| 韓国はいま スト権を制限し労組の無力化をねらう かけはし2007.9.3号 |
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「労組法および労働関係調整法施行令改定案」の問題点 |
7月11日、ノ・ムヒョン政府は「必須維持業務の範囲指定」を骨子とする「労組法施行令改正案」を立法予告した。
これは昨年の、いわゆる「労使関係先進化方案」の立法によって来年1月から必須公益事業で職権仲裁制度が廃止され、必須維持業務制度が導入されたことに伴った後続措置と言えよう。ところで、その内容は労働者のスト権を制限し、これを通じて労働組合を無力化させるものだ。
すべての業務が必須維持事業
政府が立法予告した内容を見ると、労組法第71条第2項が規定した必須公益事業は鉄道・都市鉄道、航空運輸、水道、電気、ガス、石油、病院、血液供給、韓国銀行、通信、郵政事業などだ。病院の場合、必須維持事業として「応急医療に関する法律」第2条第2号の規定による応急医療業務や重患者の治療・分娩・手術・血液透析業務、それとこれに関連した業務遂行を支援するための麻酔・診断検査・応急薬剤・処方用患者禁食・酸素供給・非常発電・冷暖房業務などが含まれる。また血液供給事業での必須維持業務は輸血用血液の正常的供給のための最小限の業務としての採血採熱・検査・製剤・輸送業務などが属する。
鉄道・都市鉄道の場合、運転・管制・電気・信号・通信・車両の整備と線路の点検・保守業務と定めた。航空運輸事業は搭乗手続き、保安検索・操縦・客室乗務・航空機の整備・誘導・けん引などの地上操業業務、航空管制業務で、通信事業の場合は維持管理および通信網の故障復旧業務を必須維持事業として定めた。
このように必須維持業務を細かく規定したことと関連して、労働部は厚かましくも「争議権が最大限に保障されるように可及的業務を細分し、その業務の最終サービスの生産に及ぼす影響、代替の可能性、労働力供給の常時性の有無など多角的に業務を分析、総合的に検討して、そのうち必要な最小限の業務だけを列挙・例示した」と主張した。
だが立法予告された労組法施行令は必須維持業務の範囲が事実上、該当業種の平均50%以上の業務を包括するものであって、実際には該当労働者たちのスト権を完全にはく奪する結果をもたらすだろう。
スト権の実質的はく奪
問題は、これにとどまらない。立法予告案は「必須維持業務制度運営の手続き」をめぐって必須維持業務について、争議行為に突入する以前に労使が必須維持業務の協定を必ず締結するようにしている。つまり、労働者が合法ストに突入しようとすれば使用者との間で必須維持業務の維持水準、対象職務、必要人員など、その具体的運用方法を協定によって締結しなければならず、万一、労使が自律的に決められない場合は労働委員会の決定に従わなければならない、と規定している。
さらに、労働組合がこれを履行しない場合は3年以下の懲役、または3千万ウォン以下の罰金が科される。結局、これは労働者のスト権を2重、3重にはく奪しているのだ。
また必須公益事業場で争議行為に突入する場合、使用者がスト参加者の50%までの代替人力の投入を認めた。結局、労働者たちがさまざまな手続きを踏んで、どうにかストに突入したとしても代替人力の投入によってストは無力化してしまうだろう。
そればかりか立法予告案はスト参加者の数を「1日単位で算定すること」と規定しているが、これは代替人力投入に関連して「スト参加者」の算定問題を呼び起こさざるをえない。常識的にこれは問題とならざるをえない。スト参加者の数を集計するにあたって、労働者側と資本家の側が違った意見を提起している現実において、スト参加者数を「1日単位」と規定し、毎日のように変わるスト参加者をめぐって代替人力の投入範囲を算定するというのは非現実的であるばかりか、それ自体としてストを無力化する試図だ。
資本家と政府のための法律
このように施行令が労働者のスト権を制約する悪法であるにもかかわらず、資本家どもは労働者たちの法だとして、大げさに困ったふりを示している。
韓国経営者総協会は、今回の労働組合および労働関係調整法施行令の立法予告案について、「労働界の立場だけを考慮し、必須維持の業務をあまりにも制限的に列挙しており、必須維持業務の本来の趣旨を損なうおそれがある」、「国民の生命と安全を保障するための必須維持業務を維持するために、さらに包括的な規定方針を取らなければならない」と語った。ありていに言えば、政府の立法案も資本家らにとっては不充分だ、ということだ。
各産業の資本家らも批判の声を高めている。鉄道公社は「必須維持業務が旅客に限定され、国家物量の重要な軸である貨物列車が抜けおちており残念だ」と語るとともに「輸送業務とともに安全と輸送も可能にする電算システムも除外したのは鉄道運送の特性を無視した結果」と主張した。
病院協会も「必須維持業務の協定締結の義務化や、勤務者の通報、代替人力の投入などには共感するが、現実的に適用できるのか心配な部分もある」、「応急室と重患者室などに限定された業務を生命や健康という観点から最小限、入院患者の業務まで拡大されるべきだ」と主張した。病院協会は、これらに関する「必須維持業務関連の討論会」を翌月中に開催し、現在、労働部が立法予告した労組法施行令の現実的な改善策を論議した後、労働部に建議する方針だ、という。
