難民売り渡しに抗議し法務省に向け要請行動
八月二十日、クルド人難民二家族(カザンキラン家・ドーガン家)、ジャマルさんを支援する会など難民問題で活動する個人・団体が「難民売り渡しに抗議し、強制送還の取り消し」を求める要請行動を法務省に対して行った。午後四時に、法務省前に五十人が横断幕やピース旗を持って集まった。
送還されたら極刑の危険が
トルコ国籍のクルド人難民二家族十二人は、地方裁判所が下した難民認定申請却下という判定に対し、七月十三日から、国連難民高等弁務官事務所のある渋谷の国連大学前で、難民認定を求めて座り込みを続けている。この家族は八度も日本政府に難民申請を却下された。難民認定がないと、第三国にも出国できない状態に置かれている。
法務省は、クルド人難民二家族の認定申請者の五人の名前をトルコ治安当局に教えたり、法務省役人がトルコの軍や警察関係者を伴ってトルコを訪問したりした。この法務省の行為は明らかに、国際基準に反する許し難い行動である。もし、この家族がトルコに送還されれば極刑を受ける危険が生じている。
また、四月十五日、イラン人難民ジャマル・サーベリさんは東京地裁の執行停止の決定を受けて牛久収容所から解放されたが、四月二十二日に、法務省・入国管理局が不当にも東京高裁に抗告し、再収容を企んでいる。
こうした、難民のおかれている緊迫した状況のなかで、法務省への緊急要請行動が取り組まれた。
行方不明になった送還者も
参加した団体や個人が次々とアピールした。
「すべての難民に人権を。法務省は人権を守れ。ビルマの人に本当の自由を与えろ。法輪功に本当の自由を与えろ。長期収容をするな。医療の保証を。暴行するな。現地調査をやめろ。難民条約を守れ」。
イラン人難民のジャマルさんは「この間、イラン人六人が強制送還された。そのうちの三人は行方不明になっている。もしかしたら殺されているかもしれない。法務省のやり方は人権を無視している」と批判した。
こうしたアピール活動の後、難民を支援する人たちが法務省の中に入り要請文(別掲)を手渡すことになった。最初、法務省側は身分証明書の提示を要求したり、人数を三人にしぼるように言ってきた。参加者全員の強い要求によって、身分証明書の提示を撤回し、要請者も四人になった。
要請について、法務省は「裁判にかかっているからとか、個別に状況について答えられない」と不誠実な対応に終始したと怒りの報告があった。
難民政策の根本的転換を
二〇〇三年に、難民認定申請者は六百五十四人だが、認定を認められたのはたったの十人だ。迫害から辛うじて逃れて難民申請をした人々、日本滞在中に帰国すれば危険になって難民申請をした人々が、日本で長期に収容所に拘禁されている。収容された難民は、いつ送還されるか分からない不安が高じ、カッターナイフの刃を飲んで自殺をはかるなどする人も出ている。法務省の難民政策を転換させ、強制送還の危険にさらされている難民を救おう。 (M)
クルド人難民二家族の難民認定を求める座り込み行動
国連大学 住所 東京都渋谷区神宮5-53-70
(JR渋谷駅から徒歩8分。地下鉄表参道駅出口B2(銀座線、半蔵門線、千代田線乗り入れ)から徒歩5分)
クルド人難民ジャマルさん再収容を止めよ!
東京高裁へ抗告棄却要請のハガキ、FAXを!
要請先:東京高等裁判所第一民事部 Tel:03-3581-5411/Fax: 03-3503-3997
東京都千代田区霞ヶ関1―1―4
第3回公判 9月6日(月)午後1時30分〜 東京地裁606号法廷(地下鉄霞ヶ関駅A1出口からすぐ)
要請文
トルコ政府へのクルド人難民の情報漏洩、共謀調査弾劾!
