三里塚空港
県収用委員会再建糾弾
暫定滑走路を使うな、延伸を許さない闘いを
成田空港は二〇〇四年四月から民営化され、運営主体は空港公団から成田国際空港株式会社と組織を改めた。運輸官僚上がりの公団総裁黒野匡彦は社長となり、さらなる農民追い出しを目論んでいる。
十二月九日、民営化後初めての九月中間期決算を発表し、経常利益は百八十九億円と年間目標の八六%に達したと、民営化の効果と順調なスタートを演出している。
しかし、空港会社自身が「政府融資の返済負担などがあり、キャッシュフローが潤沢とは言えない」と認めるように、純利益は十六億円であり、年間目標百二億円の一六%にも満たない。総資産九千八百三十四億円の空港会社にしては、とても少ない数値であり、決して順調な滑り出しではないのである。
空港会社の負債総額は五千六百八十億円(有利子)、政府出資金分の千四百九十七億円(無利子)を合わせると七千百三十億円。負債過多の財務体質のままでは、〇七年の株式上場時に投資家に見放され、経営は立ちいかなくなる。民営化の破産を回避するため、安全性や環境対策、地域との共生のコストを徹底的に削減し、資産価値を高めるため、ジャンボ機が飛べない暫定滑走路を延長しようと必死なのが、国土交通省・空港会社の本当の姿である。
十一月一日、北側一雄国土交通大臣が、就任後初めて成田空港を視察し、記者会見で、暫定滑走路の延長について「成田国際空港株式会社に対して地権者との用地交渉に年内全力を挙げて取り組んでもらい、年明けに報告するように求めた。その結果を良く聞いて判断したい」と述べた。暫定滑走路の用地交渉の期限が、〇四年一杯というのは、〇三年末に公団黒野総裁(当時)も発言しており、政府・空港会社が自ら決めた日程であり、空港会社自身が追い詰められ、判断を迫られていることを示している。また、同時に、東峰・天神峰住民に対する追いだしの恫喝である。〇三年末裁判に勝利し東峰神社用地を地区に取り戻した東峰住民は、この地で暮らす固い決意を示しており、なすすべがなくなった空港会社は、北側延伸を持ちだすことで、追い出しを図ろうとしているのだ。
空港推進派である成田の経済団体などで構成する成田空港対策協議会(豊田磐会長)は十一月十七日、滑走路南側の反対派農家との用地交渉が進展しない場合は北側に延伸し、二〇〇九年までに使用開始するよう求める要望書を、空港会社や市に提出した。北側延伸は地権者との合意に二年、工事に四年、計六年はかかるといわれているが、この要望書では、一年短縮し五年で完成させよと求め、将来は(東峰住民を立ち退かせ)南側にも伸ばし三千三百メートル滑走路を実現せよという乱暴な内容だ。
こうした、政府・空港会社、推進派の動きにあわせるかのように、堂本暁子千葉県知事は十一月十八日、十六年間機能が停止していた収用委員会の再建を表明した。
再建の理由について知事は、収用委員会がないため、館山自動車道路などの公共事業が進捗せず、必要な社会基盤の整備が遅れたり、停止し、「県民に生活の不便や社会経済的不利益をもたらしている」と述べ、東葉高速鉄道や京成船橋駅周辺の立体交差事業などが進まず「経済的・社会的損失は計りしれない」と、開発推進の自民党顔負けの発言を行った。さらに、記者会見では「強制収用は成田空港には適用しない」と述べた。
収用委再建の表明と同時に、県庁は機動隊が常駐し、戒厳体制となった。「過激派のテロを警戒」するとの理由で、収用委員の名前さえ秘密とされ、収用委員の人事を承認する県議会は、県政始まって以来の秘密会で審議が行なわれた。
「成田に適用しない」はとんでもない欺瞞である。成田二期工事の事業認定は、すでに二十年が過ぎ、すでに失効しているのである。失効を認めなかった政府も、九一年五月には当時の村岡運輸相が強制収用放棄を確約し同年十一月には閣議で了承され、九三年六月には、空港公団が土地収用申請を取り下げた。収用委が再建されたとしても、収用申請されていない暫定滑走路用地を強制収用することは不可能である。また、再び申請することは制度的にも社会的にも許されないのである。そうでありながら、あえて「成田には適用しない」と発言するのは、あたかも暫定滑走路用地が「収用の対象」であるかのような印象を作りだし、過剰な警備によって「空港反対は過激派」とのキャンペーンで、東峰住民への圧力を強めるためだ。
