かけはし重要記事

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イラン人同性愛者シェイダさんに難民認定を     かけはし2000.8.14号より

シェイダさんを強制送還するな

差別を許さない社会のために

 七月三十日、高円寺社会教育会館において、「シェイダさんを救えっ!大作戦」集会が開催され、三十人が参加した。

なぜ難民認定を申請したのか

 はじめにシェイダさんの難民認定申請に至る経過説明が行われた。シェイダさんは昨年来よりゲイコミュニティの人間と積極的に関わるようになり交流を深めていった。そして、同性愛者であることを理由としたイランでの社会的迫害を恐れ、以前にも難民認定申請を行おうとしていたのだが、オーバーステイという自分の立場もあり、そのことを断念していた。そして、四月二十二日に仕事が終わって帰宅しようとする途中、警察官に職務質問され逮捕されてしまった(これは石原都知事による外国人排除発言のあとであった)。
 国家権力機構は、五月八日になると彼のオーバーステイ容疑を不起訴のまま入国管理局に移送し、退去強制のための手続きを開始したのである。しかし、彼は入国管理局に収容された直後に、自らが同性愛者であることを明らかにし、難民認定申請を申し出たのである。
 また、ヨーロッパに亡命しているイラン人が殺害されているケースや、同性愛者として難民申請を行っていたイラン人が退去強制処分となり、イラン本国に着くなり逮捕されるということもある。また、イランでは超越的暴力機構である私兵グループや、秘密スパイ機構などによる殺害が存在している。

イランでは同性愛者四千人が死刑に

 つづいてイランにおける同性愛者への迫害状況が報告された。支援グループは、この間、証拠資料などを外国から取り寄せ、翻訳などにあたってきた。その資料の作成の際に、イランでの同性間性行為を禁じている刑法、「ソドミー法」の存在をはじめ、イランで同性愛者が政府により処刑されているという事実や、その他の迫害の事実、イラン人同性愛者が他国で難民として受け入れられている実績と判断理由などに沿って情報を収集してきた。その中からわかってきたことを紹介した。
 イランにおける八〇年代の同性愛者に対する迫害事情は、イラン・イスラム革命以降の超法規的国家暴力機構である革命防衛隊や革命裁判所の創設によって加速されることになる。その数およそ四千人の同性愛者が処刑されたといわれている。
 そのため、大量の同性愛者や左翼グループが迫害から逃れ、ヨーロッパなどに亡命するようになる。九〇年代になるとホメイニの死去に続くイラン・イラク戦争の敗北に伴い、宗教的強権政治の退潮や国際的孤立から立ち直るための政策がとられることになる。しかし、ハタミ政権の成立以降でもそうであるように宗教的な強権主義勢力が革命防衛隊や司法などを握っている。
 そして、同性愛者の迫害に対しても欧米などの批判をかわすために、同性愛者に対する処刑を情報統制でもみ消し、処刑理由も「同性愛」だけでは処刑せず「かん通」、「麻薬使用」などを加えるという手の混んだ対応を行うようになっている。しかし、それにも関わらず、九〇年には男性三人、女性二人の斬首による公開処刑が行われ、イランの街々で放映されたという。また、宗教的強権主義勢力と結託した同性愛者に対する民間暴力が横行し、見せしめ的に行われているのも現状である。
 国連でも「同性愛者が特定の社会的集団である」ことを認めており、シェイダさんが社会的集団の一員であり、「迫害の恐れが明白に存在するために、祖国に帰ることが出来ず、もしくは帰国することを望まない個人」という難民規定に対して法務省は対応すべきである。しかし、日本では難民認定を厳しく限定している。しかし、諸外国ではイラン人同性愛者が難民として受け入れられているのだ。

何としても送還させてはならない

 続いて難民認定と在留特別許可についてシェイダさん担当の大橋弁護士が報告した。まず、難民認定法がきっかけとなってインドシナ難民を受け入れるようになって以降、難民認定法が変化したことを紹介。そして、難民認定制度や入管法などについて説明し、シェイダさんのケースがどのような位置にあるのかを説明していった。しかし、日本政府による難民を受け入れる門戸はあまりにも狭く、「六十日条項(日本に入国して六十日以内に難民として申請しなければならない)」を理由とし、具体的な棄却理由が公開されないと言う状況が続いている。
 既に彼は七月四日に、難民認定申請が棄却され、それに対して異議申し立てをしているが、同時に退去強制手続き令書が発付されている。既にアムネスティは、法務省のこのような対応に即時抗議し、退去強制をやめるよう訴えている。このような状況の中で、彼を何としても本国に帰してはならない。
 集会では、友人によって語られるシェイダさんの生き方や同性愛者の人権をめぐって討論が行われ、集会アピールも採択され今後の闘いの方向性や支援の輪を広げる上で有意義な交流となった。    (S)


シェイダさんを救え大作戦集会アピール

 本日、私たちは、イラン人同性愛者であるシェイダさんの難民認定を求めて集まりました。私たちは、シェイダさんとの出会いの中で、はからずも日本でのイラン国籍・その他の外国籍の同性愛者の権利が法的に脅かされていることを知ることとなりました。折しも、二月には東京・江東区の夢の島公園で同性愛者をターゲットにした襲撃・殺人事件が起こったこの日本で、イラン国籍の同性愛者であるシェイダさんがカミングアウト(同性愛者であることを公言すること)し、日本の同性愛者・性的少数者のコミュニティと豊かな関係を築くことができたことに、私たちは一筋の希望を見いだすことが出来ます。
 「同性愛者は黙っていれば周りからはわからない」と言う人がいます。しかし、同性愛者であることについて沈黙を強いられ、自らのアイデンティティを否定せざるを得ない状況に置かれることによって、全世界で幾万もの同性愛者が「死」を強いられてきました。改革が伝えられるハタミ政権以降のイランでも、同性間性行為を禁じた「反ソドミー条項」は今なお機能しており、処刑や謀殺、社会的な迫害はなお続いています。シェイダさんはこのような状況を変える一つの希望なのです。
 日本政府・法務省は、シェイダさんに対して国家的・社会的に迫害が加えられる恐れが明白にあるその土地、イラン・イスラム共和国に、彼を強制的に送還しようとしています。私たちはそのことに、強い怒りを憶えます。同性愛者を死刑に処する刑法があり、今でも処刑が行われているイラン。それでも、法務省・入管当局はそれらの点を不問に付し、「60日条項」をたてにシェイダさんを本国に退去させるつもりなのでしょうか。
 その思いと共に、本日集った私たちは法務省に対し、次の要請を行うことを確認する。
一 法務大臣は、イラン本国での同性愛者への迫害状況を調査し、シェイダさんの難民認定申請を認めよ。
一 法務大臣は、ただちにシェイダさんの仮放免申請を認めよ。
一 難民として考えられる社会的迫害とは何なのか。法務省は、具体的にその根拠を明らかにせよ。
一 入国管理局は、シェイダさんの医療ケアを行え。
7.30〈 シェイダを救えっ!〉集会参加者一同

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