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最高裁-沖縄・米軍用地特措法違憲訴訟に不当判決     かけはし2003.12.8号

政府の犯罪と憲法違反の悪法容認

「安保のための違法行為は合憲」との「判断」


犯罪がなぜ犯罪でなくなるのか

 十一月二十七日、最高裁で沖縄県読谷村の米軍楚辺通信所(通称・象のオリ)などに土地を持つ知花昌一さんら反戦地主八人による「米軍用地特措法違憲訴訟」上告審判決公判が開かれた。最高裁は、政府による私有地の不法占拠を合法化し永続的に強制使用するための、米軍用地特別措置法改悪という憲法違反の暴挙を、「合憲」とする不当極まりない判決を裁判官五人の全員一致で下した。
 最高裁は一審、二審に続いて、政府が特措法を改悪を強行するまでの三百八十九日間にわたり、知花昌一さんの土地を何の法的根拠もなく占有していたことについて、「米国との条約上の義務を果たすという高度の必要性や公共性があったとしても、法令上の根拠なく国民の権利を侵害しており違法」とせざるを得なかった。
 しかし最高裁は、「収用手続き完了までの間に限って国の暫定使用を認めることは、日米安保条約上の義務を履行するために必要で合理性があり、憲法が保障する財産権の侵害には当たらない。米軍用地として提供するのが適正かどうかは、首相の政策的、技術的な裁量にゆだねられる」として、政府の違法行為を正当化した。日米安保体制にもとづく米軍の必要性を最優先して憲法の上に置き、米軍のために政府がやることなら個人の権利を踏みにじる違法行為でも憲法に違反しないという判断を下したのだ。
 特措法の改悪部分は事実上、知花さんの土地を不法占拠している政府の犯罪を合法化しようとするものだった。このような、特定の個人をねらい撃ちにしその権利を剥奪するような法律が「法の下の平等」を定めた憲法を踏みにじるものであることは、文字通り論をまたない。ところが、これを追及する原告側の主張に対しても最高裁は「同法は法律としての要件を備えている」として平然と正当化してしまった。
 原告は、国に約一億四千万円の損害賠償を求めていた。これに対して一審では、国に知花さんへの約四十八万円の賠償支払を命じた。しかし二審は、国が供託金をすでに払っているとして賠償請求を却下した。最高裁も二審の判決を受け継ぎ、「賠償請求権は消滅した」として請求を退けた。
 これが、憲法を踏みにじって「戦争をする国」に突き進もうとする日本の司法の現状なのである。われわれは、原告団とともに、反戦地主とともに、すべての沖縄人民とともに、政府の違法行為を正当化し憲法を踏みにじる悪法を容認する最高裁のこの不当判決を糾弾する。

