| 2007年韓国政治・経済情勢の展望(3) かけはし2007.3.26号 |
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大統領選挙、新自由主義的支配秩序の安定的再編か、亀裂か |
与野党を巻き込む「総力戦」
07年の大統領選挙と08年の総選挙は新自由主義支配連合の立場からすれば、韓国資本主義の構造的危機を突破する、つまり新自由主義の世界化時代にふさわしい支配権力と支配勢力へと再編する過程だ。すなわち韓国資本主義が直面した構造的危機を突破する政治的条件を創出しぬき、これを土台として韓(朝鮮)半島を中心として東北アジア地域全体に資本の支配力を拡張していくための戦略と主体とを再編する時期だ。
労働者民衆の立場からすれば、07年の大統領選挙は新自由主義的支配秩序の安定的な再編に亀裂を作り出し、対案的な政治・社会勢力へと跳躍できるのか、それとも新自由主義の弊害による矛盾の爆発を管理しつつ労働者民衆運動を制度化させていく体制内的役割を担うのかを分かつ場となるだろう。
重要な争点と対決軸
07年の大統領選は何よりも新自由主義の世界化時代に、韓国経済や社会発展のパラダイムをめぐる諸政治・社会勢力間の激論と激突の場となるだろう。いわゆる「産業化」のパラダイムと「民主化」のパラダイムを乗り越える新たな発展のパラダイムをどのように提出するのかが争点となるだろう。「改革勢力の政治的限界」と「守旧保守勢力の腐敗」という過去の評価に対するネガティブな争点もあるが、「先進化」、「社会的大妥協」、「民主化以後の民主主義」、「庶民経済論」、「社会化」など未来の展望をめぐる争点が大統領選では、より重要さを持つだろう。
このような発展のパラダイムの下で韓国経済の成長の原動力、太陽政策・包容政策の展望、韓米同盟再編の方向、分配政策、韓米FTAなどが核心的キーワードとなるだろう。特に住宅価格の安定化、働き口の創出、非正規職、二極化の解消、国民年金、社会福祉、教育政策、税金政策、環境政策など、民生の課題が主要な政策の争点として刻み込まれるだろう。
大統領選は発展のパラダイムと主要政策課題をめぐって「汎保守」対「汎改革」や、「汎保守」対「汎進歩改革」、あるいは「汎保守」対「汎進歩」などによって理念的対決の構図がハッキリと形成されるだろう。このような理念的対決の構図は、候補者だけを中心として離合集散していた過去の選挙とは違って、政党、市民団体、言論、学界、専門家たちが総動員される、それこそ全社会的な「総力戦」の様相となるだろう。
テーマをめぐる先陣争いのためのオンライン・オフラインメディアの掌握、大衆討論会、国会および地方議会での政治的攻防、さまざなNGO団体などの結成、街頭での集会やデモなど、あらゆる手段や方法がこのような政治的目標のために総力動員されるだろう。
改憲をめぐる攻防
大統領選の展望に関連して、第1次的な関門はノ・ムヒョン政権が1月8日に提案した大統領職の「4年連任制」(現行では1期5年、再選不可)改憲の方向だ。ノ・ムヒョン政権は非効率的で不安定な87年憲法体制を現時点で克服しなければならないとの名分で改憲案を提起した。だがハンナラ党ではノ・ムヒョン政権が改憲政局を通じて政界再編や政局の主導権を掌握しようとする政略的意図だと見て箝(かん)口令を敷いて、政治的対応を全く行っていない。
だがハンナラ党も、ひたすらダンマリを決め込んでばかりもいられないだろう。ノ・ムヒョン政権は2月の臨時国会が終わるやいなや改憲案を国会に発議する計画を持っており、世論も初めは「改憲には賛成だがノ・ムヒョン政権の任期中はダメだ」としていたのが「ノ・ムヒョン政権の任期中にすることもできる」という方向へと少しずつ変わっているからだ。
万一、「ノ・ムヒョン政権の任期中にすることもできる」という世論が優勢な中で、ハンナラ党の反対によって国会で改憲案が否決されれば、それに対する政治的負担はそっくりそのままハンナラ党が負わざるをえない。逆に積極的に議論すればハンナラ党の大統領選の走者たちの間に分裂を深化させる可能性がある。
