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金正日体制の弾道ミサイル発射糾弾!           かけはし2006.7.17号

北朝鮮への「制裁措置」を撤回せよ

戦争も飢餓も人権抑圧もない東アジアをめざし民衆の連帯を

 額賀の「敵地攻撃」発言許すな


北朝鮮独裁体制の絶望的賭け

 七月五日午前三時半すぎから同八時二十分にかけて、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、中距離弾道ミサイル・「テポドン2号」、「ノドン」、「スカッド」など六発のミサイルを日本海(東海)のロシア沿海州寄り公海上に相次いで発射した。続いて同日の午後五時二十二分にも七発目のミサイルを発射した。北朝鮮が弾道ミサイルを発射したのは、一九九八年八月三十一日に「テポドン1号」を発射して以来のことである。
 北朝鮮政府は外務省報道官の発言として、翌六日「今回成功裏に行われたミサイル発射は、自衛国防力強化のためにわが軍隊が正常に行った軍事訓練の一環である」「主権国家としてのわが方のこのような合法的権利は、いかなる国際法、朝日平壌宣言、六カ国共同声明のような二国間および多国間の合意にも拘束されない」「朝鮮半島の非核化を対話と協議を通して平和的に実現しようとするわが方の意思は今も変わらない」「わが軍隊は今回と同様に、今後も自衛的抑止力強化の一環としてミサイル発射訓練を継続するだろう」との立場を明らかにした。
 われわれは、米国の偵察衛星などによる二十四時間監視体制の下でなされた今回の弾道ミサイル発射という軍事的冒険と絶望的賭けに打って出た金正日・軍事独裁体制の行為を厳しく批判する。このような軍事的冒険は、米日帝国主義の包囲と挑発からの「自衛」や「抑止」の名によって正当化されるものではない。それは北朝鮮の民衆を、自由を剥奪する無権利状況の下で飢餓に追いやり、韓国や日本の市民の拉致など、さまざまな国家犯罪に手を染めてきた独裁体制の決定的危機の表現である。
 北朝鮮の軍・官僚独裁体制は、米日帝国主義の北朝鮮に対する軍事的圧力を利用しながら、それがもたらす対外的緊張を民衆に対する強権的締めつけの手段に転化しているのである。しかし「体制崩壊」による混乱への国際的危機感を逆手にとって、自らを崖っ淵に追い込む「瀬戸際外交」で外交交渉の条件を作りだしてきた北朝鮮の官僚独裁体制にとって、今回の賭けが成功する余地はきわめて限られていると言わなければならない。
 そして何よりも弾道ミサイル発射で最大の被害をこうむっている人びとは、言うまでもなく二千万人の北朝鮮の労働者民衆である。われわれは北朝鮮の民衆全体を「人質」にとりながら、膨大な資源を乱費して遂行している核開発と弾道ミサイル実験の冒険を中止することを北朝鮮政府に要求する。

「制裁」挙国一致に反対!

