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韓国はいま、「大統領が直接、私を告発せよ」           かけはし2004.12.13号

行自部の「スト公務員懲戒」方針に反旗を翻した


自治体をどう喝しスト封鎖

 大韓民国建国以来、初の旗を掲げた「11月15日、全国公務員労組スト」が4日目で幕を下ろし、スト参加者らに対する処罰の論難へと争点が移り始めると、イ・カビョン蔚山市東区庁長(区長)の所信表明が事態の変数として登場した。
 公務員労組のスト計画が公表された11月4日以来、超強硬策で一貫してきた行政自治部(自治省)は労組のスト中断にも耳を貸すことなく、各地方自治体に強い圧力を加えている。「労組がストを暫定中断宣言したからといって事態が完全に解決したわけではない。国法の秩序や公職の綱紀確立のために、単純加担者を含め、スト参加者に対する懲戒と司法処理を早期にけりをつけよ」。
 ホ・ソングワン行自部長官はスト撤回翌日の11月18日午後、行自部が任命した全国16の市・道の行政副市長、副知事らを緊急招集し、スト参加者に対する厳罰の指針を示達した。ホ長官は「政府の懲戒措置の要求に応じなかったり、回避・引き延ばしをする自治体に対しては行政的、財政的不利益を取ることとする」と繰り返し強調した。自治体に公務員労組のスト封鎖を圧迫するために公言していた、b地方交付金の配分についての不利益b自治体の高位公務員に対する人事的措置b同調自治体首長に対する告発など「3大不利益賦課の原則」をスト公務員の懲戒過程にも、そのまま適用していくというのだ。

区長に行自部が直接電話

 行自部が支援している交付金によって自治体の「カネづる」を握り、「同調自治体首長に対する告発」の方針を公言するホ・ソングワン長官の全方位圧迫に、相当数の首長らは一応は順応するような態度を示している。行自部はスト撤回宣言2日後の11月19日、全国各自治体に全体で1245人を罷免・解任するなどの重懲戒を要求し、各自治体は11月22日現在、これらの人びとのうち1112人を職位解除した。遠からず開かれる広域市・道別の人事委員会にまで行自部の指針が貫徹されるなら、「大量解職の事態」がもたらされざるをえない。
 だが民主労働党所属のイ・カビョン蔚山東区庁長の所信表明が行自部の圧迫戦に障害物として作用している。現代重工業労組委員長出身で第2代民主労総委員長を担ったイ区長は「私はたったの1人も処罰できない」として行自部の圧迫に真っ向から対決しているからだ。
 彼は行自部がストの完全封じ込めの指針を下達すると11月10日、同じ民主労働党所属のイ・サンボム蔚山北区庁長と共同記者会見を行い「行自部の指針は地方自治体制度を全面否定する行為」だとして反ばくした。彼は11月18日、蔚山広域市東区の区庁舎区庁室で「ハンギョレ21」との単独インタビューに応じ、屈服できない根拠をひとつひとつ指摘した。
 彼は、ホ・ソングワン長官をはじめとする行自部官僚らが公務員労組のストを不法集団行動と規定した根拠からして強い疑問を投げかけた。「公務員労組が明らかに道を誤っていて、それを是正せよという行自部の方針ならば私も同意できる。だが彼らは月給を上げてくれだとか、自分らだけがうまく生きていきたいと言って踏み出したのではない。公務員自らが不正腐敗の温床、税金をムダ食いする『穀つぶし』として扱われるのがイヤで、また『食いっぱぐれなし』というその既得権を打ち破り不正腐敗を一掃して愛される公務員として生まれ変われるように労働3権を保障せよ、と要求したのだ」。
 彼は、行自部が公務員労組のこのような行動を督励できないばかりか、逆に自治体にスト権投票を完全妨害し、スト参加者に対する解雇・罷免を要求する指針を出したのは不当な仕打ちだと強く批判した。
 「行自部は数多くの自治体首長らが不正の嫌疑で拘束され、腐敗した6級公務員が数十冊の預金通帳を持っているという事実があらわになった時でさえ、清潔な公務員になろうとの指針を一線の区庁に下ろしたことがない。ところが穀つぶし、不正の温床、食いっぱぐれなしという不名誉をそそいでいこうという公務員労組のスト投票さえ完全妨害せよと指示し、いまや1千人以上の食いぶちを断つ解雇や罷免を要求する指針を下すのを、どう正当化できるのか」。
 イ区長は特に、行自部の官吏が公文で住民が直接選出した自治体の首長にストの封鎖や参加者への重懲戒の指針を下したのは地方自治の根幹を否定する権威主義的暴挙だと憤る。
 「スト投票の完全妨害、厳重懲戒の指針を行自部の一介の局長の名によって自治体首長らに送りつけた。どうして任命職の局長が、住民の直接投票で選出された首長らに懲戒の指針をいちいち伝え、カネと人事権によって脅迫することができるのか。われわれは、そもそもなぜ必要なのか」。
 彼は「行自部官僚が直接電話をかけてきて『あなたのせいで(任命職公務員である)だれそれが傷つきかねない』と脅しもした」し「区長である私に電話をするのに、直接電話を受けた任命職の区長公務員らは、どれほど辛い日々を送らなければならなかったのか」と語った。

