2コースに分かれ
遭難の地をめざす
昨年八月八日、右島一朗さんが南アルプス赤石沢での滑落事故により他界して早一年が経過した。右島さんの山行記録集(9月末完成予定)の編集に携わった岳友たちが、八月十二日から十六日にかけて一般登山道コースと赤石沢遡行の二つのコースで一周忌を期して追悼登山を行い、それぞれ三人ずつ六人の仲間が参加した。南アルプス南部の赤石岳、聖岳への入山起点となる椹(さわら)島は、静岡市街地から九十キロ以上もあり、それだけで一日を要することから仕事の都合などで参加を断念せざるを得なかった仲間もいた。ここでは一般登山道コースについて報告する。
一般登山道コースの三人(D、M、S)は、右島さんが滑落した赤石沢の支沢である小雪渓沢を北側直下に臨める聖岳三千十三メートルの東峰である奥聖岳をめざした。
晴天の南アルプ
スの景観を堪能
八月十二日夕刻に静岡市井川の畑薙第一ダムに到着、昨年の山開き以降に右島さん他四人が付け加えられた慰霊碑に花束と黙祷を捧げた。十三日未明に赤石沢遡行組と合流、午前七時前にはそれぞれがスタート地点に立つことができた。
聖岳登山口からいきなり高度差三百メートルの急登に喘ぎ聖沢吊橋に至る。小休止後、聖沢に沿うように高度差六十五メートルの急登をただ黙々と登り高度を上げていく。休憩や昼食時間込み約七時間で二千二百メートル地点の聖平小屋に到着、宿泊手続きやテントの設営をしている頃から雨が降り出し、やがて雷雨となった。沢登り組は大丈夫だろうか? 明日は奥聖山頂に立ち、沢を臨めるだろうか心配がつきない。だが夜半には雨も上がり満天の星を見ることができた。
十四日未明、晴れ渡った空を期待してテントから顔を出したら曇り空、聖岳は雲の中だ。晴れてくれることを祈りながら、膝に不安を感じるDさんを残し、朝五時に聖平を出発。高度差約八百メートルの急登を経て前聖岳から奥聖岳へ向かう。
登りはじめてから時間が経つにしたがって天候が回復、かかっていた雲が消え青空がどんどん拡がり山々が姿を現す。頂上に立った時には、東に北岳などの白根山塊が北から南へ向かって屏風のように続き、北西奥に塩見岳が見える。目の前奥には荒川三山が、そして南アルプスの盟主赤石岳から聖岳へ逆コの字形に連なる山々が赤石沢を抱きかかえるようにどっしりと鎮座している。南に転じると上河内岳から茶臼岳などの南部の山々が逆光の中に佇むように浮かび上がる。
彼の思い出は尽
きることはない
右島さんが逝った赤石沢を囲む素晴らしい景観、迎えてくれたのは景色だけではなかった。奥聖山頂では雷鳥親子までがやって来た。沢筋にも雲はない。大雪渓沢の東側の支稜線の裏が小雪渓沢だ。残念ながら地形図からのイメージに反して直接、小雪渓沢を見ることはできなかった。
赤石沢を眼下にして、彼が逝ってからのことや初めて出会ってからのことなどが走馬燈のように駆けめぐる。私たちは小一時間ほど頂上に留まり、後ろ髪を引かれる思いで山を下った。聖平小屋に着いて間もなく雲は再び聖岳を隠してしまった。私たちの思いが天に届いたのだろうか? 彼に会いに行く僅かの間だけ素晴らしい天気にしてくれたように思う。
右島さん、貴方がこよなく愛した丹沢の沢に南アルプス南部の沢や山々を是非加えてください。この素晴らしい地で心ゆくまで遊んでください。(05年8月19日)
PS 赤石沢遡行組は八月十四日の昼には、彼が遭難した小雪渓沢に到達して黙祷した。そして八月十四日の夕方には赤石岳の白見羽に到達し、八月十五日無事下山した。 (S)
「右島一朗著作集」、「山の記憶」出版記念会のお知らせ
昨年八月八日、右島一朗(高島義一)は静岡県赤石沢で登山中に滑落して亡くなりました。週刊「かけはし」編集長であった右島一朗の「著作集」と「山の記憶」が完成いたしました。「著作集」はA5判で800ページを超えるものであり、彼がさまざまな分野にわたる問題について、鋭い分析を加えた文章の数々です。「山の記憶」は、彼が登った北アルプスなど数々の山行記録と友人たちの思い出を綴ったものです。
著作集出版にあたっては、多くの人からカンパが寄せられました。この場をお借りして感謝いたします。
つきましては、ぜひとも出版会に御参加していただき、ともに右島一朗を偲びたいと思います。
●日 時 10月16日(日曜日)、午後1時30分より
●場 所 日本教育会館2F「喜山レストランホール」(都営地下鉄神保町A1出口徒歩3分)
●会 費 10000円(著作集5000円、山の記憶1000円も含みます)。ただし、事前にカンパを戴いている方については、5000円。
※昨年の偲ぶ会に参加された方、カンパをいただいた方には、往復ハガキにて、ご出欠をお願いしております。それ以外の方で参加の方は、下記の連絡先までに、9月20日まで、ご連絡ください。
●主 催 右島一朗著作集刊行委員会
●連絡先 東京都渋谷区初台1―50―4―103 新時代社気付TEL―03―3372―9401 FAX 03―3372―9402
