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    かけはし2018年2月19日号

街頭・居住区での抵抗再び


年金改悪契機に

ガブリエラ・ミティディエリ

新自由主義攻撃
に向けアクセル

 この何週間か、アルゼンチンの政治的空気は、以前には決してないような激動を経験しているように見えた。マウリシオ・マクリの新自由主義政権が提案した年金改革計画は、困難を抱えたまま議会により承認された。この方策は、カムビエモス(マクリの右翼政治連合)政権が権力を得て以後実行された一連の構造調整政策の一部だ。そこには、諸々の税の大幅引き上げ、インフレの悪化、労働者の歴史的権利を直接攻撃する改悪諸提案が含まれている。この計画は徐々に導入されると想定されていたが、諸方策は、新年を有利な予算バランスをもって開始するために、二〇一七年末に向けて加速した。
 問題の年金改革法は基本的に、年金額が計算される方法の変更であり、それは非拠出年金、そして全員への子ども手当のような社会給付にも影響を与える。解説によれば「この計画は、年金額が調整される方法を変更することを提案している。それらは、先立つ二つの四半期のインフレ率に対し七〇%、登録された賃金引き上げ率に応じた三〇%、で確定される」「年金計算におけるこの変更は、定年退職者の所得損失になるだろう。彼らの購買力が停滞し、彼らにはその条件を改善する可能性がもはやないからだ。購買力の純喪失は二一%になるだろう」。これが意味するものについて知るための参考だが、一ユーロは二一アルゼンチンドルに匹敵する。

女性に加わる
特に重い負担


 フェミニストの観点から言えば、いくつかの要素に光を当てることが重要であり、その要素とは、南米大陸で右翼がどのように変じ、諸個人の社会的権利に対する攻撃が特に女性にどのように影響し、貧困のフェミニズム化をどのように悪化させるかの評価を可能にする要素のことだ。先頃公表された記録中で示されているように、二〇一四年までに、定年退職者の六二%が女性であると評価された。次いで、最終の年金支給繰り延べ期限に達した者の八六%は女性だった。
 現実に、女性労働力市場の構造化された不安定な性格のゆえに、多くの女性は彼女たちの年金に向け十分な拠出ができない。彼女たちが公式の職に雇用されていないか、賃金のない家内労働者であるかのどちらかの理由からだ。定年退職者は最大限一〇年の拠出により平均月額で五七〇〇アルゼンチンドル(二七一ユーロ)を受け取る。他方で、基本的商品とサービスの利用に必要な額は、インフレを考慮した場合、一万六〇〇〇アルゼンチンドル(七六一ユーロ)を超える。
 アルゼンチンフェミニストのエコノミスト、たとえばパトロシア・ラテッラやコリア・ロドリゲス・エンリケスは正しくも、社会学者のフローラ・パルテニオと共に、暮らしの不安定さは女性による不払いのケア労働の増大によって支え続けられている、と指摘した。全員対象の子ども手当の受給者はその九九%が女性であり、彼らはまた、非拠出退職年金(たとえば障がいに対して)の六四%も受け取っている。そしてそれはあらためて、ケアの任務が家庭内の空間にどれほどフェミニズム化されているかを明らかにしている。

