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 日韓草の根交流を広げる講演会                かけはし2004.10.25号

資本主義のグローバリゼーションと対決する国際連帯闘争を


 十月一日、東京・後楽園会館で「胎動する韓国社会と労働運動の『いま』―日韓草の根交流を広げる講演会10・1東京集会」が同実行委員会での主催、東京全労協後援で開かれ、二百人が参加した。この交流会は北海道、東北、関東、東海、中四国、九州など十一カ所で行われた。
 集会の冒頭、樋口篤三さん(元『労働情報』編集長)が病気を押して熱烈なあいさつを行った。
 「私の『労働情報』時代は毎号のように、韓国民主化闘争との連帯の記事をのせた。それほど熱い連帯の時期があった。韓国の労働運動は、プリパの歌の歌詞のように、ひざを屈して生きるより、共に生き、共に死のうという捨て身の闘争がすごい。六〇年四月革命は、当時の日本の三池闘争や安保闘争に非常に大きな感銘を与えた。八〇年光州事件の後、金大中氏に死刑判決が下った。日本では連帯ストを呼びかけ自治労が二十九分間ストを行った。大東亜共栄圏の再来の東アジア共同体ではなく、労働者階級のための東アジアをめざそう」。
 続いて、東京全労協押田五郎議長が日本の労働運動の現状と政治情勢について報告し、韓国労働運動との連帯を訴えた。
 そして、全国で講演・交流を行ってきた劉徳相さん(ユドクサン、民主労総元副委員長、公共部門労組代表者会議委員長)は、「胎動する韓国社会と労働運動の『いま』」と題する講演をユーモアに満ちた口調で怒りに満ちた闘いの報告を行った(別掲)。
 講演の後、ATTAC・ジャパンの秋本陽子さんが「六月、ソウル行動に日本から百余人が参加し、連帯の行動を行った。これはインド・ムンバイの社会フォーラムでの呼びかけを実現したものだ。実際の行動を積み上げていくことが重要だ」と訴えた。続いて、木下武男さん(昭和女子大教授)が「@若者・女性・低所得者を基盤とし、個人加盟で、労組としてではなく、運動体としての組織化など新しい労働運動の可能性に大胆に挑戦すべき」とする提言を行った。
 集会は劉徳相さんの戦闘的で非妥協的な韓国労働運動の歴史の紹介に、圧倒されるものがあり、その熱気を日本でも実現したいと思わせる有意義な講演会であった。(M)

劉徳相さんの報告から
韓国における労働者の闘いの歴史と「いま」

困難な局面と韓国労働運動

 韓国ではかつて、労働界は人気がなかった。それには三つの原因があった。
 @文化的に働くことがいやしいとされていたA教育の問題がある。教育で労働法が重要な問題であることを教えてこなかった。連帯ではなく、競争を押しつけたBマスコミの問題。鉄道や病院ストを困ったものだと報道してきた。
 ところが、五年前に大韓航空のパイロットが労組を作りストを行った。世の中を変えようと自分たちの権利を勝ち取った。そうすると社会の考え方が変わった。労組運動が社会にとって進歩だと考えるようになった。このように、社会の変革・発展につながるような意識を変えることが重要だ。
 そのためには何が必要か。それは運動だ。運動は@組織A宣伝B学習である。そして、武器は使わなければサビてしまう。私はストの現場によく行くが、闘いは楽しくなければ勝利できない。韓国労働運動は「情熱的で、怒りが高い」と言われる。昨年九月三十日にノ・ムヒョン大統領と会ったとき、大統領は「あまり戦闘的ではダメだ。労働運動が変わらなければならない」と言った。いま、韓国労働運動は困難な時代に入っている。それは資本が戦闘的で、労働者から搾り取り抑圧的だからだ。

