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憲法改悪が促進する政治の軍事化             かけはし2004.12.13号

陸上自衛隊幹部による自民党改憲大綱案作成を許すな



あからさまな戦争
国家体制の支柱

 十一月十七日に自民党が発表した「自民党・憲法改正草案大綱(たたき台)〜『己(おのれ)も他もしあわせ』になるための『共生憲法』を目指して〜」(以下、自民党改憲大綱案)は、天皇を「元首」とし、「言論・出版の規制」を明記し、「国防の責務」を規定し、「家族の価値」を称揚し、首相のリーダーシップを強調し、さらに「日の丸・君が代」を「国旗・国歌」とすることや「国家緊急事態」、「自衛軍」の設置と「個別的・集団的自衛権」の発動と「海外での武力行使」を承認するなど、現行憲法を根本的に破壊する軍事主義と国家主義を前面に押し出した内容となっている。
 しかしそれは、早くも多くの矛盾を露呈させている。十二月五日の東京新聞、毎日新聞両紙朝刊に掲載された二つの記事は、この矛盾・対立を垣間見せるものとなった。

「国家の主役」め
ざす自衛隊制服組

 十二月五日付東京新聞は1面トップ記事で、自民党改憲大綱に、陸上幕僚監部防衛部防衛課防衛班に所属する二等陸佐が作成した「憲法草案」という表題の憲法改悪案が全面的に反映されていることを報じた。
 現役陸自二佐が執筆した同「草案」は、十月下旬に自民党憲法調査会の中谷元・改憲案起草委員会座長(元防衛庁長官)に提出されたという。この「憲法草案」は@侵略戦争の否定A集団安全保障B軍隊の設置、権限C国防軍の指揮監督D国家緊急事態E司法権F特別裁判所G国民の国防義務、の八項目からなっている。また「草案」とは別に、安全保障関連での「盛り込むべき事項」を記載した文書も作成しており、こうした内容がすべて自民党の改憲大綱の中にすべて取り入れられているのだ。
 同東京新聞の記事によれば、自衛官出身の中谷・改憲案起草委員会座長は「(この陸自二佐に)一政治家としての勉強のために『力を貸してくれ』と言ったのは事実だ。私的なものであり、問題ない」と語っている。
 しかし、自民党の改憲草案のための文書を起草することは憲法99条に定めた公務員の憲法尊重擁護義務に違反するばかりか、自衛隊法61条の@で禁止している「政治的行為」や自衛隊法施行令が禁止する「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張すること」に該当する。そしていわゆる「シビリアンコントロール」の原則にも違反することは明白である。
 自民党改憲大綱案には、「国家緊急事態」において首相に権限を集中し、かつ「基本的な権利・自由」を制限するという民主主義破壊の内容が盛り込まれている(第八章 国家緊急事態及び自衛軍 第一節 国家緊急事態)。また同「第二節 自衛軍」では「個別的又は集団的自衛権を行使するための……自衛軍を設置する」こと、この「自衛軍」が「防衛緊急事態」だけではなく「治安緊急事態、災害緊急事態その他の公共の秩序の維持にあたること及び国際貢献のための活動(武力の行使を伴う活動を含む)を行うことをも任務とする」として、「集団的自衛権」の行使や海外での武力行使をも明文的に認めている。その上に、「軍事規律維持のための組織等」として憲兵隊や軍法会議の設置をも示唆しているのである。
 いま自衛隊の現役幹部が、こうした小泉政府と自民党が押し進める「侵略戦争のための国家づくり」を目指した憲法改悪に積極的に関与していることを、われわれは見逃すことはできない。アメリカのブッシュ政権の世界規模の「対テロ」先制攻撃戦略を公然と支持し、新しい防衛計画大綱によって海外での武力行使を「主任務」にまで格上げしようとしている防衛庁・自衛隊は、ついに憲法改悪を自ら主導的に構想する役割を担うにいたったのだ。これが憲法に違反し、民主主義を根本的に破壊する行為であることは言うまでもない。

