| 韓国民衆遠征闘争団百人が来日 かけはし2004.11.08号 |
十一月一日、韓日FTA阻止韓国民衆遠征団と日韓FTA交渉に反対する11月日韓共同行動実行委員会は、一日から三日にかけて東京・霞ヶ関の外務省で行われる第6回日韓自由貿易協定(FTA)の政府間交渉に対して抗議行動を行った。韓国遠征団の労働者・市民・農民など百人を先頭に百八十人の仲間たちが駆け付けた。
日韓FTA交渉は、昨年十二月に開始した。その内容は、労働、環境、健康、食の安全、農業主権、公共サービスなど民衆の生活全般にわたるにもかかわらず、一切公開されていない。すでに昨年十月に明らかになった日韓産官学による日韓FTA共同研究会報告書には、新自由主義的グローバリゼーション政策にもとづいて資本の利益増大を優先にしながら、民衆の生活を徹底的に破壊しつくす内容に貫かれ、とりわけ労働運動などさまざまな民衆の運動を弾圧していくための「非関税措置」と「ビジネス環境整備」条項を盛り込むことを提言している。
このような日韓FTA交渉に反対するために韓国派遣団は、全国民主労組、韓国労働組合総連盟、民主労働党、「自由貿易協定・WTO反対国民行動」(KoPA)、全国民衆連帯などの代表によって組織された。
韓日抗議団は、午前八時に霞ヶ関・霞門に結集し、前段決起集会を行い、参加者全体で「イラク戦争 NO! グローバリゼーション NO! 新自由主義 NO! WTO/FTA NO!」のシュプレヒコールを力強く行って外務省に向かった。警察権力は、すでに外務省を包囲する形で重警備体制を敷き、不当な過剰規制を行ってきた。抗議団は、警察の過剰警備に抗議しつつ、スクラムを強化しけちらしていった。
抗議団は、外務省で交渉会議が始まる午前九時半に農水省手前に移動し、抗議のシュプレヒコールを行ってから韓日共同集会に入っていった。集会では、「日韓労働社会市民団体の共同声明│日韓両国民衆の生活を破綻の崖っぷちに追いやる日韓自由貿易協定交渉は即刻中止せよ!」を読み上げた。抗議団は、日韓両国政府に対して「日韓FTAにかんする交渉テキストと交渉の全過程を公開せよ!」「『非関税措置』や『ビジネス環境整備』を隠れミノにした労働者民衆の権利侵害措置をただちに撤回せよ!」「私たちの労働・生活・環境・人権を破壊する日韓FTAをはじめとする、すべてのFTA交渉を即刻中止せよ!」と強く要求した。抗議行動は、交渉期間中、連日行われる。(Y)
日韓労働社会市民団体の共同声明
日韓両国民衆の生活を破綻の崖っぷちに追いやる日韓自由貿易協定交渉は即刻中止せよ!
日韓両国政府は、十一月一日から三日までの三日間、東京・霞ヶ関の外務省において日韓自由貿易協定(FTA)をめぐる第六回交渉を行おうとしている。私たち日本と韓国の労働社会市民団体はこれまで、日韓FTA交渉が始まった昨年十二月以来、この日韓FTAが日韓両国民衆の基本的人権を損なうおそれがあるものとして、政府間交渉の即時中止と、両国民衆の意見を収斂することを強く日韓両国政府に要請してきた。しかし両国政府は、私たちの要請を顧みることなく、現在も交渉を継続している。
現在、各国政府は、七月にスイスのジュネーブで開かれたWTO一般理事会でドーハ開発アジェンダの基本骨格が合意されて以降、これまで進めてきた二国間・地域間FTAの締結交渉をさらに拍車をかけようとしている。こうした中、日韓両国政府は、日韓条約締結から四十年目になる二〇〇五年の早い時期に日韓FTAを締結し、それを足がかりに、ASEAN諸国をはじめとする東アジア各国とFTAを締結して、中国も含む東アジア地域の自由貿易圏を創出しようと狙っている。
日韓FTAの交渉内容は、外交交渉であることを理由に、私たち日韓両国の民衆には一切公開されていない。労働、環境、健康、食の安全、農業主権、公共サービスなど、私たちの日常生活にかかわるあらゆる問題が、私たちのあずかり知らないところで一方的に推し進められ、合意にいたれば国会でただちに批准する、こんな安易な方法で私たちのかけがいのない命と権利がやりとりされているのだ。私たちの生活や環境や健康は売り物ではない! 私たちの住んでいるこの地球は売り物ではない! 私たちは、こんな政府間交渉に断固として反対する!
