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県が静岡空港09年3月開港延期決定           かけはし2008.11.10号

開港延期ではなく建設断念を

ますますふくらむ赤字 -- これ以上税金のムダづかいやめろ



無視・居直りを
続けたあげくに

 十月二十一日、静岡県は静岡空港予定地の滑走路西端から千四百メートルの大井寿生さんの土地にある「立ち木」が航空法の高さ制限(制限面積)を超えていることを認め、国の空港設置許可の工事完成予定日(11月1日)の変更を国に申請する方針であることをメディアが一斉に報じた。これを受けて静岡県議会は議会運営委員会を開き、石川知事が「立ち木問題」の対応策を説明する全員協議会を十月二十九日に開催することを決定した。これによって三月開港をめぐる攻防は一挙に新しい局面に突入した。
 地権者は制限面積に「立ち木」とその横に「土石」が存在していることを〇七年十月に県に対し、十二月には国交省に対して忠告してきた。しかし国も県も測量ミス、工事ミスを認めず沈黙し続けた。そしてその裏ではあろうことか地域住民を巻き込んだ「地滑り工事」に名を借りて「立ち木」を伐採しようと企てた。さらに「立ち木」問題が裁判の中で明らかになると石川延嘉県知事は「工事後に立ち木が成長して伸びた」と居直った。だが完成予定日が迫り、「立ち木」(障害物)を除去できないことが明らかになり、開港に必要な国交省の完成検査をクリアするために滑走路を「短縮」する方針を決めたのである。
 だが滑走路を短縮すると現在滑走路に設置されている灯火の移動工事が必要となり、完成予定期日の延期は不可避である。それにテスト飛行も延期せざるを得ない。事実上三月開港は不可能になったのである。
 県は空港の需要予測百六万人(専門家や航空会社は約40万人)のうち五〇%を占める新千歳便のために二千五百メートルの滑走路が必要であると説明してきた。しかし滑走路を短縮して百人乗りのジェット機にした場合、専門家は乗客が十万人にも達しないと述べている。さらに福岡便、沖縄便もこれに準ずると需要予測は大幅に変更になり、減収分を穴埋めするためにさらに税金を注ぎ込むことになる。
 また、開港時から赤字線であることが明白になればJAL、ANAなどの航空会社は赤字補填を要求するか就航を撤回するであろうことは必至である。事態は県知事の責任問題どころか空港計画そのものが問われる局面に突入したのである。

地権者・県民の
会を支援しよう

 県の方針にあわてた地元牧之原市の西原市長は十月二十四日に石川県知事に「絶対に三月開港を実現させるべき」と申し入れを行い、地元の島田商工会を中心にして結成された「一番機に乗る会」は、「一番機に乗る人が二千五百人もスタンバイしている。すでに沖縄側と交流会の準備が進んでいる」と必死の圧力をかけ始めている。さらに空港に乗客を運ぶバスやテナントを管理するの静岡空港エアポートサービスは「私たちの仕事は飛行機が飛んでなんぼ。一カ月三千五百万円の収入を見込んでいる。二カ月も飛ばなければ減収は七千万から八千万円にもなる。三月開港を守ってほしい」と叫ぶ。
 地元が右往左往している十月二十七日、地権者と空港はいらない静岡県民の会は上京し、国交省に対して申し入れを行った。国交省はあらゆることに対して「事業主体の静岡県側から一切説明がないから答えられない」の一点ばりだった。申し入れに同席した川田龍平参議院議員が怒って「二千五百メートルの滑走路建設だけで四百五十億円の建設費が使われている。それを二千メートルで使用するとなると静岡県の責任だけではなく、半分の二百二十五億円を支出している国の責任はどうなるのか」と質問したが、それについても「事業主体から説明があった時点で考える」とごまかす始末。
 申し入れ行動で明らかになったのは、一切が裏で国交省と静岡県の合意で進められているということだった。第一は静岡県は十月二十九日の県議会の全員協議会で「測量ミスを認め、七月開港」の方針を出し、国交省は十一月一日の工事完成予定日に三月開港を七月に変更することを認める。第二は滑走路短縮にともなう工事は収用地内であるから事業認定の変更ではない。したがって収用委員会も公聴会も開催せず、ただちに工事を再開する。
 十月二十八日、地権者の大井さんは再び静岡県知事に対して申し入れを行った(別掲)。だが石川知事はこれを無視し、国交省との合意に基づき十月二十九日の県議会の全員協議会で「富士山静岡空港の開港日を当初予定の三月から最大四カ月延期し、遅くとも七月に開港する。滑走路西端の区域内にある未買収地に航空法を超える立ち木などがある。これは測量ミスであり、このため国の完成検査を受けられないので追加工事で滑走路を暫定的に三百メートルに短くして違法状態を解消する」と報告した。
 開港を三度も変更したのは史上初めてであるばかりか、追加の工事費はどうなるのか一切説明していない。さらに需要予測や赤字額はこれによってどう変わるのか全く出されていない。県民を愚弄しているとしか考えられない説明である。
 問われているのは「三月開港の変更」ではなく、ずさんで危険きわまりない空港建設を断念することだ。地権者の大井寿生さんは今まで以上の圧力にさらされている。これを全国の支援ではね返し、地権者・県民の会が押し進めている「住民監査請求運動」と「事業認定取消訴訟」の闘いを強化しよう。     (D)

