| 米帝の北朝鮮への新たな政治介入反対 かけはし2004.11.01号 |
北韓人権法は「人権」を仮装した体
制崩壊に向けたシナリオに過ぎない |
米国の現地時間で10月4日、「北韓人権法(North Korean Human Rights Act of 2004)が米上院を通過した。今年3月にジム・リーチ(共和、オハイオ州)下院国際関係委アジア太平洋小委員会委員が下院に上程した後、1年も経たずに起こったことだ。この間、韓国国内の人権・平和運動陣営は、この法案は人道主義を仮装して米国の覇権主義を強化する手段となるだろうとして反対の意思を強く示してきた。米国は、すでにキューバ自由・民主連帯法(98年)、イラク解放法(98年)、民主主義法(03年)を作り、自国の利益のための侵略と圧迫の刃として使用してきた経過があるからだ。
この間、人権・平和の諸団体が指摘したこの法案の問題点を探ってみよう。この法案は「北韓(ノース・コリア)住民らの人権が米国と北韓、東北アジアの他の関連諸国との間の未来の交渉において主要な要素として残らなければならないというのが議会の意見」だと語っている。これは北核と関連した6者会談のように、すでに進行中の韓(朝鮮)半島の平和への努力に大きな障害物として作用すると指摘した経過がある。
また北人権法は「(米国)大統領は北韓内の市場経済の発展や法治、民主主義、人権を向上させる諸プログラムを支援するために民間非営利各機関(NGO)に補助金を支給できる」と規定している。北の人権と民主化は増進されて然るべきだが、人権を普遍的に実現するための手段としての政治・経済体制は北の住民らが自ら決定すべき領域であって、外部の行為者が北の体制の変化を企てるのは主権国家に対する内政干渉的性格を帯びざるをえない。
北韓人権法案の第2条は、対北人道的支援について扱っている。透明性、監視度、脆弱な階層に対する接近度などの向上を条件として課し、対北支援を提供する他の諸国にもそうするように勧告しなければならないと規定する。人道的援助が透明な過程を経て最も脆弱な階層に支援されるべきことは当然だが、法律を通じてこのような条件を課すことは、北の住民が切実に必要としている人道的援助の提供に妨害となりかねない。
さらに第3条では北の住民らが、韓国の憲法によって享有している韓国民となることのできる法的な権利のゆえに、米国内で難民の地位や亡命資格を得ることにおいて妨害を受けないと規定し、米国が脱北者を受容するための法的な根拠を作っている。だがこれは米国が自らの同盟国だとする韓国の憲法とは深刻に相反する。またいまも外交的に大きな問題となり、北の体制を少しずつ崩している「企画脱北」と脈が通じていて大きな論難となっている。
特に法案は脱北者ならびに支援諸団体に4年間、毎年2400万ドル(約270億ウォン)を支援すると明記し、「人権」を押し立てて北との対決の構図を作っている反北、親米の諸団体にこの上ない支援として作用するだろう。
米国は一方では核問題によって北韓を脅し、また他方では「人権」を武器として体制の息の根を締めあげている。米国の介入主義の典型的な姿を示している「北韓人権法」の背後には全国民主主義財団(NED)がいる。最近のベネズエラのチャベス政権に対するクーデターにも介入したNEDは、83年にロナルド・レーガン政権の時に設立された。CIAが数十年間、隠密裏に行ってきていたあらゆる不道徳な諸活動を、「民間」団体の外被をかぶり公々然と行っていくというのがNED設立の構想だ。
NEDは80年代のイラン・コントラ・スキャンダルの当時、ありとあらゆるスキャンダラスな諸活動に関係していた、オリバー・ノースの「民主主義プロジェクト」の核心的な財政支援所であって、80年代のフィリピンの左派的反政府運動を抑圧するために数多くの民間団体を支援したし、コスタリカ、チリ、ニカラグア、チェコ、ブルガリア、ハイチ、モンゴルなど、外国の各選挙に直接介入したことが明らかになった。
このような経歴を持つNEDは90年代後半から北の人権問題を活用するばかりでなく、脱北者問題をイシュー化し、中国も共に圧迫するという目標を持って北の人権問題に接近してきた。
7月に行われた国連の人権委員会で「北韓決議案」が通過し、北韓人権特別報告官が任命されるなど、国際社会において北韓の人権問題は核心的争点として浮かび上がっている。国連人権委員会が世界各国の人権改善に寄与してきた点を認めるものの、関連国の人権決議案を採択する過程で権力政治(パワーポリティクス)が働いてきた事実を実によく見てきた。とくに、これまで見てきたように米国が明らかな意図をさらけ出しているがゆえに、北韓の人権問題は「政治化」の憂慮を排除できない。
