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第二次小泉改造内閣の加速化する攻撃            かけはし2004.10.11号

「郵政民営化」と改憲・戦争国家化の阻止へ広範な陣形を


小泉「構造改革」
と忍びよる危機

 九月二十七日、第2次小泉改造内閣が発足した。小泉首相は、昨年の総選挙で落選した「盟友」山崎拓・自民党元副総裁、退任した川口順子前外相を首相補佐官に据え、竹中平蔵経済・財政相を新設の郵政民営化担当として留任させ、さらに衆参両院選挙での敗北の責任をとって辞任した安倍晋三自民党前幹事長を「幹事長代理」として党運営の事実上の中枢に置いた。自民党・内閣のこの体制は、「郵政民営化実現内閣」と自称しているように、「郵政民営化」を政権の生命線として貫徹しようとする小泉首相の意思を打ち出したものである。第2次改造内閣の形成過程は、既得権にすがって「郵政民営化」に抵抗する自民党内の多数派に対して、首相権力を行使して政局のイニシアティブをあくまで掌握しようとする、自らの面子をかけた小泉の挑戦状でもあった。
 日歯連の不正献金問題が最大派閥の旧橋本派を機能マヒに追い込んだことに示されるように、旧来型の「政官財もたれあい」による利権配分に依拠した自民党内の派閥構造は、グローバル資本主義の「規制緩和」と市場開放・民営化の圧力の中で急速に衰退している。小泉は、こうした自民党旧「抵抗勢力」の危機を利用しながら、「長期政権」の維持をはかっているのであり、それを支えているものこそ新自由主義的「市場原理主義者」たる竹中の背後にいる、グローバル資本主義の利害を代表した日本経団連などの大ブルジョアジーの意思である。
 第2次小泉改造内閣は、日本経団連などの大ブルジョア支配階級の主導権の下で、グローバルな競争戦を生き延びていくために、「自立自助」イデオロギーに支えられた福祉・教育などの分野の自由市場化を通じて、「平等」原理の残滓を最終的に切り捨て、大幅増税によって資本の「負担」を最小限に軽減し、労働者の賃金・雇用をいっそう破壊する攻撃にうって出ようとしている。「郵政民営化」の最大の目的が個人金融資産の四分の一に上る三百五十兆円の郵貯・簡保資金を民間部門に流すことによって、国境を超えた多国籍企業間の競争戦に資そうとするものであることは、あらためて指摘する必要がないほど明らかである。
 しかし、グローバル資本主義の危機は、新自由主義的「構造改革」による「経済活性化」の展望を不断に直撃する。イラク・中東情勢の悪化、アフリカ最大の産油国ナイジェリア情勢の不安定などさまざまな複合的要因によってニューヨーク市場の原油価格は、九月二十七日についに一バーレル=五十ドルの大台を史上初めて突破した。
 すでに「次は六十ドル」との声も出始めている。それは確実に「二十一世紀のオイルショック」の到来への不安をかきたてており、「好況」とされているアメリカ経済の突然の失速と危機をも予測させている。それは世界資本主義、とりわけ十月一日発表の九月日銀短観(企業短期経済観測調査)で、大企業・製造業で「バブル後最高」の景況感を記録したとされる日本資本主義を深刻な影響を与えざるをえない。
 小泉の新自由主義的「構造改革」路線の足場が再び揺らいでおり、イラク・中東情勢の不安定化が拡大することは、世界資本主義の新たな危機をいっそう手元に手繰り寄せることになるであろう。