結局、改憲案はノ・ムヒョン政権にとっては大バクチのカードとなり、ハンナラ党にとっては触れるに触れられぬやっかいな物となるだろう。だがノ・ムヒョン政権は改憲案が否決されたとしても任期中に辞任はしないと語っており、その政治的波及力は予想していたほどには大きくなりえないだろう。
ハンナラ党を中心とする守旧保守陣営は、汎保守の統合を通じて候補間の競選前の分裂を阻み、単一の候補を出すことができるのかが07年大統領選挙での最も重要な変数となるだろう。
この間、ハンナラ党は保守大連合を通じて政権を奪還するとの目標の下、守旧保守のイメージを払拭し、ニューライトなどの中道保守まで包括しようとしてきた。だがイ・ミヨンパク前市長が大勢論を謳歌している中で、パク・クネ前代表が検証問題を提起するとともに両者間の感情のもつれは危険水域にまで達し、与党のけん制がない状況にあってハンナラ党の有力な大統領選での走者たちが党内競選を避けるために脱党する可能性は排除できない、との展望も提起されている。
だが最近の、ハンナラ党のシンクタンクである汝矣島研究所の『2007年有権者性向分析』の結果によれば、「ハンナラ党の支持層は増加しているものの、支持層の忠誠度は極めて脆弱であり」、支持率は場合によっては簡単に崩壊しうる。そればかりか「強硬保守のイメージや反ハンナラ党選挙連帯構築の可能性、それに候補選択によっては政党の効果が弱まるという点」などが弱点で、今の支持がそのまま継続しないこともあり得る。
開かれたウリ党の場合、1月29日の中央委員会の結果、「統合新党推進」を骨子とする政党大会(2月14日)の議題に満場一致で合意したことにより、分党という最悪の状況は当面は免かれた。だがこれは一時的な縫合にすぎず、開かれたウリ党内部の理念的性向や最悪の支持率などを見るとき、分割は必然だ。
統合新党の議論をめぐる開かれたウリ党の内紛は、「一緒にいても意味がなく、分かれても意味のない組み合わせ」という絶望的な争いのせいだ。開かれたウリ党の問題は分割ではなく、以後、どの勢力の主導の下で反ハンナラ中道改革勢力の劇的な統合をなしとげられるか、だ。したがってこの時期の分割は大統合のための主導権争いだと言えよう。
これに対してノ・ムヒョン政権は1月25日の新年記者会見で、「開かれたウリ党を中心に勢力を糾合して反ハンナラ戦線を形成」し、「経済政策は差別化がほとんど不可能」であるがゆえに「社会福祉、社会投資、社会的資本、民主主義と公正な社会秩序、人権など歴史的な問題において確実な差別性」を引き「ハンナラ党vs反ハンナラ党」の伝統的形態に集中すれば勝利できる、とのメッセージを送った。
「反ハンナラ戦線」、あるいは「汎進歩改革連合」がどのように現実化されるのかについてのもうひとつの変数は、『創造韓国未来構想』の発足だ。市民運動陣営の一部の名望家たちを中心に「第3の政治勢力」、「市民社会団体の政治勢力化」、「反守旧単一候補」という政治路線を提出するとともに、1月30日に発足した「未来構想」は独自的な政治勢力としては立ちがたく、与党の政界再編や新党創党、そして進歩陣営の政治的影響力などの流れを見守った後、土壇場で政治連合を推進する可能性がある。
今なお五里霧中状況
07年の大統領選の政治構図がどのような変化をたどるのかは、だれも予測できない。それくらい多くの変数が待ち構えており、だれも選挙の場を先導できない、それこそ五里霧中、複合多重の状況だ。
各党が候補をいつ決定するのか、どの党が先に決定するのかも重要な変数となって候補の決定がさらに遅れる可能性があり、また候補間の土壇場での統合の可能性もまた排除できない。各党の分裂や統合が互いに密接した影響を及ぼすだろう。
ただし政治構図をめぐってハンナラ党とニューライト陣営が候補選出の過程で汎保守連合を実現できるのか、開かれたウリ党が分割後に創造韓国未来構想とともに、最後には汎進歩改革連合を導き出せるのか、そして民主労働党が進歩陣営の総団結を実質的にやりぬけるのか、などが最も重要な変数となるだろう。
