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民主労働党の政治的限界を超えて             かけはし2007.7.30号

新自由主義に抵抗する大統領選闘争を大胆に展開しよう



2007年、韓国の自画像

 すべての政治は現実から出発しなければならない。時々、なぜ今回の大選(大統領選挙)に左派や新自由主義への抵抗の各主体が乗り出さなければならないのかと言う質問を受けるが、これもまた韓国社会の現実にその根拠を求めなければならない。他のことはさておいたとしても、わが国が一等だということでだけでも現実は、それを充分に説明できる。
 OECD(経済協力開発機構)加盟諸国の中で、わが国が低出産率、所得格差、労働時間の長さにおいて一位を誇っている。子どもを産まず、所得格差が最も大きく、労働時間は依然としてどこよりも長い、ということがその事実だ。反面、福祉費用は最下位だ。公教育の支出は23位なのに私教育への支出は1位、医療費全体の支出は28位で私的支出は3位だ。端的に言えば公共サービスは没落して市場化にさらされ、極端な暮らしへと結びついている。
 それにもかかわらず国民所得水準に占める住宅費は世界1位を疾走しており、97年の家計負債170兆ウォンは、10年を経て4倍近く増加して2006年末には630兆ウォンに達している。各銀行は昨年1年間だけでも40兆ウォンの短期外債を借り入れ不動産の担保貸し出しに集中的に振り向けた。その結果、国民は暮らしが一層困難になり、住宅価格が上がることだけを泣いて待ちながら、貸し出し利子を払うのに戦々恐々としている。中小企業の資金貸し出しの約3分の1以上が不動産投機に使われたものと推定されるというのだから、投機の嵐の中でどれひとつとしてキチンと立つ瀬がないというものだ。
 このような状況にあってわが国では5分間にひとりの割で自殺が試みらており、1日33・8人の割で自殺する。統計庁の05年の死亡統計によれば、自殺はわが国の死亡原因の4位で、がん、脳血管疾患、心臓疾患の次に死亡を多くひき起こしている要因であることが明らかになった。
 人口10万人当たりの自殺率は26・1人で、OECD30カ国のうちで最も高く、05年の1年間に命を絶った自殺者は1万2047人にもなり、この10年間に自殺者数は10倍も増加した。国民が、生きるのが嫌になって自ら命を絶たなければならないというこのような状況の中で、われわれはいわゆる「進歩」を語っている。
 これまでの話を総合してみよう。大多数の人々は銀行から借金して家を買い、その返済にあえいでいる中で、ただただ増えていく私教育費、医療費に堪えるために、さらに多くの時間を労働に費やさなければならない。この中で子どもを産み、やる気を失いながら、成功のために無限の競争と借金に悩まされながら生き、結局は最後の選択として自殺を選ぶ。今日、平凡な人々が生きていく現実だ。改めて言うけれども、このような生き方と暮らしの現実に基づいて「大選」について語るのでなければならない。耳が切られたゴッホの自画像のように今日の韓国の自画像がそのように描かれるとするならば、果たして左派は何をしなければならないのか?

左派的対案が必要

 現在、発生しているいかなる事案であっても新自由主義を乗り越える権力と体制の対案を悩むことなしには解決できないということは既に常識だ。社会の二極化は新自由主義の政策の必然的産物であるから新自由主義の政策を廃棄しない限り、克服できない。
 非正規職の問題、貧困の問題、農民を死に追い立てている開放農政や労働条件の後退を公々然たる内容とする各種の自由貿易協定の推進も同様だ。教育や医療市場の開放が撤回されない限り、この国の労働者・民衆の暮らしは絶望と死の奈落から脱出できる方法は何もない。どれひとつとして「資本を中心とすること」を乗り越えない限り、解決できることはない。
 このような状況にあって新自由主義へと堕落した自由主義勢力や、分断の矛盾の解決の過程でもはや急進性を喪失している民族主義、そして実行不可能な夢を見ている西欧式の社民主義、あるいは福祉国家がこの矛盾を解決してくれると期待することはできない。結局、新自由主義を踏み越えるための対案は左派、または左派的対案が唯一のものだ。
 国際的に見るときも、この点は明確だ。国際的な反米・反帝闘争において前衛的な役割をしているベネズエラのチャベス大統領はボリバール革命を新社会主義運動として新たに命名し、対案の世界化の展望を開いている。南米ではブラジル、チリなどの中道政府を乗り越えてボリビア、エクアドルで左派または社会主義政権が登場しており、制憲議会を通した憲法制定と新自由主義政権が売り渡した公企業を再国有化している。
 また資本主義の先進諸国でも新自由主義に抵抗する運動が続けられている。05年ヨーロッパ憲法の否決、フランス移住労働者たちの闘争、そしてその成果に力を得て実現された06年フランスでの「最初の雇用契約法」(CPE)撤回闘争の勝利に見られるように、新自由主義によって最大の苦痛を受けている青年失業者、移住労働者たちの闘争が全面化し、勝利をも引き出しているという点は注目されなければならないところだ。
 すでに左派が乗り出すべき社会的、経済的、政治的条件は熟している。新自由主義の世界化は資本の危機状況を打開していくための資本の戦略であり、そうであるだけに反民衆的戦略だ。そのために、このような資本の危機脱出戦略が成功すればするほど、労働ばかりではなく環境、女性、人種など、さまざまな側面において資本は自ら矛盾に陥っており、労働者民衆の世界的抵抗に直面することになっている。また、非正規職、移住、女性、障がい者たちの全国的組織とともに、彼らの政治的要求が拡大している。それならば現在、進歩陣営を政治的に代表している民主労働党は今回の選挙過程において、このような時代的条件に応えて階級大衆の熱望をまとめあげているのか?