「難民鎖国」政策、収容政策を転換し、国際難民条約に基づく難民保護政策に転換することを法務大臣、法務省入国管理局に要請します。
1、トルコ政府へのクルド人難民の個人情報漏洩、共謀調査について、全容の解明・公表、類似事件全体の調査・公表、当該関係者、在日の難民・難民申請者全体への謝罪、法務省入管当局は責任を明らかにすること、同様の事件を二度と起こさないことを確認すること、こうした信じがたい難民売り渡し政策を生み出した難民政策・入管政策を根本から転換すること。以上を緊急の課題として要求します。
2、難民不認定を基本とする「難民鎖国」政策を転換すること。帰国による迫害の危険がある難民申請者について、速やかに難民認定すること。
3、従来の難民政策に基づく強制送還政策の中止・転換。現在の送還対象者の送還を即時停止すること。
4、難民申請者の収容政策を止めること。収容政策の転換をはかるまでの間、現在の収容者を仮放免し、仮放免中の者は更新すること。難民申請者の生活・生存を可能にするための、在留権保証、就業保証、住居確保などの最低保障を直ちに行うこと。
5、「迫害の危険はない」と難民認定を拒んで送還した難民申請者全員の追跡調査。その情報公開。
6、私たちは、この二十日の行動に直接・間接に参加し、また連帯している難民やその支援運動の要求を支持し、その実現を法務省入国管理局に要請します。
呼びかけ人であるクルド人難民カザンキラン家、ドーガン家、ジャマル・サーベリさんの難民認定や再収容中止をはじめとする要求実現を申し入れます。
以上を、法務大臣、法務省入国管理局に要請します。(要請文要旨)
「地域防犯」?「コラム架橋」の記事が現実に――
交番が「住民連絡所」として運用開始
今から二年前の九月、本紙のコラム欄に掲載されたフィクション小説の内容の一部が、いよいよ現実のものとなった。
先月末、読売新聞の夕刊を開いた私の視線は、社会面の大きな記事に釘付けになった。東京・品川区と杉並区で、派出所が地域の防犯拠点として住民に活用されるというのだ。その名もズバリ「住民連絡所」。二年前に紙面が予測したものとまったく同じだ。
S氏のフィクションコラムに登場する「連絡所」は、あくまで警察主導の監視機関をイメージした。
今回の記事は、警察側からの「交番改造」というより、「警察官不足(増強しているではないか!)と、地域の防犯体制構築のニーズが一致した」という偶発的なトーンで書かれている。
ならば警察は「交番開放」に消極的だったのか。読売の記事の最終部分に、ことの本質が如実に示されている。
いわく、「PTAや地域の人たちは、警察が把握していない不審者、変質者の情報も持っている。警察、住民、行政が協力して補完しあい、治安を守るモデル地域になれば」。
これを「期待している」のは、ほかでもない。警視庁から自治体に出向した地域安全担当課長なのだ。課長といえば「警部〜警視」クラス。現場指揮の要となるポジションである。
「警察が(住民情報を)把握していない」などというのは大ウソだが、住民を相互に監視させ、「変質者」をねつ造し、密告を奨励するシステムが造られていくことに変わりはない。
すなわち、「挙動不審」な個人、市民運動団体や関係者、社民党員、共産党員から新左翼党派にいたるまで、その動向を把握するには、地域住民の協力が不可欠であり、今回はそのための物質的な便宜を図った、ということだ。本来の刑事案件としての「地域防犯」はその副産物、というのが彼らの本音であろう。
警察の悪行は枚挙に暇がない。
組織的な領収書偽造・裏金作りに始まって、痴漢行為、下着ドロ、証拠隠滅。
最近では、交番の中で被害者に暴力行為を繰り返した暴力団員が無罪放免。われ関せずとばかりに警察官に見逃されてしまった。