収用委員会再建には、県議会からも批判の声が上がった。委員の安全確保との理由で七人の委員全員の氏名や住所が公表されないことが明らかになると、批判の声は広がった。だが、知事は非公開のまま収用委員人事案を議会に提案した。
十二月七日、千葉県議会には九十人が出席。宮内三朗議長が秘密会開催を発議し、自民、公明の全員と、水と緑の会の一人、民主の八人のうち七人が賛成、共産、社民・県民連合、市民ネット・無所属市民の会の三会派と民主の湯浅和子氏が反対し、賛成多数で秘密会開催が決まった。反対した三会派の十人と湯浅氏は、退席し秘密会を欠席した。秘密会は、傍聴人や記者、大半の県職員も入れず、議員のほか、知事、副知事二人、議会事務局職員らが出席しただけ。知事が七人の収用委員の名前を読み上げた後、採決が行われ、出席した議員の全会一致で可決された。
秘密会とは、県民や新聞記者にも内容が知らされないばかりか、議員にも他人に漏らさないことが強制される。漏らしたことが分かれば、議員にも懲罰が待っている。収用委員の氏名は数年は公表されない見込みであり、その間に、収用委員会が開催されても、開催そのものが非公開となる。県民にしてみれば、秘密裏に協議され、ある日突然、県の職員がやってきて、「ここの土地は収用されることになった」と宣告されることになる。憲法で保障された財産権を制限するのに密室審議とは、情報公開にも逆行している。
住民の追いし攻撃が強まる一方で、東峰・天神峰、横堀の住民は、この地で暮らす決意をしめし、これまでどおりの営みを続けている。
公団による東峰神社の立ち木伐採に抗議し、〇三年末、裁判に勝利し、所有権を部落の総有に取り戻した東峰神社は、この春住民の手によって整備され、持ち寄ったさまざまな木が植樹され、神社の社も十月に改修され新しくなった。
東峰では、毎日、上空をジェット機が飛び、騒音や振動の被害を受けているが、空港の被害はこれだけではない。昨年秋の大雨にでは、空港から雨水が流れ込み、東峰の畑を水浸しにした。周りがコンクリで固められているため、排水が悪くなっているのだ。住民は、空港会社に対策を求めている。また移転した住宅跡土地についても、業者に貸し出すのではなく、住民の共同管理とするよう求めるなど、日々、空港による生活破壊と闘っている。
東峰と同じく横風滑走路予定地に一方的に決められ、部落の解体攻撃をうけている横堀地区では、八月七日、「横堀開墾百年祭」が銅葺きの屋根に改修された横堀稲荷の前で行われた。百年の重みを考え、空港反対の初心を貫き、横堀部落を守り抜いていこうという住民の固い決意が込められた行事であった。百人が参加した盆踊りでは、「横堀音頭」を作り来年は皆で踊ろうと提起され、すでに「横堀音頭」が出来上がっている。
横堀地区の空港予定地内には共同墓地、稲荷神社、現闘本部、水田、一坪共有地、同盟所有地・鉄塔などが多数存在している。空港会社は部落を解体しないかぎり、横風滑走路・誘導路の完成は不可能だ。横堀部落の住民があくまでもここに住み続けるという意志を固めていることは空港会社にとって今後の展望が見えず大きなダメージである。
東峰・横堀住民との連帯をこれまで以上に強め、空港会社の二期工事推進策動を粉砕して行こう。
今年、国民保護法案など有事関連7法の特定公共施設(交通・通信)利用法が成立し、成田空港も特定公共施設に指定され、「有事」の際は米軍や自衛隊の優先使用が可能となった。長い空港反対闘争のなかで、空港建設のための強制収用は出来なくなったが、「有事」を理由とした強制収用の可能性も浮上してくる。
成田空港は、自衛隊イラク派兵などで、軍事使用の既成事実は着々と積み重ねられてきた。成田空港の軍事・侵略拠点化を許してはならない。米軍基地撤去、辺野古への海上基地建設反対を闘う沖縄の住民と連帯し、イラク人民、世界の人民と連帯し、反戦闘争の主体的課題として成田空港の軍事使用に反対しよう。
政府・空港公団と対峙し続けている東峰部落住民の闘いに応えるために、第一に三里塚を全国闘争拠点として強化していこう。さらに、県が収用申請を行い緊迫した闘いを続ける静岡空港を始め、全国の空港反対運動や無駄な公共事業に反対する運動に取り組む仲間たちとのスクラムを強化していかなければならない。
