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                            かけはし2007.6.25号

本気かよ?『労働ビッグバン』

格差社会は何をもたらすか?
徹底検証シンポジウムを開催


日本版エグゼンプ
ションとの闘い

 六月十三日、東京しごとセンターで「本気かよ?『労働ビッグバン』!徹底検証シンポジウム―格差社会は何をもたらす?―」が6・13「労働ビッグバン」徹底検証シンポジウム実行委員会主催で行われ、二百三十人が参加した。
 最初に、古谷杉郎さん(全国労働安全衛生センター連絡会議事務局長)が「日本版エグゼンプシヨンの国会提出を阻止したが、政府・財界は参院選後必ず出してくる。きちんと闘争していかなければならない」と主催者あいさつをした。
 次に、浜村彰さん(法政大学法学部教授)が「労働ビッグバンとは何か? 何をもたらすのか?」と題して講演を行った(別掲)。続いて、現場からの報告〜規制緩和の最前線から〜が行われた。

規制緩和の最
前線から報告

 先行する「ホワイトカラーエグゼンプション」(高橋昌彦さん〈東京管理職ユニオン・元てんや店長〉)。
 「店長手当を出すから、残業代はなしで九時半から二十四時近くにまで働かされた。残業代を月に六十〜七十時間はピンハネされている。激しい競争の中で、店長のただ働きによって、利益を上げている。私は体がボロボロになり、精神疾患を病むことになってしまった。長時間労働・残業代不払いで会社を相手に提訴して闘っている」。
 「パート労働法改正」って誰のため、何のため?(中原純子さん〈全国一般東京労組〉)。
 「印刷会社に、一年契約でフルタイムパートで十四年働いている。パートと正社員の年収差(約240万円と約660万円)は約三倍だ。パート労働法の改正にあたって国会で意見陳述をした。改正パート労働法は、ごくわずかの『正社員的パート』のみが差別的取り扱い禁止の対象でしかない。分断を持ち込み、パート差別を固定化するものだ。有期雇用を削除すべきで、均等待遇を実現すべきだ」。
 「ヤバいぜ!労働の切り売り、バラ得り「スポット派遣」(菅本省吾さん〈グッドウィルユニオン〉)。
 「電話がかかってきて、内容がよく分からないのに行くがたいへんな現場が多い。例えば、大手引っ越し会社で、殴られたり、蹴られたりしたこともあったという。学校のロッカーの入れ替えがあり、総個数が二百個で、五階建てでエレベーターがなかった。このように、ひどい現場の状況を隠して送り込むのが当たり前になっている。集合が七時半で、そこから移動して就業が八時半でも、八時半からの賃金しか払わない。仕事が固定されない日々雇いの働き方は人間関係、仕事内容などによってストレスがたまり、体調を崩すことになる。それでも休むと収入が減るのでがまんして働く。そうするとさらに追い込まれる」。
 「ここまでやるか? 偽装請負」(三木陵一さん〈JMIU書記長〉、宮本一〈全建総連労働対策部長〉)。
 JMIUの三木さん。「二〇〇六年八月、徳島の光陽シーリングテクノで、正規労働者の労組が非正規の正社員化のために残業拒否の闘い、三百人が集まり全国集会を開くなど闘いを進めた結果五十九人を直接雇用にさせた。日亜化学で十九人を正社員化した。愛知のトヨタ、静岡のスズキでも労組をつくり、直接雇用をかちとった。全国で正社員化、組合が増えている。労働ビッグバンでは偽装請負が合法化されるが、職場の要求はなくならない。負け組は圧倒的多数だ。これが団結したら資本と対決できるようになる。企業を超えた闘いが重要だ」。
 全建総連の宮本さん。
 「全建総連は七十万人組織だが、ほとんどひとり親方、個人事業主などあいまいな働き方である。その結果不払いや労災事故がしょっちゅうある。建設では派遣業が禁止されているが、違法派遣が後をたたない。フルキャストは四万社のうち七百三十社を組織している。売上げは業界の三分の二をしめている。グッドウィルが建設現場への偽装請負を繰り返し、東京都労働局より業務改善命令を受けた。偽装請負が広がっている」。
 「日本の恥部・暗部…外国人労働者問題」(中島浩さん〈全統一労組〉、ウスザット・アリさん〈外国人部会〉)。
 中島さん。「雇用対策法改正が成立し、外国籍労働者の個人情報の届出制度が罰則つきで会社に義務づけられた。こんな人権侵害の法律は外国人だから許されている。人種差別撤廃条約にも違反している。外国人研修制度によって、十五万人(そのうち70%が中国人)が研修生として働いている。中国人の場合は中国で百万円以上の保証金をとられ、日本ではパスポートをとられ、強制預金やセクシャルハラスメントが相次いでいる。文句を言えば強制帰国させられる。トヨタで女性のベトナム人研究生に対して、トレイタイムに対して一分、十五円の罰金をとっていた。別の場所の研修生で六十回も性的暴行をされていたケースもある。この二件は裁判で争っている。外国人研修に対してかけられている攻撃はすべての労働者にかけられている攻撃だ」。
 パキスタン出身のウスザット・アリさん。「パン工場で働き始めた一日目に手にやけどをした。労組に入っているから労災がとれた。交通事故にあった時や街を歩いている時、警察官が『国籍はどこか、何を探しているのか』と職務質問し、外国人登録証の提示を強制する。外国人差別は外国人の問題ではなく日本社会の問題だ」。
 「労働行政の民営化 労基署・ハローワーク民営化で何が変わる?」(森崎厳さん〈全労働省労組書記長〉)。「政府は二〇〇六年に成立さた公共サービス改革法(市場化テスト法)によって、ハローワークの業務の一部を民間に委託することや、求人開拓事業が市場化テストモデル事業として実施された。あだちワークセンターではリクルート社が入ったが、リクルートの方がはるかに高コストだった。政府が行った求人開拓事業でも同じ結果だった。労働行政の民間開放、市場化テストの拡大は、行政サービスの後退、税金のムダ使いだ。ハローワークから問題の企業を聞いて、労基署が摘発することがあるが、ハローワークを例えば、グッドウィルがやっていれば、情報がはいってこず、摘発もできないであろう」。
 報告の後、都内各所でクリスマスイブ、正月、成人式などで労働ビッグバンに反対して街頭パフォーマンスを行っている共同アピールの仲間が紹介された。
 棗一郎さん(日本労働弁護団事務局次長)が「5・21意見書に労働ビッグバンの中身が全部書いてあるが、唯一抜けているのはホワイトカラー・エグゼンプシヨンだ。すでに、労働現場では先行的に実施されている。もし、これが通れば戦後最大の危機で、雇用の基盤を破壊し、弱肉強食の社会になる。この社会がメチャクチャになってしまう。こんな社会を許していいのか。労働組合はいらないと言われている。ここまで組合がコケにされている。鳥肌が立つほどの怒りを覚える。こんな労働ビッグバンを絶対に許してはならない」とまとめの発言を行った。      (M)