米軍用地特措法違憲訴訟とは

 沖縄の米軍基地は、住民を「銃剣とブルドーザー」で追い出して作られ、地主の意向を無視して強制使用され続けてきた。旧日本帝国主義の天皇制支配の下では、政府が一方的に民衆の土地を軍用地として収用し使用することができたが、現行憲法のもとに作られた土地収用法では、民間の土地を軍用地として収用し使用することはできなくなった。
 沖縄が米軍政支配から「本土復帰」し、反戦地主が米軍が強制使用していた土地の返還を求めれば、日米安保安保体制の要である沖縄米軍基地の存続に支障を来す。そこで政府は、沖縄での米軍用地の強制使用を可能とするために、満五年を期限とした「沖縄公用地暫定使用法」を作り、土地を返せという要求を踏みにじって強制使用を継続した。
 政府は、七七年五月十五日の強制使用期限切れに対して、「公用地法」の五年延長を盛り込んだ「沖縄地籍明確化特別措置法」をでっち上げて、さらに五年間、強制使用を延長した。しかしこの際、国会内での野党の抵抗で法成立が遅れて「公用地法」が期限切れとなり、成立までの四日間、反戦地主が基地内の自分の土地に乗り込み、「米軍立入禁止」の看板を立てたり、土地を耕したりするという事態になった。
 この「地籍明確化法」にもとづく強制使用の期限も八二年五月で切れた。政府は今度は安保条約の関連法でほとんど適用されずに事実上、効力を失った状態になっていた「米軍用地特別措置法」を引っ張り出し、強制使用をさらに五年間、延長した。米軍用地特別措置法は、「土地を米軍に提供することが適正かつ合理的であるならば、その土地を収用し使用することができる」という、とんでもない悪法であった。米軍用地として提供するため、契約を拒否する地主の土地を強制使用するというこれらの法律そのものが、憲法違反である。
 九六年四月、読谷村にある米軍楚辺通信所(象のオリ)の特別措置法にもとづく使用期限が切れ、土地所有者の知花昌一さんは土地返還と立ち入りを求めた。ところが政府・防衛施設局は、使用権原がすでに失われているにもかかわらず不法占拠を続け、「使用権原がなくても直ちに違法とは言えない」などと開き直った。
 政府は、三百八十九日にわたって不法占拠を続けた上、九七年五月に米軍用地特別措置法を改悪し、新たな使用期間が決まらずに使用期限が切れても米軍用地を「暫定使用」できることにしてしまった。
 九五年から九六年にかけ、米兵による少女への性暴力事件をきっかけとして沖縄の米軍基地撤去闘争が全島的に高揚し、当時の大田知事が米軍用地強制使用の代理署名を拒否し、日米安保体制を揺るがせる事態となっていた。
 政府はこのような抵抗を封じ込めるため、九九年七月、米軍用地特措法を再改悪し、米軍用地のある自治体が代理署名を拒否しても首相が代わりに署名手続きできるようにするとともに、政府の使用申請を審理する県の収用委員会が申請を却下しても、政府が代わりに使用を決定できるようにしてしまった。これで米軍用地の強制使用は事実上、永久的なものとなり、政府が認めない限り軍用地は地主に返還されることはなくなった。
 最高裁が不当極まりない反動判決を下したこの「改正」特措法違憲訴訟は、契約を拒否しているにもかかわらず土地を強制使用されている知花昌一さんら地主八人が、不法占拠に対する損害賠償を求めるとともに、特措法改悪が憲法二十九条(財産権の保障)と三十一条(法的手続きの保障)を侵害するものだとして提訴したものである。

「戦争する国」への流れと司法反動

 「戦争をする国」に向かって突き進む小泉政権は来年一月の通常国会に、「奴隷的拘束及び苦役からの自由」(第十八条)や「思想及び信条の自由」(第十九条)や「財産権の保障」(第二十九条)など、あらゆる基本的人権を踏みにじる憲法違反の「戦時国民総動員法制」としての「国民保護法制」案を提出しようとしている。
 米軍用地特措法の改悪と、政府の違法行為(犯罪)と憲法違反の悪法を正当化した最高裁判決は、「戦時国民総動員体制」を先取りするものである。政府の犯罪を容認し正当化する最高裁を糾弾しなければならない。(11月29日 松本龍雄)


打ち上げ失敗―スパイ衛星の断念を!
「情報収集衛星」=スパイ衛星打ち上げに抗議する緊急アピール


 十一月二十九日、小泉政権が踏み出した国会決議違反の宇宙軍拡―偵察衛星二基の打ち上げが失敗に終わった。以下に、「核とミサイル防衛にNO!キャンペーン2003」の偵察衛星打ち上げに抗議する緊急アピールを掲載する。