第二に、成田空港民営化によるさまざまな問題点を暴露・批判していくとともに、空港誘導路の危険性など欠陥・危険だらけの暫定滑走路を暴きだし、閉鎖運動を作り出していくことである。
第三に、新自由主義と資本のグローバリゼーションに反対する海外の活動家たちが、次々と三里塚を訪れ、闘う三里塚農民たちとの交流が実現している。この間の交流運動の成果を、さらに広げ、反グローバリゼーション運動の拠点として世界に発信していこう。
第四は、東峰部落に対する集中した話し合い攻撃と同時に押しすすめられている横堀部落解体攻撃をはねかえしていくことである。そのために創意工夫に富んだ取り組みを開始していこう。これらのスタートとして〇五年反対同盟旗開き(1月16日(日)、正午、横堀研修センター)に結集しよう。(長沢克巳)
静岡空港
強制収用を絶対に許さない
ムダな公共事業―空港建設を中止せよ
静岡空港建設について県知事は二〇〇二年十二月以来、土地収用を何度となく口にしてきた。しかし、その都度反対運動と世論の圧力によって押し返され、土地収用申請のタイムリミットがどこなのか不明のまま空港の必要性自身が消し飛んでしまう状況が続いてきた。
ところがとことん追いつめられながら空港建設にしがみつく静岡県は、昨年十一月三十日ついに土地収用申請に踏みきった。しかも、開港時期について〇七年四月から〇九年四月へと再び延期するという決定も行った。恥も外聞もなく、行政の公正・平等・適性手続きをかなぐり捨てたとんでもない事態も同時に明らかになった。土地収用申請書に、開港延期手続きの書類(大臣の許可)が不備・不足しているという始末なのだ。このため、申請は未だ正式には受理されていない。
しかし、ここであらためて国と地方の行政のあり方、とりわけ大型公共事業のあり方が根本的に問われなければならない(小泉改革の実態を見よ!)。社会全体と地域社会の中で、生き残るべきは何であり、何が優先され、だれがいかに生存すべきなのかと。
現状のまま弱肉強食が加速し、莫大な負の遺産を積みあげ、一方的な犠牲の押しつけが強化されていけば、どうなるかは自明だ。そして、ここに静岡空港が位置している。もはや空港を推進する行政も必要性を問題にしていない。ただひたすら作ることに意味があるというわけだ。
化けの皮がはがれてしまった現在、世論の不安は高まるばかりとなっている。二月に中部国際空港が開港、羽田へのアクセスは強化され、完全に静岡空港は取り残されてしまった。なのに、なぜだ!!という一般県民の不安はますます広がり、県を追いつめていく。
また、こうしたムダな公共事業を批判し、生活権や生存権を守るために闘っている全国の市民・住民運動にとって、今回の土地収用申請はけっして他人事ではなく、明日にも身に起こりかねない事態と言うべきだろう。その意味で、各地の市民・住民運動との連携と合流が、かつてなく求められており、これらの闘いが個別ではありながら、共通する目標と方向性についてあらゆる社会的抵抗勢力のなかで、いまこそ検討されるべきだろう。
空港建設に反対する闘いを通して、静岡県政の底深い官僚体質と反県民性を暴き出し、過去二度にわたる知事選には独自候補を推して闘ってきた。この七月には三度び、空港の是非を最大の争点とし、加えてウラガネプール金問題が次から次へと表面化した県政の不正・腐敗の徹底的追及、そして二兆円を超える借金を抱え、備えてあった貯金(基金)をゼロ近くまで取り崩してなお延命をはかる石川官僚知事追放をかけた県知事選を控えている。空港反対運動は、これに全力で取り組むだろう。
そして国交省が土地収用の認定――早ければ五〜六月と予想される――をした場合、決然とこれを迎え打つ、大規模の取消訴訟を提起して闘い、また同時に県収用委員会を開かせない闘いなど、あらゆる手段に訴えて闘いぬくだろう。したがって、これらの闘いは、一段と大きく全国性を持ったものとなるにちがいない。「成田の教訓」を真に生かして勝利を手にするまで闘いぬく。
追伸 県の発表によっても、〇五年の税収不足がなんと八百億円に近いという数字が出ている。国の今年度予算と全く同様だ!!(清水三郎)
関西新空港
全国の反空港現地闘争と結び
場当たり的空港整備事業を撃とう!