予算で脅すなら抵抗闘争も


 彼は11月16日、ホ長官がストに中途半端に対処している首長に対する告発の可能性に言及しつつ、自身を直接ねらったことについても「行自部の不当な指針に従わなかったとの理由で、また公務員労組に対する私の政治的所信を理由として私を告発するならば、なまじ地方自治などと言うべきではない」とし、真っ向から反ばくした。むしろ「地方交付金で不利益を与えるというのは私を選んでくれた18万蔚山東区住民らを抵当にして脅迫し、自治体首長の所信をへし折るという卑劣な術策」だと一喝した。
 さらに踏み込んで、行自部のこのような態度はノ・ムヒョン大統領の地方分権の約束が偽善にすぎないか、はたまた行自部官僚らが道知事、市長、郡守に任命されていた内務部時代に回帰することを望んでいる行自部官僚らの利害関係が反映されたものではないのか、といぶかしく思わざるをえないとの診断まで下した。「ノ大統領は国民みんなが見ている前で地方分権を公言した。250人の地方自治体の首長が集まった場、またここ蔚山でも『地方の政府(自治体)に予算を公正に与えなければならない。中央政府が握っているものをすべて外してやれ』と語った。国民の前で、このように語っている大統領とスト参加者を解雇・罷免しなければ地方交付金で不利益を与えるとの指針を下している行自部のうち、どちらが本心なのか」。
 さらに彼は「行自部の指針通り、中央政府の言うことを聞かない首長は全部なくし、行自部の5級係長をしばしば一線の区長に下命してきた時代に戻ろうというのか。行自部の官僚らは市・道知事や市長・郡守を任命していたかつての内務部時代に回帰しようというのか」と問い返した。
 彼の結論は簡単明瞭だった。「地方自治が、予算権や人事権によって脅迫する中央政府によって根こそぎ揺さぶられる現実にあって、私が告発され打ちたたかれようとも、ただの1人も懲戒しないことが正しい。そうあってこそ住民自治と民主主義が生き、根を下ろす」。彼はむしろ行自部の指針が具体化される場合、住民たちとともに抵抗闘争に突入する、と宣言した。
 「交付金について、ただの1ウォンたりとも損害を加えたり、私を告発するならば、直ちに上京して政府を相手に闘いを繰り広げ、戦線を最大限に拡大していくであろう」。彼は「公務員労組のストが何しろ批判をされているけれども、私は住民自治と民主主義のために立ち上がって闘おう、と住民たちを説得する自信がある」とも付け加えた。
 国法の秩序を正すために大量解雇を辞さないとするホ長官や行自部の方針に真っ向から対決したイ・カビョン蔚山区長のこのような所信は、スト参加者の処罰の水位を決定することにおいて相当の変数として作用するものと見られる。基礎自治団体の中で最も多くの、308人がストに参加した蔚山東区庁の責任者が「処罰不可」を固守する場合、他の首長らの悩みも深まらざるをえない。直ちに「カネづる」を引き締めるとする行自部の圧迫に、首長らは大規模な職位解除によって順応する形を示しているものの、大量解雇に伴う公務員労組の抵抗、市民団体の懲戒の最小化要求を勘案しなければならず、東区庁の公務員とのバランスを考慮して懲戒の最終的水位を決定せざるをえないからだ。
 当面、蔚山広域市(市長、パク・メソウ)では行自部の強力な懲戒指針が「効能」を発揮できずにいる。蔚山市は11月19日現在、やっと12人を職位解除した。イ・カビョン蔚山東区庁長が懲戒を拒否し、イ・サンボム北区庁長も重懲戒の指針に反対しているのに蔚山市が銃を構えるのは極めて重荷なのだ。

