もどる

北韓の核実験に対して、民衆運動はどう対応するのか?  かけはし2006.11.13号

一次的責任は米国にあるのか北韓の体制かそれとも両方か


 10月9日、北韓(北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国)は核実験を強行した。まさに北韓の核実験はホット・イシューとなり、事態認識や対応方向をめぐって国内外でさまざまな見解があふれかえっている。
 韓国の労働者・民衆陣営も例外ではなく、ほとんどすべての諸組織が北核の実験に対する自らの立場をくまなく発表した。ところで、労働者・民衆内でも北核実験に対する極めて大きな、あるいはささやかな違いが存在している。したがって違いをどのように狭めながら現局面に対する労働者・民衆の対応方向を確立し、共同行動を組織するのかが重要な課題として提起されている。
 この時点で「北核実験に対して、民衆運動はどう対応するのか?」というテーマで討論会が10月19日、公務員労組会議室で開かれた。主催は労働者の力、文化連帯、社会進歩連帯、利潤より人間を、人権運動サランバン、平等社会へ前進する活動家連帯(準)、平和人権連帯などの共同で、民衆言論チャムセサン(本当の世の中)が後援した。

〈労働者の力〉
米国の責任を明確にし交渉へ

 ソン・ジヌ政策局長は、北核の事態は帝国主義的、対北圧迫的米国の対北政策と、核を通して米国との関係正常化を実現しようとする北韓の戦略が衝突することによって作り出された結果であり、事件の因果関係を確認して原因を除去しなければならないことを明らかにした。
 すなわち北韓の核実験は韓(朝鮮)半島の非核化や平和体制の構築に逆行し、韓半島の戦争の危機をもたらしているという点において批判されなければならないが、ブッシュ政府の帝国主義的、覇権的対北政策が北韓の核実験を招来した根本原因であることを指摘した。したがって「反戦、非核、平和」の観点の下、現事態が「対北制裁の強化→北韓の後続的物理的対応→韓半島の戦争の危機」へと結びつくことを阻止しぬき、「対北制裁反対―即時的交渉(対話)」を通じて現在の事態を解決すべきだと主張した。

〈社会進歩連帯〉
持続的な民衆の闘いを

 イム・ピルス執行委員長は米国主導のNPT体系が全地球的反核化の実現に限界を示している点、「制裁」は民衆に対する暴力であると同時に制裁当事国の暴力的対応を誘発することを指摘しつつ、米国の政策を批判した。同時に、核保有は戦争の抑止力とは絶対なりえないがゆえに、北韓の核実験を通した米国との対決は「勝者なきゲーム」だと批判した。
 すなわち核実験を通した米国との対決は、かつてのソ連の核開発がそうであったように、パワーバランスのための国家間のゲームという現実政治の論理に取り込まれつつ、自滅の道を歩むものだ、というのだ。したがって反戦、反米、反核の旗のもと、米国の核覇権政策の中断、韓米軍事同盟の解消、駐韓米軍の撤収などを持続的に繰り広げなければならないし、「北・米の対話を通じた平和的解決」は短期的、圧力的処方にすぎず、民衆の根本的対応方向とはなりえない、と主張した。

〈利潤より人間を〉
米の政策も北の体制も問題

 チョ・デファン活動家は北核実験の根本的原因は米国の対北孤立政策や軍事的圧迫にあるけれども、軍事的対応によって体制を維持しようとする北韓の対応もまた今回の事態を呼び起こした、と指摘した。したがって民衆運動内に、北韓の核開発について自衛権を容認とするなどあいまいな立場があり、北韓の核実験に問題提起があって然るべきであると指摘した。
 同時に北韓の核実験が南韓の情勢に及ぼす影響について鋭意注視しなければならないことを話した。つまり北核問題によって韓米FTA闘争などの主要な問題が押し流されかねない点、北核問題を契機に太陽政策の支持者たちが結集して闘争の戦線に混乱をもたらしかねない点などを指摘した。

〈人権運動サランバン〉
支援の中止は生存権と直結

 パク・ソクチン常任活動家は人権としての「平和的生存権」を提起し、北韓の核実験が東アジアの平和を脅やかし、「反核」の原則を破った行為だとして批判した。だが北の核実験の根本原因は米国なのであり、今からでも米国は対北孤立・圧迫政策を中断し、北・米の直接対話を通して関係正常化を試図すべきことを主張した。
 同時に北韓も核関連の物質や施設を廃棄し、全世界的な反核運動に合流すべきだ、と語った。対北の人道的支援の場合、北韓民衆の生存権と直結するので継続されるべきであることを提起するとともに、政権の太陽政策とは同一視はできないことを提起した。

