| 自由と権利を守る抵抗運動こそが憲法を守る かけはし2004.11.15号 |
改憲NO!「民族や国境を超えた平和」のために闘おう
日本国憲法が「公布」されてから五十八年目にあたる十一月三日、東京・永田町の星陵会館で「11・3憲法集会」が開催された。市民団体、女性団体、全労協などが作る「11・3集会実行委員会」と、土井たか子さん、佐高信さんなどが呼びかけた「憲法行脚の会」が共催したこの集会には、会場を満席にする四百人以上の人びとが参加した。
開会あいさつに立った高田健さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会)は、イラクで人質として囚われた香田証生さんの死を悲しむとともに、小泉首相の責任を厳しく追及し、自らが決めた「イラク特措法」すら踏みにじっている小泉「アウトロー政治」を批判した。同時に、日経新聞などのアンケート調査によっても、若い人びとを中心に「9条改正」反対論が増加していることを報告し、WORLD PEACE NOWなどの運動に若者たちが参加していることに示されるように「戦争世代」「護憲世代」だけではない憲法改悪反対運動が作りだされようとしている、と訴えた。
次に、水島朝穂さん(早大教員)が「改憲論と冷静に向き合うために」と題して講演した。
水島さんはまず「憲法とは何か」をめぐる混乱を正す必要がある、と語った。
「憲法とは『みんなで守る国の大切なきまり』ではない。憲法を守る義務は決して国民全体にあるのではなく、義務があるのは天皇、首相、議員などの公務員だけである。憲法はあくまで国家権力を縛る規範なのだ。立憲主義の本質はそこにある。その意味で、多数派国民が少数派の権利と自由を奪う『民主主義の暴走』に走った時にも、それを規制するのが立憲主義だ。民主主義と立憲主義の調和の上に成立しているのが、今の憲法だといえる」。
「ところが読売改憲試案では、現憲法99条の『天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ』を削除し、前文の最後に『この憲法は、日本国の最高法規であり、国民はこれを遵守しなければならない』と述べている。これは問題外で、憲法学の試験答案で言えば〇点をつけなければならない」。「権力を縛るものが憲法だということは、今の護憲派、あるいは私たちが権力になった時に、それを縛るのも憲法だということだ。自由と権利を守る抵抗の運動こそが、私たちにとって憲法を守るということの意味だ」。
水島さんは、「憲法よりも国家が優先するという小泉ら改憲派の『常識』」によって憲法規範が『現実主義』の名の下に侵害されている現実を、イラク派兵などを例にして批判した。そして「憲法の理想主義」や「抽象性」、憲法には「××が欠けている」といった類の批判に対しても「憲法の一般性は決して欠陥ではない。憲法はコンビニのように何でも揃っていればいいというものではない」と主張した。
次に、WORLD PEACE NOWに参加している若者たちを中心にして作られている「9LOVE(クラブ)」、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの上原成信さん、教育基本法の改悪を止めよう全国連絡会、アジア女性資料センターが発言した。アジア女性資料センターの本山央子さんは、「両性の平等」を規定した憲法24条をも「見直す」という改憲派の動きに反撃する必要を強調した。
さらに、辛淑玉(シン・スゴ)さんと、朴慶南(パク・キョンナム)さんのお話。辛さんは軽妙な話術の中に辛辣な批判を貫く形で、「雅子の病気」や「イラク人質」問題などを題材に、小泉政権や日本の世論状況を鋭く斬っていった。
「小泉首相が靖国神社に参拝する時、天皇制によって命を奪われた人びとのことが目に入っているのだろうか。高遠さんや今井君に集中した『人質バッシング』は、あの二人が『女、子ども』だったからではないだろうか。在日である私がなぜ9条改悪に対して反対の声を上げるのか。それは憲法改悪を通して女性や外国人に対する攻撃が強まっていくからだ。マイノリティーとともに闘うことによってこそ、私たちは勝利できるのだ」。
