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徴兵制も認める高木への批判票を結集          かけはし2005.11.14号

連合会長選で鴨桃代さんが大健闘

安部誠さん(東京管理職ユニオン)に聞く


非正規職労働者が組合の必要性を実感できる運動めざそう

 十月五〜六日に開かれた連合の第九回大会の会長選挙に、全国ユニオン会長の鴨桃代さんが立候補し百七票をとり、UIゼンセン同盟高木剛会長の三百二十三票を脅かす大健闘をした。連合会長選挙で何が起こったのか、全国ユニオンの一員である東京管理職ユニオン書記次長の安部誠さんにインタビューした。

連合はいまどう
なっているのか

――会長選挙についてお聞きする前に、まず、連合の現状について話していただきたい。

 一九八九年に連合が発足した。役員人事でいままで、左派系の人が会長になったことはない。旧総評・旧同盟という色分けは成立しない。
 連合の変化のひとつは、具体的な数字で言うと、連合が出来たときの組織人員の公称が八百万人だった。その時に、非正規の労働者が八百万人。いま連合は六百五十万人ぐらいだが非正規の労働者が千二百万人と言われている。ほぼ二対一になった。
 連合会長笹森さんは二期四年つとめたがこうした現状に、彼は危機感を持ったのだろう。いままでの連合の中で、一番フットワーク軽く動いた会長だ。
 ぼくら全国ユニオンが連合に入れたのは二年前だ。笹森さんは均等待遇と非正規労働者の問題にもっと目を向けなければならないという問題意識をもっていた。正規の労働者の組合ではだめだと提唱した。笹森さんのやり方で訴え、実践したことは、ぼく個人は高く評価している。
 笹森さんの態度が、ぼくらが連合に入れた理由でもある。例えば、連合側は管理職ユニオンや東京ユニオンの一部メンバーに対するアレルギーがあった。だから、加盟申請しても半年棚ざらしにされた。
 連合は一貫して政治闘争をやってこなかった。しかし連合主催でイラク戦争が始まる前の一昨年二月に、イラク戦争反対の集会をやった。旧総評系は平和フォーラムのような形で運動をしているが、連合が主催したのはこれがたぶん初めてだろう。
 連合のデモだなぁと思ったのは、例えば、ゼンセンは大量破壊兵器を差し出せというようなシュプレヒコールを行っている。凄いカルチャーショックでしたね。もっともわれわれは東水労のあとだったんで助かりましたけど。とにかく連合と言うのは雑多なところだなぁと思いましたね。

小泉政治への追
随は許されない

――今回の連合会長選挙についての経緯はどうだったんですか。

 まず、笹森さんが六十四歳で退任することになった。しかし、笹森さんは事務局長の草野さん(自動車総連出身、62歳)を絶対に後任にしたくなかった。世代交代をするので、いっしょに止めようと笹森さんは言った。ところが、草野さんは自分としては一期だけでもいいから、会長をやりたかった。
 八つの大単産で構成されている役員選考推薦委員会というのがあり、そこに笹森さんは注文をつけた。そこで出てきたのが、ゼンセンの高木さんだ。結局、草野さんは辞退をせざるをえなかった。
 ぼくらが全国ユニオン会長の鴨桃代さんを立てて選挙をやった理由の一つは、ゼンセンの高木さんが立つことになったからだ。
 七月十四日に、連合の中央委員会が「国の基本政策に関する連合の見解」(案)を出した。憲法の問題で言うと、九条の一項は堅持して、二項について見直して、いわゆる平和基本法みたいものを作ろう。ぼくらとか全国一般とか全水道などはそれに反対する意見書を出した。ゼンセン同盟も私たたちと逆の立場から反対する意見書を出した。
 基本構想の中では、集団的自衛権と徴兵制は採用しないとした。ゼンセンは徴兵制のどこが悪いのかと反対した。
 そして連合内の密室人事だけではなくて、立候補が一人ということになると信任投票もしない。そうすると、高木さんへの全権委任になってしまう。小泉三百議席の後に、改憲論者で、国防派の民主党前原の代表就任、それに自民党の右派よりすごいことを言っている高木への全面委任というのは、労働組合もそれに追随したら、産業報国会でしょ。とても耐えられなかった。