阿部陽一(泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会事務局長)
関西新空港(関空)周辺では、秋から年末にかけて毎年のようにドタバタ騒ぎが引き起される。今年もその例外ではない。しかも、一人でワーワー言うてるだけならともかく、必ずやどこかを巻き込んでの騒動だけにホンマに始末が悪
い。もちろん、この騒ぎの原因が、次年度予算獲得に向けた「関空救済」策であるのは、今や周知の事実である。
今回は、2期施設整備費六百億円のうち、〇五年度分の三百億円獲得をめざす動きの中で起きている。1期、2期事業ともに一兆五千億円規模で、かつ毎年千億円単位の事業費投入に比べれば大した額には見えないが、何しろ2期滑走路予算がつくか否かの局面に差し掛かっている。そのため、大阪都心部から近い利便性の良い伊丹空港に対し、発着制限をこの秋にゴリ押ししたばかりだ
というのに、さらに恥じも外聞もなく「伊丹2種空港格下げ」案まで持ち出している。しかし伊丹減便にしても、関空の需要や就航便数が確実に増えるわけではない。東京や福岡へ向かう乗客が、一時間もかけてわざわざ関空まで来ることは、決してあり得ない。ニンマリするのはJR、苦々しく思うのは航空会
社、不便を被るのはビジネスマン、という構図は何も変わらない。
関空にまつわるこのような動きは、もちろん今にして始まったことではない。遡れば九〇年代のウイングカット騒動、陸上飛行強行導入問題、そして〇二年には「成田・中部・関西」三空港の上下分離民営化案で、成田の収益で関空を
救済するという激しい非難に遭い、構想はポシャッている。このときは、第八次空港整備計画(8空整)の最終策定時であったが、結局三空港民営化は打ち出せず仕舞だった。その後、この問題は余波として「伊丹・神戸・関空」のいわゆる関西三空港問題に飛び火し、結局、関空支援策として国庫からの年間九十億円拠出という手打ちが周到に行われ、現在に至っている。
要するに、九九年七月に着工した2期埋め立て工事が九〇%近くまで造成されている状況で、この既成事実を盾に、何が何でも〇七年供用にこぎつけようとする動きに他ならない。そこには展望はもちろんのこと、事業費が一・五倍まで膨らんだ1期の検証さえ今だ行なわれていない。また、この間の空港経営のずさんさも取り沙汰されることはなく、まさに、無駄な公共事業の典型例以外の何物でもない。しかも、大阪府や関西財界、さらにゼネコンまでがつるんでの「みんなでやれば怖くない」式の図式だけに、なおさら悪質である。
関空2期事業は本来、〇八年大阪五輪を射程に取り組まれてきた経緯がある。しかしその五輪も北京に取って代わられた今、2期事業に推進の整合性は
もはやない。空港会社は「滑走路が二本ないとメンテができない」と、この期に及んで泣き言を言っているが、年間十万回そこそこの離発着数で伊丹にも追い抜かれている中で、何をか言わんやである。
このような状況下の去る十二月三日、さすがにマスコミも見るに耐えないのか「関西三空港シンポ」が大阪で開かれた。国交省事務次官、関空会社社長、兵庫県知事などが出席していたが、しかし言うことは我田引水的で皆てんでんバ
