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「宇宙軍事利用禁止」の国会決議踏みにじる       かけはし2003.4.7号より

偵察衛星の打ち上げ糾弾!

軍産複合体の利権拡大と巨額の税金を飲み込む戦争ビジネス

 三月二十八日、小泉政権は国内初の軍事偵察衛星二機を搭載したロケットH2Aを宇宙開発事業団・種子島宇宙開発センターから打ち上げた。日本帝国主義は、「北朝鮮の軍事的脅威」なる虚構を口実に、宇宙空間の軍事利用に踏み出した。
 運用するのは内閣衛星情報センターで、打ち上げられた二機の衛星は、北極と南極を回る高度四百〜五百キロメートルの軌道から、軍事情報を収集することになる。新聞報道によれば、監視対象は「大量破壊兵器」「軍事」「インフラ」の三種類に大別され、それぞれ具体的な施設名を列挙した「ターゲティング・リスト」が準備されている。
 衛星情報センター内には、「日本国内」「朝鮮半島」「中国」「ロシア」「中東その他」の画像分析チームが編成され、それぞれ十数人ずつの班が専従で解析に当たる。重点は北朝鮮のミサイル発射施設と核施設であるとされている(朝日新聞3月28日)。
  六九年の「宇宙開発事業団法」の制定にあたって、国会では「宇宙開発及び利用にかかわる諸活動は、平和の目的に限り、かつ自主、民主、公開、国際協力の原則のもとにこれを行うこと」という決議が採択されている。この国会決議では、「平和目的」とは「非侵略的」であるだけでなく、「非軍事」という意味であることも確認されている。小泉政権による今回の軍事偵察衛星打ち上げは、この国会決議を全面的に踏みにじる暴挙である。
 それは安部官房副長官の核武装発言や、報復戦争参戦法や一連の自衛隊法改悪と同様、国会でもさまざまな領域で繰り返し承認されてきた憲法の「平和主義原則」を、既成事実の積み重ねで一掃してしまおうとするものであり、憲法改悪と「戦争のできる国家体制」確立につながっている。
 しかしこれは、単純な軍事目的だけではない。それは、多数の逮捕者を出した九八年の「防衛庁調達汚職」が象徴する、数百人もの天下り・天上りで癒着した防衛庁と軍需産業と自民党防衛族が形成する日本版軍産複合体による税金かすめ取りなのである。
 この偵察衛星は、帝国主義軍事の側から見てもほとんど意味はない。米軍の偵察衛星の解像力は地上の物体を十五センチ刻みで描き出すことができる。今回日本が打ち上げた偵察衛星の解像力は、最新鋭の商業衛星の解像力六十センチにもはるかに劣る一メートルに過ぎないからであり、日米安保体制のもとで、全面的に米軍の統制下にある自衛隊にとって、性能の悪い偵察衛星を導入する軍事的必要はないからだ。
 九一年十一月に小渕政権が軍事偵察衛星導入を決定した口実は、同年八月の北朝鮮の「テポドン」打ち上げだったが、その二週間ほど前に米軍から防衛庁に「北朝鮮がミサイル発射準備中」という情報を知らせており、それを受けてイージス艦「みょうこう」が舞鶴を出港して監視のために二週間にわたって待機していた。九八年八月の「テポドン」打ち上げの直後には、六本木(当時)の中央指揮所のディスプレーに、米軍の偵察衛星からの情報が入っている。
 新ガイドラインのもとで日米軍事一体化がますます進行している中で、米軍の偵察衛星よりはるかに性能の悪い偵察衛星を持って独自に軍事情報を収集しても、ほとんど何の意味もないのである。

 もちろん、自前の軍事力を持ちたいという帝国主義の政治的欲望があることは間違いない。しかしそれ以上に大きいのは、軍産複合体の経済的欲望である。この偵察衛星の導入が問題となった九八年九月、導入に慎重な姿勢を示していた野村総研の森本敏(防衛庁出身)は次のように述べていた。
 「技術的にも、ロケットやセンサーはともかく、解析技術には相当の費用がかかる。数百人規模の巨大な技術者集団が作れるのか。経費も最初は二兆円以上の規模だろう。軌道衛星と静止衛星を常に運用すると、毎年数千億円は必要になる」(朝日新聞98年9月23日)。
 当時、山崎拓が中心になった自民党の科学技術・情報懇話会「多目的情報通信衛星(偵察衛星)勉強会」では、三菱電機の谷口一郎社長が自らレクチャーを行っていた。谷口は、三菱で偵察衛星開発にかかわる電子システム事業本部から社長に就任した人物である。
 そして小渕政権が決定した偵察衛星導入の方針は、この勉強会で谷口が自ら説明した資料「多目的情報衛星システムに関する検討」と、衛星の機種とその性能、開発費用からスケジュールに至るまで、そっくりそのままであった。そして谷口は当時、次のようにその目的をはっきり語っていた。「衛星の寿命は五年、何度も打ち上げ続けるので、安定したビジネスになる」(朝日新聞98年11月10日)。
 すでに二〇〇〇年から、この偵察衛星の開発に毎年七百億円もの税金が投入されてきた。今年の夏にはさらに二機が打ち上げられ、四機体制で運用される。開発費用と打ち上げ費用に巨額の運用費用が加わり、飲み込まれる税金と軍産複合体の利権はますます巨大に膨れ上がっていく。そしてこのような、有害無益な軍事支出によって財政破綻状況はますます深刻となり、社会保障の切り捨てなどの生活破壊がますます押し進められていくのである。
 それは現代資本主義が歴史的可能性を使い果たし、生活破壊を進行させ、大衆収奪を強めて利潤率を引き上げることで延命を図ることしかできなくなったという、時代状況を端的に表現している。
  (3月29日 高島義一)