企業と一体とな
った労組つぶし

――ゼンセン同盟の政治主張の問題と同時に、組合活動にもいろいろ問題がありますね。鴨さんの立候補を支持する札幌地域労組書記長の鈴木一さんは、高木さんの出身であるゼンゼン同盟は「経営者とともに不当労働行為となる第二組合結成を堂々と請け負ったり、派遣労働者や臨職・パートの組織化では、不安定雇用への差別、低賃金を固定化させる役目を担う。即ちUIゼンセン同盟の組織化手法は、多くの場合、労働者の闘いを押さえることと引き換えに、経営者にユニオン・ショップ協定を締結してもらうと言っても過言ではない。現に、私はゼンセン同盟が店長以下百%を組織する大手の量販店などから、およそ組合が存在する職場としては信じられないような労働相談を毎年のように受ける」と批判していますが、ゼンセン同盟とはどんな組合ですか。

 名前の通り、もともと繊維なんですよ。繊維というのは「没落産業」だ。彼らは、ある意味で革新的なことをやった。未組織を組織しようとした。最初は繊維だから、糸へんつながりで、イトーヨーカドーとか、そういうところに入っていって、流通とか外食産業部門の組織化を熱心にやった。今でいうと介護関係やIT産業。新しい産業が始まったら、そこにターゲットをしぼっていく。
 ぼくらの場合は下から作っていくが、彼らの場合は企業との関係で作っていくのが目立つ。USENという会社があるが、管理職ユニオンが一人公然化し、そうしたら、三カ月経ったら、百人組織しましたみたいに完全に上から作っている。
 札幌地域労組というのは、合同労組である。最近は、介護施設だとか養護施設で組織化が非常に進んでいる。あるところで、札幌地域労組が組合を作ったところ、組合つぶしにあったどころか、ゼンセンが第二組合を作ることを経営が援助した。それで、不当労働行為だと訴え中労委までいって勝った。地労委・中労委の命令の中に、「使用者側はゼンセンの組合を援助してはならない」という文言が入っている。使用者側の証人にゼンセンの四役が出てきた。ゼンセン同盟はそういう組織の作り方をしている。
 首都圏でも「笑笑」とかの東京ユニオンに組織される組合員が一人とか二人とか出てくるじゃないですか、そうするとゼンセンが経営の方にユニオンショップを結ぼうじゃないかとやるわけです。

鴨さんが主張し
た三つのテーマ

――今回の連合会長選挙についての鴨さんの政策は何ですか。

 鴨さんは立候補して三つの主張をした。
 一つ目が、高木さんで一本化するような密室人事では世間からますます労働組合がきらわれる。二つ目が正規・不正規を貫いた均等待遇という政策を強めていこうということ。三つ目は反戦・平和、憲法の問題だ。一点目と三点目はまさに高木一本化にからむ話だ。
 それで、立候補締め切りの前の日に、ユニオンの全国委員会や他の連合組織から、鴨さんに立ってもらうしかないと要請した。その日の夜中に鴨さんに決意してもらった。
 翌日九月二十一日十二時が締め切りだったが、十一時四十分に立候補届けをすませた。

――選挙戦はあるのですか。

 やってはいけない。ホームページに同じ分だけの主張ができる。それと一回、合同の記者会見ができる。選挙当日に、七分ずつの立候補演説ができる。立候補のごあいさつという文書を出すのはかまわない。もっとも、選挙運動が許されたとしても、われわれは新参者なので、産別、特に民間の大産別にあいさつに行っても相手にされないでしょうから、相対的に言えば、こちらにとってマイナスはなかったともいえるでしょう。