朴さんは、沖縄のヘリ墜落現場を訪れた経験、北朝鮮による拉致被害者の肉親と話し合った経験を語って「痛みを感じる想像力」が欠如している日本の現実を告発し、「民族や国境を超えた平和」のために闘うことの意義を声を枯らしながら訴えた。
最後に、全労協の仲間が、間近に迫った憲法改悪を全力で阻止する闘いを広げていこうと閉会あいさつを行った。
いま全国各地で、大きな共感を呼び起こしながら「九条の会」が次々に結成されている。危機意識を広範に掘り起こし、それを運動に転化するために奮闘しよう。 (K) 輝け9条 大阪のつどい
「白地に赤く血の色染めてああ恐ろしや日本の旗は」
【大阪】大阪寝屋川市民会館で「11・3輝け9条 大阪のつどい」が開催された。開かれた集いは、十九人の個人によって呼びかけられたもので、憲法五団体による11・3「輝け9条大阪のつどい」成功のための実行委員会が主催した。つどいには千人の市民が集まった。翌四日には、吹田市で9条の会を支持する集会が開かれた。
はじめに、参加した呼びかけ人が一言ずつあいさつをした。
「呼びかけというよりたくさんの人に叫びたい」(有本幹明さん:元ピースおおさか事務局長)。「諸団体が初めて共同で準備したのは画期的」(澤野義一さん:大阪経済法科大学教授)。「8・15と12・8になんばで赤紙を配る活動を十七年間やってきた」(菅原藤子さん:大阪母親連絡会)。「二十一世紀を生きる子どものために戦争をする国にさせてはいけない」(片山淳子さん:大阪YWCA会長)。「隣の門真市にある幣原喜重郎の顕彰碑に参ってきた」(酒井尚美さん:弁護士)。「国民の生活基盤を破壊してまで守る相手とは何か」(住江憲勇さん:大阪府保険医協会理事長)。「ブッシュ・小泉が屈しているのは利権金権だ」(藤田昭彦さん:元毎日新聞編集委員)。
そして、発言の最後に、「おじいちゃんの死体を包んでいた日の丸を出して歌うおばあちゃんから教えてもらったという小学生の少女から聞いた、白地に赤く血の色染めてああ恐ろしや日本の旗は、という歌」を披露した新屋英子さん(俳優)。
続いて、小森陽一さん(東大教授・9条の会事務局長)の講演に移った。講演の始めに殺害された香田さんを思い黙祷をした。
小森さんは元自民党代議士で「防衛族のドン」だった箕輪登さんの「イラク派兵違憲訴訟」の訴状の中に足場を据えるべき考え方が述べられている、と評価し、憲法改悪の根本にある米日二国間同盟の危険性を指摘した。そして改憲と一体となった教育基本法改悪との闘いを提起した。
講演の後、主催者を代表して、澤野義一さんがまとめをした。
「九月から国民保護法が実施され、各自治体ではこれに対応した避難誘導のマニュアル作りが進められている。国民保護協会もつくられる。この動きに警戒しながら、憲法擁護の運動を広めていかなければいけない。世論調査でも改憲賛成が以前の六割強から過半数を割った。国民の間でも日本の行く末についての危機感が出てきているからだ思う。規範としての憲法を具体化し広げていく運動を今後さらに大きくしていこう」と結んだ。(T・T)
立川・反戦ビラ入れ裁判
求刑六カ月をはね返して無罪を勝ち取ろう
十月三十日、立川・反戦ビラ弾圧救援会の主催で、東京・国分寺労政会館で「立川・反戦ビラ入れ裁判 無罪判決を勝ちとるぞ! 10・30総決起集会」が行われ、百四十人が集まった。
開会にあたって救援会代表の大沢豊さんは、「ビラまきは、市民運動にとって重要な手段だ。表現の自由が侵されている。イラクへの自衛隊派兵を背景として、反対する部分に対して弾圧が強化されている。弾圧後、ただちに抗議声明を発表し、救援会を作った。全国で七百人が賛同人となってくれた。十二月十六日、結審となる。絶対に無罪をかちとる。そうしないと戦争につながる道へと行ってしまう。たとえ一審勝っても、検察は控訴するだろうが、高裁、最高裁まで無罪をかちとるまで闘っていく決意です」と発言した。
