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葛飾マンションビラ配布弾圧事件             かけはし2008.1.1号

東京高裁で不当逆転判決
表現の自由奪う治安対策


立川ビラ入れ
弾圧と同じ手法

 十二月十一日、東京高裁(池田修裁判長)は、葛飾マンションビラ配布弾圧事件裁判の一審無罪判決を破棄し、罰金五万円の不当判決を出した。われわれは、政党ビラ配布という政治活動を不当に規制、弾圧していくことを支持した高裁を厳しく糾弾する。
 さらに高裁判決は福田政権の意志を忠実に代弁し、米国のグローバル戦争の一翼を担うために戦争ができる国家作りの一環として戦時治安弾圧体制を強化していく決意の現れだといえる。反戦ビラ配布、表現の自由に対する政治弾圧の正当性の強調は、立川反戦ビラ入れ弾圧最高裁闘争など一連のビラ配布弾圧裁判の反動判決の定着を狙ったのだ。
 われわれは、原告がただちに上告し最高裁無罪判決をかちとる闘いに入ったことを支持する。立川反戦ビラ最高裁闘争などビラ配布不当弾圧に抗して闘う裁判闘争に連帯していくことを決意する。

政党ビラ配布
で逮捕・起訴

 二○○四年十二月二十三日、東京都葛飾区内のマンションで日本共産党の「都議会報告」「区議団だより」を配布していた荒川康生さんが、「住居不法侵入」容疑で亀有警察署に不当逮捕され、その後起訴された。
 当時の担当検事である崎坂誠司は、立川・反戦ビラ不当逮捕時、東京地検八王子支部の検事であり、東京地検に移動してから○四年三月、都立板橋高校卒業式時での「日の丸・君が代」強制に抗議する元教諭に対して「威力業務妨害罪」だとして在宅起訴攻撃(十二月三日)も手掛けていた。このような弾圧経歴をもつ崎坂は、立川・反戦ビラ弾圧事件の無罪勝利判決が○四年十二月十六日に出た直後、報復として葛飾マンション・ビラ配布事件に対して起訴攻撃を行ったのであった。最初から逮捕・起訴攻撃そのものが派兵国家のための治安弾圧強化の一環として仕組まれたものであり、この政治性格はなんら変わっていないのだ。
 立川反戦ビラ裁判は、「表現の自由を守れ!ポスティング無罪」を合言葉に広範な運動が取り組まれ、一審無罪判決をかちとった。さらに反撃と運動の広がりの中で、葛飾マンション・ビラ配布事件裁判でも無罪判決をかちとった(〇六年八月)。
 地裁判決は、「ビラ配布目的だけであれば、共用部分への立ち入り行為を刑事罰の対象とする社会通念は確立していない」と述べ住居侵入罪を否定した。これは立川・反戦ビラ弾圧事件に対する東京地裁八王子支部の判決を踏襲するものであった。立川自衛隊官舎の共用部分が「住居」にあたり、「侵入」としたが「刑事罰に値する違法性はない」と判断し、反戦ビラの「投函自体は表現の自由が保障する政治的活動で、民主主義社会の根幹をなすもの」「商業的宣伝ビラの投函に比して、いわゆる優越的地位が認められている」と述べ、憲法二十一条「政治的表現の自由」の観点から無罪とした。
 つまり、商業ビラ・チラシ投函が常態化していたのだから、とりたてて立川反戦ビラ投函だけを処罰する程度のものではないとしたのだ。葛飾マンション・ビラ配布事件裁判の一審判決も、同様の論理構成で無罪にしたのである。

他人の財産権
を侵害した?

 ところが立川反戦ビラ裁判二審の不当判決(〇五年十二月)は、「侵入」を「他人の看守する邸宅、建造物等に、管理権者の意思に反して立ち入ることをいうと解すべきである」と規定し、被告人たちが立ち入った「共用の通路部分、階段」が、「他人の看守する邸宅」であり、それらは陸上自衛隊東立川駐屯地業務隊長、航空自衛隊第一補給処立川支処長が管理し、その意思に反してビラを投函したから違法であるとした。
 今回の高裁判決は、この二審立川不当判決の論理を適応した。判決は「マンションはオートロック方式でなく、管理員を常駐していないが、それらによらない限り部外者の立ち入りを禁止できないというのは、住民らの権利を不当に制約する」、「被告がビラを配布するために七〜三階の各階などに立ち入った行為は、玄関ホールへの立ち入りを含め住居侵入罪を構成する」などと認定した。しかし、管理人が常駐せず部外者の立ち入りが可能な状態であっこと、日常的に商業チラシが投函されていた事実をすべて無視したのである。
 そのうえで「政党ビラ配布という目的自体に不当な点はない」などと憲法二十一条の言論・表現の自由を「擁護」しているような欺瞞的なポーズをとりながら、高圧的に「表現の自由は絶対無制限に保障されるものではなく、他人の財産権を不当に害することは許されない」などと断定した。いったいどのように住民の「財産権を不当に害した」というのか。ところがその根拠を具体的に提示することもできないのだ。
 唯一押し出した事実は、「ビラ配布を含めた部外者の立ち入り禁止は、マンション管理組合の理事会で決定され、住民の総意に沿うものだった」ということだけだ。しかしこの「総意」の実態は、チラシ投函が一つの情報の受け入れ手段だとして容認している住民が存在しており、あいまいなものでしかない。高裁は、この事実も無視し、理事会決定を優位な存在として取り上げたのである。

G8サミット
シフト許すな

 すべての闘う仲間に訴える!
 国家権力、公安政治警察は、この反動判決を利用して、これまで以上にビラ弾圧、「微罪弾圧」を強化してくることが予想される。〇八年G8サミット治安弾圧シフトにむけたステップとしても積極的に位置づけながら弾圧してくるだろう。とりわけ反グローバリゼーション活動家をターゲットにした監視・尾行・いやがらせなどの危険性が十分に考えられる。すでに札幌市内の活動家に対する監視を着手しており、都内では諸会議・集会での露骨な面割り作業を行っている。警察庁は十二月十日、「治安の回顧と展望」において、対テロ戦争の観点からサミット警備、反グローバリゼーション運動に対する弾圧を強行していくことを「決意表明」している。
 「テロ対策」と称した治安弾圧強化反対!警鐘乱打し、不当弾圧を許さない陣形を構築していこう。その一翼としてAさん免状不実記載弾圧糾弾!国賠裁判の取り組みの強化とともに、立川反戦ビラ入れ裁判の最高裁闘争をはじめ一連のビラポスティング弾圧を許さない裁判闘争に連帯していこう!    (遠山裕樹)


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