大衆に役に立つ候補者を

 民主労働党が創立されて後、進歩陣営でのすべての選挙は民主労働党の問題となってしまった。もちろん成果がなかったわけではない。10人の議員を国会に送り、幾つかの立法活動を通して民主労働党の存在価値を大衆に知らしめた。
 だが、それだけだった。8万の民主労働党党員には実にすまない話ではあるけれども、国会内ではもちろん、蔚山やその他の地域でも進歩政治の希望を見せてくれたこともない。総選挙で議席数をさらに増やしたとしても、新自由主義を乗り越える政治の展望を作り出してくれるだろうと期待するには民主労働党の政治は余りにも遠くにいってしまった。
 最近、大選も進歩陣営の問題ではなく「民主労働党化」となった。党員たちだけで候補者を選ぶのか、選挙人団を構成するのか、それともクォン・ヨンギル、ノ・フェチャン、シム・サンジォンの中から誰かを選ばなければならないのか。いったい、このような状況を発展と呼ぶことができるのか、極めて疑わしいところだ。民衆参与の競選制となるとみんなが言うこの過程を通じて、民主労総の組合員たちはあたかも班長を選出するかのように票を投じるのではなく、自ら主体として乗り出していくという意味はどこにもとめなければならないのか? 「労働者民衆にとって最も役立つ代弁者」とならなければならない進歩政党が主人公の役を演じたり、役にも立たない下僕となっているのではないのか改めて振り返って見なければならない状況だ。
 それにもかかわらず、民主労働党は現実だ。階級大衆運動を代表していると言える民主労総の政治方針は、民主労働党を排他的に支持しており、この現実を突破することも踏み越えることもできずにいる。そのために民主労働党の存在を無視し否定することのできない条件であるのならば、民主労働党を乗り越える戦術が必要だ。それならば、いかに民主労働党を乗り越えなければならないのか?
 第1に、何人かの特定人物中心の大選候補選出問題に矮小化されている状況の中で、大衆主体を中心とする選挙の対応へと踏み込まなければならない。民主労働党が、ひいては民主労総が新自由主義に抵抗する大衆的主体になり変わったり、あるいはそれを代表しているのかについて真剣に問うてみたい。
 先の蔚山補選では、非正規職の組織化に失敗した民主労働党の限界が如実に現れており、現在の論議の中で名前が挙がっているどの候補も新自由主義の抵抗の主体として象徴される人物ではない。実際に、今そういうことはできない。かつてのように独裁と真っ向から闘った戦歴が反独裁闘争を代表していたのとは状況が全く様変わりした。新自由主義の弊害によって非正規職、女性、障がい者、貧民、農民などへと階級大衆の利害や要求も重層化している状況の中で、特定の人物が、これらの一切を代表することはできない。民主労働党の候補選出が大衆的関心の中で進められないさまざまな理由の中のひとつが、まさに特定候補の中に大衆自らの熱望を投影できない現実のゆえなのだ。
 第2に、この過程でブルジョア選挙の枠組みに対する部分的あるいは断片的な問題提起ではなく、これをあざ笑い、こけにしつつ全面的な問題提起へと踏み込まなければならない。現行の選挙法は多くの問題を抱えている。
 代表的例として、40歳未満の者や教師、公務員、移住労働者たちは被選挙権がはく奪されている。そして選挙法自体が、持てる者たちが大統領になれるという構造的問題がある。だが大選に参加する以上、この諸問題を正面から取り上げることのできない矛盾に陥ってしまう。だからと言って、大選の枠外でこれを批判するのも迫力に欠けるものだった。すなわち、大選に結合しながらもブルジョア選挙の枠組み全体についての問題提起を可能にする勢力と運動とが組織されなければならない。
 第3に、象徴的、宣言的運動を超えて、大衆と直接結合する大選闘争へと踏み込まなければならない。以上のような問題意識にもかかわらず大衆と直接結合しない大選は、ほとんど意味がない。政策キャンペーンだとか政治宣言も、それなりに意味はあるけれども、極めて制限的な運動となるほかはないからだ。

