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韓国はいま                      かけはし2004.03.22号

「高句麗は中国」説に反発強める韓国学界と政府

民族主義に民族主義で対抗すべきか


 2月4日午後、高麗大・仁川記念館、高句麗(コグリョ)史研究財団(仮称、委員長キム・チョンベ高麗大教授)の設立推進総会が開かれた。3・1節に合わせて発足するこの財団は、中国の高句麗史歪曲の動きに対応するために学界と政府が用意した国家的レベルの学術センターだ。昨年7月に初めて中国の「東北工程」についての消息が国内に伝えられ、年末に本格的に社会的イシューとなったのに比べれば、かなり素早い対応だ。

高句麗史研究財団をめぐる激論

 ところで「高句麗を取り戻そう」という動きの結実であるこの場では研究財団の性格や研究の範囲などをめぐって熱を帯びた攻防が繰り広げられた。まずは当面の懸案である中国の高句麗史歪曲に対する学問的究明に力量を集中しようという意見だが、これは高句麗史研究財団を主導している「中国の高句麗史歪曲対策委員会(共同代表チェ・グワンシク、ハン・キュチル)と「韓国古代史学会」(会長イ・ムンギ)などの学術団体が、このような立場を代表している。チェ・グワンシク高麗大教授は「中国の歴史歪曲において高句麗史が占めている比重は格別であり、高句麗史という言葉を抜いたなら研究センターを維持していく推進力を受け続けがたい」と語った。
 一方、これに対して東北アジアの歴史を包括する研究機関を設立し、今回の事態についての対応ばかりでなく東北アジアの未来までを包括する幅広い研究と対策の対案を準備しようとの意見が厳しく対立している。「アジアの平和と歴史教育連帯」(共同代表ソ・ジュンソク、イ・ナムスン、イ・スホ)や韓国近現代史専攻の学者たち、中国史、政治学者などは「中国の高句麗史歪曲は東アジア問題をともに苦悩する重要なチャンスとなりうるし、研究センターは東北アジア全体を念頭において対応戦略を模索する独立的機構となるべきだ」との声をあげている。
 この日の討論は結論を出すことができず、推進委は小委員会を構成して最終案を確定することで問題にしばしフタをすることにしたけれども、中国の歴史歪曲に対抗するために政府が毎年100億ウォンを支援することにしたこの機構についての論争は意外に溝が深い。
 「高句麗史研究財団」をめぐって展開されている激論は年初から東北アの諸国家間で激烈に展開されている「歴史」と「領土」をめぐる「戦争」の一つの断面だ。中国の高句麗史歪曲問題が進行形であるうえに、小泉純一郎日本総理が元日に靖国神社を電撃的に参拝し、日本政府が韓国の独島(日本政府の主張する竹島)郵便切手の発行阻止を要求するとともに独島の領有権を再び主張し、韓国国民の怒りをひき起こした。また1月15日は中日間で領有権紛争をもたらしている尖閣列島(中国名釣魚台)に上陸しようとしていた中国の漁民らを日本の海上保安庁が放水攻撃する事件も起きた。
 このような激烈な「戦場」で、三国のネット利用者たちは相手国の該当サイトを無差別攻撃してマヒさせる新たな「戦闘」を展開するとともに、国内では「高句麗は中国に奪われ、独島は日本に奪われ」、「第二の羅唐戦争」、「東北ア歴史三国戦争」式の危機意識が強まっている。

民族主義に民族主義で対応?

