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「戦旗」の「かけはし」批判に反論する         かけはし2005.5.23号

フィリピン共産党指導部の暗殺政治こそ利敵行為である


「暗殺テロ」批判は
「反人民的犯罪」か

 「戦旗派」と「烽火派」の合同によって形成された共産同(統一委員会)は機関紙「戦旗」05年4月20号の論文「ネパール、フィリピンでの事態について」(共産同〔統一委員会〕国際部署名)で、「フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス」の代表でありアクバヤン(市民行動党)の議長でもあるウォールデン・ベロの、フィリピン共産党(CPP)の最高指導者であるジョマ・シソン氏に対する「公開質問状」(本紙1月24日号に訳載)を取り上げた。そしてこの論文の中で、ベロらをブルジョアジーとの「協調、和解の道を歩む」右翼日和見主義と批判するとともに、CPPから離脱して別個の左翼組織、革命組織を結成して闘ってきた活動家たちに対するCPPの内ゲバ主義暗殺路線にきっぱりと反対してきたわれわれの立場をも批判している。
 「戦旗」論文は述べる。「ベリョや『かけはし』の言動は米帝の側面攻撃援助として革命勢力破壊攻撃に手を貸すものだ」「米帝やアロヨ政権は……主要なバヤン活動家の暗殺を全国的に展開している状況下では、ベリョたちや第四インターの反NDFP(フィリピン民族民主戦線)、CPPキャンペーンはそれに手を貸す許すべからざる反人民的犯罪行為といえるものである」。
 こうした主張は、まったくCPPの引きうつしである。

左翼活動家への襲
撃がエスカレート

 しかしながら、このような「戦旗」論文の「かけはし」への断罪は、われわれのCPP批判の核心を素通りしている。つまりCPPによる他の左翼活動家に対する「内ゲバ主義」の極致とも言うべき系統的な暗殺テロ路線への言及がまったくなされていないのである。
 一九九一年から九三年にかけたCPPの全国規模の大分裂の中で、シソン路線の「再確認」を拒否したCPPの多くの元指導的カードルはシソン指導部から「人民の敵」「裏切り者」として「死刑」判決を受けた。その「判決」は決して「脅し」ではなく、実践されたのである。
 とりわけ二〇〇三年一月にケソン・シティーのレストランで元CPP政治局員でNPA(新人民軍)司令官だったロムロ・キンタナールが殺害されて以後、CPP│NPAの暗殺作戦は、従来の地域レベルの地下活動家に対するものから、公然大衆運動部門の活動家をもターゲットにするものへとレベルアップしてきた。
 以下、二〇〇三年一月以後にかぎって幾つかの例を紹介する。
●二〇〇三年二月四日 ケソン州のボンドク半島で、農民リーダーのレイムンド・テテン・テヘノが殺害される。
●二〇〇三年五月六日 ヌエバ・エクイヤでアクバヤンの地域代表で農民運動指導者のリト・バユダンが殺害される。
●二〇〇三年五月二十八日 ジャボンガにおけるアクバヤンの自治体レベルの支部の代表だったフロレンテ・ボーイ・オクメンが殺害される。
●二〇〇三年六月十一日 MLPP/RHB(フィリピン・マルクス・レーニン主義党/革命的人民軍)のオルガナイザー、ドニエ・バレンシアが誘拐の数日後にバターンで殺害される。
●二〇〇三年八月二十二日 RPA―ABB(革命的プロレタリア軍―アレックス・ボンカヤオ旅団:RPM―P〔フィリピン革命的労働者党〕の軍事組織)の指揮官ダニエル・バトイがマカトで射殺され、彼の娘も殺される。
●二〇〇四年九月二十六日 RPM―P/RPA―ABBの議長アルトゥロ・タバラが、メトロ・マニラで殺害される。この時、タバラの娘のボーイフレンドだった十九歳のスティーブン・オンも射殺。
 このようにして、非CPP系の左翼グループすべてに対するCPP―NPAの暗殺路線は、ブッシュのイラク侵略戦争の発動と、米軍・フィリピン国軍一体となったフィリピンでの「対テロ作戦」激化以後、むしろエスカレートしているのであり、CPP―NPAの「暗殺」路線が、帝国主義やアロヨ政権に弾圧の口実を与える結果をもたらしているのである。
 そしてCPP―NPAやNDFは、これらの襲撃・暗殺が「人民の敵」に対する自らの「裁き」であることを決して隠そうとはしていない。

