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                          かけはし2003.8.25号より

「「若葉マーク」を卒業し、より困難な任務の遂行へ」と宣言

イラク侵略戦争賛美し「グローバル戦争」本格参戦へ

 
 八月五日、小泉政権は二〇〇三年度版『防衛白書』を閣議決定した。それは、有事立法やイラク派兵法の成立強行を踏まえて、「専守防衛」の建前さえかなぐり捨て、アメリカ帝国主義のイラク侵略戦争を賛美し、「グローバル戦争」に本格的に参戦する方向性を公然と打ち出すという、まさに時代を画するものとなっている。

 白書の最大の特徴は、アメリカ帝国主義の巨大な軍事力を背景にした一極支配体制に追随し、その無法で凶暴な戦争政策と一体化しようとする姿勢を、はっきり打ち出していることである。
 「米国は唯一の超大国として、軍事力、科学技術力などで国際社会における優位を確立している。……他国との軍事力の格差はますます拡大している。……こうした圧倒的な国力を背景として、国際関係は米国を中心として新たなものになりつつあり、同時多発テロとその後のテロとの闘い、さらには本年のイラクに対する軍事作戦を通じて、この動きはさらに加速されている」。
 ブッシュ政権のイラクへの全面的武力行使は、国連憲章をはじめとする国際法を踏みにじる無法な侵略戦争であった。白書はこの侵略戦争を高く評価する。「今回のイラクに対する軍事行動は、……安保理が有効な手段をとれない場合には、脅威を放置するという妥協的な態度をとらず、米国と同盟国・友好国のためには、断固たる手段を取るという米国の強い意志と能力を示したといえる」。
 白書が閣議決定された時、すでにアメリカでもイギリスでもイラクの「大量破壊兵器の脅威」なるものがデッチ上げであったことが暴露され、ブッシュとブレアはその政治的責任を追及されていた。にもかかわらず白書は、ありもしない「脅威」を口実とした無法な侵略戦争を「脅威を放置するという妥協的な態度をとらなかった」としてほめたたえているのである。
 白書は言う。「大量破壊兵器の入手をめざすテロ組織とテロ支援国家への対応として、敵対的な行動の機先を制し、また予防するため、米国は、必要に応じて先制的に行動するとしている」。
 侵略された事実がないのに行う先制攻撃は、国際法で禁じられている。ブッシュ政権は「国家安全保障戦略」のなかで、この違法な先制攻撃を行うことを宣言し、アフガニスタンとイラクに対して実行し、何千、何万もの人々を殺害した。白書は、この違法な「先制攻撃戦略」を積極的に評価しているのである。
 白書はさらに言う。「本年五月の日米首脳会談においても『世界のなかの日米同盟』を強化することが合意されたように、今日の安全保障環境のもと、日米両国には、アジア太平洋地域における協力のさらなる充実と同時に、よりグローバルな課題への取り組みにおいて国際社会と協力しつつ連携を強化していくことが求められている」。
 すなわち白書は、アメリカ帝国主義の無法な先制攻撃戦争政策に追随し一体化する日米安保体制を全世界に拡大すること、自衛隊を世界中どこへでも派兵して米軍とともに行動する態勢をさらに強化することを打ち出しているのである。
 小泉政権は先の国会で、「戦争のできる国家体制」の形成の決定的突破口として有事関連三法の成立を強行した。さらに小泉政権は、米英など占領軍への攻撃が一日平均十二回発生しているイラクの戦場に自衛隊を派兵するイラク派兵法の成立を強行した。
 「海外派兵は憲法に違反する」という、歴代自民党政府が認めざるを得なかった憲法上の制限のもとで、自衛隊海外派兵は九一年の海上自衛隊掃海艦隊ペルシャ湾派兵として開始された。その後、九二年のPKO法成立とカンボジアPKO派兵、九三年モザンビーク派兵、九四年ルワンダ派兵、九六年から今日まで続くゴラン高原派兵、九九年東チモール派兵、〇一年アフガニスタン派兵と、文字通り切れめなく自衛隊海外派兵が続けられてきた。
 〇一年十月、「9・11テロへの報復」を口実としてアメリカ帝国主義が主導するアフガニスタン侵略戦争が開始された。小泉政権はテロ対策特別措置法(報復戦争参戦法)の成立を強行し、イージス艦や輸送艦を派兵して米軍やドイツ軍、フランス軍などの侵略軍への補給作戦行動を展開してきた。そしてこれらの既成事実の上に、イラクの戦場に陸上自衛隊を派兵するイラク派兵法の成立が強行された。
 これら一連の海外派兵の「実績」を列挙した上で白書は言う。「自衛隊の国際平和協力への取り組みは、いわゆる『若葉マーク』を卒業する時期に来たといえる。今後……今まで以上に困難な任務を的確に遂行することが求められているということを自覚すべき時期に来た」。