角田由紀子弁護士が講演
性差別と暴力をなくすために私たちに何ができるのか
アジア連帯講座
男性主義的な日
本の司法の現実
七月十九日、東京文京区の文京区民センターでアジ連公開講座が開催された。テーマは「性差別と暴力」。セクシャルハラスメントによる被害者の救済など、女性の権利に関する問題について第一線で活躍している弁護士・角田由紀子さんを招いた講演会が実現した。
アジ連の仲間たちは角田さんの同名の著書『性差別と暴力』の自主学習を続けてきた。そのひとつの集約点として今回、本講座を企画した。
まず司会が、昨年からのアジ連内部でのフェミニズム学習の経過を紹介。その後さっそく講演に移った。角田さんは、「日本の司法界はまだ男性中心で、かつ戦前の封建的家父長的な古い考え方を引きずっている」と指摘した。それはさまざまな裁判の経過にも散見される。
たとえば女性が強かん事件の被害者として「認定」されるためには、「被害者資格(要件)」を満たす必要がある。これは性暴力犯罪に限って必ず持ち出される。女性の「上品さ」や「貞操観念」を基準としている。被害者は法廷でこの「資格」について、本人や周辺の言動など、過去にさかのぼって細かく厳しく審査される。「加害への激しい抵抗や逃亡」、そして被害後には「淑女たる沈黙」が求められる。
こうしたステレオタイプ化された被害者像との比較で、証言の信用性が検討される。裁かれるのは加害者である男性ではなく、被害を受けた女性なのだ。
ポルノグラフィーが与える女性虐待の価値観は、若者や少年たちの性暴力犯罪を誘発している。ビデオを手本にした犯罪が横行している。
労働現場における賃金差別の慣行は、女性への蔑視を、観念を超えた説得力をもって男性に植えつけている。経済的な差別は、女性の男性への依存を固定化し、それがDVを生む温床にもなっている。女性への性暴力は、こうしたさまざまな要因が絡み合って生み出されていく。角田さんは限られた時間のなかで、ていねいに解説された。
言葉と表現が持
つ意味の重要性
講演の後、質疑応答が行なわれた。参加者からは、「性差別」という言葉の持つ重さについて。それに対する男性の拒絶反応について。職場での性差別的な仕事の実態について、などの質問が出された。
角田さんからは「言葉と表現」の重要性が強調された。性差別的である行為や言動が、それを表現する言葉の不適切さによって、覆い隠されたり誤解されてしまう。たとえば「従軍慰安婦」と「日本軍性奴隷」。「小児への性暴力」と「小児性愛」や「性の嗜好性」。「夫婦間暴力」は、そのほとんどが相互の行為としての「間」ではなく、男性から女性への一方的なものであること。「通信傍受法」は「盗聴法」であることなどなど。角田さんは「憲法9条改悪」や、24条の男女平等規定の改悪にも触れ、改憲派の家父長制、家族主義の強化の意図を批判した。
角田さんは多忙と激務のスケジュールの合間を縫って、遠路はるばる来場された。参加者は実に貴重なお話を聞くことができた。私たちは角田さんの提起を受けてさらに持続的に謙虚に学び、実践することによって、みずからを、そしてこの社会を少しでも動かしていきたいと思う。
(S)
管制塔占拠闘争元被告への損害賠償請求執行に抗議する
元被告たちを支え、三里塚現地の闘いに連帯しよう! 9.18集会へ
27年前の1978年3月26日、開港予定日を間近に控えた成田の新東京国際空港管制塔は、農地を問答無用で取り上げた政府の不当な暴力に反対して闘いつづける農民と心を一つにした青年たちによって占拠されました。この闘いは日本の民衆闘争の歴史に残る輝かしい闘いでした。この闘いに決起した元被告たちは12年から6年にわたる獄中生活を余儀なくされました。
いま政府は、その上に、総額1億300万円にのぼる巨額の「損害賠償」を押しつけ、すでに給料の差し押さえなどを執行しています。政府が自ら誤りを認め、謝罪した失政のツケを、元被告たちがさらに支払わなければならない道理はありません。しかし被告団たちは困難な生活の中で、巨額の「損害賠償金」を支払わなければならない事態に直面しています。
私たちは、元被告たちを支え、現在も闘われている三里塚闘争の大義をあらためて明らかにしていくためにカンパを訴えます。そのために9月18日に集会を行います。当時この闘いに心からの共感を抱いた皆さん、そして今も政府の悪政に憤っている皆さん。ぜひ参加してください。
報告:鎌田慧(ルポライター)、元管制塔占拠闘争被告 ほか
日 時:9月18日(日)午後1時半
会 場:文京区民センター3A(都営地下鉄三田線春日駅下車すぐ)
参加費:700円
主 催:同実行委員会
連絡先:市民のひろば(東京都千代田区三崎町3―1―18近江ビル4階
TEL03―5275―5989 FAX03―3234―4118)
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