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    かけはし2018年6月18日号

「働き方改革」法案を通すな


6.5 雇用アクション国会前行動

長時間労働の拡大は明らかだ


命にかかわる問題だ

 六月五日、参院厚生労働委員会で「働き方改革」一括法案の実質審議が始まった。雇用共同アクションは、この参院審議に労働者民衆の法案阻止の引き下がらない決意を示そうと、午後一二時一五分から参院議員会館前の国会前行動を呼びかけ、労組ナショナルセンターを横断して結集した労組、団体が徹底審議と廃案を求めた。
 主催者からは全労連の岩橋祐治副委員長と全労協の中岡基明事務局長が発言。岩橋さんは、すべての労働者の命に関わる問題、引き下がるわけにはいかない、与党はまともに応えることができないほど圧倒されている、力を尽くして追い込み廃案に繋げようと訴えた。中岡さんは、労働基準法破壊の法案であり、長時間労働の蔓延になることは火を見るより明らか、まして竹中は小さく産んで大きく育てるなどと言い放っている、絶対に許してはならない、と力説した。
 参加した労組からは国公労連、東水労、JMITUの各代表が決意を表明。労働時間管理を杜撰にしようとする動きがすでに出ている、など各々現場の実態を報告しつつ、それらに対抗する職場の闘いと繋げてこの法案の問題点をもっと広め、共に闘いを大きくしようと呼びかけた。
 日本共産党の田村智子、吉良よし子両参院議員も発言した。田村さんは、問題が出てくれば立ち止まると自民党に言わせた、問題がどんどん出てくるのは確実、反安倍の広がりの中で自民党を追い込みたい、と決意を述べた。吉良さんは、使用者側から過労死の責任は第一義的には自己責任などという発言がまだ出ている、この法案をゆるすわけにはいかない、ブラックな経営者を規制する法律こそ必要、と訴えた。
 そして参加した労働者は、法案通すなのシュプレヒコールを全体で唱和、併せて、運動の拡大と提起された今後の行動への結集を確認した。

廃案以外にない!


 この法案が、長時間労働の是正どころか、むしろ過労死を増やすような内容であることをはじめ、問題だらけであることはかなりの程度知られるようになっている。まして法案は八本の法律を束ねた一括法案、検討が必要な問題は多岐にわたり、簡単な審査で済むようなものではない。当然のことだが、世論調査でも今国会での成立は不要、が経営者も含め圧倒的多数だ。
 しかし衆院では、まさに安倍政権の勝手な都合だけでまともな審議が封じられ採決が強行され、この日からの参院審議となった。とはいえ会期末までは二週間しかない。法案の問題点と向き合いまともな審議を行おうとする限り、この窮屈な日程で審議が尽くされるはずはない。まして審議をすればするほど次々に問題が持ち上がることも確実であり、それは杜撰な審議だった衆院ですら実証済みだ。早くも新たなデータ偽装なども明らかになっている。
 法案は誰が考えてもまともであれば廃案になるしかない代物だ。しかしそれでも与党はあくまで成立に持ち込む構えだと報じられている。それは、問題に真摯に向き合う気はない、と言っているに等しい。
 このような暴挙をこのまままかり通らせてはならない。この法案はいったん廃案にし、真に人間らしい働き方の実現をめざす法案につくり変え出し直せ、との要求こそ今や正統なものになっている。引き下がることなく徹底審議を求め、この法案の非道な内容をさらに暴き出し突きつけ、何としても成立を阻止しよう。まさにそこに向け、雇用共同アクションは、参院厚労委審議日である火曜日と木曜日すべてで、委員会傍聴と午後一二時一五分からの国会前行動を呼びかけている。広範な人々の安倍政治ノーの声と結びつつ、この共同を共に押し上げ、「働き方改革」法案を葬ろう。         (神谷)