日韓FTA交渉に先立って、昨年十月に取りまとめられた日韓の産官学による日韓FTA共同研究会報告書では、対日赤字の増大など短期的には韓国側に不利なものの、長期的には日韓産業間の戦略的提携がすすむことで両国に有利に働くと一方的に結論づけている。しかし、対日赤字の増大で倒産を強いられる韓国の中小零細企業や、戦略的提携による企業間の再編統合過程で、無慈悲に街頭に投げ出される日韓の労働者やその家族、民衆の境遇については、何ひとつ検討されていない。こうしたことから、とくに被害が大きい韓国側からは日韓FTA中止論・慎重論の声が大きく挙がっている。
農業分野では、日韓ともに食料自給率が低下している中でのFTAの実施は、両国民衆の大切な食料生産基盤をいっそう悪化させる。消費者の立場にたっても、「貿易の迅速化」の名文で行われる相互承認制度(MRA)の導入や衛生植物検疫(SPS)措置、食品規格委員会(コーデックス委員会、CAC)基準の導入などは、人の健康や食の安全を脅かす可能性が大きい。また、私たちの反対の声を押し切って昨年一月に発効した日韓投資協定は、多国間投資協定(MAI)の内容を踏襲するものだが、今回の日韓FTA交渉では、この日韓投資協定を日韓FTAに組み込むことも検討されている。これは、日韓投資協定のグレード・アップ化を狙うものであり、私たちは企業が国家を訴えることを可能にする投資協定の強化を容認することはできない。
さらに日韓FTA交渉では、労働運動や農民運動、環境運動、消費者運動などを取り締まるため、「非関税措置」と「ビジネス環境整備」という条項を盛り込もうとしている。民衆のさまざまな運動を、「自由な貿易・投資」を妨げる「非関税障壁」と捉え、またスムーズな「ビジネス環境整備」のため、その「障害」となる民衆運動の弾圧を可能にするこうした制度の導入は、WTOにもない新たなイシューとして検討されている。日韓両国政府は、「非関税措置」や「ビジネス環境整備」を隠れミノにした民衆の権利侵害条項をただちに撤回すべきである。
ここに至って、日韓FTA交渉に反対して、韓国から韓日FTA阻止韓国民衆遠征闘争団が来日し、日本ではこの遠征団を受け入れてともに闘うために、日韓FTA交渉に反対する十一月日韓共同行動実行委員会が結成された。そして、本日より交渉期間中の十一月三日まで、私たち日韓の労働社会市民団体は、日韓FTA交渉に反対する十一月日韓共同行動に取り組むことを宣言し、日韓両国政府交渉団に以下のことを強く要求する。
b日韓両国政府は、日韓FTAにかんする交渉テキストと交渉の全過程を公開せよ!
b日韓両国政府は、「非関税措置」や「ビジネス環境整備」を隠れミノにした労働者民衆の権利侵害措置をただちに撤回せよ!
b私たちの労働・生活・環境・人権を破壊する日韓FTAをはじめとする、すべてのFTA交渉を即刻中止せよ!
二〇〇四年十一月一日
日韓FTA交渉に反対する十一月日韓共同行動実行委員会(日本)
韓日FTA阻止韓国民衆遠征闘争団(韓国)
「2005年運動」がスタート
「イラクにも朝鮮半島にも平和を!」シンポ
「朝鮮侵略一〇〇年、朝鮮解放・分断六〇年、日韓条約から四〇年を問う2005年運動」の主催で、十月二十三日、文京区民センターで、「イラクにも朝鮮半島にも平和を!シンポジウム」が行われた。この日のシンポには、日韓民衆連帯運動を担ってきた活動家を中心に約八十人が参加し、四つのテーマ別にパネリストからの問題提起と、運動団体からのアピールがあった。
司会を加藤賀津子さん(基地はいらない!女たちの全国ネット)が行い、最初のパネリストの中村利也さん(指紋カードをなくせ!一九九〇年協議会)の「朝鮮侵略一〇〇年を問う」と題する文章が提出された。中村さんはこのなかで、植民地支配を正当化する歴史感や朝鮮―アジア民衆を蔑視する意識が現在でも根強く存在しており、「日本の近代化……その中で培われてきた国民意識・国家と国民の関係、あるいは朝鮮にとどまらずアジア全体に対する意識・関係のあり方」の検証を訴えた。
二人目は、「朝鮮半島の統一問題と日本」と題して北川広和さん(日韓ネット共同代表「日韓分析」編集)が問題提起を行った。北川さんは、韓国での国家保安法撤廃の動きが、南北朝鮮の和解を深化させる一方で、日本政府が一貫して和解と統一を妨害してきたことを指摘した。
次は池田五律さん(新しい反安保行動をつくる実行委\)が、「米軍再配置と変貌する自衛隊」について提起を行った。池田さんは「対テロ」戦争を口実にした米軍の警察的軍事行動が、巨大化した軍需産業と結びついた軍事のハイテク化、民営化、海外展開のコスト削減のための有志同盟などとして強まっていることを指摘。また在日米軍再編は、日本での法的整備をテコに、「司令部機能を強化」して、米軍と一体化した自衛隊が海外派兵を拡大させることが前提とされていることを明らかにした。
アジア民衆運動の大連合を作り出せ
最後に、「日韓自由貿易協定(FTA)と東アジアの経済統合」と題して、大野和興さん(脱WTO草の根キャンペーン実行委事務局長)が問題提起を行った。大野さんは、東アジア域内での貿易比重が高まるなかでFTAの動きが活発化しており、日韓FTAは、「世界の工場から世界の市場」に成長してきた中国が、東アジア経済統合の主導権をとろうとすることへの対抗として位置していることを指摘。新自由主義グローバリゼーションが貧困と差別を拡大しており、「アジア民衆運動の大連合」で対決してゆく必要性を訴えた。
若干の討論のあと、韓国の「イラク派兵反対非常国民行動」からのメッセージが紹介された。続いて、許すな!憲法改悪・市民連絡会の高田健さん、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの吉田さん、韓民統の宋世一(ソンセイル)さん、日韓FTA交渉に反対する十一月日韓行動の平賀健一郎さんからアピールがあった。
シンポは最後に、韓国の仲間たちに送る「パウエル米国務長官の東アジア歴訪に反対する」メッセージと、「他国艦船への臨検演習―PSI(大量破壊兵器拡散防止構想)のための合同訓練に対する抗議申し入れ書」を確認した。
厳しい状況のなかで闘う韓国労働者・民衆と連帯する、日本の労働運動と大衆運動の復権をかけて闘おう。 (R)
|