 七月五日に行われた北朝鮮のミサイル発射は、「対テロ」戦略の下で世界的な米軍再編を推進し、先制攻撃体制を築き上げている米ブッシュ政権と、それに全面的に追随して参戦国家体制を強化してきた小泉政権に絶好の口実を与えている。
 小泉政権は北朝鮮のミサイル発射が確認された七月五日早朝の持ち回り閣議で、この日、新潟港に入港する予定だった万景峰号に対し「特定船舶入港禁止法」を発動して六カ月間の入港禁止を決定した。さらに北朝鮮当局職員の入国の原則禁止、国家公務員の渡航の原則見合せ、北朝鮮への渡航自粛要請、航空チャーター便の受け入れ禁止などを決定した。同日午後の自民党・国防・外交・内閣関係合同会議では、町村延孝・前外相が「『対話と圧力』でやってきたが、いよいよ圧力の出番だ」と語り、さらに出席議員から「万景峰号の入港禁止を無期限にせよ」「最上級の制裁措置を講じるべき」との強硬発言が続出した。今後、改正外為法による日本からの送金停止などの措置が取られる可能性も浮上している。
 さらに七月七日には、「国連憲章」第七章の「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」に基づいて、日米英仏など七カ国による「北朝鮮へのミサイル・核関連技術移転防止」、「北朝鮮からのミサイル関連技術の導入禁止」を義務づける国連安保理の制裁決議案が提出された。これは七月五日に提示された安保理決議草案よりもさらに強硬なものであり、その作成を主導したのは日本政府であった。
 中ロ両国が、国連安保理での「制裁決議」に反対し、拘束力のない「議長声明」とすることを主張したのに対し、日本政府は最も強硬に、一切の妥協を排してあくまでも「制裁決議」を成立させるために画策している。麻生外相や安倍官房長官は「絶対に譲歩してはならない」「拒否権を持つ国の顔色をつねに見ながらやらなければならないというのはおかしい」と語っている。
 われわれは、こうした「待ってました」とばかりの対北朝鮮「制裁」論議に反対する。「制裁決議」案の根拠としている「国連憲章」第七章の「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」は、「国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動」「示威、封鎖その他の行動」(第四二条)につながるものであり、北朝鮮への武力行使の正当化をふくんでいる。
 さらに日本政府が独自に決定した「制裁措置」は、日本国内における排外主義をあおり、北朝鮮の軍と官僚による「戦時体制」下での民衆に対する締めつけを強化し、「生命の糧」を遮断することによって民衆生活の苦難をいっそう拡大する結果を引き起こさざるをえないからである。われわれは北朝鮮労働者・民衆との連帯をかけて、生存の権利をも破壊する「制裁」の撤回を求める。
 日本政府の「制裁」措置に対しては、共産党や社民党をふくめてそれを容認した。共産党の志位委員長は七月五日の記者会見で質問に答えて「国際ルールを北朝鮮に守らせるため、経済制裁を含む適切な措置をとることはありうる」と語り、社民党の福島党首も「一定の制裁もやむをえない」と語った。
 しかしミサイル発射を非難することと、国家的制裁を支持することはまったく別の問題である。われわれは「制裁」の挙国一致に対して、労働者・市民の立場からのミサイル発射批判を明確にしつつ、「制裁」への同調を拒否しなければならない。その意味で七月七日の千葉県議会で自民党が提出した「北朝鮮のミサイル発射に抗議する決議案」に共産、社民、「水と緑の会」なども賛成する中で、「市民ネット・無所属市民の会」の三人の議員が反対したことは大きな意味を持っている。「市民ネット・無所属市民の会」は「米軍のMDミサイルをはじめ、米軍のトマホークや自衛隊が保有を始めたGPS精密誘導爆弾など、すべてのミサイルと軍備拡張の禁止」を求めている。

「北」への先制軍事攻撃体制

 マスメディアは、ミサイル発射以来、日本の防衛・情報体制の「不備」についての宣伝を繰り返している。たとえば弾道ミサイルの弾頭を迎撃するイージス艦搭載のSM3はまだ未配備であり、地上配備のPAC3は今年度中の配備が始まるが、当面は大都市圏に限られるので今回の事態には間に合わない、といった調子である。このようにして日米共同のMD(ミサイル防衛)システムの配備促進が正当化されている。
 しかし、政治的・軍事的観点から言って北朝鮮の弾道ミサイルの「脅威」なるものは、完全にデタラメである。問題とすべきは、「対テロ」戦略による米日・米韓の軍事同盟体制の再編の中で「先制攻撃」体制の実戦的基盤が構築されており、それが北朝鮮官僚独裁体制の危機意識に駆られた「挑発」的対応を引き出していることにある。
 横須賀を基地とする米第七艦隊の艦艇は、北朝鮮の主要な都市や軍事施設に焦点を当てた巡航ミサイル・トマホークを配備している。さらにこの六〜七月に、太平洋では米軍の大規模な軍事演習や海上自衛隊も参加したリムパック演習が行われている。そして実際にはすでに北朝鮮によるミサイル発射の「兆候」が見られたとされる五月以後、米軍との緊密な軍事的連携の下で、海上自衛隊はMDの前段である警戒監視活動に入ってイージス艦を日本海に展開し、航空自衛隊も試験運用中の新型レーダー「FPS―XX」を稼働させ、電子偵察機も飛ばして警戒にあたっていた。北朝鮮のミサイル発射の動向は米日韓などの政府によって、完全に掌握されていた。
 これらの事実は、先制攻撃体制の軍事的能力が整備されていることを物語っている。それだけではない。ペリー元国防長官は、北朝鮮の長距離ミサイルが発射される前に攻撃する先制攻撃論を軍事的オプションとして提起し、七月六日のワシントン・ポスト紙社説は、このペリーの立場を「外交手段が失敗し続けるなら、それも将来の選択肢になる」と支持している。
 「米軍再編」と日米の攻撃的な軍事的一体化は、「安全」への担保などではなく、まさに東アジアの軍事的緊張を激化させ続ける重大な要因になっていると言わなければならない。「東アジアの平和」を創出するためには、こうした「対テロ」戦略の下での新たな米日・米韓を軸にした軍事同盟体制を廃棄することが必要なのであり、それこそが朝鮮半島の平和と統一に向かう保障なのである。