また諸勢力が「産業化」や「民主化」のパラダイムを乗り越える新たな時代的展望を提示できるのか、嶺南・湖南の地域対立の構図が維持され続けるのか、なども主要な変数となるだろう。
鮮明な旗のない民主労働党
「巨大な少数」戦略の失敗
87年民主化体制の中で労働者民衆運動を政治的に代表してきた民主労働党は05年4・15総選挙を通じて議会に進出した後、この2年間、深刻なアイデンティティの危機に直面してきた。
議会進出の初期に掲げていた「巨大な少数」戦略は流出した。自由主義改革勢力と政治的な差別を明確にできず、進歩政治のアイデンティティをハッキリとうち立てられずにいる。その結果、党支持率は5〜8%に低滞している。06年11月、非正規立法阻止闘争の過程で、そして先進労使関係ロードマップの通過の過程での開かれたウリ党のギマン的修正案が環労委で通過するのに反対しないことによって、「交渉は民主労働党がやり、闘争は民主労総が行う」とする役割分担論の虚構性が如実にさらけ出された。
このような状況にあって07年、民主労働党の政治的な立地は一層、困難になるだろう。年初、進歩陣営の総団結体であることを自任する「韓国進歩連帯(準)」の発足と反守旧・汎進歩改革連合を主張する「創造韓国未来構想」の出現によって進歩のありようや競争の構図が多元化するとともに、民主労働党の政治的位置が一層不透明になっている。
またこの過程で政治地形が「汎保守連合」と「反ハンナラ・汎進歩改革連合」の二大構図に圧縮されるなら民主労働党は「死票の罠」に掛かり、支持率がさらに下落するか、過去の批判的支持の残滓である「反ハンナラ戦線構築論」が民主労働党内部に登場するとともに深刻な政治的分裂を歩む可能性も排除できない。
社会連帯戦略と苦悩
07年大統領選と08年総選挙を通して、民主労働党が進歩陣営の政治的代表体として立つことができるのかどうかが決定されるだろう。民主労働党は07年大統領選挙に関連して、「進歩陣営の総団結」(進歩大連合)と「民生経済イシュー化」を通して政治的な立地を再定立し、これを08年総選挙まで結びつけていく計画を立てている。
「進歩陣営の総団結」をめぐっては2月25日予定の全党大会で、いかなる競選方式を決めるのかによって、その具体的な姿を現すこととなろう。党員の直選制によって大統領候補を選出するのか、民主労総や全農が主張している「民衆参与の開放型競選」を通して候補を選出するのかが、まずはカギとなるだろう。
その後も反ハンナラ党戦線に焦点を合わせて自由主義改革勢力や市民陣営との連帯に主力を注ぐのか、それとも民主労働党の左側の左派陣営との連帯に主力を傾けるのかによって進歩陣営総団結の性格やありようは違っていくだろう。
「民生経済のイシュー化」は1月31日のムン・ソンヒョン代表の記者会見を通して、「国民年金の死角地帯解消のための社会的支援政策」としてその姿を現した。昨年、民主労働党が通常国会で提案した「社会連帯戦略」を再争点化したものだ。
「年金を納付できない644万人(月所得91万ウォン未満の労働者423万人および農漁民など221万人)の貧困は社会的問題」であるがゆえに、「今後5年間、この人々に対する老後の年金の恵沢のために社会の構成員が自分のものを少しずつ出して譲歩し、年金保険料を社会が支援することを提案」したものだ。
これのためにムン代表は「国年年金の死角地帯解消と民生の懸案解決のための5党代表会談」を提案し、この社会連帯戦略を民主労働党の大統領選の核心的な政策として押し出す意志を明らかにした。
だが1月30日、ムン・ソンヒョン民主労働党代表とイ・ソッケン民主労総新任指導部の会合において、イ・ソッケン民主労総委員長は「労働者に苦痛を押しつける民主労働党の年金改革案は、正規職の苦痛分担論や両非論と映りかねないがゆえに同意できない」との立場を明らかにし、07年の大統領選の過程で党と民主労総間で社会連帯戦略をめぐる立場がどう調整されるのかによって、今後の民主労働党と民主労総間の位置関係が新たに再定立される可能性がある。