九五年三月に起きた「警察庁長官狙撃事件」で今回警察は、オウム元信者を突然逮捕したかと思えば、処分保留で釈放した。「叩けばほこりが出る」とでも踏んでいたのであろう。公安主導の強引な見込み捜査は、宿敵たる刑事部からも冷笑を浴びた。踊らされたメディアは一転して、横並びで「誤認逮捕」を非難した。
この変わり身の早さにもあきれるばかりである。
事件当時、オウム信者に対してはすさまじい別件・微罪逮捕が横行した。交差点や路地での「一時不停止」や、引越しによる「免許証不実記載」など、考えられる限りのあらゆる微罪が利用された。
肝心なことは、公安部と刑事部がいくら不仲だからといって、人民監視・弾圧の度合いが軽くなったり弱くなったりはしない、ということである。むしろ双方による重複攻撃が繰り返されるだろうし、情報の整理や共有も、今後さらに合理的に行われるであろう。「地域住民の活用」は、そのための基本行動、なくてはならない定石なのである。
地域の自主的防犯対策に、警察の介入は要らない。「防犯」に名を借りた治安弾圧強化、運動つぶしに、警戒を怠らず、反撃を組織していこう。(S)
コラム
五輪騒ぎと贈収賄疑惑
アテネ五輪で騒いでいる場合ではないだろう。「北島康介応援団長」を自ら名乗り出て、区民ら総勢三百人でアテネ現地に乗り込んだ東京・荒川区の藤沢区長。五月には高橋助役が収賄疑惑で警視庁に逮捕されたばかり。ところが捜査二課のそもそもの標的は、区長本人の収賄疑惑だったのである。
高橋助役収賄事件の概要はこうだ。〇二年度の土木公園課の本来の健康器具設置予算二百万円を、財政課はあえなく削除する一方、贈賄業者E社の製品導入を想定した千五百万円を、助役の指示で急きょ予算化した。四月以降の新年度予算を無理やり年度内三月に組み込んだだけではない。「荒川遊園地改装」に使うはずの補正予算の一部まで流用していたというから強引だ。そして入札から工事完了まで、わずか二週間足らずという架空の工期を記載して提出。助役は業者社長から現金百五十万円を助役室で受け取っていたという。
さて水泳で金メダル二個を獲得した北島康介。メディアは地元荒川区民の歓喜ぶりをまことしやかにタレ流すが、北島自身は小中学校とも文京区出身。荒川区には実家の精肉店があるだけで、通った高校と水泳クラブも豊島区にある。彼の活躍で盛りあがっているのは、あくまで区長周辺。各種区民賞の押しつけや施設無料開放はまだ許すとしても、区営スポーツ施設を「北島康介記念プール」と命名するのはやりすぎだ。当の北島本人が「アテネが終わるまでは……」と区内祝賀パレードを辞退したのも、前記の事情があるからだろう。隣接区のほうが教育レベルが高いことは広く知られており、越境入学が絶えないというから、行政が商品価値抜群の「北島獲得」に躍起になるのも無理はない。
助役逮捕後、八月一日付けで庁内人事異動が発令された。在任四カ月足らずの異例の異動は、事件関係者の証拠隠滅をねらったものか。当の区長にも浮かび上がる贈収賄疑惑。「彼の就任以降、区施設の企業への貸し付けや、無償貸与が増大している」と指摘するのは議会第三党である共産党区議団。その内容は、本来区民が有効利用すべき貴重なものばかり。さらに調査すれば出るわ出るわ、区長関係者と業者の不自然なゆ着の数々が……。
先の「男女共同参画基本条例」をめぐっては、自ら指名した「つくる会委員」の期待に反し、やむなく提出を取り下げた藤沢区長。会長の林道義はHPで区議会公明党攻撃に懸命だ。そして「歴史ねつ造教科書」の採択が都教委で強行された。都立新設校で来春から使用される。都知事石原腹心の委員たちは、都庁を取り囲む抗議の嵐のなかで目的を遂行したのだ。地域からの闘いと行政への監視は、今後ますます重要だ。 (隆)
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