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韓国は、いま                    かけはし2003.6.2号より

4・20鉄道スト回避-裏切りか、予想外の善戦か、相反する2つの評価(下)

イ・チョンヒ(鉄道解雇者、韓国労働理論政策研究所・教育委員長)



合意案は実力以
上の大きな成果

 合意案について語るなら、私は「実力の割には組合は善戦した」と表現する。実力というのは組合が破壊力あるストライキを組織する能力、そして政権や総資本に対抗してストの隊伍を維持し、耐えぬく能力」を言うのだ。一方で私は03年の合意案は03年闘争の結果ではあるものの、鉄道労組の歴史上3回にわたったスト闘争の成果だとも考える。
 鉄道労組は88、94、02年の3回のスト闘争の過程で、政権の期待をそのつど、ぶち壊した。88年には「合意妥結」の報道が出てきた後にストに突入したし、94年は「見ているかぎりではストはできない」と言っていたキム・ヨンサムとその取り巻きの判断を覆した。02年はスト闘争の意志に疑念を持たれていた指導部によって状況は反転された。つまり「鉄道労働者たちは粗っぽい。今回もまた必ずや何かしでかすだろう」との不安を政権に与えるのに成功してきたのだ。
 結論から言うなら、こうだ。今回の合意案は実力以上に作り出したものだ。そしてこれは鉄道民主労組運動の成果でもある。今回の合意案は全くギマン的なものではないし、実際的なものだ。03年の合意案を私なりに一つずつ検討してみることとする。
 最初に団体協約部分を見る。私は団体協約を大体くまなく見ていたが、相当の進展をなし遂げたと判断する。組合活動の保障部分において、そして産業安全、労働条件などすべての部分において団体協約は進展があったのであり後退はなかった。
 第2に解雇者の復職に関する部分だ。解雇者の復職は新規採用だとはいうものの解雇者たちの不満はない。特に鉄道解雇労働者会の新規採用の要求に反対し原職復職を要求していた解雇者たちも、今回の合意案に対して不満を語る人はいない。なぜ、そうなのか。鉄道労組が解雇者の復職と他の要求とを交換しなかったという点(一括妥結を言っているのだ)、解雇者の復職が労使政委員会に回されず直接交渉を通じて解決したという点、原状回復のために組合が引き続き主張できるという付帯条項を挿入した点、組合が原状回復のために持続的に闘争するだろうという信頼のためだ。
 第3に人員問題だ。具体的な数字を論じる考えはないが、鉄道労組の今回の合意案は政府や鉄道庁の構造調整を2〜3年前に引き戻したことは間違いない。これは決して小さな成果ではなく、時期、数字を具体的に念を押したのは02年のスト闘争のときよりも、はるかに進展したものだ。これをめぐって数字をわざと縮小しただとか、ストの前に前もって合意したものだったとか言って批判するのは正しくない。私にとっては、あたかも批判のためにないものねだりをすることのように思われる。
 政府や鉄道庁が人員問題をあらかじめ合意していたのは、鉄道労組があくまで一括妥結の方針にこだわっていたからだ。つまり人員問題と解雇者復職以外の他の要求条件の譲歩を前提とした政府や鉄道庁の譲歩であり、一つずつ順序に解決するためにあらかじめ譲歩したものではないという意味だ。その事実は交渉の土壇場で「鉄道の構造改革問題で譲歩しないなら、すでに合意した他のものもすべて無効だ」と主張した鉄道庁の態度からも確認できる。
 外注・下請け化撤回については鉄道労組がこれを交渉の中から除外してしまったのだ。これをめぐって鉄道労組が「事実上、容認した」と批判するのは無理と言わざるをえない。そういう表現で言えば、02年のストの際、鉄道労組が「1人乗務」撤回を要求した後で、それをはずしたのを「鉄道労組が容認した」と批判するのと同じだ。それなら今回、1人乗務を完全撤回させたことを、どう説明できるのか。
 構造改革と関連しても同じことだ。02年に鉄道労組は民営化の撤回を要求したが「公共性を強化する」というあいまい模糊とした文言で満足した。それを「民営化撤回を念押ししなかったのだから、容認したのだ」と批判できるだろうか。鉄道労組は実力相当分を闘いとったのであり社側が要求している内容を受けいれなかった。「したがって今回のスト闘争において指導部は少なくとも譲歩交渉はしなかった」と高く評価するのだ。
 言うのは簡単だが、譲歩交渉をしないということはどれほど大変なことか、やたらと評価を切り下げるものではないと思う。98年のIMFの事態後、譲歩交渉せずに終えた事業場がどのぐらいあったか1回調べてみよ。だから私は指導部のスト準備や指揮能力には強く問題提起をするけれども譲歩交渉不可、一括妥結の原則を守った態度だけは高く買っている。