ラバラ。表向きは、三空港の役割分担や相互協力などおいしそうな文句を謳っていたものの、その内実は、関空のテコ入れがまずありきで、次に関西圏というわずかのパイをどう分けるか、この算段を聞かされたような茶番シンポそのものだった。最終的には、基調提言を行った早大大学院教授から「関西はどうしてまとまりがないのか」と、苦言を呈される始末だった。
ともあれ関西新空港は、今秋九月四日に「開港十年」を迎えた。とはいえこの空港は、未だにどうしようもない蟻地獄状態から脱しきれないでいる。元凶は言うまでもなく、べら棒な事業費であり、付随する負債である。現時点では借金完済まであと三十年かかるという。しかし三十年後を想定してみよう。最低地点只今海抜一・一メートルの現1期島はすでに大阪湾に没している可能性がある。
また東アジア近隣拠点空港の台頭で、この空港はもはや無用の長物になっているかもしれない。さらに、米軍の名指しによる海上軍事空港化も大いに懸念される。
しかし私たちにとっては、悠長に三十年も待っているわけにはいかない。地元泉州にこれでもかというほど害悪をばら撒き続けているこのデタラメ空港に対
し、これからもしつこく異議を唱えていかなければならない。ましてや軍事空港化は何としても阻止しなければならない。それゆえ「情況は必ず変わる、また必ず変える」という確信の下、全国の反空港現地の仲間と連携・連帯し、今後も粘り強く場当たり的空港整備事業を共に撃つべく、三十三年目の闘いに踏み出して行きたいと思う。共に頑張りましょう!
(本紙編集部が原稿を依頼し、寄せられたものです)
【訂正】前号1面3段10行目「人員の大幅に削減」を「人員を大幅に削減」に同5段中見出しから4行目「の国家利益に反する」を「の国家利益にかなう」に、同論文2面2段は見出しから16行目「家族は。」を「家族は、」に訂正します。
共青同アピール
戦争とリストラの時代に抗して闘いぬこう!
イラク戦争は開戦から二年目をむかえ、状況はますます泥沼化している。国連のお墨付きを得ることに失敗したアメリカが戦争の大義名分としていたイラクの大量破壊兵器は存在しなかった。「民主的な」イラク暫定政府はなんらの力もないままにアメリカのかいらい政権としての性格を日々鮮明にしている。すでにアメリカの同盟国(いわゆる有志連合)はイギリスや韓国、そして日本などわずかの国をのぞいてほとんどがイラクから撤退するか撤退を検討中である。アブグレイブ刑務所でのアメリカ兵による民間人暴行事件や「テロ掃討」の名目で行われているファルージャでの民間人虐殺などは氷山の一角であり、イラク人虐殺や不当な拘束、暴行は日常化している。アメリカ軍や有志連合軍はイラクに「民主主義をもたらす」どころかフセイン時代以上の混乱と殺戮をイラクの地にもたらしている。
アメリカ及びそれを支持した有志連合諸国の政治的、倫理的破綻は誰の目にも明らかであるが、アメリカ大統領選でのブッシュ再選はこうした破綻がイラクの徹底的な破壊と殺戮、そしてそれだけではなく世界規模での戦争と労働者大衆への一層の搾取にまで突き進むことを意味している。ブッシュは、再選されるや否や「テロリスト掃討」の名の下にファルージャへの攻撃を指令し、約六千人のイラク人が米軍によって殺害された。しかし、その多くはアメリカの主張する「テロリスト」ではなく、一般の市民である。すべてに行き詰まったブッシュ政権の最後のはかない望みは残り四年の任期の内にイラクに「民主国家」をでっち上げることである。十万以上のイラクの人たちはその粗雑で無計画きわまる目的のために虐殺されているのだ!