「電力危機」キャンペーンはデタラメだ
東電の全原発十七機の停止を脱原発の第一歩にしよう


 三月二十九日早朝、東京電力柏崎刈羽原発7号機が停止し、世界最大級である同原発の全号機がこれで停止した。続く三十一日には、福島第一原発2号機が停止し、東電の十七基の原発中、運転しているのは同原発6号機のみとなった。東電で唯一稼動する動機も、一連の東電原発不正に関連する点検・調査のため、四月十五日までに停止し、私たちは間もなく、国内の原発のうち四割を占める東電原発のすべてがストップするという、未曾有の事態を迎える。
 東京電力は昨年八月末に一連の不正が発覚すると、地元自治体の不信を伴う要請により、すべての原発の関係部位の点検・調査することを明らかにした。一方運転再開に当たっては、地元自治体の同意を前提とした。東電にとっては、一時期に多数の原発を止め、その上同様の個所を点検するという経験も技術も人材もそろわず、当然のこととして手間取ることとなる。くえて女川原発で明らかになったように、再循環ポンプ溶接線の点検においては、超音波検査の精度が全く信頼できないことがあきらかとなり、次々と見つかる損傷の程度を特定できず、いっそう運転再開から遠ざかりつつある。
 東電はじめ経済産業省などは、こうした運転状況が予想されると、昨年末から省エネキャンペーンを開始した。たとえばこの三月は、「想定される最大電力五千百万キロワットに対し、設備能力が五千百万キロワットしかなく、`予備率ゼロa」と、危機を煽っている。こうした省エネキャンペーンにもかかわらず、この冬季各月の瞬間最大電力および消費電力量はいずれも昨年を上回り、低温であったことを差し引いてもキャンペーンは失敗した。「原発がなくても電気はだいじょうぶ」であることが明らかとなった。
 原子力安全・保安院と東電は地元説明会を開始し、再循環系配管のない改良型である柏崎刈羽6号機、健全性評価委員会で`健全性aが認められたとする福島第一3号機と福島第二1号機の早期運転再開を目論んでいる。また、夏季の需要増への対応として、合計十基程度の運転再開の必要性を主張している。米英によるイラク攻撃が開始されると、政府は大口の企業向けに省エネキャンペーンを開始し、危機管理を強めている。
 原発は安定して電力を供給できる発電方法ではないことが明らかとなった。また、出力調整ができない原発に頼った電源構成は、一方で出力調整しやすい石油火発に頼ることになっている。石油火発は出力の上下により、熱効率が大きく低下し、結果として余分な二酸化炭素を放出し、地球温暖化を加速させている。
 唯一プルトニウムを燃料とした「ふげん」は三月三十一日、永久停止した。東電原発がすべて停止する事態は、脱原発に向けた原子力政策転換のまたとないチャンスである。
        (K・S)


中小労組のスト軸に東京で春闘統一行動
賃下げと労基法改悪許すな

 三月十九日、全国一般東京労組など中小労組のストライキを中心にした統一行動が行われた。諸行動としてはイラク攻撃と労働法改悪に反対する国会前集会が午前中に、午後からはNTT、トッパンムーアに合理化、組合敵視に反対する社前集会が三百人ほどの労働者が結集して闘われた。こうした一日行動を集約する形で例年通り四時から春闘再生「行政改革・規制緩和・労働法制改悪」に反対する全国実行委員会主催の「2003年春闘勝利総決起集会」が九段会館で六百人を結集して開催された。
 集会ではイラクの現地報告を受けるなど米英軍のイラク攻撃に反対し反戦運動に積極的に参加することを確認した。また、全港湾では開戦次第三十分の時間内抗議集会を行う決意が表明された。その他NTT関連労組が事実上の五十歳定年制の大合理化と闘っている報告、特別報告としては韓国民主労総イ・ヒャンウオン副委員長からの連帯あいさつ、春闘再生実行委傘下の各組合や争議団からの決意表明が行われた。
 全労協春闘の中軸である全一日行動だが、残念ながらその結集力は昨年と比較して半減してしまった。国労問題を巡る混乱も大きな要因ではあるがベアゼロ時代の闘う労働運動勢力の結集軸の再構築なしには中小労組の奮闘に応えることはできない。  (岸本豊)


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