 この中で中国国務院傘下の社会科学院直属の辺境史誌研究の中心が国家の重点プロジェクトとして推進している「東北工程」は、高句麗史を韓国(朝鮮)史とは関係のない中国史の一部として取り扱うとともに、「現在の中国の領土内で活動していたすべての民族は当然にも中国人であり、中国の民族」だと主張する現代版中華主義だとする点から論争の核となっている。
 東北工程が伝えられると学界では「中国の高句麗史歪曲対策委員会」、「高句麗研究会」、「韓国古代史学会」などが学術会議や講演などに乗り出し、興師団や光復会など各市民団体も「高句麗史を守る汎民族市民連帯」を結成して1千万人市民運動を展開した。その渦中で最大の争点だった中国側の高句麗遺跡だけがユネスコ世界遺産に指定されるだろうとの危機感は、最近になって北韓(北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国)の高句麗遺跡との同時登載へと道筋は正されたものの、中国は東北工程を推進し続け中国・東北地方の高句麗遺跡に対する韓国人の接近を完全に封鎖するなど、火種はそのままだ。
 しかし最近の中国や日本の歪曲された民族主義に対して韓国もまた民族主義で対応しようとするのは問題がある、との声もずっと出てきている。
 結局、この問題は国際社会において説得力の得られる効果的な方法によって解決されなければならないし、「高句麗史は韓国のもの」という主張だけが繰り返されている「国内用」の研究だけでは解決できないのだ。また地域協力体の構成という世界的流れの中で韓・中・日が東北ア共同の歴史認識やアイデンティティーを作っていくためには東北ア史全体の歴史と未来という観点から高句麗史の位置づけ、韓(朝鮮)半島の役割などを包括的に考えようとの論議も活発だ。
 イ・シンチョル歴史問題研究所研究員は「中国は東北地域の整備とともに、あらかじめ韓半島統一以後の国境地域の不安の可能性に備えて東北アでの日本との主導権競争、米国との競争関係までも念頭においた現実論理として東北工程を推進している。また日本の歴史歪曲や右傾化もまた同じ枠内で進行している」と指摘する。
 したがって「この問題は高句麗研究だけを熱心にしていて解決はできないのであり、東北ア史という広い枠内において韓日、韓中関係、政治・外交問題、統一以後の国境紛争、変化している世界体制の中で韓半島の位置など多様な諸問題をともに検討し未来にまで備えつつ解決していかなければならない」と言うのだ。
 このような主張をしている人々は、高句麗問題が吹き出せば急いで高句麗研究財団を作り、渤海問題が出てくれば再び渤海研究財団を作り、ロシアと紛争が生じればまた別の財団を作るというのではなく、韓国史、中国史、日本史、政治学、外交学など多様な研究者や市民団体関係者らが参加して総体的な研究をしなければならないと提案する。また高句麗史や独島問題が三国内の閉鎖的な民族主義の衝突へと流れる可能性をも警告している。
 ユン・フィタク東亜大教授は「歴史批評」冬号で「『学問的突然変異』である東北工程が周辺諸国家から歴史的当為性を得る可能性はほとんどないし、東アジア共同体の実現という時代的要求に冷水を浴びせかねない。いまや日本の右傾化にも劣らず中国の国家主義にも目を向けなければならない。だがこの時点でわれわれも節制のない『愛国的』行為によって対応するなら、また別の葛藤をひき起こして問題をさらに難しくしてしまうだろう」と語った。
 また設立準備中の高句麗史研究財団が多様な分野の学者たちの参加を排除し、政府が短期間に成果を挙げるとして欲張るとともに、ややもすれば莫大な政府予算を念頭においた予算の分捕り合戦、学派らの間の学閥主義的勢力争いへと流れる危険もある、との指摘も出てきている。

ともに生きていく方向を模索すべき

 一方、今回の事態は「東アジア諸国の民族主義的衝突へとつながるとともに東アジアの共同体という構想は挫折したのか」という大変な問いも投じている。
 国内で「東アジア共同体論」の座長格のペク・ヨンソ延世大史学科教授は「今回の事態は経済的な東北ア共同体は比較的簡単に実現できるけれども、国家的『偏見』を超える認識や疎通の共同体は考えているよりも道は遠いということを見せつける『障害物』であり、一種の『予防注射』だ。このような問題が噴き出るたびに再び過去に舞い戻るかのような危機も感じるが、以前であれば民族史を強調する声ばかりがあっただろうが、いまは東アジア的観点からこの問題を解こうとの声も相当に力を得ており、悲観的にばかり考えることはない」と語る。
 ペク教授はまた「高句麗についての文献や考古学資料の大部分は中国が持っているのが現実だ。高句麗史を本当に『守ろうとするのであれば』中国、台湾、米国、日本の学者たちまで参加させて共同研究や学術大会も開きつつ研究成果を共有し、共同の対話のワクを作ることに韓国が主導的な役割を果たさなければならない」と提案した。
 「事態がこうまで大きくなったのは中国の急速な経済発展に伴った中国脅威論が韓国人らの潜在意識を刺激し、歴史が過去の問題ではなく現在と未来の危機となったからだ。そうであればあるほど東北アの諸国家が、急変する国際的環境の中で相ともに生きていく方法を苦悩すべきだ」というのだ。(「ハンギョレ21」第496号04年2月19日付、パク・ミンヒ記者)


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