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    かけはし2018.年1月22日号

被害者の心に届く誠実な謝罪を


2015年日韓「慰安婦合意」見直しへ

安倍政権は強圧的居直りをやめろ

核心は名誉と
尊厳の回復だ


 韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は、一月九日にソウルで行った記者会見で二〇一五年末の「慰安婦」問題に関する日韓両政府の「合意」に関する文在寅(ムン・ジェイン)政権としての新方針を発表した。
 その骨子は@「韓国政府は『慰安婦』被害者の名誉と尊厳を回復し、心の傷を癒すために努力し、そのための措置を模索する」A「二〇一五年合意では解決にならないが、両国間の公式合意という事実を否定できず、再交渉を求めない」B「日本政府が『慰安婦』支援財団に支出した一〇億円については使用せず、韓国政府が同額を支出する」C「日本側が自発的に真実を求め、被害者の名誉と尊厳の回復に向けた努力を続けることを期待する」というものだ。
 この方針は、明らかに昨年大統領選挙での文在寅陣営の公約である「慰安婦」合意再交渉の約束に反している。文政権のこの新方針に関して、「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」は「日本政府の自発的措置に期待するのは言語道断」と批判した。
 一方、日本政府の側は、河野外相が「日韓合意は国と国との約束であり、政権が変わっても責任を持って実施されなければならない」と語り、菅義偉官房長官が「韓国側がさらなる措置を求めることは全く受け入れられない」と語るなど、居丈高に文政権の新方針を罵倒している。この日本政府の批判は、加害者の居直りとしか言いようがない。

日本政府の
脅迫許すな

 われわれは二〇一五年一二月の韓国の朴前政権と安倍政権との間で交わされた「慰安婦」問題の「最終的かつ不可逆的解決」について、被害当事者に向き合った『謝罪と補償』ではないことを批判した。そして在韓日本大使館前の「少女像」の撤去という圧力を韓国政府に行使したことも批判した(本紙二〇一六年一月一八日号「慰安婦」問題――これは「おわび」なのか)
今回の安倍政権の対応、そしてマスメディアによる韓国政府への「約束違反」という批判は、安倍政権の「おわびと反省」なるものが、完全にインチキだったことをあらためて立証している。
われわれはあらためて安倍政権による「慰安婦問題の最終的・不可逆的解決」などという「加害者の居直り」を厳しく糾弾する。安倍政権は、改めて被害者に向き合い、真摯な謝罪と補償を行え!     (K)

声明

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動

韓国「日韓合意」検証結果に
日本政府は真摯に応えよ

〜日本軍性奴隷被害者の尊厳と人権の回復を


 韓国外相直属の日韓合意検証チームが一二月二七日、その検証結果を発表した。

1.被害者中心アプローチの欠如

検証チームは結論の第一項目で次のように述べている。

 戦時の女性の人権に関して国際社会の規範となっている被害者中心アプローチが慰安婦交渉の過程で十分に反映されず、一般的な外交懸案のようなやりとりに終始する交渉で合意がなされた。韓国政府は(中略)交渉過程で被害者の意見を充分に聴き取ることなく、政府の立場中心に合意を結んだ。今回のケースのように、被害者が受け入れない限り、政府間で慰安婦問題の「最終的・不可逆的解決」を宣言しても、問題は再燃せざるをえない。慰安婦問題のような歴史問題を、短期的な外交交渉や政治的妥協で解決することは難しい。長期的に価値と認識を広め、未来世代への歴史教育を並行して推進しなければならない。

 妥当な結論が導かれている。ところが、これに対する日本のメディアの論調は、「問題の蒸し返し」「前政権の失政を強調したい現政権の思惑」といったもので、「問題が再燃せざるをえない」原因を的確に分析した検証結果を真摯に受け止めようとしていない。