契約職女性乗務員
の正規職化の実現

 だれもが予想したが、私も今回の闘争は人員問題が核心だと判断した。それは自由化の要諦であり目的であって、構造調整の目的でもあるからだ。だが人員問題が妥結した後、攻守は所を変えた。つまり解雇者の復職と人員問題を妥結した鉄道労組が構造改革や外注・下請け化の撤回を大綱まとめようとしたのに反して社側は「構造改革を受けいれないなら、すべて無効だ」という態度にひょう変したのだ。
 頑強とは言えない隊伍(スト突入と同時に相当数の隊伍離脱が予想されていた。この点は02年のストと様相を異にするものだ)による焦りの気持ちが、交渉案が妥結されるよりも前にスト留保という混乱を呼びおこさせた。混乱の中で付帯協約・団体協約、女性乗務員100人の契約職からの正規職化のような重要な争点などは後に付されることになった。
 「適切な措置を経て仮差し押さえを取り下げる」という文言の「適切な措置」という表現を挙げて批判する同志たちもいる。一理はあるけれども余りにも過敏な反応だと判断する。実は団体協約や付帯協約、契約職女性乗務員の正規職化は重要な進展だ。これをわざわざ否定する理由は全くない。

類推的な解釈は
避けるべきだ

 合意案は不充分である。だが類推的解釈によって「事実上、外注下請け化を認めた」だとか「施設や運営など政府の構造改革方案を容認した」式に話しては、いけない。最大限、具体的に表現できなかった部分は批判できるが、ない部分を引っ張り出してくっつけるのはダメだ、ということだ。そうでなくとも構造改革をめぐって政府、鉄道庁の態度がくい違っている。マスコミも、まちまちだ。そうであれば鉄道労組や活動家たちは当然にも文言通り引用して、これと対決すべきだろう。執行部を非難するためにケチをつけるのでないのなら、背後から押すような間違ったことはしてはならないと思う。

戦列を再整備し非
常待機の態勢を

 依然として攻防は続くだろう。まず合意案の賛反投票をめぐって「否決闘争委員会の結成」が提起された。昨年、否決闘争を行った同志たちも2つの流れに分かれた。「否決を通じて指導部を辞退させ、闘争に責任のとれる指導部を建設する」という主張と、「ストの準備過程、指導力や状況掌握能力、そして妥結過程についての評価と批判とを持ちつつ公式的な組織体系の強化、現場基盤の強化」を主張する立場が、それだ。後者が前者より多数だと判断する。その過程で現場組織運動も、おそらく3つの流れとして鼎立するだろう。私は後者の立場をとっている。
 私は鉄道民主労組運動が混乱をしている余裕はないと判断する。いまは激動期、政府や鉄道社側と対決し恒常的な闘争を準備し、非常待機の態勢を整えるときだと考える。来年5月になれば鉄道労組の定期総選挙だ。そのときまでは現執行部を中心に組織を強化し、態勢を整えるべきだと判断する。
 鉄道労組は、まず賛反投票の過程をキチンと処理することを望む。そのために批判や否決闘争の自由を保障することを希望する。その過程ででてきた批判や意見を充分に集約し組織強化の元肥えとして使うことを希望する。そして批判や否決闘争に対して傷ついたり感情的な対応をしないことを願う。指導部ならば、よくその程度は耐えて受容するすべを承知すべきだと考える。
 そればかりではなく、鉄道労組は今回のスト闘争をキチンと評価し、足りない点は補完することを望みたい。ストに備えた教育や訓練の機会とすることを望みたい。何よりも過半数を上回る無賃乗車者たちを、どのようにして闘争の戦列に参加させるのか対策を立ててくれ。この人々と疎通し組織する機構やプログラムは直ちに用意しなければならない。そうした後で障害物である「未来開拓連帯」を掃き出すようにしよう。充分に準備せずに形式的な懲戒などで処理すれば昨年の順天地方本部の悪循環を繰り返し、結局は組織の弛緩や弱体化へと結びつくだろう。
 否決を主張する同志たちは鉄道労組の幹部たちを「官僚」と表現しないことを願いたい。それは敵対的で感情的な表現だ。そのような表現は、むやみに使うものではない。鉄道労組の中央幹部たちが活動したのは、わずか1、2年未満、激動期の鉄道労組には官僚主義が根づく余裕は、まだなかった。ともに闘い闘争してきた同志たちを、そのようにいい加減に裁断すれば、必ずやその反作用が後追いするというものだ。
 いつでもそうであるように資本主義社会において労働者の闘争は未完の闘争だ。鉄道労働者たちは15年前から闘争してきており、今後も闘い続けていくだろう。鉄道労組が最強の組織力と闘争力を持ってノ・ムヒョン政府の「ストなき労働運動戦略(社会的合意主義という糖衣錠でくるんだ)」を粉砕する先鋒部隊となることを希望する。
(「労働者の力」第30号、03年5月5日付、イ・チョンヒ、鉄道解雇者、韓国労働理論政策研究所・教育委員長)
 注 「労働情報」第622・3号(03年5月1日付)の速報「韓国鉄道労組勝利」によれば労使合意書の要旨は次のとおり。@機関士1人乗務中止、A1500人の不足人員補充、B解雇者45人の復職、C損賠・仮差し押さえ取り下げ、D民営化撤回、施設と運営(維持保守含める)の分離による公共性ある対案を模索する。


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