〈平等社会へ前進する活動家連帯(準)〉
北韓の体制を民主的に改革

 ホン・ソンジュン執行委員は北核実験の根本原因は米国にあることを主張しつつ、同時に北韓の核武装を批判した。すなわち北韓体制を脅やかしている要因は北韓体制内部(スターリン主義の最悪の形態である硬直した社会経済体制)にあることを提起しつつ、北韓が現体制を民主的に改革しなければならないことを主張した。
 北核問題の解決方案は包括的妥結による平和体制の構築であり、このための経過として停戦協定体制の平和協定への代替、その第1歩としての北・米間の直接対話を通した米国の敵対政策の放棄と北韓の核武器全面廃棄を主張した。最後に、民主労働党内の「自衛的核武装」を主張する立場を批判しつつ、米国の1次的責任論とともに反戦、反核の原則を核心的立場として持っていかなければならないことを主張した。

基調の共通点と対応の違い

 各組織からの問題提起の後、幾つかのテーマでの討論が提起者と参加者が一緒になって行われた。参加者の討論には、問題提起には加わらなかった「ターハムケ(オールトゥギャザー)」や「解放連帯」も参加した。
 討論を通じて、現在の事態を招いた1次責任は米国の覇権主義的・帝国主義的対北政策だという点や「反核」の観点の下、北韓の核実験もやはり批判しなければならないということは共通点として確認された。労働者・民衆運動陣営内のひとつの傾向である「北の核実験を自衛的手段として肯定する傾向」をともに批判した。
 しかし、強調点の違いは現れた。まず、米国の対北圧迫・制裁反対に焦点を合わせるのか、反核または北核の核実験糾弾をこのような位相の闘争的位置づけをするのかについての微妙な見方の違いが現れた。
 2番目は、今回の事態を北韓の体制問題と連動させるのかどうなのかの違いだ。北韓体制の問題を論じつつ、北韓体制の改造問題を重要なこととして提起する見解と、これは米国の1次的責任論から迫ることができるという点、不必要な論争が誘発されかねないとの批判が提起された。つまり北核実験と北韓体制を直接連動させるのか、分離して見なければならないのかの違いだ。
 実践方向の違いも現れた。現在の事態の解決のために「北・米間の一括妥結なのか」、「北の先制核放棄なのか」が争点となった。北・米間の相互競争の悪循環を阻むために、まず北が核の一方的廃棄や軍縮を通じて事態を解決させるべきだとの立場が提出される一方、北・米間の競争は同等の位置での競争だとは言えないのであり、北の先制核放棄は北に対する圧迫となり得るがゆえに一括妥結にならなければならないとの立場が対立した。
 また「北・米対話を通じた事態の平和的解決」や「平和協定締結」などは非核平和体制構築の根本方策となることはできず、特定国家や政党に対する圧迫ないしは支持運動以外にはなりえないとの見解が提出される一方、反対にこの要求が国家主義や圧迫運動に陥るというのは行き過ぎだとの見解が提出された。
 同時に中・長期的対応の基調の確立と現局面に対する具体的内容が混とんとしていてはダメで、現局面の核心的要求と闘争は北・米直接交渉または9・19共同宣言の履行がなされなければならない、との立場が出てきた。

 この日の討論会は北核問題に対する労働者・民衆運動内の一致点と相違点を確認する場だった。今後、労働者・民衆運動に提起された課題は、共通の一致点に基づき相違点を狭めつつ共同の声と実践とを組織することだ。これを通じて戦争の危機をまず阻み、「反戦、反帝、反核」の基調の下、韓半島の平和体制構築のための労働者・民衆運動の独自的実践を組織していかなければならないだろう。(「労働者の力」第112、113合併号、06年10月20日付、チャン・ソヘ/会員)



反帝・反核・反戦の旗じるしの下11月民衆総決起を勝ち取ろう!

 再び事件が、ぼっ発した。10月9日の北韓の核実験だ。政権の非正規改悪案立法への企図、米軍との戦略的柔軟性合意、韓米FTA交渉の開始、平澤への米軍基地拡張移転の暴力的推進、労働者の自主的団結権やスト権を奪う労使政の野合に続き、北核問題までが、ぼっ発したのだ。こういうわけで労働者・民衆運動には北核事態への対応という重大な課題までもが投じられた。
 それぞれの闘争は、すべて重要だけれども10月下旬現在、労働者・民衆運動が対応しなければならない核心的課題は以下の2つだ。1つは10月23日から行われる韓米FTA第4次本交渉阻止闘争だ。第4次本交渉阻止闘争は12月まで続けられるノ・ムヒョン政権との大激突の砲門を開くという点で、極めて重要だ。
 もう1つは北韓の核実験による韓半島の緊張激化と戦争の危機を阻止しぬくことだ。同時に、北の核実験を契機として韓米同盟強化云々および敵対的対北政策を強調する「正統(?)」右翼勢力や軍事的民族主義のはびこりを抑えつつ、北核の事態が韓米FTA闘争によって開始された下半期の闘争や情勢を撹乱させないようにすることだ。