地球上のどの国でも完全な人権保障の体系を持ってはいないように、北韓にも人権問題が存在するということは余りにも明白な事実だ。これはあたかも「人権の普遍性」のように、人権「問題の普遍性」だと考えることができる。したがって北韓の人権は北韓体制の特殊性、最近の経済状況、韓(朝鮮)半島の政治的環境という脈絡の中で評価しなければならない。この3月から北韓人権法についてたゆみなく対応してきた「韓半島人権会議」(注)は北韓の人権に対する論議を包括的、均衡的、非政治的に接近すべきだ、と主張している。北韓の人権状況はいまなおその実際が明確に把握されないまま、多様な見解が出てきているというのが実情だ。「国際行為者たちの間の北韓に対する多様な認識」、「人権状況についての強調点の違い」、「関連諸国の相異する対北政策の目標」、「北韓の人権関連情報に対する接近の制限」とともに北韓の人権をめぐる論難が、北韓の人権を利用して政治的利益を追求する試図と本当の人権改善の努力との間におかれている、と韓半島人権会議は診断する。これらの北韓の人権に対する分析は次のように具体化している。
まず韓半島人権会議は北韓の人権を自由権、社会権、発展権、そして韓半島の歴史において派生した特殊な人権問題など、大きく4つの範ちゅうで規定している。彼らは、いかなる政治共同体においても保障されなければならない自由権の侵害が北韓でも存在することを否認できないと語る。けれども社会権についても同等に関心を傾けるべぎてあり、国際的孤立・制裁によって経済・社会的発展が阻まれた北韓の発展権も北韓人権の範ちゅうに含める必要性を認めなければならないと強調している。
さらに加えて日本の植民地統治や南北分断状況の持続にあって発生した拉致され離別した人々や戦争捕虜たち、そしてその家族らの社会的地位や経済的与件は北韓人権の論議において特殊ではあるが必ずや含められなければならない領域だと語っている。
第2に、今日の北韓の人権状況は北韓の内部要素や外部要素、必然的要素と偶然的要素がともに作用して発生していると診断する。例えば、北韓の全般的な人権状況は北韓政府の一連の政策的試行錯誤や特定諸国の対北制裁政策が相互作用して悪化してきたものであり、また今日の北韓において急がれるべき生存権は北韓政府の経済政策の失敗とともに、90年代中盤以後に相次いだ自然災害によって一層悪化したものだ、という点だ。したがって北韓の人権状況を発生させた要因については均衡的視角が必要であることを念を押している。
最後に、客観的な北韓の人権状況とは別個に、北韓の人権が国際的議題として登場した脈絡についても均衡のある理解を注文する。米国が北韓人権法を作った意図は「ソ連が崩壊したように、キム・ジョンイル政権が崩壊する日も、そう遠くはない」というセム・ブラウンベック上院議員の言葉に要約されるほどに内政干渉的であり、体制崩壊を誘導している。このような巨大な陰謀の前で、国際社会は北韓の人権問題にもう少し慎重に接近しなければならないだろう。
北韓人権法は人権を仮装した体制崩壊のシナリオにすぎない。人権、平和を云々して自国の欲望と帝国主義的膨張を試図する米国の覇権主義を論じるのはいまさらながらではあるけれども、労働者民衆の苦悩はまさにここから始めなければならない。米国が意図するやり方の北韓崩壊は、北韓人民はもちろん、民衆全体の収奪強化と貧困の深まりだけを生むだろうからだ。
当該国家の民衆の人権が一層凄絶な状況に陥り、資本家だけの平和と、ほふられた民主主義だけが残った南米の数多くの国々やイラクを見よ。米国が人権や平和、民主主義を云々しつつ踏みしだき、通りすぎて行った後に残ったのが労働者民衆の今日だ。(「労働者の力」第64号、04年10月8日付、キム・ジョンア/人権運動サランバン・活動家)
注 韓半島人権会議は北韓(北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国)の人権問題を韓(朝鮮)半島全体の共存と平和の立場から診断し、その解放を提示しようとする人権・平和団体および諸個人の集まりだ。民主社会のための弁護士の会、人権運動サランバン、良い友だち、参与連帯平和軍縮センター、カトリック人権委員会、平和ネットワーク、平和人権連帯、韓国キリスト教教会協議会人権委員会および関心ある諸個人が集まっているこの会は、この3月から北韓の人権に関する各種の資料を収集して分析しつつ、北韓人権法についての対応をしてきており、現在「北韓人権報告書」を執筆中だ。
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