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「排除と襲撃」を考える討論集会             かけはし2005.6.13号

行政による排除の動きと連動した野宿者への襲撃事件


広範囲で執よう
な襲撃が続いた

 五月二十八日、すみだ生涯学習センターで「排除と襲撃」を考える討論・交流集会が、六十人を超える人々の参加で行われた。集会を呼びかけたのは山谷争議団/反失実と山谷労働者福祉会館活動委員会の二団体。
 この集会は昨年の秋から今年の初めにかけて隅田川周辺の野宿者に対する少年たちの襲撃が相次いで行われたことを受けて企画された。
 これまでにも野宿者に対する襲撃は繰り返し行われてきた。隅田川周辺でも夏休みなどにテントに花火を打ち込まれたり、上から石を落とされたり、といったことが数多く報告されている。しかし今回の襲撃は同じグループと思われる少年たちによって今までにないほど執ように何回も繰り返し行われ、その地域もかなりの広範囲にわたった。
 夜から明け方にかけて行われるその襲撃は、抵抗出来なさそうな高齢の仲間が集中的に繰り返しねらわれたり、当初のテントに石を投げるといったやり方から、テントをたたき壊す、さらには角材などで野宿者に危害を加えるといった形でエスカレートしており、野宿者や支援者は強い危機感を持った。
 同時にこの時期、東京・代々木公園や、名古屋の白川公園のテントの強制撤去など行政による野宿者排除の動きが全国的にも強められてきたということが背景としてあり、ここにも運動の側は強い危機感を持たざるをえなかった。
 そして、そういった差別排外主義的な流れ、弱者切り捨ての流れが新自由主義的グローバリゼーションの中で強められており、若年層を中心にフリーター、派遣などの不安定雇用労働が広がっている。襲撃する側の少年たちもまたそのような同時代を生きている。
 このような時代状況に野宿者運動の側から切り込んでいくことが集会企画の意図でもあった。

出会いの大切さ
を知る生徒たち

 集会はまず呼びかけ団体である反失実の仲間が、この間の襲撃の実態や、越冬期間中のパトロール、地域へのビラ入れ、その後の教組の協力による教育委員会への申し入れなどの報告、そして東京都の地域生活移行支援事業などの決して十分とは言えない「対策」を名目にした野宿者への排除の動きなどについて報告した。
 続いて一九九九年より毎年、山谷での炊き出しに生徒を連れて参加している中学校の先生、墨田区教職員組合の加藤さんから学校現場の報告。
 「最初は山谷は危ないところと親は反対だったが、今は声をかけると八十人ぐらいが手を挙げるようになった。生徒たちにはカルチャーショックで、出会いの大切さを強調した。また、夜逃げをする家庭など貧困がすごい所まできている」と報告した。
 加藤さんは中国からの帰国者の子弟が多いなどの地域的な事情の中で「一人の落ちこぼれも出さない教育」を掲げてやってきたが、組合が少数派になる中での困難さを語った。
 そして部落解放同盟荒川支部の高岩さん、実際に隅田川で野宿していて襲撃された山田さん、そして二〇〇二年に東村山で起きた中学生による野宿者虐殺事件のルポ『悔(かい) 野宿生活者の死と少年たちの十字架』(現代書館)の著者西村仁美さんが発言。
 全体での討論が行われ、最後に山谷争議団の発言で集会を終えた。
 一月の初め以降少年たちの襲撃は止まっているが、行政による野宿者排除の動きは強まっている。墨田区は夜中も数時間おきにガードマンが巡回し、地域生活移行支援事業に応じず残った仲間のテントを叩いたり声をかけたりして、寝かせない、というような拷問まがいのことまで行っている。野宿の仲間の闘いに今後も注目を。   (板)


「戦争の民営化」とは何か?
「テロとの闘い」の背後でうごめく戦争請負企業

 五月二十九日、東京の文京区民センターで、「グループ武器をつくるな! 売るな!」が主催する講演会「戦争の民営化とは何か?――『対テロ戦争』の背後に蠢(うごめ)く戦争ビジネス(戦争請負会社)の実態――」が行われた。講師は京都大学教員で『民営化される戦争』(ナカニシヤ出版)の著者・本山美彦さん。
 本山さんは、ついに日本でも税金滞納者への取り立てを請け負う企業が発足しようとしていることから話を切り出した。
 「暴力が正当なビジネスになり、公の世界から倫理が失われ、金がもうかればそれでいいという風潮が支配的になっているのは現代社会の腐敗・堕落を象徴している。ホリエモン騒動で示されたように、もうかればそれでいいという人がスターになり、堕落を告発する視線がマスコミからなくなっている。世界で展開する売り逃げのファンドマネージャーの人脈をたどっていくと戦争請負企業につながっていく」「マラッカ海峡で海賊によって人質となった事件でも、誰か専門家が介在して解決にあたったはずだ。なぜマスコミはこの問題の追及に口をつぐんでしまうのか」と本山さんは語った。
 本山さんは「斉藤昭彦氏が所属していたハート・セキュリティー社は、イギリスの貴族がイラクでの戦争を見越して一九九九年に設立した企業であり、チェイニー米副大統領が社長をつとめていたハリバートン社は、世界最大のPMCだ。軍事企業はほとんどの場合、エリート階級が創設している。PMCが急速に成長して大企業になったのは冷戦の終結と軍の縮減が契機になっている」と説明した。
 さらに本山さんは、「表の権力が裏ビジネスを公然と使いはじめている。民間軍事企業を調べてみると、ネオコンやキリスト教原理主義のネットワークに突き当たる。アメリカでそれに資金を提供しているのは、牧畜産業のぼう大な利権だ」「アメリカで志願兵となっているのは貧しく差別されている移民の青年などだ。エリートたちが金もうけのために貧しい人びとを戦争に駆り立て、戦争請負企業に人びとを供給する。グローバル化の中で日本の青年たちもこうした社会状況に直面しており、日本版のPMCを設立する構想も準備されている」と警鐘を乱打した。
 本山さんは、「治安の悪化」「政治的・社会的不安定」が全世界で意識的に醸成されることによって、グローバル企業の利潤獲得の場が作られていることをも明らかにした。   (K)                                   


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