アジア連帯講座:公開講座

乗っ取られた革命プロセス

湯川順夫さんの講演から C

アメリカにと
っての教訓

 アメリカのオバマ政権の対応ついてのアシュカルの評価は次のようなものだ。
 イラク、リビアへのアメリカの政策の破綻から直接的な反政府派への軍事的支援が困難になる。
 直接的軍事的支援は、クルドだけに限定した。反政府派全体への直接的な支援
は行わない。「アサド政権」との和平という枠組みが基本政策だ。イラク、リビアへの介入の失敗からアメリカが引き出した教訓。既存の国家体制の完全な解体は、新たな支配秩序の再建を著しく困難にする。だから、既存の国家体制を残すべきとなる。
 窮地に立つアサド政権に対しては、二〇一三年以降、イラン、ロシアが直接的な軍事的支援を行った。
 イランはレバノンのシーア派民兵のヒズボラの部隊を投入した。二〇一三年以降、アサド政権側の反転攻勢によって内戦の形勢逆転が起こる。イランは、当初は「アラブの春」を支持するが、それがシリアにまで波及すると、一転して「アラブの春」に敵対する陣営に移った。 
 トルコのエルドアン政権は、アサド政権やイスラム国との戦いではなくて、クルド攻撃が主要動機だった。
 サウジアラビアなどの湾岸諸国は、イランとの対抗もあり、スンナ派原理主義「戦士」を軍事的、経済的に支援した。反政府派の中で原理主義派兵士が主流に
なるが、その一部は、「イスラム」国に流れた。
 こうしてサウジを中心とする湾岸諸国からの大量の軍事的、経済的支援を得たスンナ派原理主義戦士たちが反政府派の中で次第に優位になっていく。大衆的基盤を持たないこれらの戦士たちは、アサド政権から民衆を防衛しているというよりも、産油国の豊富な資金に寄生し、民衆から遊離した「傭兵部隊」としての性格を強めていった。
 クルド人は、トルコ、シリア、イラク、イランにまたがって存在している。現時点では、唯一、大衆的基盤を持った反政府派だ。「イスラム国」と本当に戦ったのは、クルド派民兵だ。アメリカの支援を受けるが、トルコ対アメリカ関係の亀裂、トルコの「ロシア」への接近によって困難な局面に入る。
 こうして三つ巴の対立の中で、シリアでは、革命派の運動は後景に追いやられ、二つの反動的陣営の対立が前面に出る「野蛮の衝突」の局面が始まる。

第3の選択を
貫徹できず


 アシュカルは、「春」の後のエジプトについての情勢について、「ムスリム同胞団」支配の破綻からシシのクーデターへのプロセスを分析している。以下、要約して報告する。
 「二〇一一年一月五日に開始された革命の波には、その後まもなく、既成体制に対する反対派の中で主要な反動的構成要素であるムスリム同胞団が参加してきた。進歩的構成要素である左翼とリベラル派は、ムスリム同胞団とはそれまで不安定な協力関係を維持していた。同胞団は革命プロセスの拡大を食い止めようとして、潜在的反革命の選択肢として闘争に加わった」。
 この革命の第一波は、軍による二月一一日のクーデターで乗っ取られた。これは、ムスリム同胞団の支持を得て、旧体制を保護しようとする保守的クーデターだった。反革命両派はどちらも一月二五日革命の目標に敵対していたが、イスラム原理主義派=ムスリム同胞団の影響力が大きくなり、それが国家支配を求めて最後の一線を越えようとするまでは協力していた。
 一方、革命プロセスは発展を継続させ第二波へと突入していた。その第二波は、
とりわけ労働者の闘争が頂点を迎える中で出現し、二〇一三年六月三〇日に運動がクライマックスに到達する前には現実のものとなっていた。この第二波は、モルシが二〇一三年六月三〇日に大統領となった瞬間から、革命派は反革命的イスラム原理主義を第一の攻撃対象としたので、革命勢力の中に再び[腐敗した]反対派の主要な反動的構成要素、すなわち反革命の別の翼、今回は旧体制派が加わってきた。
 革命の第二波は、次の七月三日、反動的クーデターで乗っ取られた。軍が本格的に旧体制を復活し始めるまでにそんなに長くはかからなかった。エジプト革命の絡み合った道筋は完全に一回りした。要するに、それは長期的な革命プロセスにおける最初のサイクルであった。
 この過程でモルシ(ムスリム同胞団)の政権と軍事クーデターによってそれを倒したシシ政権に共通することは、@IMFの構造調整策への無条件の屈伏とその履行(緊縮と赤字財政の解消)A公共労働者への締め付け、物価高騰B労働運動に対する弾圧の強化などだ。
 以上の過程におけるアラブ民族主義派と左翼の連合の戦略の問題点は、二つの反革命陣営に対して第三の戦線を構築しようとする首尾一貫した戦略を追求しようとしなかったことである。
 二〇一一年一一月〜一二月、同胞団主導の「民主連合」の一員として選挙に(六議席、同胞団一二五議席)出る。
 その後、モルシ政権と対立すると、二〇一二年の大統領選挙に第三の陣営として立候補する。
 「フルル(ムバラク残党)でもなく、同胞団でもなく、革命はまだ広場にある」
のスローガンが象徴的だ。第一回投票で二〇・七%を獲得したが、その後、ムバラク派の残党や軍との連合を選択する。だが、第三の戦線の路線を貫徹できずの状態が続いている。(了)