民主労総の結成で新局面へ


 七〇年代は非常に厳しい時代だった。反共法があり、アカのレッテルをはり、連座制により家族まで弾圧した。そんな中で、七〇年に起こったチョン・テイルさんの焼身抗議闘争は抵抗闘争の端緒を作り出した。この時代の特徴は@女性労働者が中心の運動であり、男性管理職を中心とした男性たちと衝突したA宗教団体が労働運動を支えた――であった。
 そして、七九年のYH貿易などの闘いと光州蜂起、全斗煥の軍事独裁の時代へと入った。全斗煥時代は逮捕状もなく、活動家を三清教育隊に強制入所させた。二百あった団体の三分の二がなくなるほど徹底的な弾圧を受けた。それでも、鉱山労働者が決起した。その闘争は敗北したが学生活動家たちが労働現場に入れば活動ができることを確信させるものだった。三千人の労働者がソウルやインチョンの労働現場に集中的に入った。
 これがやがて一九八七年の六月大抗争に結びついた。この時はまさしく、革命的であった。二十年間の争議件数より多かった。八月には、七百五十のストがあり、従業員千人以上の事業所の七五・五%にあたる。この時は、労組活動がもともと不法なので、ストをしてから交渉した。現代重工の労働者の要求は賃上げではなく、「人として扱え。髪の毛を伸ばすこと認めよ、朝の体操を無理にやらせるな」というものだった。最初は二万人のデモだったが、催涙ガス弾を発射して警察が弾圧したので、労働者はダンプや機械を先頭に立てて、立ち向かった。家族も合流してデモ隊は六万人にもふくれあがった。警察を追い出し、労働者の要求を認めさせた。民主労総の組合はすべて当時に作られ、それから質が量に転化した。

八〇年代の弾圧と九〇年代の反撃

 一九八八年、チョン・テイル追悼労働者大会には五万人が集まった。横断幕には「労働解放」と書いた。一九九〇年に、全労協を作ったが、ひどい弾圧を受けた。労組役員は次々と逮捕され、組合員が半分になった。中央委員会を開いたら全員逮捕された。仕方なく、刑務所の中で中央委員会をやった。九五年に民主労総を結成した。それは本当に感動的でうれしかった。弾圧はずっと続いた。
 九五年金泳三時代に、新自由主義グローバリゼーションという怪物が立ちはだかった。それは労働市場の柔軟化と言われた。@解雇が自由にできるA非正規雇用(労働の不安定化)Bストを認めない。九六年、労働法改悪に三百五十万人ストで闘い、政府を屈服させた。民主労総はこの闘いで確固とした地位をかちとった。社会の変革の主体になった。
 九八年アジア経済危機は、韓国をも襲った。首切りがあり、失業者があふれ、野宿者になっていった。孤児院に入らざるをえない子どもたちがたくさん出た。社会が富める者と貧しい者とに両極化し中間層がなくなった。一日八時間労働の概念がなくなった。にらまれれば首になる。
 世界の労働運動は一九四五年から一九七〇年代まで力を持っていた。ロシア革命以後、世界の三分の一が「社会主義」になった。資本主義国の労働運動も力をもち、福祉国家にもつながった。一九六八年革命、階級闘争が発展した。労働者の待遇がよくなり、団体交渉のシステムができあがった。社会保障制度が確立し環境、性の問題などでも前進した。
 オイルショック以後、資本が反転攻勢をしかけた。新自由主義がつくられた。株主資本主義やカジノ資本主義とも言われる。株主資本主義は利潤を求めて企業に投資する。企業を経営する最高責任者はいつでも首を切られる。経営者はそのために、減量経営を行わざるをえない。費用を減らしリストラを行い下請けに出す。雇用は不安定になる。
 情報通信の発達は投機資本家がクリックするだけで莫大な利益を得ることができるようになった。労働現場から撤退し、産業集約型から金融に移っていく。労働の柔軟化がもっと進むようになっていく。生産様式の変化が起こる。夢の生産方式だという。日曜日に機械を休ませ、労働者は休んでいるのに給料を払う必要はない。電話とコンピューターだけで計画ができ、銀行からカネが借りられる。機械はリースすればいい。人はどうするか、人もリースすればいい。派遣労働者がいるではないか。すべてうまくいく。それでもうかる。これが現代の資本主義だ。競争は世界的レベルで激化する。
 このグローバリゼーションの動きと対決できるのは国際的連帯闘争のみだ。民衆の連帯のために先頭になって闘ってゆきたい。(講演要旨、文責編集部)


