業権を放棄したから、岩礁破砕許可は不必要」と居直って許可申請をせず工事を継続した。政府防衛局は水産庁の見解をひっくり返し、詭弁とこじつけで、本当は違法な埋立て工事を合法であるかのような体裁を取り繕い、工事を強行してきた。安倍政権を支える官僚たちが最も得意とする方法だ。
国家権力を掌握する力の強い政府が不法を働く。そして言い訳の屁理屈を並べる。集団的自衛権、安保法制、森友、加計、詩織さん準強姦事件における加害者の安倍の御用ジャーナリストの逮捕状をもみ消した警察庁幹部の件など、違法行為を働いて恥じない権力者たちの国家権力の私物化。これでもかこれでもか、と呆れるぐらいに次から次へと明らかにされる権力犯罪に、国民はマヒしてしまっていないか。
翁長知事は日米両政府との全面的な対決の中で、辺野古阻止のために、県ワシントン事務所の設置、アメリカ政府・議会への要請、国連人権理事会での訴え、全国知事会での問題提起・基地問題研究会の設立、辺野古新基地に関する詳細なパンフレットの作成と全国の自治体への送付、数度にわたる県民大会への参加などに取り組んできた。二〇一七年七月には県議会での議決のうえ工事差し止め訴訟と仮処分申請を行った。さらに日米地位協定の改定のため、ドイツ、イタリアに調査チームを送ったのに続き、韓国、フィリピンへも派遣しようとしている。翁長県政は辺野古新基地NO!の旗を掲げて日米両政府に対する抵抗を粘り強く続けている。翁長知事に対する県民の支持率が就任後三年を経てなお約三分の二を維持しているのはそのためだ。
しかし、埋め立て承認取り消し裁判の敗訴以降、県は行政権限の行使に及び腰になっているように見える。埋立承認撤回を表明してはいるが、なかなか踏み切れない。その先の結果がどうなるか、目に見えるからだ。岩礁破砕許可の切れた以降の防衛局の工事強行に対しても、県の調査船を現場に投入し違法工事の中止を命じるような実効性のある行動はとれなかった。政府防衛局はそのような沖縄県を見透かしたように、がむしゃらに埋立工事を進めている。とくに一一月から陸上の資材搬入の規模を拡大したのに加え、海上輸送に乗り出し奥港、本部港の使用を始めた。一二月一六日の本部港からの一回目の海上輸送はダンプ一五〇台分だった。
辺野古新基地反対を県政の柱としている県が辺野古埋立のための港湾の使用を何故許可するのか。工事業者による奥港の使用申請に対し、沖縄県は長い間保留にし、県民に知らせず、地元住民にはかることもせず、弁護士に相談したものの「不許可にするのは無理」「訴えられたら不利」と、県庁幹部だけで使用許可を決めたという。三年前翁長知事を生み出したエネルギーは新基地NO!の民意と現場の大衆運動だった。民意と大衆運動と結びついてこそ翁長知事の支持基盤は強固だった。逆に、行政が民意と大衆運動から離れれば必然的に形骸化・空洞化する。今回の奥港をはじめ港湾使用問題はこの兆候を示した。沖縄県は民意と大衆運動に結びつくために、オール沖縄会議、県議会与党会派とのしっかりしたパイプを確立し、熾烈を極める日本政府の攻撃に対処しなければならない。