 今回の白書の大きな特徴は、「今後の防衛庁・自衛隊のあり方」という最終章を設け、世界のあらゆるところで積極的に軍事行動を展開するという今後の政策的方向性をはっきりと打ち出していることである。そこでは「より積極的・能動的にアジア・太平洋地域をはじめとする国際社会の平和と安定のための責務を果たしていくことが重要である」ということが強調されている。
 そして次のように言う。「自衛隊は存在することで脅威に対する抑止効果を果たすだけでなく、実際に、いかに積極的にその任務を果たすかということが問われるようになってきている。このように事実上『運用の時代』へと変化している状況に合わせて、……より実効的な自衛隊の体制を構築することが必要である」。
 この章のなかで、「わが国に対する大がかりな準備を伴う着上陸侵攻の可能性は低いと考えられる」として、「専ら本格的な着上陸侵攻に備えた装備などの規模は縮小を検討する」としていることも重要である。それは、「専守防衛」という建前をかなぐり捨て、自衛隊を本格的外征軍として強化するということにほかならない。
 「若葉マークの卒業」「運用の時代」「国際社会の平和と安定のための責務を果たす」。アメリカ帝国主義の主導する「グローバル戦争」に本格的に参戦しようとする小泉政権と日本帝国主義の本音が、あからさまに、隠すことなく平然と語られている。
 『防衛白書』閣議決定前日の八月四日、防衛庁は「ヘリコプター搭載護衛艦」と称する本格的ヘリ空母の導入を決定した。〇四年度予算概算要求に盛り込まれ、〇八年度と〇九年度に、相次いで就役する予定になっている。
 このヘリ空母は、全長三十メートルで五十五人の兵士を運ぶ超大型ヘリコプターM53など四機を同時に運用する能力を持つ、基準排水量一万三千五百トンの大型艦である。満載排水量では二万トン近くなり、イラク空爆に参加した英空母インビンシブルにほぼ匹敵し、この艦のモデルとされるイタリア海軍の空母ジュゼッペ・ガリバルディーより三千トン以上大きい。もちろん海上自衛隊最大の艦となる。
 英空母インビンシブルと同様、シーハリアーなど垂直離着陸戦闘機の運用も可能であり、そうすればヘリ空母ではなく軽空母になる。米軍が開発中の垂直離発着戦闘攻撃機JSFなら、速力マッハ一・六で六・八トンもの爆弾やミサイルを積んで攻撃する能力を持つ。これを運用すれば事実上、小型の攻撃型空母である。
 このヘリ空母は同時に、艦隊群の指揮中枢機能を持つハイテクを駆使した米第三艦隊旗艦コロナドのような指揮艦として想定されている。海上自衛隊は、大規模な作戦行動全体を統括し指揮する指揮艦を持っておらず、艦隊の指揮は米艦隊が行うことになっていた。指揮艦を持つということは、独自の作戦行動能力を持つということにほかならない。
 先に「ヘリ空母型」で国際的関心を呼んだ強襲揚陸艦おおすみ型(基準排水量八千九百トン、満載排水量一万三千トン)は、五十トンもある大型の90式戦車十八両と上陸部隊三百三十人を運び、敵前上陸を行う能力を持っている。おおすみ型揚陸艦は三番艦まで建造中である。数年後には、上空から対地攻撃を行いながら多数の部隊を上陸させる能力を持つ、複数の強力な空母機動部隊が配備されることになると言って過言ではない。そしてその時までには憲法改悪は完了しているというのが、日本帝国主義の目論見である。
 さらに防衛庁は〇四年度概算要求に、〇六年度に配備を予定している空中給油機の格納庫整備費を盛り込むことを決定した。今年三月の国会で石破防衛庁長官は、自衛隊が海外の「敵軍」基地を攻撃する能力を保有することについて「検討に値する」と述べた。
 九九年のユーゴ空爆では、米本土から出撃したB2ステルス爆撃機が空中給油機から給油を受けてノンストップで大西洋を超え、爆弾の雨を降らせた。空中給油機導入は、自衛隊が海を越えて海外を爆撃する能力を持つことであり、歴代自民党政府は導入しないことを約束していた。ところがその空中給油機が四機導入されようとしており、二年後には実戦配備されるのである。
 すでに防衛庁は今年度予算で、米軍がアフガン侵略戦争やイラク侵略戦争で使用している無人偵察機グローバルホークを上回る、地上二十キロ以上の高高度を飛行する高性能の無人偵察機の開発費を計上している。今年四月には、宇宙開発は平和利用に限ることをうたった国会決議(六九年)を踏みにじって、軍事偵察衛星を打ち上げた。
 日本帝国主義はこのように、自衛隊を本格的外征軍として抜本的に強化しようとする方向に突き進んでいる。〇四年度『防衛白書』は、それをあからさまに語っているのである。
(8月19日 松本龍雄)

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