 だが労働者・民衆運動の状況は容易ではない。済州島遠征闘争団は当初の目標に比べ少なめに組織され、済州島を除いた各地域の闘争計画は、ほとんどないのが実情だ。7月のソウル闘争以降に進められた活動の結果だ。署名運動を通じた反対世論の形成に集中した実践は、韓米FTAを自らの闘争課題として感じられない労働現場の状況とも重なって、第4次本交渉阻止闘争の巨大な力を作り出せないのだ。
 北核問題は、どうか。労働者・民衆運動は北核の事態や本質、対応方向をめぐっての認識や対応が統一できていない。「北韓の核実験は反米闘争の起爆剤」だとする親北擁護論から、北韓体制への批判を強調しつつ反帝・反米の焦点をぼかす憂慮すべき両極端が存在している。そのうえ北核の事態が悪化の一途をたどり、下半期の闘争戦線を撹乱させたり、あるいは戦争の危機へと駆け上がる場合に備えた準備の状態もまた脆弱だ。

 しかし、嘆いてばかりいられないのは当然。「再び、始まりだ!」との決意によって韓米FTA阻止闘争、平澤闘争、非正規・ロードマップ粉砕闘争を組織し、反帝・反核・反戦の旗じるしの下、北核の事態に対する対応を組織しつつ、それぞれの闘争を11月、12月の民衆総決起へと集中していかなければならない。民衆総決起の基調と目標は米帝国主義反対、ノ・ムヒョン政権の退陣だ。これを現実化させるのかどうかは、まさに今からの実践にかかっている。(「労働者の力」第112、113合併号、06年10月20日付、「ヒムイヤギ」から)



朝鮮半島日誌

今年9月、中国の北朝鮮向け原油輸出がゼロに

10月25日 b「核実験に関連する放射性物質キセノンが検出された」(韓国の科学技術省が明らかにし、韓国政府は北朝鮮の核実験実施を正式に確認)。bスイス連邦政府が国連安保理決議に基づき、北朝鮮関連資産凍結などを柱とする経済制裁策を決定(有力金融機関が集中するスイスには以前から北朝鮮の口座開設が指摘されていた)。b「北朝鮮との関連があり、同政府の完全な同意と管理のもとで製造され分配されている」(米金融当局が偽造ドル札製造で北朝鮮関与と断定)。b日本の財務省は、北朝鮮の朝鮮国際化学合弁会社の日本における口座3件を新たに凍結。
10月26日 b国連での日本主導の核廃絶決議案が昨年を上回る169カ国の賛成で採択される。反対国は米、北朝鮮、インドの三カ国。b韓国政府が国連制裁決議への対応措置案概要(制裁対象に指定される北朝鮮の個人・団体の出入国・滞在禁止、北朝鮮への送金統制、コメ・肥料支援凍結措置延長、水害復旧支援品や南北連結鉄道・道路整備資材引き渡し留保、開城工業団地の追加分譲延期など)を明らかに。b韓国の国家情報院が、この日までに民主労働党の幹部ら5人を国家保安法違反容疑(今年3月に中国で北朝鮮工作員と接触・密会したとするもの)で拘束。
10月27日 b月末からの訪朝を予定していたドイツ連邦議会の訪問団が、同行メディアに対する北朝鮮当局の選別的対応(9社中4社にビザ発給拒否)を理由に訪朝中止を明らかに。b「北朝鮮が核実験を行った蓋然性が極めて高いものと判断するに至った」(日本政府が北朝鮮核実験実施を認定、独自調査では放射性物質が検出されていないため断定は回避)。
10月28日 b「北朝鮮の船は船齢が高いものが多いため、結果的に検査対象になる確率が高い」(北朝鮮船の相次ぐ出港禁止措置について香港当局者が説明)。
10月30日 b今年9月の中国の北朝鮮向け原油輸出実績がゼロであったことが、中国税関総署の統計で分かったと北京発ロイター電が伝える。
10月31日 b北京で米中朝の非公式高官協議が開かれ六カ国の協議再開で合意したと中国メディアがいち早く伝える。b海上自衛隊が米海軍との共同訓練を11月9〜15日に日本海で実施すると発表b中国全人代常務委員会が資金洗浄対策法を可決し、対北朝鮮金融監視も視野に。


もどる

Back