労働権、生活権、環境権、人権破壊の
日韓FTA交渉にNO!
「韓国民衆遠征闘争団」と連帯し、日韓共同闘争の実現を


 日韓両国政府は、さる八月二十三日から二十五日の三日間、韓国・慶州(キョンジュ)において日韓FTA第五回交渉を強行しました。これに対して、私たちは東京と慶州において日韓FTA交渉反対の抗議行動に日韓共同して取り組みました。とりわけ、現地・慶州においては民主労総をはじめ韓国の労働市民社会団体八百名余の人びとが「韓日FTAが労働者民衆の権利を奪う!」と抗議行動に参加して交渉の中断を訴えました。
 日韓FTA交渉では、資本の自由な移動を保障するするために、その障害となるあらゆるものを関税障壁もしくは非関税障壁と捉え、その撤廃を検討しています。その中で、日本経団連や韓国に進出する日系企業の集団ソウルジャパンクラブ(SJC)の強い要請を受けて、日本政府は日韓FTA交渉において、韓国の活発な労働運動を非関税障壁と捉え、これの撤廃、つまり韓国労働運動を抑制・弾圧する条項を盛り込むことを検討しています。
 また、日韓FTA交渉には、WTOで検討され問題視されている多くの議題が含まれ、またWTOにも持ち込まれていない危険な議題が検討されています。農業分野では、日韓ともに食料自給率が低下している中でのFTAの実施は、両国民衆の大切な食料生産基盤をいっそう悪化させます。消費者の立場にたっても、「貿易の迅速化」の名分で行なわれる相互承認制度(MRA)の導入や衛生植物検疫(SPS)措置、食品規格委員会(コーデックス委員会、CAC)基準の導入などは、人の健康や食の安全を脅かす可能性があります。
 このように、「自由貿易の促進」の名の下に、私たちの大切な労働権・生活権・環境権・人権を破壊する協定が、私たちに公開されることなく密室で検討されているのです。
 次回の第六回日韓FTA交渉は、日本政府発表によれば十一月一〜三日にかけて東京で行なわれます。民主労総と韓国の市民社会団体は、この第六回交渉に対して「日韓FTA阻止韓国民衆遠征闘争団」を組織し、七十名以上で大挙、日本にやってくる計画をしています。
 私たちはこの遠征闘争団の受け入れと、第六回交渉に対して反対行動を準備していくために、「日韓FTA交渉に反対する十一月日韓共同行動」実行委員会を立ち上げ、日韓の労働者民衆が共同して十一月の日韓FTA第六回交渉に反対していく行動を起こすことにしました。
 資本のグローバリゼーションが世界を覆い、侵略戦争と構造「改革」の嵐が吹き荒れる今日の世界のありように、日韓労働者民衆が共同して大きな声で「NO!」の声をあげ、日韓FTA交渉の中断を訴える取り組みにしたいと考えています。「日韓FTA交渉に反対する十一月日韓共同行動」に皆さまのご参加・賛同をいただきますよう、よろしくお願いいたします。04年10月1日
「日韓FTA交渉に反対する11月日韓共同行動」実行委員会
【連絡先】東京都台東区上野1―1―12新広小路ビル6F全統一労働組合気付 中小労組政策ネットワーク内(TEL/FAX 03―5816―3960)
郵便振替口座:00290―7―53417(日韓投資協定NOキャンペーン)
【闘争日程】
11月1日(月)午前7時半〜日韓FTA政府交渉阻止行動
11月2日(火)午前7時半〜日韓FTA政府交渉阻止行動/日本経団連・外務省抗議行動/午後6時半〜日韓FTA反対!日韓労働者民衆共同集会・デモ(東京渋谷・宮下公園)
11月3日午前7時半〜日韓FTA政府交渉阻止行動/午後1時半〜国際コメ年NGO国際シンポジュウム(文京区民センター)/午後1時〜「持たざる者」の連帯行動・デモ(恵比寿区民会館)


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