西側制限表面の支障物件の問題についての申入書
                           2008年10月28日


静岡県知事殿    
島田市湯日1211 
       大井 寿生

静岡空港西側制限表面の支障物件の問題について、下記のとおり申入れを行う。
 
1.静岡県は、静岡空港整備事業に係る西側制限表面の収用事業認定申請において、極めてずさんな手続きにより収用及び使用範囲の確定に誤りがあったことを認めるとともに責任の所在を明らかにし、書面によってこれを謝罪する。
2.静岡県収用委員会は、静岡空港整備事業に係る西側制限表面の収用委員会審理において、ずさんな手続きによる収用及び使用範囲の誤りに対して、明確な指摘と検証、審理の要求が行われたにもかかわらず、一方的に審理を打ち切って裁決を下したことについてその誤りを認め、書面によってこれを謝罪する。
3.静岡県及び静岡県収用委員会は、上記1、及び2、に述べた書面を、共有地権者及び立木所有者を含む西側制限表面に係るすべての権利者に対し送付し、謝罪の意思を示す。
4.静岡県知事及び静岡県収用委員会長は、上記1、及び2、に述べた書面に基づいた謝罪会見を行ない、公に謝罪の意思を示す。
5.静岡県職員小松幸雄は、静岡空港整備事業における西側制限表面上の支障物件の問題について、その起因に深く関与するにもかかわらず、この間再三にわたり極めて不適切な言動を繰り返し、権利者及びその 親族の生活の平穏を脅かし、問題の円滑な解決を妨げた。静岡県は、同職員を速やかに空港に関与のない 部署に配置する。
6.上記1、から5、までのすべての要件の完全な履行が確認されたうえで、静岡県からの正式な協議の申 し入れが書面によって行なわれた場合に限り、静岡空港西側制限表面部分権利者大井寿生は、制限表面上の支障物件の問題についての協議に応ずる。
7.なお上記6、に述べた協議についてはすべて書面の交換によって公開されたかたちで行うものとする。




10・23通達撤回へ、訴訟団が団結
「日の丸・君が代」強制反対!

学校に自由を取りもどそう

9・21勝利判決
引き継ぐ闘いを

 十月二十五日、東京・星陵会館で「10・23通達から5年 9・21東京地裁判決勝訴から2年 『日の丸・君が代』強制に反対する裁判に勝利しよう!学校に自由を!10・25集会」が行われ、三百五十人が参加した。
 石原都知事と都教委は、グローバル派兵大国作りと連動して新自由主義的教育破壊と愛国主義教育を一体的に押し進めてきた。そのバネとして位置づけて強行してきたのが「日の丸・君が代」の強制だった。
 二〇〇三年十月二十三日に「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」という10・23通達を出し、実施方針にもとづき校長の職務命令で強要してきた。すでに五年がたち抗議の不起立、不伴奏をしてきた教職員四百十人を不当処分している。また、再雇用職員、再任用・非常勤教員等にも露骨な合格取消・採用拒否などの報復攻撃を行ってきた。
 石原と都教委による暴挙を許さず被処分者が軸となって反撃のスクラムを構築してきた。その闘いは、国歌斉唱義務不存在確認等請求訴訟(予防訴訟)、君が代処分取消人事委員会と裁判、「君が代」強制解雇撤回裁判、嘱託採用拒否撤裁判の闘いが原告・弁護団と支援によって粘り強く取り組まれている。
 その中で〇六年九月二十一日、東京地裁(難波孝一裁判長)で歴史的な勝利判決を勝ち取った(9・21判決)。判決は@原告には卒業式・入学式等において国歌斉唱及びピアノ伴奏を行う義務はないAいかなる処分をしてはならないB原告が受けた精神的損害に対して一人あたり三万円の損害賠償を支払うことなどを言い渡した。とりわけ「教職員に対して起立斉唱及びピアノ伴奏を強制することは、憲法一九条により保障された『思想・良心の自由』に対する侵害である」と憲法判断を明記したのである。さらに、都教委の通達、校長の職務命令に対しても「『職務の公共性』という理由で公務員の基本的人権を制約することはできない」と厳しく批判している。
 都教委は9・21判決を不服として東京高裁に控訴した。控訴審は、〇八年十月に三回目の審理が行われ、重要な局面を迎えている。すでに東京地裁で五つの処分取消訴訟が結審しており、〇九年三月の卒業式の最中に判決が出る予定だ。
 集会は、10・23通達の反動性をあらためて批判すると同時に9・21判決の意義を確認し、諸裁判、人事委員会闘争の勝利にむけて10・23通達関連裁判訴訟団が一致団結し、主催者となって実現した。石原都知事を社会的に包囲していく力強い前進を打ち固めたのである。

運動を市民の
中に拡大しよう

 集会は、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会・事務局長の近藤 徹さんが基調報告し、予防訴訟をはじめ裁判闘争の重要性を強調し、「私たちは、教職員はもとより広範な市民の中に運動を広げ各裁判勝利をかちとるために奮闘していこう」と呼びかけた。
 堀尾輝久さん(東大名誉教授、元日本教育学会会長)が「人権としての教育と教育の自由」というテーマで記念講演を行った。堀尾さんは、@戦後改革とはA憲法と教育B教育基本法改定の意味C憲法原理と教育の自由などについて問題提起した。さらに、「閉じた学校から開かれた学校」にむけて教育分野へのILO、ユネスコの「勧告」、子どもの権利条約に基づいて地域住民の参加、教育行政の条件整備が必要であることを強調した。
 次に、壇上には主催者である十六団体が登壇し、開場参加者とともに今後の取り組み、支援共闘をさらに強化していくことを確認した。
 続いて、「憲法寄席」創作集団による朗読劇「日の丸あげて」、弁護団による今後の裁判闘争にむけた決意表明。最後に集会アピールを採択した。  (Y)


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