3.沖縄基地の問題が噴出した1年間


この一年間、沖縄に集中する基地の諸問題が噴出し、米軍事故が相次いだ。二〇一六年一二月一三日の名護市安部沖でのオスプレイ墜落で、五人の乗員のうち三人はパラシュートで脱出したが、二人は機内にいて海岸のサンゴ礁の岩に激突した。墜落の衝撃で機体はバラバラに砕け散り、パイロットのヘルメットや操作マニュアルが数日後宜野座村の海岸に流れ着いた。負傷と発表された二人のその後の容態は不明だ。衝撃の大きさを物語るように、機体の残骸は回収しても回収してもなくならない。防衛局は二〇一七年一二月になっても海底から八〇キロの残骸を回収したと発表した。
二〇一七年八月にはオスプレイがオーストラリアで墜落、乗員三人が死亡した。一年に二回、普天間所属の二四機のオスプレイ飛行隊の二機が墜落するという事態に、オスプレイのクラスA事故率は三・二七に跳ね上がった。重大事故の背後には無数の様々な事故が存在しているはずだ。嘉手納基地と普天間基地の数百機にのぼる軍用機が沖縄の空を支配して勝手気ままに飛び回り、住民の生活と命を脅かしている。
二〇一七年一〇月には、二〇〇四年沖縄国際大学に墜落したのと同型、CH53ヘリコプターが飛行中エンジンから出火し、東村高江の住民・西銘さん所有の牧草地に不時着炎上大破した。米軍は、かつての沖国大事故時と同様、県警、報道陣をシャットアウトし、数日後に機体と機体周辺の土を掘り起こし持ち去った。防衛局はそのあと、米軍の許可を得て中に入り「調査」した。小野寺の言い訳がむなしい。米軍関係の事件が起きるたびに、米軍の治外法権がまかり通るまやかしの主権国家・日本の現実が赤裸々に明らかになるのだ。日本国民はこの現実に納得しているのか。
二〇一六年四月に起こった二〇歳の女性暴行殺人事件で、元米海兵隊員で嘉手納基地勤務の軍属の被告に対し、二〇一七年一二月一日、那覇地裁で無期懲役の判決が下りた。黙秘し殺意を否認していた被告は控訴した。遺族は有罪判決を受けて直ちに損害賠償命令を申し立てたが、相手は被告個人。賠償能力がなく時間がかかる上、「公務外」の事件とあって、米軍は賠償に応ぜず、防衛局が間に立って少額の「見舞金」という形で終わることが普通だという。飲酒運転・信号無視のキャンプ・キンザーの米兵による那覇市の会社員・平良さんの死亡事故も同様だ。海兵隊員が基地内で飲酒して公用車を持ち出したにもかかわらず、米軍当局は「個人の問題」と言い組織の責任を否定する。米軍が駐留しているからこそ起こる犯罪被害に誠実に対応しない日米両政府。ここにも米軍の治外法権を日本政府が保護する「日米同盟」の現実の姿が現れている。これこそ米日権力者の共謀罪だ。
キャンプ・シュワブに隣接する辺野古弾薬庫の建て替え工事が年明け早々始まる。一一月九日の日米合同委員会は辺野古弾薬庫の一部、約二一〇〇平方メートルを解体し再開発することに合意したという。米海兵隊は三年前作成した統合管理計画で、「普天間の辺野古移設計画」に伴い「キャンプ・シュワブおよび辺野古弾薬庫を再設計・拡張する」と明記していた。具体的には、一三の古い弾薬庫を解体し一二の新たな弾薬庫と武器組み立て区画をつくり、「大規模な土木工事と未開発の土地の造成を伴なう」としている。費用二二億円は日本が負担する。こうした米軍駐留費用の日本の全面負担が米軍駐留の決定的理由のひとつだ。NHKテレビの『沖縄と核』で報道されたように、辺野古弾薬庫を含め、米軍政下の沖縄には一三〇〇発の核兵器があった。今どうなっているのか。すべては日米合同委員会の闇の中。国民は何も知らない。
返還された嘉手納基地の一部が沖縄市サッカー場となっていたところから一〇〇本をこえる枯葉剤を含むドラム缶が発掘されたのに続き、今度は、嘉手納基地に隣接する屋良小学校のグラウンドから、一二月九日、US ARMYと刻印されたボンベ一五本が見つかった。ボンベは長さ約一四〇cmの円筒形、酸素ボンベらしいという。外国軍は決して占領地における環境汚染に気を配ることはない。何故なら自国でなく責任を問われないからだ。分別されないで排出される米軍基地からの大量の一般ごみも同様だ。環境汚染の元凶・米軍を政府と地方自治体が立ち入り取り締まる日米地位協定を制定しなければならない。
宜野座村城原区でのオスプレイによる低空飛行の吊り下げ訓練やうるま市の海上、嘉手納基地、伊江島でのパラシュート降下訓練で事故の危険が憂慮されていたが、一二月、普天間飛行場周辺で海兵隊CH53ヘリから立て続けに部品が落下する事故が起こった。一件目は一二月七日、飛行中の回転翼検査システム(IBIS)の保護カバー。滑走路北端近くの緑ヶ丘保育園の屋根に「ドーン」という音と共に落下した。かねてから園児が「飛行機のおなかが見えるよ」と言っていたように、米軍機は園上空の飛行を繰り返していた。当時園内には園児六〇人がいた。米軍は「飛行機から落ちたものではない」と白々しくも居直り、日本政府は「事実関係は分からない」と不誠実な対応をしている。二件目は一二月一三日、くしくも一年前のオスプレイ墜落の日の午前、普天間第二小学校の校庭に重さ七・七キロの非常脱出用の窓枠が落下した。落下した窓枠は校庭で体操の授業中だった二つのクラスの間に落ち、一人の生徒が跳びはねた石にあたって打撲を負った。地元の父母をはじめ、普天間爆音、県民会議は直ちに緊急抗議集会を開き、学校の上空を飛ぶな!普天間を閉鎖せよ!と訴えた。
沖縄防衛局が作成した「普天間飛行場周辺の米軍機の飛行経路」を見れば、米軍機が約束を破って市街地上空を飛び回っている実態が一目瞭然だ。米国本土では絶対にありえない住民無視の飛行が繰り返されるのは、日本政府が容認しているからである。「世界一危険」な普天間飛行場は直ちに閉鎖・撤去する以外ない。日本の政治家・官僚そして日本国民は、他人ごとだと思わず、児童・生徒の母親が述べるように「あなたの子どもだったらどうしますか」という訴えを受け止め、住民の人権が全く顧みられない沖縄の実態に関心を持ってほしい。沖縄は日本の縮図。最もハッキリ現れるだけで、実は日本そのものの姿なのだ。(戦後日本の歴史と現実については、創元社の「戦後再発見」双書を活用してほしい。これまで、孫崎享『戦後史の正体』、前泊博盛『日米地位協定入門』、新原昭治他『検証・法治国家崩壊』、木村朗他『核の戦後史』、吉田敏浩『日米合同委員会の研究』、末浪靖司『日米指揮権密約の研究』の六冊が刊行されている)
一二月一五日、名護市の二一世紀の森屋内運動場で開かれた「欠陥機オスプレイ墜落から一年!抗議集会」には、右翼の街宣車が妨害する中、三〇〇〇人の県民の怒りが結集し、普天間閉鎖、辺野古阻止、オスプレイ撤去、海兵隊撤退を訴えた。