革命運動を内部か
ら瓦解させる誤り

 「シソン教授」は、昨年十二月七日付「アンバヤン」(CPP機関紙)に掲載された「一覧表」は、「フィリピンのエセ革命グループ」と「外国のトロツキストや社民」との「イデオロギー的・政治的結びつき」を示しただけだ、と述べる。確かにそれは直接的「暗殺教唆」ではないだろう。しかし、CPPと非CPP系左翼との関係を「革命対反革命」の図式で描きだし、革命運動をCPPが独占することによって、一切の異論派を「帝国主義の手先」として描きだし、暗殺テロを理論的にも実践的にも正当化するCPPの路線を考えるとき、この「一覧表」がそこで名指しされた組織・グループや活動家にとって「ヒットリスト」という脅威に転化することは、まったく当然である。
 「戦旗」論文は、「論争によって彼我の見地を発展させていくことはきわめて健全かついいことである」と述べる。その通りだ。「しかしながら」と同論文は続ける。「幾度も言うが絶対に許すべからざることは敵の手を借りて論争相手を拘束、抹殺させることである」と。
 それでは革命党派が「敵の手」ではなく「自分の手」で「論争相手を拘束、抹殺させる」ことは認められるのか。それは正しいことなのか。革命運動・大衆運動を内部から瓦解させるそうした内ゲバ殺人路線はまさに利敵行為ではないのか。
 われわれはCPPに対して「内ゲバ暗殺」路線の放棄を求めた。この核心について「戦旗」論文はまったくふれていない。そして、この問題は決してフィリピン革命運動の「内部事情」によって正当化されるものではないし、今日の「反グローバリゼーション運動」全体にとっても重大かつ深刻な課題を提起している。世界的な「反グローバリゼーション運動」の中でも、戦略的な相違と論争が存在しており、その論争を深め、発展させていくことは「戦旗」論文が言うように望ましいことだ。しかし「論争相手を拘束、抹殺」する恐怖のまん延を容認することは、論争の前提条件を根底から破壊するのだ。
 第四インターナショナルをはじめとする欧州の革命的左翼は、シソン氏の政治的亡命の権利の剥奪をねらい、CPP―NPAを「テロ組織」のリストに挙げる帝国主義権力の攻撃に反対して闘ってきた。しかしその立場は、CPPとシソン氏の「暗殺テロ」政策の容認を絶対に意味しないのである。   (平井純一)



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            茅刈 拓(反改憲運動通信編集部)


「平和基本法の再
挑戦」を批判する

 現在の改憲論をめぐるメディアの深刻な右傾化は、たんに、「読売」「産経」などの従来からの右翼メディアの攻勢が強まっていることだけが原因ではない。それに対抗すべき、「朝日」「岩波」などの「リベラル」メディアの立場の曖昧さ、「是々非々」的態度がそれを後押ししていることも右傾化亢進の重大な要因になっている。これまでにも、かかる「リベラル」メディアは、「現実主義」を掲げ、反改憲の陣営に分断を持ち込む「提言」なるものを繰り返してきた。そしていままた、改憲への地ならしに動き始めているのである。
 岩波『世界』6月号の古関彰一、前田哲男、山口二郎、和田春樹各氏の共同提言「平和基本法の再挑戦―憲法9条維持のもとで、いかなる安全保障政策が可能か」は「平和憲法の理念を擁護する」ことを表明しつつもその主張の内実は現在主流の改憲論に限りなく妥協した、まさに、「狼の皮を被った羊」的代物である。
 周知のとおり、「平和基本法」構想は、一九九三年に冷戦崩壊と非自民連立政権誕生の波にのり提案された。「違憲状態」にある自衛隊を、基本法制定によって「最小限度の武装」に限定していくというこの「提言」は、「自衛隊違憲、PKO派兵反対」を掲げる運動に敵対と混乱を持ち込み、連立政権での日本社会党の「安保、自衛隊合憲の容認」を下支えすることになった(「平和基本法」批判は、『憲法改正批判』1994年旬報社、に詳しい)。
 そもそもこの「提言」は、自衛隊が「9条下で違憲状態にある」(p96)にもかかわらず、なぜそれが「基本法」(=最小限度の防御力=軍事力の肯定)を制定することで「合憲化」されるのかが説明できないという根本矛盾を抱えている。またこの「提言」の大きな問題点のひとつは、「日米安保破棄」を正面から掲げていないことである。冷戦崩壊以後の日本の軍事化の要は、日米安保のグローバルな安全保障システムへの変質であり、現在の改憲衝動は、アメリカ帝国主義のグローバル支配遂行のうえで、憲法九条二項が決定的な隘路になっており、その隘路を突破することに、アメリカに追随する日本の支配層も「生き残り」を賭けているところに起因している。
 「提言」は、日米安保が「強化」されることに「懸念」を表明している(p109)。だが、彼らは「現在の」日米安保は肯定するのだろうか、「提言」では現行安保は「違憲」なのか、「合憲」なのかが明示されていない。それとも彼らは現在の日米安保は「違憲状態」だから、「日米安保基本法」をつくり「いったん合憲化」し、将来の「発展的解消」を目指しましょうとでもいうのだろうか。彼らのロジックは結局のところ、「自衛隊・安保肯定論」にしか結びつきようがないのである。
 彼らは、9条空洞化の責任の一端は「状況にただ流されてオルタナティブを提出できなかった私たちの側の思考停止にある」という(p109)。しかし、九三年当時には冷戦が崩壊し日米安保が「時代の遺物」になったかのような楽観論を振りまき、沖縄民衆の闘いをはじめとする、九〇年代以降の反軍事の闘いの積極的経験を等閑視し、日本社会党の変質と消滅を後押しした彼らこそ、「思考停止」状態にあるのだ。