こうした中で小泉政権は十二月以降も引き続いてイラクに自衛隊を駐留させることを国会の議論すら経ずに決定した。有志連合の諸国が次々と脱落していく中で、日本政府とアメリカの共犯関係はもはや引き返しようのない所まで来ており、「人道支援」のためにイラク非戦闘地域に自衛隊を派遣する、としていた自らの論理の完璧な破綻を前に小泉は「自衛隊の行くところが非戦闘地域である」という珍妙な駄弁を弄するしかなくなっている。
今年の四月、十月に相次いだイラクでの日本人人質事件や自衛隊宿営地へのロケット弾着弾などで明らかなとおり、「非戦闘地域」なるものは現在のイラクには全く存在しないにもかかわらず、である。
来年のオランダ軍撤退にともないアメリカの占領統治に反発するイラクの人々の敵意が自衛隊に直接向くことはあきらである。小泉自民党政府、そして武器輸出三原則の緩和や改憲を主張している日本経団連に代表される日本の資本家階級は(私たちと同世代の)自衛隊員をイラク人民虐殺に加担させることにより、自衛隊の「初陣」を飾らせ、海外で戦闘を行う「本物の軍隊」としての自衛隊を既成事実化しようと目論んでいる。民主党、自民党など国会内の改憲派が圧倒的多数という情勢下で自衛隊がなし崩し的にイラク侵略戦争に参加していくような事態になり海外派兵という既成事実が作られれば、9条改悪を中心とした憲法改悪への決定打となるだろう。
自衛隊(=軍隊)という超階級社会の中で、政府・ブルジョアジーどもの政治的ご都合主義に振り回され、低賃金、過密労働に忙殺された上、イラク人民へ銃を向けることを強制される下級自衛官に対して我々は今こそ、「イラクに行くな」「命令を拒否しよう」と心から呼びかける。
グローバル資本主義の苛烈な競争下で少しでも利益を上げるために資本家階級は国境を越えた資本と労働力の移動、資源の暴力的収奪・独占へと突っ走っている。パート、派遣といった雇用形態の不安定化・非正規化を進めることで「コストの圧縮」をはかる一方で、貧富の差の拡大による階級分化、海外への軍事侵略を正当化すべく義務教育段階での国家主義思想の注入や差別・選別教育の導入が急ピッチで図られている。
新自由主義グローバリゼーションを生き残ろうとする資本による労働者人民への文字通り血の収奪の帰結として自衛隊海外派兵、憲法改悪、労基法改悪、リストラ、教育基本法改悪はあるのだということを忘れないようにしようではないか。公教育を使った「滅私奉公」思想の注入は「戦争にも低賃金にも物言わぬ人間」の育成である。教育現場での日の丸・君が代強制、「愛国心教育」の導入に反対すると同時に戦争政策と密接にリンクした低賃金労働、不安定雇用の広がりにも強く反撃していかなければならない。働く者は雇用形態のいかんによらず平等である。同一労働同一賃金の原則のもとにフリーターや外国人労働者など不安定雇用労働者の基本的労働権獲得、社会保障獲得、団結強化の闘いを進めていこう。
プロ野球の再編問題に抗議して労働組合・日本プロ野球選手会がストライキを実施したことも触れておかなければならない。経営難を理由にプロ野球の整理統合を行おうとするオーナー達は話し合いを求める選手会側を「たかが選手」(渡辺恒夫 巨人前オーナー)と切り捨てたばかりか、「ストに対しては法的措置も検討する」などと資本家としての本性を剥き出しにした攻撃を加えた。だが、資本の攻撃にひるむことなく断行されたストによって(不十分であり、限定的ではあるが)選手会側は勝利することが出来た。ここから日本の労働運動全体が直ちに上昇気流に乗る、という幻想を私たちは抱くことは出来ない。しかしわれわれは、既成の労働運動が春闘すら満足に闘えなくなっている情勢下で、「我々は労働者だ」「ストは権利だ」という声を挙げることの大切さを実践のなかで社会的に広く証明した今回の闘いは、プロ野球の枠を超えた「階級的」意義があると考えるし、立ち上がった仲間に最大限連帯の挨拶を送りたい。