予備候補制を利用しよう

 「労働者の力」は「私が候補者だ運動」を通じて新自由主義への抵抗の主体を、大選闘争の主体をうち立てようと決意した。ところで、私が候補だ運動は政治宣言以上の活動を行っていくうえで問題がある、との指摘があったし、また実際に大選の過程でこれらの人々の活発な活動を期待しがたい問題にいきあたった。意志とは違って、新自由主義の抵抗各主体を大選闘争に結合していく契機を形成しがたくなった。その過程でわれわれは大選予備候補制度に関心を持つに至った。
 予備候補制とは少数政党や各政治勢力が選挙前から自らを知らせぬくために導入された制度で、前回の総選挙で初めて施行され、大選では今回が初めてだ。すでに50余人が予備候補として登録を終えており、最近では、いわゆる汎与圏から10余人が大選候補出馬宣言と予備候補の登録がラッシュの最中だ。予備候補制度について簡単に説明をすると、以下の如くだ。
 40歳以上の被選挙権者であれば、特別の費用や推せん人も必要なしに、だれでもが登録可能だ。大選の240日前から予備候補として登録することができ(総選挙の場合は120日前から登録が可能)、予備候補としての登録と同時に大選候補登録の前日まで(今回は11月24日まで)、定められた選挙運動が可能だ。
 また登録と同時に選挙事務所の開設、10人以内の選挙運動員、2万世帯以内の郵便を通した政策資料集が配布でき、大選予備候補および家族1人、選挙運動員1人など全部で3人が屋外で名刺配布の活動が可能となる。そして電子メールや動画像を利用した選挙運動が可能だ。

 つまり、大選予備候補への登録を通して、候補としての一定の法的地位を獲得することができ、まだまだ不足ではあるが、新自由主義の抵抗の主体たちの直接的な大選運動が可能だと判断する。したがって非正規職、女性、農民、障がい者などの主体たちと教育、医療、生態、学術、法律などの部門運動の主体たちが結合した集団的予備候補を通して大選運動の主体として形成させていこうとする。これを通して象徴的宣言的運動を超え、現実的な運動として予備候補を可視化し、予備候補の集団的、組織的進出を通した社会運動の勢力化の可能性を提示していこうと考える。
 このように候補選出方式についての論難、大選候補1人中心の問題、民主労働党という制度政党の限界を超えて新自由主義に抵抗する荒々しく、ふてぶてしい選挙闘争を展開していくであろう。進歩陣営にあっては、大選は重くて疲れる以外の何ものでもないか、あるいは政派間の競争の構図だけが深く刻み込まれる異常な政治空間として、これ以上のものはない。
 想像力が抵抗のエネルギーによって形成される空間こそ、まさに進歩陣営が挑んでいる大選闘争の空間となるだろう。予備候補になろう、そして抵抗を現実の形としてつくりあげていこう!(「労働者の力」第127号、07年6月20日付、ホン・ソンマン/中央執行委員)




朝鮮半島日誌
韓国の支援に対して、北朝鮮が地下資源の開発権を譲渡

7月6日 b北朝鮮の朴吉淵国連大使が潘基文国連事務総長に対して書簡を出し、在日朝鮮人に対する日本政府の「人種差別と深刻な人権侵害」について国連総会の議題として取り上げるべきだと主張。
7月7日 b韓国が今月から11月にかけて、総額8千万ドルに相当する衣類や靴、石けんの原材料を北朝鮮に送り、北朝鮮は代わりに対価の3%にあたる亜鉛とマグネサイトを韓国に提供するほか、地下資源の開発権も譲ることに(韓国統一省が北朝鮮・開城で開かれていた南北実務者協議で合意したと明らかにする)。
7月9日 bIAEA特別理事会で北朝鮮の寧辺などの核施設の稼働停止・封印の監視・検証活動が承認される。
7月10日 b「(対北朝鮮制裁解除が)情勢を改善し、問題の恒久的な解決を見いだす手助けになるのは間違いない」(中国の王光亜・国連大使がメディアに)。b日本政府の拉致問題対策本部が北朝鮮向け短波ラジオ放送を開始、午前1時から日本語、午前2時から朝鮮語で各30分間放送する。
7月11日 b「中国から入ってくる薬はわれわれの体質に合わず偽物が多い」(北朝鮮の赤十字会が今年2月に韓国の製薬業界団体に対して、使用期限が切れた医薬品の支援を要請する文書を送っていたと韓国メディアが伝える)。bベトナム・ハノイのデンマーク大使館に脱北者4人が駆け込み、第三国への出国を希望。b「朝鮮総連は取引を合法的、正常かつ正当な方法で行っており契約金が支払われると確信していた」「6月12日に(会館の取引が)報道され売買契約が一気に破綻した。政府の圧力だった。だまされたという認識はない」(朝鮮総連の南副議長が記者会見で)。
7月12日 b中国外務省が六カ国協議の首席代表会合を18、19日に北京で開催すると発表。
7月13日 b「朝鮮半島の平和と安全保障に関する問題を論議するため、国連代表も一緒に参加する朝米軍事会談の開催を提起する」(朝鮮人民軍板門店代表の談話として北朝鮮メディアが伝える)。
7月14日 b韓国が北朝鮮に支援する重油5万トンのうち6200トンを積んだ第一便輸送船が北朝鮮の先鋒港に到着。b北朝鮮核施設の稼働停止・封印に対する監視・検証活動を行うIAEAの訪朝チーム10人がピョンヤンに到着。
7月15日 b北朝鮮が核施設の稼働停止を発表。


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