2.非公開部分で「性奴隷」を封印

 私たちは、二〇一四年六月、八ヵ国の被害者と支援者の総意をまとめて「日本政府への提言」を発表し、あるべき解決の姿を示した。それは、何よりも事実を正しく認めることが重要で、その事実に基づく謝罪と、謝罪を担保する賠償をしなければならないという内容だった。しかし日韓合意で示された事実認定とお詫びは、河野談話以来、日本政府が何度か言及した用語を繰り返しただけのもので、被害者たちにとって真の謝罪として受け止められるものではなかった。
この度の検証を通して、日本政府が韓国政府に対し「今後『性奴隷』という単語を使用しないよう希望」し、「性奴隷が国際的に通用する用語である」として一旦は異を唱えた韓国政府が結局、これを受け入れていた事実が、非公開部分で明らかになった。
日本軍「慰安婦」の実態は性奴隷に他ならない。にもかかわらず、ことさらにこれを否定し、交渉の条件に掲げる姿勢は、まさに「正しい事実認定」をする気が全くないことを如実に示している。
事実を認めず、既存の表現以外は決して口にせず、お金を出すことで安倍首相が得ようとしたものは何か。「次の世代を謝罪の宿命から解放する」ということだろう。
そういうものを反省とは言わない。そういうものを謝罪と受け止めることはできない。
だから韓国の被害者と市民は怒ったのだ。さらに、その埒外に置かれたアジアの被害者たちが嘆き憤ったのである。このような「合意」を守ることで日本軍「慰安婦」問題に終止符を打つことは所詮無理だということが、検証の結論でも述べられているのである。

3.「不可逆的な謝罪」が「不可逆的な解決」に

 検証結果は、「韓国側が第六回局長級協議で謝罪の不可逆性が必要と言及した直後に開かれた第一回高位級協議から、日本側が『最終的』の他に『不可逆的』解決を合わせて要求するようになった」と明かした。謝罪の後退を懸念した韓国側の申し出が、「問題を蒸し返さない」ことを担保するための用語にすり替えられていく過程は、つまびらかでない。
しかし問題は、ここにも「二度と謝罪はしない」という、安倍政権の強い意志が読み取れることだ。謝罪する理由も明示せず、これが最後、二度としないという固い意志をもってなされる「お詫び」が、果たして被害者に届くのだろうか。
「日本政府への提言」は、「『解決』とは、被害当事者が受け入れられる解決策が示された時にはじめて、その第一歩を踏み出すことができる」と述べている。
つまり、被害者の心を癒す事実認定、公式謝罪、賠償がおこなわれた上で、真相究明と再発防止のための教育活動等をおこなっていくことが誓われて初めて、解決のための第一歩を踏み出し、たゆまない努力を積み重ねて行くことこそが解決の道のりなのだと説いている。
「終わらせるため」の要求を被害国政府に突きつける日本政府の態度は、これに逆行するもので、そのような姿勢を当事者たちに見抜かれた結果が現在の状況を生んでいるということを、政府は肝に銘じるべきだ。

4.なすべきことは何か

 検証結果が発表された翌日、韓国の文在寅大統領は「合意が両国首脳の追認を経た政府間の公式の約束だという負担にもかかわらず、私は大統領として、国民と共に、この合意で慰安婦問題は解決されえないことを、今一度、明確に述べます」と語った。そして、「被害者中心の解決と、国民と共にある外交という原則の下、早急に後続措置を取るよう」政府に指示した。
「合意」後、韓国では日本軍「慰安婦」問題解決のための運動が、より広範な若者層、市民層に広がっている。このような状態で「慰安婦」問題は「最終的・不可逆的に解決した」と言うことはできない。前政権の誤りを正そうとする韓国政府の働きかけに、日本政府が真摯に応えるよう望む。その際、そもそも被害当事者が受け入れられる解決策を提示する義務と責任は,加害国である日本政府にあるという原点に立ち返ることを強く求める。
日本軍「慰安婦」問題の解決は、「終わらせるための」お詫びやお金で実現できるものでないことを今一度訴えたい。日本軍「慰安婦」サバイバーたちが命がけで訴えた平和をめざして、人類の教訓として記憶・継承し、たゆまぬ真相究明を続けて行くことが、解決への道のりなのである。
2017年12月30日

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動

 



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