4.2018年どのように闘っていくか

@現場の闘いと弾圧裁判に対する反撃
政府の埋め立て工事の強行に伴い、ゲート前での警察機動隊と海上での海保の暴力が激しさを増している。彼らは公務員として上官の命令には嫌でも従わざるをえない立場にあるが、安倍官邸からの締め付けが厳しくなっていることが現場の様子からよく分かる。伊江島土地闘争の阿波根昌鴻さんが実践した、非暴力でとことん抵抗し抜く闘いに結集しよう。現場の力関係の転換をめざし、島ぐるみの活動を草の根から掘り起こして現地大結集の再組織化をすすめて行こう。
検察は、一二月四日の裁判で、山城さん、稲葉さん、添田さんにそれぞれ二年六カ月、一年、二年の求刑をした。一二月二〇日の最終弁論を経て、二〇一八年三月一四日に判決公判が開かれる。三人は無罪だ。でっち上げの論告に真実はない。民主主義と自治を無視して辺野古と高江に新基地建設を強行することこそが犯罪だ。長期にわたる勾留と家族にも会わせない面会禁止を強要した安倍のちょうちん持ちの裁判官は歴史に恥ずべき悪名を記した自覚がないのか。安倍とその手下の裁判官は、森友学園の籠池前理事長夫妻に対しても同じように、長期勾留と接見禁止、さらに窓のない独房に閉じ込めるという悪質で不法な権力犯罪をあえて行っている。権力に逆らうものに対する見せしめのつもりなのだろう。姑息な人たちだ。国家権力を私物化する安倍・菅は、韓国朴政権と同じように、必ず権力の座から引きずり降ろされ、正義の断罪が下されるだろう。
三人の無罪判決を勝ち取ろう!

A名護市長選と県知事選の勝利へ
稲嶺名護市長は過去二期八年間、新基地建設が前提の再編交付金を政府から停止された中でも、「海にも陸にも新基地は造らせない」と市が有する行政権限を行使することを公言するとともに、自立した地域行政を確立し、予算規模の増額や経済の活性化、中学生までの医療費助成、保育園の拡大や保育料の援助など福祉の充実に大きな成果を上げてきた。
沖縄県と名護市の行政権限が全面的に発動されれば埋立はできない。すでに工事は大幅に遅れている。防衛局が埋立工事を続けるためには、どうしても名護市と沖縄県の権限を無力化したい。二〇一八年二月四日投開票の名護市長選挙は目前に迫った。前回二〇一四年は、稲嶺進一九八三九票、自民党の相手候補一五六八四票、四〇〇〇票以上の大差で勝利した。政府防衛局は、どんどん石を海に放り込む既成事実づくり、「後戻り不能」との印象操作に懸命だ。前回自主投票だった公明党沖縄県本は辺野古容認の自民党候補を推薦するという。公明党は沖縄でも「平和の党」から「戦争に協力する党」になり果てた。油断することなく新基地NO!の県民の力を総結集し、名護市長選挙に三たび勝ち抜こう。
そして県知事選にも必ず勝利し、辺野古新基地建設を白紙撤回に追い込もう。