極右排外主義との闘いを


 今回の北朝鮮によるミサイル発射は、金正日自身が認めた日本人拉致問題の未解決の中で、それとからめた排外主義的キャンペーンを加速させる結果を招いている。われわれは、在日朝鮮・韓国人への脅迫・襲撃などのあらゆる動きを絶対に許さない。
 われわれは、二〇〇二年九月に日朝首脳会談と「平壌宣言」で明らかにされた日本人「拉致」事件という金日成・金正日父子体制の国家犯罪の全容解明を要求し、あらゆる拉致被害者の自由で自発的な意思にもとづく原状回復を要求する。「拉致問題は解決済み」とする、北朝鮮政府の公式の立場をわれわれは認めることはできない。
 同時に、拉致問題の根本的解決は、日朝国交正常化交渉の再開というプロセスの進行の中でこそ達成されるという基本的原則を確認することが重要である。「平壌宣言」は「植民地支配によって朝鮮の人びとに多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め痛切に反省する」と述べた。政府もマスメディアも、日本はすでに「十分な謝罪と反省を繰り返してきた」と主張しているが、「平壌宣言」後の経過は完全にそれと逆行している。朝鮮総連への財政的圧力、朝鮮学校への締めつけと「不法占拠」攻撃などに加えて、「拉致」問題を契機に、日本帝国主義の侵略と植民地支配の犯罪を清算、美化し、強制連行と「軍隊慰安婦」をなかったものとして「戦後補償」要求に悪罵を投げかける言動が、現職の閣僚や与党幹部、国会議員、知事などから繰り返されている。ごく最近でも埼玉県の上田知事(元民主党衆院議員)は議会答弁の中で「軍隊慰安婦などというものは存在しなかった」とする暴言を吐いている。
 いまやこうした排外主義的極右勢力が、小泉政権の中枢を占めているのであり、小泉自身、靖国神社への参拝を毎年のように繰り返すことによって自ら署名した「平壌宣言」の趣旨を根本的に破壊しているのだ。
 われわれは日朝国交正常化交渉の早期かつ着実な推進を日朝両国政府に求めるとともに、小泉首相の「靖国参拝」を阻止する闘いをさらに広範に拡大するよう訴える。このような闘いを通じて、われわれは日朝両国民衆の自由な往来と交流、東アジアの平和に向かう民衆的な前提を作りだしていかなければならない。反戦平和運動と反グローバリゼーション運動は、その最先頭に立とう。

b朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のミサイル発射糾弾。北朝鮮政府はミサイル発射と核開発を断念せよ。
b北朝鮮への「制裁」措置を撤回せよ。
b北朝鮮に対する「先制攻撃」体制の構築を許すな。MD配備反対。米軍再編・日米軍事一体化、自衛隊の海外派兵反対。「有事国民動員」・憲法改悪を阻止しよう。首相・閣僚の靖国参拝をやめろ。
b在日朝鮮・韓国民衆への排外主義的襲撃を許すな。北朝鮮政府は「拉致」問題の誠実な解決を。
b日朝国交正常化の早期実現。東アジアの平和を民衆の連帯した闘いで実現しよう。               
(7月9日 平井純一)   


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