攻撃強める政権
静まらない抵抗


 これらが「生のデータ」だ。しかしカムビエモスの政権は勇気を得た。明白なように見えるが、一〇月の中間議会選以後、前職のキルチネル派(二〇〇七年から二〇一五年までこの国の大統領だったクリスティナ・キルチネルにちなんで)のリストが自身の地位を十分に固めることができなかったことにしたがって、政権の正統性が打ち固められたのだ。ただこの選挙では、伝統的な左翼が少々だが議会に二人の議員を選出することに成功した。しかし同時に、抑圧の空気と社会的抗議への犯罪視が高まった。
 この状況は、マピュチェ民衆の運動における活動家のサンチャゴ・マルドナドの、警察の作戦後に起きた行方不明(彼は後に死体で発見された)により、極度の暴力という一点に達した。一一月には、パタゴニアの先祖伝来の共同体領域の私有化に抵抗したマピュチェの少年、ラファエル・ナフエルも殺害された。諸々の社会運動はこの二年、週に一回、二回、また時には三回街頭に繰り出すことがいわば習慣になっていた。
 ブエノスアイレスでは昨年三月八日以後、各々のデモの後の襲撃が警察の作戦方式となった。これがわれわれを、三つの警察部隊の一つが容認の下に実行した暴力的で恣意的な拘留に対し釈放を要求しつつ、反弾圧諸方策を再学習するように導いた。しかしながら、カムビエモスが築き上げ続けていた明らかな社会的ヘゲモニーはこの勢力に、一二月が来る度に新たな砲撃の洗礼となるのを経験しないことを可能にした。
 再浮上したように見える要素はまさに数多く、そこには、年末の接近、最低限の実質的水準に達する困難さ、民衆的決起が正常な新自由主義の機能に何とか裂け目を開けることができた年である、二〇〇一年のまだ新鮮な記憶がある。年金に対する攻撃は、社会の大きな部分の感情にしたがえば、あまりに行きすぎた一歩と見られた。

二〇〇一年の
記憶を取り戻す

 こうして、労働者総連合の受動性に反対の立場を取った専門職労組の諸部分、左翼とキルチネル派の諸組織、女性と若者の諸運動が、問題の法案の議論が計画されていた日、国会前の広場に集結した。この改革の退行的性格に異議を突き付けた民衆の決起が鋭さを帯び続けていた中で、一週間前の政府は、審議するための定足数をまだ確保していなかった。
一二月一八日、与党連合にとって法を通過させる上ですべてが適切になったように見えた。与党連合は定足数達成に失敗してから、この方策を通過させるために彼らの議員に圧力をかけようと、州知事と交渉した。
今回、治安相お好みの機関である警察による抑圧の暴力が犯した違反の後、何らかの騒乱の際には市警察のみが行動する、と決定された。朝、諸労組、諸社会組織、そして左翼諸政党が議会前に結集した。われわれはすぐにマクリ派のどう猛さから学び取り、防護の諸方策、われわれの組織のフェミニスト同志に特有な工夫で協調した。彼女たちは、全国女性集会を締めくくる行進の中で近年さらされてきた攻撃のために、警察にどう対応するかを学んできたのだ。
われわれの多くは、二〇〇一年一二月の日々、中でもブルクマンやザノンの労働者による自主管理生産といった企業占拠という抵抗の中に、新自由主義に対決する組織化の記憶を再発見した。その朝われわれは、企業家と市場主義者と銀行家の政府の傲慢さを打ち破ることができなかった。法は承認され、アルゼンチン人の年金に対するこの残酷な切り下げのおかげで、マクリが今や五〇〇億ペソ以上を確保しているというのが事実となっている。
しかし何ごとかは起こった。つまり、警察との公然たる衝突の午後、公共の場と抵抗するわれわれの権利を明け渡すことに対する抵抗、たまたま居合わせた人びとの間での階級的連帯のふるまいだ。これらの人びとは、催涙ガスとゴム弾の新たな攻撃を前にする度に、「労働者と搾り取られるのを好まないすべての者の団結を!」あるいは「奪われる者が民衆でないとすれば、それはどこにいるのか?」の歌声を高めたのだ。そして、ブエノス・アイレス市のすべての住宅地区における、国中の町々における、自然発生的な決起の一晩があった。この国は、民衆の不満を聞き届けさせるために街頭で鍋を叩くという、昔ながらの国民的習慣を取り戻すことになった。われわれは今もなおこのすべてを取り戻す過程にある。
しかしわれわれは、この事態が続くことを望んでいない者たちの組織化と闘いの継続をわれわれに可能にする、そのための暫定的な分析を素描する中で、ものごとの熱を確実に冷まさないように務めるだろう。われわれは、われわれすべてに影響を及ぼす新自由主義の前進を前に、抵抗のこの始まりをもっとよく知らせるために、連帯と国際主義的な友愛を必要としている。

▼筆者はアルゼンチンのデモクラシア・ソシアリスタのメンバー。(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年一月号)