B沖縄の自己決定権確立への団結
辺野古新基地建設をめぐって、沖縄県と日本政府との対決が先鋭化すればおのずと自治政府の問題が提起される。自治政府は広い意味では独立を含むが独立とイコールではない。二〇一六・一二・二〇の最高裁判決に対しもし翁長知事が埋め立て承認取り消しの取り消しをせず、予想された日本政府の代執行裁判に対しても自治を掲げてあくまで拒否の姿勢を最後まで貫き通していたら、日本政府は法的手段に訴え県の行政権限を奪うだけでなく、「違法行為を働いた」として翁長知事を解任し出直し選挙を強行するような政治局面まで進展したかもしれない。丁度、スペインのカタルーニャの自治政府首相たちが反動的な中央政府によって追放され逮捕されたようなことが沖縄と日本政府との間で起きていたかもしれないのだ。今世界で、中央政府から抑圧された民族・地域の人々が自己決定権の行使を求めて立ち上がっている。被抑圧民族・地域の解放は歴史の必然だ。
オール沖縄会議共同代表を務める玉城愛さんが琉球新報の『論壇』で述べたように、「植民地構造に浸った政治家」たちが中央政府の太鼓持ちになって県民をほんろうすることを許してはならない。沖縄の自己決定権を実践するためには、行使する主体である県民の団結をもっと強めなければならない。国家権力の圧力を背景としたギリギリとした政治分化の中で、辺野古新基地反対と翁長知事支持をさらに固め、日米両政府の付け入るスキのない県民の結束を確立してこそ、「沖縄の将来は沖縄が決める」ということが可能となる。

C朝鮮戦争の終結とアジアの平和共存
先日の名護島ぐるみによる高校生意識調査に表れたように、ネット情報に多く接する若者の最大の関心事は原発でもモリカケでもなく北朝鮮問題だった。そして、基地が必要かどうかの質問には、「分からない」が最多、次に「基地が必要」と答えたという。若い世代に対し、何よりも、朝鮮半島の戦争危機の解決の展望を明確に示し、アジアの平和と未来を語らなければならない。
朝鮮半島の戦争危機の解決のためには、一九五三年、実に六五年前の休戦協定のまま時間が停止している朝鮮戦争の正式な終結に手を付けることだ。当事者である南北朝鮮、参戦国の米国、中国の四国が中心となり、世界の主要国が保証する形の講和条約の締結がカギを握っている。講和で戦争を終結させないから、北による核とミサイル実験、米国による韓国、日本との大規模軍事訓練のエスカレートと朝鮮半島の戦争危機がいつまでも続く。戦後アジアの三つの火薬庫と呼ばれた朝鮮半島、ベトナム、台湾海峡のうち、冷戦時代の緊張がそのまま残っているのが朝鮮半島だ。今こそ朝鮮戦争を終結させ南北朝鮮の軍事的対峙を解消し朝鮮半島に平和をもたらす時だ。
米国はなぜ講和を受け入れないのか。VFP(ベテランズ・フォー・ピース)メンバーの県系二世、ピート・ドクトルさんは一二・一五集会で「米国は軍事依存症で、彼らにとって最大の脅威は平和だ」と述べた。事実、米国は第二次大戦後、地球の各地で戦争をくりかえしてきた戦争中毒だ。そして、戦争危機をあおって覇権を固めるとともに、兵器を売りつける死の商人だ。朝鮮半島の危機が深まり続く方がアメリカの軍産共同体にとって都合がいい。
米軍の僕(しもべ)となって海外で戦争しようとする安倍はせっせと米国製兵器を買う。二〇一五年契約したオスプレイ一七機は三六〇〇億円、おなじくF35ステルス戦闘機は六機一二五〇億円、これから導入するイージス・アショアは二基二〇〇〇億円という具合だ。これらの金はどこから調達されるか。増税と福祉切り捨てによってだ。軍拡と増税・福祉切り捨てを合理化するのがまさに、北朝鮮・中国が攻めてくるというデマゴギー、戦争危機をあおって国民を操る権力の常套手段なのである。拉致問題をきっかけに「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)」と言っていたのを単に「北朝鮮」と呼び始めたマスコミも政府の広報機関と化している。
安倍のトランプ追随は破滅への道だ。日本こそ、アジア太平洋戦争を起こしアジア諸国に膨大な被害を与えた国として、また広島・長崎の被爆国、福島の原発事故の被災国として、米朝の核ミサイル軍拡競争に反対し、朝鮮戦争の終結とアジアの平和共存を率先する役割を担うべきだ。
朝鮮戦争の講和と軍縮、アジア諸国の平和共存を実現しよう!
平和と人権を共通の価値観としてアジアの人々と交流と連帯を進めよう!




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