十一月一日から三日には日韓FTAに反対する日韓労働者による共同闘争が外務省・経団連前抗議行動と街頭デモによって断固として貫徹された。約百人の韓国派遣団を先頭にした抗議行動が外務省、日韓両国の資本家どもを嵐のような闘志で圧倒し、日韓FTA粉砕!新自由主義打倒!という日韓労働者共通の意思を行動で示したのだ。日韓労働者の団結は日本の反グローバリズム運動、さらに朝鮮民主主義人民共和国(いわゆる「北朝鮮」)をふくめた朝鮮半島をめぐる情勢にとって欠くことのできない環である。
日本の労働運動、社会運動はさらに大きな規模で韓国の仲間と連帯し、今後の日韓FTA粉砕・阻止闘争に結集、勝利していこう。
三里塚や静岡空港においても住民追い出し、土地の強制収用という国家・ブルジョアジーによる「強権発動」という実態が浮き彫りになっている。新たに就任した北側国交相は着任早々、三里塚現地を視察し「早く完成させろ」と地元や成田空港株式会社にハッパをかけ、これに呼応するかのようにこれまで機能停止状態にあった千葉県収用委員会が十六年ぶりに「復活」した。堂本千葉県知事は「(収用委員会は)成田は対象外」と言っているが一方では「(空港建設は)国の決めることで県として口の挟める問題ではない」とも言っている。
静岡空港も利用者がほとんど見込めないにもかかわらず、県官僚と地元企業の都合によって土地の強制収用へと動こうとしている。空港事業の名の下に土地が強制収用され、そこに住む人々が理不尽に追い立てられる危険が再び現れた、ということをわれわれはハッキリと認識する必要がある。巨大開発の波にさらされる三里塚、静岡空港反対闘争に結集していける主体の形成に全力で取りかかっていこう。
戦争と大量失業の時代を伴い、現代資本主義は世界中あらゆる所にまでその触手をのばそうとしている。私たちは世界の労働者民衆と連帯し、戦争と搾取の歴史を終わらせ、公正で平等な富や社会的資本の分配を求めていかなければならない。資本主義的グローバリゼーションに対する抵抗の実践のなかから歴史的意味を失いつつある資本主義システムへの根本的・徹底的な批判と攻勢を作り出していこう。
「ローマ帝国が最も大きくなったとき、ローマ帝国は滅んだ。資本主義が世界を覆うときこそ資本主義の最後だ」、FTA闘争を闘う韓国の仲間はこう訴えた。道は必ず闘い続ける者の前に拓けるだろう。
結集、粉砕、勝利しよう!
日本共産青年同盟首都圏会議
第31次寿越冬闘争
横浜市当局の切り捨て許さず生き抜く闘いを
第十五次から第三十次にかけて、越冬闘争は寿公園内に横浜市の予算で建てさせたプレハブを使用しながら展開されてきた。しかし、第三十一次からは公園テントで冬を乗り切る闘争になることがほぼ確実である。
横浜市福祉局は横浜市自立支援センター「はまかぜ」(03年開設)に越冬期の入所枠を確保していることを口実に、今次より越冬実への拠出をしない旨予告していた。シェルターへの収容と引き換えに予算の削減をはかろうというのだ。
横浜市は予算のみならず当直医の配置、結核検診の実施体制、相談窓口の受付人員についても極力行政のコストダウンを図ろうという態度を崩さず、越冬実の要求に対して誠実に回答をしていない。また、横浜市は寿町に隣接する中村川流域で野宿する人だけを対象とした「中村川寮」というシェルターを十一月に新設した。小屋の撤去を進めるために施設入所か、路上からの退去か、を露骨に迫る横浜市に抗議するぞ。
ともあれ越冬突入は間近だ。野垂れ死、凍え死を防ぐために続けてきた、越冬闘争の意義を理解するどころか、社会的弱者にかかる費用削減のために立ち回る「やつら」にやり返し、冬を生き抜くたたかいを進めていこう。
炊き出し、人民パトロールは12月29日から1月3日まで行われる。そして越冬突入集会は12月26日(日)午後6時から寿生活館4階会議室で行われる。(海田)
b連絡先 横浜市中区寿町3―12―2 寿生活館4階(事務局・高沢)TEL/FAX 045-641-5599
b郵便振替口座 00240―9―45714 中央労働金庫 横浜支店321 普通 1559016
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