かけはし重要記事

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憲法破壊の戦争行為をなぜ批判しないのか      かけはし2002.1.14号より

「不審船」撃沈事件で政府広報紙と化した「しんぶん赤旗」

赤旗には何が書かれているか

 「不審船」撃沈事件をめぐって、不破・志位指導部の下で急速な右傾化を進めてきた日本共産党の反動的態度は際立っている。「しんぶん赤旗」は一〇〇%の「客観報道」に徹している。現在に至るも、この戦後史を画する小泉政権の違法な戦争行為に対する、どのような批判的論評も行なわれていない。政府閣僚や自民党幹部や海上保安庁幹部の発言が、そのまま、全くそのまま掲載されているだけなのである。
 それぞれの記事の見出しを紹介しておこう。十二月二十三日の一面トップ見出しは「不審船、船体射撃受け沈没 乗組員十五人漂流 巡視船も被弾、二人負傷」、二面を開けば「不審船、二年前と酷似 防衛庁」「要請があれば警備行動対応  
防衛庁長官」「発砲は威嚇  
官房副長官」「必ず捕そくを 自民党幹事長」。これがこの日の「しんぶん赤旗」の記事に付けられた見出しのすべてである。通常は必ず掲載されるはずの、志位委員長らの見解はどこにもない。
 それ以降も全く同様である。十二月二十五日の一面は「不審船 ロケット砲も発射」、二面を開くと「不審船 法整備含め対策を 首相が閣僚懇談会で指示」「船体射撃を当初から指示 
官房長官」「自衛隊と海保 総合的対応も 防衛庁長官」「反撃は正当防衛 10管区本部長」。これでは文字通り、政府広報である。
 日本共産党不破・志位指導部は、「平和憲法の時代」を違法な戦争行為で強引に終わらせようとする小泉政権のこの重大な犯罪を、何一つ批判しようとしないだけでなく、戦争行為を擁護する小泉や政府閣僚、自民党幹部の発言をそのまま赤旗に掲載し続けることによって、自らその犯罪に加担し続けているのである。
 そして共産党不破・志位指導部はいまや、自らの歴史的裏切りにほおかむりし、そんな事件などなかったような態度をとっている。「しんぶん赤旗」(02年1月5日)に掲載された志位委員長の旗開きでの演説では、報復戦争や憲法について長広舌をふるっているにもかかわらず、現実に武力を行使して「平和憲法」を破壊したこの歴史的重大事件について、二面分の報告のなかでなんと一言たりとも言及していないのである。

右転落が急速に進行している

 九八年八月、日本共産党不破委員長(当時)は、自民党政権崩壊後に誕生するであろうと予想された民主党を軸にした連立政権に参画するために、「安保堅持論者との暫定政権構想」を突如、打ち出した。このもとで日本共産党不破・志位指導部は、民主党も連立を拒めない政党への変身、すなわち「資本家も安心して日本の政治を任せることのできる政党」への変身に全力を上げてきたのである。
 この路線の下で、「暫定政権」に入閣した共産党が日米安保体制の存続を容認することはもちろん、九九年に開催された第二十二回党大会では、自衛隊は憲法違反だが解消されるまでは活用することは当然、という「自衛隊活用論」にまで踏み込んでしまった。そして前回の国会では、参戦関連三法案の一つであり、正当防衛でなくとも領海内での「危害射撃」を可能にする海上保安庁法改悪案に賛成してしまったのである。
 右転落は、前回九九年の「不審船」事件でもはっきり示されていた。社民党は史上初の「海上警備行動」発動を、「不審船から発砲してくるなどの武力行使があったわけではなく、自衛隊法八二条の適用にはあたらないと考えられる」と厳しく批判した。これに比べて共産党の志位談話には批判的内容は全くなく、「海上警備行動の発動という今回の措置が妥当なものであったかどうかは、事態の全容を明らかにしたうえで、究明する必要がある」(しんぶん赤旗99年3月25日)という、政治的評価を放棄したきわめてあいまいなものであった。そして共産党はその後、「事態の全容」も「妥当だったかどうかの究明」も放棄し、知らんふりを決め込んだのである。

真相究明へ社共共闘の強化を

 今回の「不審船」撃沈事件について、社民党は十二月二十五日付で、以下のような骨子の原則的見解を出している。@領海外での船体射撃は「改正海上保安庁法」でも適用外であって法的根拠がきわめてあいまいであるA国連海洋法条約に定められた遭難者救助義務を果たしたのかどうか厳しく問いただす必要があるB公海上での武器使用がわが国の警察権の範囲内にとどまるものかはきわめて疑問であり、海上保安庁や自衛隊の領海外での武器使用基準の緩和と大規模な船体射撃に向けた新法制定は慎むべきであるC事件の全容解明のためにすべての情報の開示と関係委員会の(国会)閉会中審査の開催を要求する\\。
 村山政権の崩壊と連立離脱以降、多くの市民派女性議員が当選したことなどを通して、徹底した右転落から「頑固に護憲」の方向に再転換しつつある社民党に比べ、日本共産党の右転落ぶりは著しい。日本共産党にいま求められているのは、「不審船」撃沈事件についての社民党の要求を支持し、社共共闘を強化して国会内外で闘うことなのである。
 われわれは、今回の「不審船」撃沈事件をめぐる日本共産党の重大な裏切りを怒りを込めて糾弾する。小泉政権の違法な戦争行為を一切批判しようとせず、政府閣僚や自民党幹部の発言をそのまま垂れ流す日本共産党の態度は、「戦争のできる国家体制」を完成させようとする日本帝国主義の軍事政策を側面から支援するものに他ならない。日本共産党は、いまや「グローバル戦争」の主体的推進者と成り果てたヨーロッパ社民・緑勢力と同様に、反戦闘争のバリケードの反対側に移行しようとしているのである。
 日米安保体制に反対し憲法改悪に反対する最大の政治勢力であったはずの共産党が、帝国主義の戦争政策の加担者になってしまっていいはずがない。われわれは、共産党内で不破・志位指導部の右転落路線に疑問を持ち危機感を抱く批判的党員に呼びかける。いまこそ大胆に、大衆的に、全力を上げて不破・志位指導部の右転落路線を批判すべきときである。(02年1月5日 高島義一)

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