だが、このような言い方や振る舞いにもかかわらず、この法が資本家らのためのものであることを見せつける報道などもまた相次いでいる。その一例としてアシアナ航空側は「操縦士のストが行われたとき国家の物流がマヒする状況が発生したが、今回の施行令によって必須維持事業に分類されることに伴い安定的な経営が可能になった」と明らかにした。
労働悪法撤廃の大闘争を
最近、非正規法の再改正をめぐって民主労総と韓国労総の攻防が展開された経緯がある。韓国労総に対して民主労総は「労働者を売り渡して自らの利得を手にしている韓国労総の野合的あり方は、今や天性のものとなった」と、それなりに激しく批判しているが、それは空威張りとしか聞こえない。
昨年の、いわゆる非正規保護法や労使関係先進化方案という名の労働悪法が国会を通過する過程で、民主労総は力強い闘争を組織することに失敗した。また韓国労総が政権と手を握ることはハッキリと予想できたにもかかわらず、昨年の上半期中、ずっと韓国労総との共助関係を強調していたのは、ほかならぬ民主労総の執行部自身だった。問題は非正規法の再改正ではなく、非正規悪法を撤廃する闘争でなければならない。万が一にも再び非正規悪法のときのように今回も労組法の再改正を云々するやり方では労働者階級の未来は、より暗くやりきれないものならざるをえない。
政府は労組法を改正するとともに、これまで論難となっていた職権仲裁をなくしたとして「先進化」という名を付けて広報した経過がある。だが職権仲裁は無くなるけれども、緊急調整権は依然として存在しており、この状態で必須維持業務の拡大、代替人力投入の受け入れは、結局のところ労働者たちのスト権を破壊するものにほかならない。準備されたストを行っていく、だと? それでいつまで準備だけするのか? 今や資本家どもが手足もすべてもいで、もはや心臓や肝臓さえも取って食おうというのに韓国労総を非難することで、あるいは大統領選で審判しようというやり方で闘争を回避しているのではないのか?
今からでも労働悪法撤廃のための闘争を地域、職場、各部門から再び組織しなければならない。官僚的指導部が闘争を回避するのであれば、下からの闘争を準備し組織しよう! 再改正ごときに振り回されることなく労働悪法撤廃のための大衆的な抵抗を諸懸案闘争とともに組織し、広げよう! 労働者階級の未来は予測されるものではなく、闘いによって作られるものだ!(「労働者の力」第130、131号、07年7月27日、ク・ナムグ/会員)
ストに入っても止めてはならない主要な必須業務
鉄道・都市鉄道 運転、管制、信号、通信、電気、線路点検、保守。
航空運輸 操縦、保守検索、客室乗務、運航統制、空港整備、除雪、製氷、給油、貨物の搭載と荷役、航空機の誘導とけん引、システムおよび通信の維持と保守。
水道 取水・浄水、水道施設統合システムと計測・制御設備運営、配水施設の運営。
電気 発電設備の運転と整備、設備復旧、配電、電算室と通信センターの運営、安全管理。
ガス 製造、貯蔵、供給、安全管理。
石油 運転、管制、信号、通信、電気、線路点検、補修引き受け、製造、貯蔵、供給、安全管理。
病院 応急医療、分娩、手術、麻酔、酸素供給、冷暖房、患者処方用給食、応急薬剤、非常発電、血液、透析。
血液供給 採血、検査、輸送。
韓国銀行 通貨信用政策、韓国銀行券発行、金融機関に対する貸出4課支給決裁業務、電算と通信システム運営、施設保護。
通信 基幹網と加入者網の運営管理、加入者の故障申告の受け付けと処理。
郵政 基本郵便業務、内容証明と特別送達業務。
全国公務員労組が大会を開催
組織からの脱退が相次ぎ「合法労組への転換」を決定
7月21日、松坡女性会館でクォン・スンボク委員長ら350余人が参加した中で全国公務員労組は非公開の全国代議員大会を開催した。過半数の賛成で「合法化の案件」を議決した。「合法労組への転換」の案件は投票に参加した代議員155人中85人の賛成(55%)で通過したことにより9月には新指導部を選出し、遅くとも10月中に法内労組設立を申告する計画だ。
法内労組となれば、公務員の労働権を制約している現行法が適用されるという制約も受けるが、政府から合法的な交渉主体として認められるという実益も看過できない、というのが大方の分析だ。さらに既存組織の半分以上が合法化を目指して全公労を脱退した現実的困難さも勘案したものと推定される。
今やひとつ釜の飯を食べてきた全公労と民公労間の統合問題が両組織間の最大の懸案として浮上するものと予想されている。だが両組織間の溝は深く、短期間内の統合は困難だ、との見通しが優勢だ。全公労は合法化以後、直ちに政府と公務員の労働組織との間で進められている団体交渉に参加する、との意志を明らかにしている。
だが政府は、民公労と全公労は団体交渉の予備期間に合法労組の資格を備えられなかったのだから交渉の主体ではない、との立場を示しているというのが現況だ。政府関係者によれば、「法律的検討は必要だろうが、政府と公務員の労働組織との間での団体交渉が始められた当時、全公労は不法団体だった」、「したがって合法化したとしても交渉の資格は認定されがたい」と主張した。(「労働者の力」第130/131号、07年7月27日付、「ヒム・ニュース」より)
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