改憲断行布陣を
突き崩す闘いを

 郵政民営化を新自由主義的「構造改革」の「本丸」に位置づけた第2次小泉改造内閣のもう一つの「顔」は、ブッシュのイラク侵略戦争と植民地主義的占領支配への支持、自衛隊イラク派兵・「多国籍軍」参加をテコに進められる、帝国主義のグローバル戦争に参戦するための「戦争国家」体制の構築と憲法改悪プロセスのスピードアップである。九月二十一日の国連総会演説で、小泉が強力に訴えた日本の「国連安保理常任理事国入り」の願望が、アメリカ帝国主義のバックアップの下に集団的自衛権を発動し、憲法改悪を断行する方針と一体のものである。
 新内閣の町村信孝外相、大野功統防衛庁長官は、いずれも国連憲章や国際法に違反しているとアナン国連事務総長が明言したイラク侵略戦争を支持し、この戦争が「国連安保理決議」にのっとったものだという詭弁を弄している。パウエル米国務長官すら「大量破壊兵器の脅威」という開戦の口実が「不正確な情報にもとづくもの」であったと認めているにもかかわらずである。
 大野防衛庁長官は、集団的自衛権の行使が違憲であるという一九八一年の政府答弁を公式に撤回し、憲法解釈を変更するよう主張すると同時に、憲法改悪によって集団的自衛権の行使を明文的に確定することを望ましい、と語っている。こうした憲法改悪・「戦争国家」化へのシフトは、昨年成立した武力攻撃事態法などの有事3法、今年の通常国会で成立した国民保護法など有事7法をはじめとする、戦争法体系の制度的確立に支えられた、国家・社会の軍事的再編と一体のものである。
 ついに九月十七日には国民保護法が施行された。さらに同日、武力攻撃事態法にもとづいた戦争協力の義務を負う「指定公共機関」に、NHK、民放、赤十字や国立病院、バス・鉄道・航空・海運などの交通運輸業や道路公団、成田空港、NTTなどの電気通信産業、電力・ガス会社など百六十法人が指定された。また「有事」を想定した「住民参加訓練」を来年度に実施される計画も発表されている。
 そしてこうした「戦時体制」の構想は、教育基本法改悪や自民党の改憲プロジェクトチームの「論点整理(案)」に端的に表現される国家主義的「愛国心」教育、国民の「心」の支配による「国家に奉仕する人間づくり」とセットになっている。それはたんに9条の改悪にとどまらず、基本的人権、個人の尊重、自由と平等といった民主主義の根幹にかかわる攻撃であり、グローバル資本主義の下での社会的崩壊の進行を「国家」の下への統合で弥縫しようとする意図を持ったものである。東京都教委による「日の丸・君が代」処分の乱発、「新しい歴史教科書をつくる会」教科書の採択、「ジェンダーフリー」規定の排除などは、この攻撃の先端に位置している。

沖縄の闘いを支援
し派兵を止めよう

 新自由主義的グローバリゼーションに対応した社会・経済再編と戦争国家化を進める小泉第2次改造内閣に正面からたちはだかっているのが、辺野古海上基地建設のためのボーリング調査阻止闘争、七月参院選での糸数慶子野党統一候補の勝利、八月の米軍ヘリ墜落炎上事故を通じた普天間基地即時返還・「県内移設」反対の闘いを通じて、「対テロ」戦争のための米軍基地のグローバルな再配置(トランスフォーメーション)と対峙している沖縄民衆である。世論調査によっても、沖縄県民の八〇%が普天間基地の即時全面返還のみならず「県内移設」=名護新基地建設に反対している。
 われわれは、高里鈴代・野党統一候補を擁立した十一月の那覇市長選をふくめた沖縄の反米軍基地闘争の支援のために全力をつくすとともに、十一月に予定されている仙台空港からのイラク第四次自衛隊派兵、十二月十四日に期限切れとなるイラク特措法にもとづくイラク派兵の延長を阻止する闘いに取り組んでいこう。
 九月十七日から十九日までレバノンの首都ベイルートで開催された反戦・反グローバリゼーション国際戦略会議は、イラクとパレスチナからの五十人以上の代表の参加をふくめて五十四カ国から二百七十人の人びとが参加し、反戦・反グローバリゼーション運動とイラクとパレスチナの反占領抵抗闘争が、ともに出会い、討論し、連携を深めていくための歴史的な場となった(本号6・7面参照)。十月十三日、十四日に東京で開催される「多国籍軍」の占領とカイライ政権を正当化する「イラク復興支援国会議」への抗議をはじめ、イラクの反占領闘争、民主主義的主権を求める闘いと連帯し、自衛隊のイラク派兵を止めよう。
 反戦・平和運動の裾野を拡大し、憲法改悪阻止を阻止する全国的陣形を築き上げよう。
(10月3日 平井純一)                             


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