闘いを広げるメ
ディアへの挑戦

 このような過去の亡霊がまたぞろ跋扈(ばっこ)しはじめているのが、現在の「リベラル」メディアの現状である。だが実際には、五月三日「朝日」「毎日」に掲載された「意見広告」に大きな反響が寄せられているように、民衆の平和意識は依然として潜勢力を備えている。大メディアの支配のもとで、きちんとした「反改憲」の声が反映しないことが問題なのである。
 『反改憲運動通信』は、現在の憲法改悪に正面から反対する運動の声と経験を豊かに交流し、たたかいのうねりをさらに広げていく〈メディア〉を目指す。大メディアに載らない様々な運動を紹介し、運動に依拠した反改憲の世論の筋道を立てていく〈メディア〉を目指す。読者として、そして運動情報の発信者としてこの〈メディア〉を支えることを訴えたい。
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田んぼくらぶ田植え
現地で営農し生活する人びとと結びつこう

 五月四日、今年も田んぼくらぶが旧二期工区内にある熱田さんの田んぼで田植えを行った。
 前日の夜は横堀農業研修センターに東峰部落の石井紀子さんを招いての交流会。石井さんは三里塚との関わりや、現地に住み始めた頃のことから、暫定滑走路直下での暮らしなど多岐にわたる話を持参の写真パネルなどを見せながら話した。そしてこの間の平行滑走路北ずらし案については「謝っていると言うけど、全然そんなことはない」「謝っているように見せかけた脅し」と空港会社のやり方に対する憤りを語った。
 初めての参加者や、以前あるミニコミで石井紀子さんにインタビューをしたことがあるという女性など、今回は女性の参加も多く、交流会は夜遅くまで続いた。
 翌日は朝食を済ませた後、田んぼへ。子どもも合わせて三十人近くが集まり、にぎやかな田植えとなった。大きな田んぼの下に作られた「こども田んぼ」では子どもたちが田植えを行った。
 無事、田植えを行った後は横堀農業研修センターでバーベキュー大会。初めて田植えを行った人や、何年かぶりで三里塚を訪れた人などそれぞれが感想を語り合った。翌五日も数人が残り、追い苗(風などで浮いてしまったところや曲がって植えてしまったところの修正など)を行った。
 昨年、空港公団から民営化された空港会社は、「ワールドカップのため」として短いままで運行を開始した「暫定滑走路」の騒音でも東峰部落住民を追い出せないと見るや、暫定滑走路を当初計画の南ではなく北に延長し(北ずらし案)、ジャンボジェットも飛べるようにしてその圧力で東峰部落住民を追い出そうと、いう全く恥も外聞もない地上げ屋的な手法に出てきている。
 これは同時に「利益優先のために安全を犠牲にする」というやり方でもある。三里塚闘争三十年の歴史に全く学ぶことのないこの空港会社のデタラメを暴き、反対の声を広げていくとともに、現地で営農し生活する人々と結びついていく活動をこれまで以上に強めていこう。二週間後には第一回目の草取りである。(板)


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