浜村彰さんの報告から
「自由で開かれた労働市場」の正体は何が


 政府の経済財政諮問会議は、昨年十一月「時間に縛られない働き方」「スムーズな職探し、転職の容易さ」「グローバル化に対応する労働市場のあり方」などを柱とする「労働ビッグバン」構想を打ち出した。労働者保護法制をなくして、自由市場原理にまかせるものだ。
 政府はまず日本版エグゼンプシヨンを導入しようとしたが、余りの反対運動の強さによっていったん断念した。四月六日、経済財政諮問会議労働市場改革専門調査会第一次報告(「働き方を変える、日本を変える」―ワークライフバランス憲章)を発表した。さらに、五月三十日、規制改革推進のための第一次答申―規制の集中改革プログラムを出した。そして、六月十二日、経済財政運営の基本方針「骨太の方針2007」を打ち出した。しかし、いずれの報告や方針の中で、労働ビッグバンに当たるようなものは出されていない。朝日新聞は『労働ビッグバン自滅』と報道したが、参院選までは封印されている。
 五月二十一日に出された「格差社会と活力をもたらす労働市場へ〜労働法制の抜本的見直しを〜」(規制改革会議:再チャレンジワーキンググループ:労働タスクフォース)が、労働ビッグバンの土台となる考え方である。
(1)基本的考え方は「当事者意思の最大限尊重に基づく自由で開かれた労働市場の再構築」だ。その中身は@「規制撤廃」による「丸裸の労働者」の対等で自由な交渉の促進A労働組合・労働者代表不要論B政策立法の優位と判例の軽視C労働政策審議会(公労使三者協議)の否定と政策決定のフリーハンド化。
(2)解雇権濫用法理の見直し。@当事者の合意による解雇制限法理の排除A解雇の金銭解決制度の試行的導入。
(3)労働者派遣法の制限の完全撤廃。@派遣受入期間制限・雇用申入れ義務・派遣禁止対象業務の完全撤廃A請負と労働者派遣の区分基準の緩和。
(4)労働契約の期間制限の撤廃(現在は原則3年、例外5年)。
(5)同一労働・同一賃金原則の否定。
労働ビッグバンは何をもたらのすのか?
 @労働市場の市場原理主義化―社会的規制原理の限りない後退A自己責任を負わされる孤立した労働者B「成果」の上がらない労働者の切り捨てC雇用保障のとどめのない劣化D労働者の身分格差の放置と拡大。
 文句があれば解雇すると、「解雇」がおどしに使われる。物言わぬ労働者を増やし、主従関係が強まることになる。この結果、「市場の暴力」にさらされる労働者と企業による労働者支配の完成。ごく一握りの「勝ち組」と完全支配される圧倒的な「負け組」がつくりだされる。(発言要旨、レジメを参考にした。文責編集部)