続いて救援会は、二月二十七日の不当逮捕に対する救援、第六回までの公判報告を行い、「この弾圧は警察・検察と自衛隊が一体となったものである。裁判に三人の自衛官が検事側証人で出廷したが、逆に証人尋問で警察の荒唐無稽なストーリーが暴露された。第五回公判では弁護側証人として奥平康弘さん(憲法研究者)、箕輪登さん(元防衛政務次官・イラク派兵違憲訴訟原告)、山内敏弘さん(龍谷大教員、憲法学)が出廷し、弾圧に対する反論を展開した。第六回公判では、検察側は被弾圧者たちに対して過激派とレッテルを張ろうとしたが、裁判長に止められるという一幕もあった。無罪を求める署名が八千筆を越えた。無罪を確信している。」と決意を述べた。
次ぎに笹沼弘志さん(静岡大学・憲法学)は、「反戦ビラ入れ裁判で何が問われているのか│恐怖による排除か、信頼による自由か、民主制国家の存亡をかけた闘い」というテーマで問題提起した。笹沼さんは、@恐怖する権力と恐怖の煽動、オウム、そして9・11以後の世界A国家による保護義務B表現の自由と国家の義務C専制国家と民主国家について展開し、「戦うことを自己の目的としている自衛官に対して、戦わないことを呼びかける反戦ビラは、ある意味で究極の信頼である。反戦ビラは自由な社会を創る『信頼』の呼びかけだ。どんなに堕落した国家であれ、批判を行い続けることこそ、民主制国家への信頼の証しであり、民主制国家を保護する最大の手段だ」と強調した。
連帯アピールに移り、救援連絡センター、米兵・自衛官人権ホットライン、アメリカ大使館前抗議行動被弾圧者、「反戦ビラ入れ弾圧ってあまりにあまりじゃないの」岩手連絡会から行われた。
さらに練馬区職労の佐藤書記長は、「被告の一人である大洞君は、練馬区職員です。彼が逮捕されたということに対して当局側は、『ウソだろ。そんなことで令状逮捕されるなんて。そんなことがあるはずがない』というのが反応だった。現在、大洞君は公務員法の刑事休職という扱いで、財政的に厳しい状況に追い込まれている。今後、禁固以上の刑が確定すると懲戒免職になってしまう。ぜひ無罪判決をかちとり、職場に戻していきたい。練馬区職労も頑張っていきたい」とアピールした。
社会保険庁職員の堀越明男さんは、昨年十月、総選挙時に「しんぶん赤旗」号外を休日に配布したとして国家公務員法違反(政治活動の制限)で三月三日、不当逮捕されたことを厳しく批判し、「狙い撃ちされた弾圧だが、なにがなんでも勝つ。今後、共に闘っていこう」と決意表明した。
また、堀越事件弁護団は、「立川ビラ事件と堀越事件は、言論の自由、憲法問題が争われる事件として注目されている。この二つを相乗して勝たなければいけない。よろしくお願いします」とアピールした。
立川ビラ弾圧弁護団・小島弁護士から挨拶後、被弾圧者の大西章寛さん、大洞俊之さんから無罪判決に向けた力強い決意表明。高田幸美さんが反戦ブルースで勝利の確信を訴えた。
最後に「集会決議」を採択し、参加者全体は、抗議デモに移り、「立川ビラ弾圧糾弾!無罪判決をかちとるぞ!自衛隊イラク派兵をやめろ!」と国分寺一帯に響き渡らせた。
十一月四日、第七回公判で検察は、三人の被告に不当にも懲役六カ月を求刑した。検察の論告は、「計画的」で「反省がない」、「再犯の恐れあり」という、ただ弾圧をするがためのワンパターンの内容でしかなかった。弁護・被告側最終意見陳述は、力強くビラ入れ活動、表現の自由などについて展開しぬいた。判決は、十二月十六日(木)午後二時 八王子地裁四〇一号、午後六時半、八王子労政会館で判決報告集会と地裁または地検に向けてデモが予定している。ぜひ駆け付けよう。 (Y)
【訂正】前号6面鉄建公団訴訟論文3段4行目「会った」を「あった」に、同論文8段目14行目「十二月一日」を「十二月二日」に、前号5面新潟中越地震論文の4段目25行目「確信」を「核心」に訂正します。
|