 本日十一月二十九日、情報衛星が打ち上げに失敗しました。打ち上げに失敗した衛星は光学衛星とレーダー衛星二基で、今年三月に打ち上げられたものと計四基で運用される予定でした。その製作費は二千億円、地上受信局の整備費は五百億円、〇五年、〇六年度に各一基、〇八年度にさらに二基が打ち上げられる予定です。
 運用は内閣衛星情報センターが行いますが、この情報衛星システムが軍事的な偵察衛星、すなわちスパイ衛星であることは、九八年八月に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)がテポドン・ミサイルを発射したことをキッカケにして導入の閣議決定がなされたことからも明らかです。
 しかもこの衛星は、日米が共同して押し進めているミサイル防衛と密接な関係にあります。偵察衛星で収集した情報にもとづいて迎撃ミサイルを発射するというのが、ミサイル防衛構想だからです。このミサイル防衛に関しては、海上のイージス艦から発射し大気圏外で迎撃するミサイルの開発研究が日米共同でなされています。
 これに日本側は九九〜〇三年度で約百五十三億円を支出し、防衛庁は〇四年度では約八十二億円を概算要求しています。すでに防衛庁はアメリカから、この共同研究されているものの前段階に当たるといわれるスタンダードミサイルを海上自衛隊に調達することと、地上配備型のパトリオットミサイルを調達することを決め、前者のためのイージス艦改修費などに五百四十二億円、後者の整備費七百六十六億円を来年度予算で要求しています。

 こうした偵察衛星―ミサイル防衛システムは、宇宙開発事業団法は衆議院議員決議(ともに六九年)などで示されている「宇宙の平和利用」の原則に反するものです。また、アメリカはミサイル防衛システムの運用に関して米本土防衛と他との区別をしないとしており、日本の偵察衛星によって収集された情報が米軍に利用される恐れもあります。このことは、憲法が禁じる集団的自衛権に抵触するものです。
 加えて、偵察衛星で収集した情報によって大量破壊兵器を開発しているとされていたイラクでは、いまだ大量破壊兵器は見つかっていません。アメリカは、大量破壊兵器を開発の「脅威」を理由にイラク戦争を強行しましたが、偵察衛星は同じような「予防戦争」の口実を与えるものになりかねません。しかも、日本政府・自民党幹部から、日本への「脅威」に対して先制攻撃をすることもあり得るという発言も飛び出しています。日本自体が、偵察衛星の情報を口実に「予防攻撃」をすることも危惧されます。そして内閣衛星情報センターからの情報にもとづいてトップ・ダウンで危機管理がなされる仕組みは、そうした政府の暴走を制御することを困難にするものです。
 このような動きは、周辺国から見れば「脅威」にほかなりません。かえってミサイル軍拡競争を招く危険があります。
 また、ミサイル防衛の命中精度は疑問視されており、実験も失敗が続いています。そうしたものに巨額の予算を投入することは無駄遣いといわざるを得ません。もうかるのは三菱重工や三菱電機といった軍需産業だけです。しかも、偵察衛星は独立行政法人・宇宙航空研究機構によって打ち上げられますが、宇宙開発事業団からこの機構への移行にともなって、軍事産業の影響力はいっそう強まりました。また、偵察衛星打ち上げに使うH2Aは失敗続きです。今回の偵察衛星の打ち上げも、二度も延期されました。加えて、約七百三十億円を費やした環境観測技術衛星「みどり」の故障などが相次ぎ、日本の衛星開発自体の見直しが必要だと言われる状況にあります。H2Aロケットや偵察衛星以外の衛星の開発に当たっている企業も、ミサイル防衛に関わっている企業と重なります。宇宙開発自体、米ソ核軍拡競争の一環として始まったという経緯があります。「偵察」を目的としない衛星の情報も軍事利用されています。このような宇宙開発を押し進めること事態が、周辺国からすれば「脅威」であるうえに、日本の産業自体を軍事化するものです。
 私たち「核とミサイル防衛にNO!キャンペーン2003」は、ミサイル防衛の推進に反対してきましたが、以上の観点から情報収集衛星の打ち上げについても強く抗議します。今後の打ち上げを断念すること、すでに打ち上げられている二基の運用も直ちに中止することを求めます。
核とミサイル防衛にNO!キャンペーン2003
 03年11月29日
連絡先 新宿区大京町3新大京マンション304 スペースかぼす内D&FAX03―5711―6478


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