米国

1・21女性行進

決起する先住民「女性」

ヨハンナ・ブレンナー

 一月二一日、ポートランドの街頭は、「先住民『女性』勇士」を讃え、行方不明になっているか殺害された先住民女性、少女、トランスジェンダーの人びとを思い起こし彼らに対する正義を求め、地球と水の防衛運動を讃え、世界中の先住民女性に対する抑圧に抗議し、彼らの連携者たちと共に行進する先住民女性の女と男、そして二つの心を持つ人びとで埋められた。ここで問題にされた抑圧の犠牲者には、投獄された石油パイプライン反対活動家のレッド・フォーン・ファリス、およびホンジュラス政権によって殺害された環境に正義を求める運動の指導者、ベルタ・カセレスが含まれた。
 一年前、「ポートランド女性行進」は数千人を組織した(トランプ大統領就任式に合わせて全国で女性行進が行われ、巨大な女性のデモとなったがその一環。今年も同日各地で女性行進が行われた:訳者)。今年「ポートランド女性行進」は行われなかった。「先住民『女性』行進」の組織者たちは、彼らのフェイスブックページ上で次のように説明した。
 「『ポートランド女性行進』は取り消されたわけではなく、『先住民女性=xを連帯の中で支援し、それが見えるものとなり、声が届くようになる場を生み出すために、身を引いたのだ。われわれ以前に前進に向けわれわれの道を開き、今なおそれを続けている『女性@E士たち』に連帯してわれわれと共に行進に参加を!! 女性族長は、わが先住民の土地にある街頭に赤い衣装をまとって繰り出すだろう」と。
 この呼びかけに応えて、多くが赤を身にまとった七〇〇人以上は、式典、祈り、踊り、そして発言がつまった午後に参加するために、雨をもものとはしなかった(このできごとが始まった時晴れに変わった)。
 二つの心を持つポートランド住民であり、オグララ・ラコタであるカンディ・ブリングス・プレンティーが、この行進呼びかけのイニシアチブをとり、それを実現するために先住民女性の小さな委員会と共に奮闘した。彼女は、今回のイベントの目的は、人生の日々の歩みにおいて導いているがゆえに勇士である女性すべての力を高めること、と語った。
 行進参加者たちはコロンビア川まで歩き、そこでの式典は、地球への攻撃と水を守るために立ち上がっている女性に対する攻撃とのつながりに光を当てた。後者の女性たちは、自分たちの肉体をかけてきたのだ。
 ネイティブアメリカンのジャーナリストであり作家でもあるジャクリン・ケーラーは、米国内で先住民女性に加えられている攻撃について発言し、その件数は白人女性が犠牲者である場合よりもおそらく二・五倍以上になる、と指摘した。他の非白人女性と比較した場合、その攻撃者はほとんど同じ人種/民族であるように見えるのだが、ネイティブアメリカン女性に対する攻撃をしでかした者の七五%は白人だ。
 カンディ・ブリングス・プレンティーはさらに、米国のホンジュラス軍部に対する資金供与すべての停止を支持することを要求してオレゴン州上院議員に手紙を書くよう、集まった人びとに求めた。
 何人かの発言者は、彼らの部族コミュニティ内部における、二つの心を持つ人びとに対する抑圧と周辺化を取り上げ、変革を求める彼らの闘いの支援を連携者に求めた。
 先住民女性はこの日全国で行われた行進や集会のいくつかでは、指導的役割を果たした。シアトルでは「先住民女性」が行進を先導した。カリフォルニア州のチコ、アリゾナ州のフェニックスでは、「先住民『女性』勇者」との連帯を示すために、行進参加者も赤を身につけた。(「ソリダリティ」より)

▼筆者は、オレゴン州ポートランドのコミュニティ活動家であると共に、『アゲンスト・ザ・カレント』の編集顧問。『ニューレフト・レビュー』と『マンスリー・レビュー』にも寄稿している。彼女はポートランド州立大学名誉教授であり、「大学女性研究プログラム」の指揮者の仕事も務めている。(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年一月号)
(訳者注)文中で「女性」と表記したものの原語はWomxnとなっている。適切な日本語が思い浮かばず、とりあえず今回の表記とした。読者の方で知っている方がいれば教えて下さい。


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