ほころび広がる
自民改憲大綱案

 同じ十二月五日付毎日新聞の1面トップは、「自民改憲大綱素案撤回へ」だ。同紙は「党内に批判強く 策定作業大幅遅れ」として次のように報じている。
 「自民党執行部は4日、党憲法調査会(保岡興治会長)の起草委員会がまとめた憲法改正草案の大綱素案を白紙撤回する方針を決めた。参院自民党が素案の内容に反発しているのに加え、策定の経緯が不透明との批判が根強いため、党内論議の集約は困難と判断した。執行部は憲法改正素案作りの全体計画も見直す考えで、年内に予定していた大綱策定は大幅に遅れ、来年3月以降となる可能性が出てきた。内容も見直されるのが必至だ」。
 自民党内の改憲大綱案への批判は、おもに参院の位置づけ問題に集中している。
 改憲大綱案では、参議院議員については「道州制への移行」を想定して、道州議会による間接選挙で選ばれる部分と、「有識者」からの任命による部分との組み合わせによって構成するとしている。「任命議員」には「首相、衆参両院議長、憲法裁・最高裁長官の経験者」などが想定されている。衆議院が「唯一の直接公選の国民代表機関」となることから、その参議院への「優越性」を強化するとされ、「国務大臣は参議院議員と兼ねることができないものとし、参議院議員が国務大臣に任命されたときは、参議院議員を辞職したものとみなすものとする」となっている。
 すなわち、参議院を「名誉職」ないし「元老院」や「貴族院」的なものに変質させて、事実上の衆議院一院制とすることが構想されているのだ。こうした「一院制」改憲案が、衆院多数派支配の確立による内閣・国会関係の一元的機能強化、民主主義的多元制の崩壊に帰着することは明白である。自民党内の反発が、参院に主要に基盤を持ついわゆる「族」議員の利害防衛的関係から出されたものであることは事実であるが、われわれは、この混乱の中に、強権的に「国のかたち」を国家主義的に「改造」しようとする意図と、それが引き起こす矛盾をつかみとる必要がある。

改憲阻止の闘争態
勢を築き上げよう

 自民党改憲大綱案をめぐる矛盾と対立の露呈は、新自由主義的グローバリゼーションとグローバル戦争に対応した新たな国家体制のための憲法改悪に向けた支配階級の危機感と焦りを改めてわれわれに突きつけている。
 来年の通常国会には憲法改悪のための「国民投票法案」が上程され、五月三日には憲法調査会の最終報告書がまとめられることになっている。二〇〇五年は自民党と民主党の改憲案がともに発表される予定である。
 イラク侵略戦争と植民地的支配、イラク占領支配の一翼を担う自衛隊派兵がいよいよ危機を深める中で、小泉政権はなんの展望もないままに、第二期ブッシュ政権の「対テロ戦争」のエスカレートに引き込まれている。こうした中でわれわれは、すでに「憲法改悪阻止」の数年間にわたる政治決戦に突入している。
 もちろんこの闘いは、たんに「憲法9条擁護」に限定されるものではない。国家支配の基本的構造を帝国主義的に「改造」しようとする支配階級の意図そのものが問題となっているからだ。しかしわれわれは、「9条」を通じた広範な共同の戦線を地域・草の根から作りだしていく闘いを自ら主体的に担いつつ、平和と民主主義と生活と権利の破壊をもたらす帝国主義のグローバルな攻撃に反撃する新しい闘いを作りだしていかなければならない。
 反戦運動と反グローバリゼーション運動の結合を軸に闘いながら、憲法改悪阻止に向けた労働者・市民の運動を思い切って拡大しよう。(12月5日 平井純一)       



年末一時金カンパの訴え

 全国の同志、週刊「かけはし」読者、友人の皆さん。日本革命的共産主義者同盟(JRCL)は年末一時金カンパへの御協力を訴えます。
 大統領選で再選されたブッシュは、十一月八日に一万五千人を投入し、イラク・ファルージャへの総攻撃を行いました。約十万人近い市民を巻み、米軍は町を封鎖し、生命線たる電気・水道を破壊したばかりか、食料・医薬品などの供給もストップさせました。
 こうした歴史的な戦争犯罪に対して小泉政権は、ファルージャ作戦の「成功を期待する」と公言し、無条件に支持する立場を鮮明にしています。香田証生さんの拘束の一報を聞くや「自衛隊は撤退しない、テロに屈することはできない」と発言し、十二月十四日で「イラク特措法」が期限切れになるのに対しても「派兵は継続する」と言い放っています。
 小泉政権はイラク戦争への対応を通して既成事実を積み上げ、最終的に憲法9条を葬り去り「戦争国家体制」へと突き進もうとしています。教育基本法の改悪、石原都政の「日の丸・君が代」強制をめぐる一連の弾圧もこの流れに呼応するものです。
 他方、去年来年金の改悪を押し進め、増税をたくらみ、郵政民営化にしめされるように公的分野を金融資本の利潤追求のための新しい領域として提供し労働者の生活を圧迫・破壊する新自由主義的攻撃を行っています。
 私たちは今、イラク民衆の反占領闘争やパレスチナ人民の闘いと連帯し、全世界の闘う仲間とともに反戦・反グローバリゼーションの闘いを押し進めています。 全世界で「もう一つの世界は可能だ」というスローガンを掲げ、戦争と新自由主義に対抗する社会主義的オルタナティブ勢力の形成のために奮闘します。週刊「かけはし」の防衛・拡大・充実化はそのための柱です。
 すべての皆さんに年末一時金カンパの協力を訴えます。
あて先 新時代社
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