6.30集会へ

「明治150年」批判

日本の「領土主張」の嘘

排外主義との闘いを

 「明治一五〇年」に合わせて、安倍政権は、ロシア、韓国、中国との関係で抱えている「領土」問題について、それぞれが「日本固有の領土」であることを改めて強調するためのキャンペーンを強化している。すでに小学校の社会科・中学校の地理・公民・歴史のすべての教科書で、「北方領土」、「竹島」、「尖閣諸島」に関し、歴史的・国際法的に「日本固有の領土」であると説明しているが、そこでは歴史的経過・論争を無視した主張が繰り返されているだけだ。
 今年から日比谷の市政会館内に「領土・主権展示館」が開設されたが、そこでの展示内容は、とにかく一方的に「日本固有の領土」であると言い張るだけの、きわめて無内容なものに過ぎない。そこでは「領土紛争」の相手となっている韓国や、中国の主張を説明し、それを「論破」し「否定」するという最低限の手続きすら欠けている。つまり、それが出来ないのだ。
 しかしこの「領土」問題について、「固有の領土」論に基づく、歴史的経過のイロハも無視した日本政府の主張に対して、正面からその「領土ナショナリズム」を批判する声はほとんど発せられていない。自民党から共産党にいたるまで、議会政党はこと「領土」問題については「挙国一致」といってよい状況が続いている。これは、どう考えても異常なことではないのか。

 この間、「竹島」=「独島」問題に関して、大阪を中心に「竹島の日」を考え直す会が結成され、韓国の人びとと連携しながら日本の「領土排外主義」を批判する集会を作り出してきた。
私たちは東京でも一昨年、昨年と、「竹島の日」を考え直す会と連携した集会を開催した。とりわけ江戸時代の長久保赤水、林子平などの先駆的識者の主張を掘り起こし、「領土」問題が明治国家の対外侵略戦争と不可分の関係をもって作り出されたものであることを確認していったことは大きな収穫だった。
六月三〇日に、東京では三度目となる「領土問題」批判の集会、「明治一五〇年と領土問題〜真実の歴史を見つめなおす〜」が行われる(午後一時半 東京・御茶ノ水・連合会館二〇一号室、主催:明治一五〇年と竹島・独島を考える集会実行委)。講演は黒田伊彦さんの「明治一五〇年の侵略思想と竹島・独島問題」、久保井規夫さんの「領土問題は明治に生じる〜『固有の領土』論の破綻 長久保赤水、林子平、松浦武四郎たちと領土問題」など。
侵略戦争と結びついた「領土ナショナリズム」=排外主義と真に対決することは、「明治一五〇年」キャンペーンを批判する上で不可欠のテーマである。ぜひ参加を。      (K)



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