参院選に向けて東京南部集会
川田龍平とともに政治と社会を変えるために

 「6・15変えよう社会!川田龍平とともに!」の参院選にむけた集会が、川田龍平と「この国」を変える南部実行委員会の主催で開催された。集会には三百五十人が参加した。
 最初に呼びかけ人を代表して原輝恵さんが「戦後六十二年間平和であったのは平和憲法があったからであり、それを今アメリカの要請で改憲しようとしている。改憲手続き法は成立したが、絶対に平和憲法は守らなければならない。参院選はそのための闘いの場でもあります」とあいさつをした。
 次に神田香織さんが「チェルノブイリの祈り」を講談した。チェルノブイリで被曝した消防士のワーシャとその妻のユーシャの愛を縦軸に、爆発がいかにすさまじく、かつソ連邦がそれをいかに隠そうとしたかを横軸にし、事故の悲惨を見事に浮かび上がらせるすばらしい講談であった。
 その後、川田龍平さんが登壇し、自分がなぜ次の参院選に立候補する気持ちになったかを語った。「私は十九歳でエイズ被害者であることを名乗ったのは裁判で勝ちたい。なによりも政治家や官僚の責任を明らかにしたい。その一念であった。……年金問題は社保庁や政治家のいい加減さの現れです。世論の力で政治を、国を社会を変えていかなければならないと思います。一人が十人に、十人が百人という形で輪を広げていけば絶対にできると思います」と訴えた。
 その後、川田さんと司会のきくちゆみさんの対談が行われた。その直後「9条ネット」の比例区で立候補を予定している元レバノン特命全権大使の天木直人さんが応援に駆けつけ、「是非当選してください」と壇上から激励のあいさつを述べた。
 集会の最後に宮本なおみさんから行動提起が行われた。各区ごとの小集会、ポスター貼りの動員、財政問題と極めて具体的に提案され、参院選にむけた闘いが始まっているという雰囲気が一挙に盛り上がった。集会が終わってからもグループごとの打ち合わせが行われていたのが印象深かった。       (D)

『川田龍平 いのちを語る』
明石書店刊 1400円+税

 川田龍平さんが『川田龍平 いのちを語る』を出版した。川田龍平さんは、自分の体験から「生きることを喜べる社会」を作るため「いのちをつなぐ」ことの大切さを、子どもたちに訴えている。この本は、子どもたちにに「希望」を伝える、これまでの川田さんの活動の集大成だと言ってよい。
 川田さんは、自分の経験をもとにして「生きる希望」を破壊する政治や社会の仕組みを変え、「平和・人権・民主主義・環境」を大切にする一人一人の行動を呼びかけている。本書に収められた保田行雄弁護士との対談、辻信一さん、藤岡亜美さんとの対談では、環境と平和をつなぐ「キーワード」としての「いのち」の意味を確認している。
 最後の「地球のいのち――龍平、アフリカへ行く」は、今年一月にケニアのナイロビで開かれた世界社会フォーラムに参加した川田さんの新鮮な印象が率直に語られている。
 今、川田さんは、七月参院選に向けて都内全域を連日かけめぐっている。ぜひこの本を多くの人びとに広げてほしい。川田龍平さんの主張を理解してもらい、彼をなんとしても参議院に送るために。   (K)


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