かけはし重要記事

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                           かけはし2001.8.6より

韓国の徴兵拒否運動に連帯を

徴兵拒否青年ブンブン君と運動の現状を知る集い

 七月二十九日、早稲田奉仕園で、韓国青年ブンブン君の徴兵拒否に連帯し「徴兵制」について考える集会が来日した二人の韓国の活動家を招いて行われた。
 主催したのは特定の団体ではなく、個人的に徴兵問題について考えるアナーキストや、フェミニズム運動を行っている個人など。多くはブンブン君が来日した際に交流している人たち。まず、数人の主催者それぞれが集会についての自分の想いを表明したあと、ブンブン君が来日した時のビデオを上映した。
 ビデオの中でブンブン君はヨーロッパのように大規模な反徴兵運動が韓国にも必要であることや、そのためのインターネット上の交流とともに直接の交流も必要であること、兵士たちの性的欲求への軍の対応の実態などを語っている。これは現在も韓国の矛盾に満ちた「性」問題の温床となっている。
 次にエコロジー・フェミニズムグループ「夢見るミミズの会」で活動しているイ・ユンスクさんと、アナルカ・フェミニズムの観点から仲間と勉強を続けているマ・ニックさんから、韓国徴兵制をめぐる歴史的経緯の説明と、現在の運動の実状、ブンブン君の近況などが語られた。
 また、徴兵制の問題や男女差別の実態など韓国社会の問題が明らかにされた。報告のあとの質疑応答では、会場に結集したおよそ四十人の参加者からはさまざまな質問や問題提起がなされ、最後にマ・ニックさんからブンブン君のアピールが読み上げられた。会場の時間を大幅に超えたため付近の戸山公園に場所を移し、交流がつづけられた。
 この日の集会には遠く石川から駆けつけた参加者もあり、この集会が持つ課題の重要さを思わせるものであった。    (景清)


イ・ユンスクさんの報告から

女性差別を増長させる兵役と徴兵拒否運動の現状

 韓国徴兵制は一九四九年に開始され五十年以上続いている。そのあいだ「徴兵制」どころか「民主主義」と発言することさえ「アカ」呼ばわりされ、生命の危険を意味した。この徴兵制および軍制はパクチョンヒによって日本軍を模倣して建設されたものであった。満州で日本軍にいたパク・チョンヒは日本から多くを学び、「国家保安法」は日本の治安維持法に学んだものである。
 一九九七年の金大中勝利の原因のひとつは当時の与党党首の息子がワイロによって兵役義務を逃れていたことが暴露されたからであった。兵役義務は平等ではない。
 七〇〜八〇年代に学生運動が高揚した時、活動家たちは多く捕らえられ、強制的に徴兵された。新兵となった活動家たちの中には「疑問死」をとげた者が多くいた。これは軍隊内部で拷問を受けた結果であろうと推測されている。徴兵されると何をされるかわからず、命の保証もないので、徴兵を拒否して逃亡する「トバリ」現象が多く見られた。
 また、この軍隊の存在に疑問を抱き、抗議のために自殺する者が出た。八六年、二人の青年が「兵役は韓国のためではなく米国の利益のためである」と抗議して焼身自殺した。これは大きな反響を呼んだ。
 韓国の兵役制度は女性差別にも重大な影響を及ぼしていることが近年指摘され、フェミニズム団体や人権団体が活動をはじめている。韓国では高校から週に三回くらい軍事教練があり、これを受けたものは兵役義務が軽減されるようになっている。また、軍隊内の教育は「人殺しのための訓練」であり、男尊女卑意識を増大させるものとしても機能している。
 そのため、兵役を終えて帰ってきた青年はほとんどが女性に対して差別的で暴力的な意識に変わっている。この問題は軍隊と慰安婦の関係(性拷問)としてもとりあげられ、コン・ニンスクによって「軍事ファシズム」として出版された。また、この傾向は「ペニスファシズム」とも呼ばれており、ソウル大学発行の学園誌に「軍隊が男をマッチョにする」という主張が掲載された時、社会的に大きな話題となった。軍隊ではこれから男だけの世界で生活する新兵を「一人前の男にするセレモニー」として五八八(これは「オーパイパイ」と読み、公娼館の所在番地)に連れて行く。
 兵役終了者は公務員試験などで優遇されることになっている。一九九九年、三人の梨花女子大生が優遇措置は男女平等に反すると表明し、大学やフェミニストのインターネット掲示板において大論争が巻き起こった。そして論争は徴兵制そのものの問題や在韓米軍の問題へと発展している。
 こうした問題が続いていながら、日本での反軍運動や戦争犯罪に対する運動の実状は韓国ではあまり知られていない。韓国では植民地時代への反発はいまだに強いが、日韓の連帯に向けた正しい歴史教育が行われていないという問題もある。


マ・ニックさんの報告から

ブンブン君の闘いは韓国社会に衝撃を与える爆弾

 軍はあらゆる種類の暴力を学ぶための「暴力の学校」である。軍は富者にも貧者にも平等なものと考えられているが実際はそうではない。働いて家族を養わなければならない青年も、働く必要のない裕福な家庭の息子も、ともに軍隊に入って無給で兵役義務に服することに決められている。しかも、ワイロでその兵役さえ逃れる者が与党や政府にいる。
 一九八〇年代の学生運動で活躍した学生たちが政府に捕らえられて軍隊に入れられた。そして「疑問死」を遂げるものが続出した。また、「戦闘警察」=警察機動隊は軍隊の一部門であり、これも兵役義務として、特に元活動家たちを見せしめのために配属している。そうするとさまざまな闘争現場で元活動家たちと現活動家とが闘うことになる。政府は意図的に、このような行為を行っているのである。
 現在、「民家協」=民主化実践家族協議会など、徴兵制への抗議や人権擁護などのための十九の団体がお互いに連絡をとりながら「疑問死」の問題について調査している。また、十九団体はブンブン君にも注目しはじめている。
 反徴兵運動はこれまでにもいくつかあり、インターネット上にウエブサイトを開いて活動をしていた。しかし政府はその多くを弾圧しサイトを強制的に閉鎖させた。ブンブン君、およびドープヘッドさんに対して警察は事情聴収を行おうとしたが、十九団体は「もしブンブンを逮捕すれば抗議する」と宣言している。ブンブン君の兵役拒否の宣言は韓国社会に大きな衝撃をもたらしかねない「爆弾」なのである。
 他の兵役拒否運動ではキリスト者「エホバの証人」による運動がある。かれらは徴兵検査は受ける。そして軍事訓練の時に人殺しのための訓練をいっさい拒否することによって三年の懲役刑を受ける。しかし、これは「韓国の兵役制度を壊さない範囲」での限定した運動である。
 ブンブン君は兵役前の徴兵検査それ自身を拒否しようとしている。また、軍隊そのものを否定していることによって「宗教的自由」ではなく「政治的自由」のために闘っているのである。これはまったく新しい方法であり判例もない。政府の側がどう対応するか分からないが、最悪の場合は七年の懲役刑を何度も反復してかけられる恐れもある。徴兵検査はこの九月に迫っている。   

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