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                          かけはし2003.4.7号より

東京都知事選に対する立場--「反石原」の票を樋口恵子候補に

労働者市民の政治参加拡大のために


 四月十三日投票の東京都知事選は、再選を目指す石原慎太郎現知事と共産党東京都委員長で同党公認の若林義春候補、女性団体が推し、民主、社民、生活者ネットなどが支持する評論家の樋口恵子候補の、事実上三人の争いとなっている。
 われわれは、今回の東京都知事選で石原都知事の再選を阻まなければならない。石原は、今日の政治・経済・社会的危機の中で、「強者の論理、国家の論理」を前面に出して日本の「戦後民主主義」と憲法を敵視し、戦争ができる強力なリーダーシップの必要性を訴える最も反動的・権威主義的な政治家の象徴だからである。
 石原の挑発的で差別的で右翼国家主義的な立場は、「第三国人が犯罪を繰り返し、災害時には大規模な騒擾を起こす可能性があり、自衛隊の出動が必要」という発言、障害を持った人々に対する「ああいう人に人格はあるのか」という発言、「人類にとっての最大の災厄はババァ」発言、「北朝鮮に戦争を仕掛ける」発言などに示されている。
 女性や障害者、移住外国人労働者や在日の人びとへの差別とエリート主義を煽り、平和主義的意識を侮蔑する石原の「確信犯」としての挑発的な主張は、日本の政治全体を戦争と排外主義の方向に引っ張っていくアジテーターとしての役割を果たしているのだ。
 また石原都政は、ディーゼル車規制など「環境」を重視する姿勢をアピールしながら、日の出の森・トラスト地の強制仮処分を強行し、「財政危機」を口実に労働・福祉行政の切り捨てを推進し、労働者・市民への犠牲の押しつけをさらに強めている。われわれはこうした石原都知事の再選を許してはならない。
 昨年以来、石原都知事の再選を阻止するために、共産党、社民党、新社会党などの政党や幾つかの市民団体の間で、共同の候補を擁立する努力が積み重ねられてきた。しかし今年二月の段階で、そのための候補者擁立の努力を最終的に断念せざるをえなくなった。
 われわれはその過程で野党各党が、共同候補のために真剣な努力を払ったことを知っている。しかし、それはついに不調に終わったのである。これは今日の労働者・市民の運動が石原に対決する共同の候補を押し立てて都知事選に臨むためには、きわめて弱体であることの表現でもあった。
 日本共産党は、石原再選を阻止する共同候補擁立の活動を断念せざるをえなくなった段階で、同党の若林都委員長を「党公認」候補とすることを決定した。共産党は敢えて党推薦の「無所属」候補としてではなく「公認」候補にしたことの意味を、不破委員長を先頭にして力説し続けている。しかし同党党員の中にも、党内でしか知られていない若林氏を敢えて「党候補」としたことに対する批判意見が出ている。
 都知事選が石原対共産党という構図で推移する中で、この間石原の「ババァ発言」に抗議し、損害賠償請求を起こしている女性たちのグループを中心に、無党派の女性候補を擁立する動きも続いてきた。その努力の結果、選挙公示の直前に、評論家で東京家政大学教員の樋口恵子氏が立候補を受諾することになった。
 われわれは、樋口氏が女性たちの要請を受けて「反石原」の立場から都知事選に立候補することを決断したことを歓迎したい。それは石原都知事に対する批判の裾野を大きく広げていくことになるだろう。もちろん石原都政を批判する樋口氏の立場は「問答無用」から「対話」へというスローガンに示されているように具体的なものではないし、「平和」や「福祉切り捨て」の問題に対する態度も鮮明ではない。しかし樋口氏が、石原都政に危機感を感じている多くの労働者・市民、女性たちに、未分化な形ではあれもう一つの選択肢を提出する可能性を作りだしたことをわれわれは評価するのである。
 確かに石原都政に対する最も鮮明な対決軸を示しているのは、共産党の若林氏である。若林氏は「イラク戦争反対」を第一に掲げ、石原都政の福祉切り捨て・巨大開発の継続をきっぱりと批判している。
 しかし、われわれはこの闘いは、何よりも選挙キャンペーンにおいても労働者・市民の参加と自発性を積極的に拡大していく方向でなされなければならないと考えている。現状において「石原対若林」「石原対共産党」という形で対立が集約されることは、石原都政に対する危機感を持つ広範な市民を「棄権」に追いやり、結果として石原の「圧倒的勝利」に帰結する可能性が大きい。その意味で石原都政との闘いを労働者・市民自身の積極的参加によって作りだす可能性を相対的に持っているのは、むしろ樋口候補である。
 われわれは、反戦・新自由主義反対の広範な運動を多くの人びとの間に広げていくという立場から「反石原」票を樋口恵子候補に投じることを呼びかける。それは「戦争と平和」や民営化・福祉切り捨ての問題についてきわめてあいまいな樋口候補の立場を「理解」したり、「支持」することを意味するものではない。
 とりわけ樋口氏が政府の「男女共同参画会議」専門調査会会長として二〇〇一年六月にまとめた提言では、新設保育所は「民営化でおこなう」と述べている。また樋口氏が一九九五年十二月に政府の「老人保健福祉審議会」が行った発言では、「東京都の高額介護手当支給」が「高齢者の自立を阻害」していると述べ、高齢者手当の切り捨てを要求していた。
 したがって樋口氏の主張が、新自由主義的な公共サービスの民営化論と、市場万能主義的な「自立自助」論であったことは間違いない。われわれは「福祉切り捨て」を促進してきた彼女のこうした主張を認めることはできない。樋口候補への投票の呼びかけは、このような樋口候補の態度を批判しつつ、彼女を支持する人びととともに「戦争反対、福祉切り捨て反対」の共同の行動を作りだしていくことを呼びかけていこうとするものでなければならない。
 われわれは、以上の立場から訴える。石原都知事の再選を阻止しよう! 「反石原」の票を樋口恵子候補へ。(3月30日、平井純一)

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