蔚山市を特別職務監査へ


 「懲罰」の指針を固守してきた行自部としては困惑気味の状況だ。行自部は、ともかくもスト参加公務員に対する懲戒を最終決定する蔚山市を、さまざまな角度から圧迫している。行自部は11月17日、行自部監査官室の4級公務員を団長とする6人の特別監査チームを蔚山市に派遣し、特別職務監査を始めた。だが特別監査チームが、公務員労組のストとは何の関係もなくパク・メンウ市長の財産登録現況まで資料提供を要求するとともに、波紋はさらに大きく広がっている。
 蔚山市は「市長に東区と北区のスト参加者に対する懲戒の水位を決定せよと要求するのは間違い」だと反発した。ハンナラ党蔚山市党委員長チェ・ビョンクク議員(蔚山・南甲)も「基礎団体長の職務に関連する範囲を広域団体長にまで拡大適用するのは慎重であるべきだ」「監査チームの越権行為を座視できない」と警告して乗り出した。
 イ区長も「ハンギョレ21」とのインタビューで「闘おうとするのであれば、私と向かいあって闘うべきで、蔚山市長を圧迫するのは卑怯で、笑わせる話だ」と語った。彼は「他人に責任を押しつけず、いっそノ・ムション大統領が直接、私を告発してくれ」と対決の姿勢を示した。
 行自部は表面上は確固たる意志を示している。けれどもホ長官が11月16日の記者会見で、法適用の検討まで終ったとしていた一部区長に対する告発の有無は、最終的な決定をできずにいる。イ区長告発の手続きを担当する行自部自治行政課、監査官室、服務課関係者らは「まだイ区長の告発問題について指示が下りてきたものはない」と語った。
 反面、イ区長は断固としている。彼は既に02年11月の公務員労組の年休闘争の際、懲戒を要求する行自部の指針と対決し「市民生活と業務に支障のない範囲内で公務員に年次休暇を許諾したのに、集会に参加したとの理由だけで彼らを懲戒することはできない」として拒否した経過がある。この事件によって略式起訴され罰金300万ウォンを宣告されたものの、彼は罰金の納付を拒否した。結局、見るに見かねた蔚山東区庁労組が「われわれのせいで、もたらされたこと」だとして代わって罰金を納付し、ケリとなった。彼は今回も屈服しはしない、と語った。
 彼は、むしろノ・ムヒョン大統領とホ・ソングワン長官に向かって、認識の転換を求めた。「全教組の事態のように、どの政権であれ公務員労組は自らの権利を求めるのだろうに、ノ大統領やホ長官は、なぜ数千人の公務員を大量解雇することで名を挙げようとするのか。どのみち実現されることであるならば、改革的だという参与政府、労働人権弁護士出身のノ大統領が責任をもって許容せよ、と勧めたい」。(「ハンギョレ21」第536号、04年12月2日付、シン・スングン記者)



コラム

 牧之原台地と空港建設

 静岡空港予定地は牧之原台地の端に位置し、大井川が眼下に見える。一八六九(明治2年)に、牧之原の茶園は、幕府が倒され食いつめた徳川の幕臣や川越人足らの手により開拓の端緒が開かれた。当時、不毛の地として誰もかえりみなかった牧ノ原は、現在広大な茶園がつづき、わが国最大の茶産地となっている。
 一九四〇年この牧之原台地に、海軍大井航空隊飛行場(牧之原飛行場)が茶畑を強制的収用して建設された。大井航空隊は当初、偵察搭乗員を養成する練習航空隊であり、赤とんぼや機上作業練習機「白菊」(5人乗)が配置された。戦火が激しくなった一九四五年三月、偵察員を養成する訓練基地から実戦基地に改編され、多くの若者が「白菊」を改造した粗末な「特攻機」に搭乗し、「白菊特攻隊」として飛び立っていった。
 飛行場は米軍の爆撃も受けた。「飛行場が真っ赤に燃え上がるのを見て恐かった」と当時小学生だった黒田小笠町長から聞いたことがある。わが家には米軍機が落としていった薬きょが残されていた。
 このような歴史を秘めた牧之原台地の一角に静岡空港を作る造成工事が進められている。うっそうと茂った山林をなぎ倒し、代々大切に育ててきた茶畑を削っている。十トンダンプが地響を立てて谷を埋めている。
 四人の地権者は、それぞれこの地で生きている。十一月二十八日に開かれた空港反対集会の現地案内の時、茶畑を営む村田利広さんは、「この地に空港なんかいらない。利便さだけを追い求めるような生活のあり方を考え直さないといけないんだ」と語った。大井寿生さんは十六代目で明治開拓ではなく、江戸時代からこの地に住む人の子孫だ。大井さんは「ムダな空港建設に先祖代々の土地を差し出すわけにはいかない」と院内集会で決意を述べた。
 桧林耕作さんは「いよいよ今年は、決戦の夏の陣が来る。共有地権者も、誓詞血判をしたんだから、『土地も共有したけれど、闘いも心も共有してもらいたい!』 その意味で、『最後の決戦を迎えたい』。今いる反対派は、『本当のとこ』が残ったのだから、『トラは死んでも皮を残す!』と言われるように、自分は、最後まで闘ったと言う証を残したい」と語っている。(オオタカの森通信)
 桃とみかんを栽培する松本吉彦さんは「尾瀬の山を登ったとき、先人たちが自然を守ってきたから、あの自然があるのだと感じました。多くの人にここに来てもらいたいです。そして農作業の軽いお手伝いはどうでしょうか。三月下旬から五月にかけて、桃の摘果作業があります。オオタカも見られますよ。家や畑の周りにまで、空港関係の工事が進んで、夜九時ころまで、やって大変やかましく、何故こんなにまでムダな金(血税)を使うのか私にはわからない」。(オオタカの森通信)
 県知事は強制収用の発動に向けて手続きを開始した。二度と牧之原の血に塗られた歴史を繰り返してはならない。(滝)


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