韓国進歩連帯(準)への不信
07年の進歩陣営の情勢と関連して注目しなければならないのは1月9日に発足した「韓国進歩連帯(準)」だ。韓国進歩連帯(準)は「大統領選という激変期を経つつ、今後の進歩運動の指導執行力を通して指導力を構築し、名実を兼ね備えた進歩陣営の総団結体として位置を占めること」を目標として、民主労総、全農、全貧連などの大衆組織と民主労働党などが中心となって作られた。
だがこのような趣旨や目標にもかかわらず韓国進歩連帯(準)は、準備過程で参与団体や地域団体の充分な討論なしに強行され、「民衆連帯」加入団体の内的討論の必要、評価や反省などに基づいて自然に導き出されたものではなく、特定政治勢力の組織の構図に従って外的に強要されているものではないのか、との疑念や不信をひき起こしている。
このような問題のゆえに準備委段階で「左派」陣営は参加しなかったし、人権、女性、環境部門の参加もまた見送られた。そして韓米FTA阻止闘争や各部門をはじめとする民衆闘争の熱気を韓国進歩連帯がどの程度、指導力を発揮して闘争を上昇させるのか、また大統領選闘争の空間で進歩勢力の総団結をどの程度、実現できるのかがカギだが、どれだけ最小限の肯定的な役割をなし得るのかについての疑念が次第に広がっているのが実情だ。万一、この役割に失敗するならば、韓国進歩連帯(準)は民衆連帯を分裂させ、反新自由主義の闘争戦線を弱めたとの批判から逃れ難いのだ。
今日、民主労働党、韓国進歩連帯(準)、民主労総は韓国社会において進歩運動を代表している諸団体だ。民主労働党は民主労総を母胎として創党され、民主労総の排他的な支持を受けている。だが最近数年間、民主労総の危機は、そのまま民主労働党の危機へと押しつけられ、民主労働党の議会進出後になされた「民主労働党の立法闘争や民主労総の圧力闘争を結合」する様式は、さまざまな問題をさらけ出した。
民主労総の選挙において、民主労働党を通した政治勢力化や民主労働党に対する排他的支持という、これまでの民主労総の立場を強調したイ・ソッケン新任指導部が当選することによって民主労働党と民主労総間の関係が急速に変わる可能性はないものの、今後、民主労働党と民主労総の両者が、これまでの関係を再定立しなければならないとの提起は不可避だろう。
韓国進歩連帯(準)の出現によって、民主労働党との関係をどのように設定するのかについての課題が残っている。韓国進歩連帯(準)も「進歩運動の指導執行力を通した指導力の構築」を目標とするためだ。進歩運動の政治的代表を進歩政党が担当するのか、戦線体が担当するのかについての論難が今後、繰り広げられる可能性がある。
「パートナーの危機」に逢着している民主労働党と民主労総は、07年の情勢において進歩陣営の政治的代表性や反新自由主義闘争の大衆的橋頭堡の位相を再び回復しなければならない課題を抱えることとなった。
危機の克服は民主労働党と民主労総が「汎進歩改革連合」という新自由主義改革勢力の誘惑や「反ハンナラ戦線」という時代錯誤の情勢認識から脱け出すか、新自由主義の世界化という資本運動に立ち向かい「急進的な対案」を中心として階級的な力関係自体を新たに拡張していくことができるのかどうかにかかっている。
仮にも政治的に急進化することができず、かつ「進歩陣営の総団結」という名分によって労働者民衆運動陣営を覇権的に再編していこうとばかりすれば、民主労働党と民主労総は急速に体制内化の道を歩むことになるだろうし、韓国進歩連帯(準)は反新自由主義の民衆連帯戦線を分裂させ、弱体化させることになるだろう。
その結果は労働者民衆運動の政治的・大衆的代表性を喪失するだろう。この時、急進的・変革的・階級的左派の独自的政治勢力化や大衆的登場を不可避となるばかりでなく、それは、むしろ歴史的な任務となるだろう。(この項、終わり)
(「労働者の力」第119号、07年2月2日付、パク・ソンイン/中央執行委員)
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