予想もつかぬ支
持が寄せられた

――選挙結果はどうなりましたか。

 全国ユニオンの組合員数は、加盟・オブザーバー含めた五十八産別の内の四十七位で、代議員一人なんです。ゼンセン同盟はランク二位の代議員が五十六。推薦委員会とゼンセンを合せると、代議員は二百なんです。これには日教組も入っている。スタートラインは一対五十六から始まった。
 それでその後、公式ではないが、全国一般(ランク二十七位で代議員三)などが支持に動いたが、合わせても十票以下くらいだった。
 鴨さんを支える集会をやったが、そこには全国一般の田島書記長がきてくれた。十月五〜六日が大会だった。その前日、票読みをやった。どう甘くみても、四十票だった。これで白票が五十〜六十票乗っかれば勝利ではないか、それもかなりきついと思った。ところが実際ふたを開けてみたら、高木さんが三百二十三票、鴨さんが百七票、白票が三十九、無効票が三票。白票は反高木票だから、百四十六票です。百四十六という数字は、前回笹森会長に対して、ゼンセンの高木さんが立ったんだけれども、負けているんです。その時、代議員は今より多かった。それで百四十九票なんです。だから、だいたい同じなんです。
 三割とかは物事決める時の一定無視できない力です。その意味からいって、小泉の圧勝の流れを止めたとまでは言えないが、少なくとも蹴とばしたくらいのことは言えるのではないか。
 改憲の話でも簡単に、高木さんが普段言っているようなことを、公式の場で連合の立場として言えるような感じではない。
 先ほど鴨さんに入った票が読めないと言いましたが、当日の鴨さんの演説は代議員に大いにアピールしたと思います。平和と憲法のことを語る件も当然アピールしたでしょうが、「自分は、ボーナス支給日に出社するのが辛いという非正規労働者と永年一緒に運動をしてきたが、そういう人たちが連合に入ってよかった、組合に入ってよかったと言ってもらえる連合を築くという希望を持っています」という意味の発言をしたんです。とても大きな感銘を、とりわけ女性の代議員に与えたと思います。演説終了後はほとんどスタンディングオベーション状態で、いつまでも拍手が鳴り止むことはありませんでした。

 ありがとうございました。(文責編集部)




「希望を持って働きたい」
労働契約法を問うシンポジウムで活発な討論


 十月二十九日、東京の全水道会館で、シンポジウム「希望をもって働きたい」=非正規化・成果主義化の中で、新たな労働法を求め=が開催され約百十人が参加した。
 タイトルでも明らかなように、シンポジウムは現在進行している「労働契約法」をどのように考えるかということに焦点があてられていた。パネラーは、道幸哲也北海道大学教授、中野麻美弁護士、田島恵一連合・全国一般書記長の三人で、総合司会は、十月に開催された連合の大会で委員長選挙に立候補して話題になった鴨桃代全国ユニオン会長がつとめた。
 道幸さんは「労働法はどこにいくか」というテーマで戦後の労働法の変遷の経過の中で「労働契約法」がどのような位置を持っているかを指摘し、規制緩和の中で生まれた労働現場の矛盾と労働組合の衰退が法案が浮上する背景にあると述べた。
 「労働契約法」の労働政策審議会委員でもある田島さんは「使用者側による一方的な解雇が多発している」現在、「契約法」は必要であるが、「解雇無効の認定」がなされた場合でも、「解決金を支払うことにより労働契約関係が解消できる」という「解雇の金銭解決制度」が条文化されているような「労働契約法」には反対すると立場表明した。
 中野さんは派遣労働問題に取り組んできた経験から結局のところ「契約法」は「競争」を抑止するのではなく、労働者を「競争」によってしばるもので、なぜ法制化を急ぐのか理解できないと述べた。また財界が「あまり使用者を規制する条項が多いので保留である」と言っているのは、この法案のねらいがどこにあるかを鮮明にしていると指摘した。

契約法と現場の溝
をどう埋めるのか

 第二部は闘いの報告と討論という形で行われた。最初に「労働時間法制の『ホワイトカラー・イグゼンプション』の先取りに対して闘っている日本マクドナルドの争議を東京管理職ユニオンの安部誠さんが報告した。「店長は管理職にあたるかどうか」「マクドナルドは管理職だといって、約八百時間の残業を強制している」と述べ、十一月に裁判を起こすことを決めたと報告した。
 続いて、「朝日新聞が出している英字新聞『ヘラルド朝日』の雇用者が労働組合を結成し全国一般南部支部に加盟したら、ただちに組合つぶしに合い、多くが退職に追い込まれた。今年七月末には日本人が全員解雇され、現職では外国人二人が残っているだけであると報告された。『右』だと言われる読売新聞で同じような労働組合ができた時、読売は労働組合としてきちんと対応し、労基法的にも節度をもって労働組合と向き合ったにもかかわらず、『左でリベラル』を装う朝日新聞は、遮二無二組合つぶしに走るという実態を全国に明らかにしていきたい」と述べた。
 シンポジウムはひとつの結論には至らなかったが、「契約法」と労働現場の実態をどう埋めていくかということが今後の課題であることを確認して閉会した。(D)


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