| イ・ミョンバク政府の不動産政策 かけはし2008.11.10号 |
住宅準備費用の重荷
労働者たちの支出において大きな比重を占めているのが金融の費用だ。そしてその中での相当部分は住宅準備のためのものだ。9月19日から25日までの間、就業・経歴ポータル・スカウトがサラリーマン936人を対象にアンケート調査を実施した。順に見ると投資費用(貯蓄、株式、不動産)が24%、貸出利子(23・1%)、各種生活費(19・2%)、保険料(18・3%)、各種ローン(4・5%)などだ。
実際に最近になってウォン・ドル為替レートの激変(ウォン安)の中、固定金利型の住宅担保貸出金利が年10%に肉薄するなど、急騰の勢いを示し、困難さが加重されている。9月の最後の週、新韓銀行の3年満期固定金利型の住宅担保貸出金利は年8・26〜9・86%で前週初めに比べて0・47%急騰した。ウリ銀行は年8・43〜9・53%で同比0・40%上昇し、国民銀行も年8・11〜9・61%で0・25%上昇、企業銀行は0・24%上昇の7・95〜9・41%、外換(外国為替)銀行は0・21%上昇の年8・39〜9・09%を記録した。このように労働者たちは住宅を用意する費用という重い荷物に苦しめられている。
天井知らずの住宅価格
不動産価格は、この6年間暴騰を続けてきた。平凡な労働者たちは新築マンションや首都圏のマンションは手を触れたくとも、触れられない状況だ。今、ソウルのそれなりのマンションの分譲価格は坪当たり3千万ウォンから4千万ウォンぐらいする。タワーフェリスは70億〜80億ウォンを超え漢江の高級ヴィラなどは180億ウォンに達する。
住宅価格がこのように恐ろしいまでに急騰するものだから平凡な労働者たちや小市民たちは住宅の準備が一層困難になる。例えばニュータウン地域の場合にも再建築マンションの価格がもともと高くて、元々の住民たちでさえ追加的な貸出を受けなければならなかったり、あるいは初めから居住をあきらめることとなり、またその地域で伝貰(チョンセ)や月貰(ウォルセ、注)で暮らしていた人々は高くなった伝貰、月貰の価格に耐えられず追い出されている。
全国を吹き荒れた不動産の熱風は、その後遺症として未分譲マンションの大乱を予告している。大韓建設協会によれば全国の未分譲住宅は6月末で14万7230戸であり、非公式には25万戸と推定される、という。このうち首都圏は1万8922戸で、残りは地方の未分譲で12万8308戸に達する。すなわち建設各社の推計によれば約50兆ウォンのカネがこれらの未分譲住宅に縛られているというのだが、万一この未分譲の事態が続けば住宅事業をしている中小の建設各社はゾロゾロと倒産することになる。実際に今年の8月末を基準として251社が倒産した。
建設資本家たちの嘆き
未分譲住宅があふれかえっているにもかかわらず、イ・ミョンバク政府は8・21対策を提起しながら、再建築の規制を緩和した。また、後・分譲制を事実上、廃止した。後・分譲制というのは、家を買う人から前もって受け取ったカネでマンションを分譲する先・分譲制とは違って、建物が80%以上、建てられた後に分譲するもので、供給者ではなく需要者中心の制度だと言えよう。これに対して供給者である建設資本は「後・分譲制では建設資本を確保するのが難しいので供給が減るだろう」として不満を提起してきた。一方、再建築組合員の地位譲渡を許可し、再建築の許認可期間も既存の3年から半分に減らし1年6カ月とした。これらの措置は建設資本の立場を大幅に受け入れたものだった。
だが建設資本の側は決してこれに満足してはいない。建設資本の側は「小型あるいは賃貸住宅の義務比率をなくさないならば収益性が減少せざるをえない、容積率を高めてこそ一般の分譲分が増加する」と主張している。容積率というのは土地の総面積に対して建物各階の面積を合わせた延べ面積が占める比率を意味するのだが、容積率が高くなるということは高層高価の大型マンションを建てるということを言う。
こうなれば住宅価格は一層あがり、庶民たちは都心の外へと追いやられる。また小型や賃貸率さえなくすということは再建築において中・大型だけが立ち並び、カネのない「原」住民たちは暮らしていたところから追い出されるという結果を生む。そして問題はここにとどまらない。建設資本の側は貸出規制を緩和すべきだと主張し、または甚だしくは無住宅期間が長く、かつ扶養家族の多い人に優先順位を与える請約加点制度も廃止しよう、と主張する。
ところで貸出規制を緩めれば投機資本が群がってきて、家のない人々はなおのこと困難になるだろうし、不動産バブルの崩壊による危機へと結びつきかねない。現在のGDP対不動産時価総額は5・4倍で日本のバブル崩壊直前の5・9倍にほぼ迫っている状況だ。万一、貸出規制を緩めれば不動産投機の過熱と大規模な不実へとつながる可能性を排除できない。
銀行圏の担保貸出規模が230兆に達している状況にあって、バブルがはじければ家の価格は下落し、これは担保価値の下落を意味することとなる。当然のこととして貸出償還のための売り物が殺到し、これは住宅価格の追加的な急落へと結びつき得るし、結局は米国のサブプライム・モーゲイジの事態にも似た状況が到来しかねない。こうしてより多くの利潤のための資本のどん欲さは社会の構成員全体を脅かす危機を作っているのだ。
総合不動産税の緩和
公共部門を何もかも売り渡す私有化政策、「ミチン(歪み切った)教育」と表現されている学校市場化政策とともに、イ・ミョンバク政府は今ひとたび自らの階級的本質を余すところなく確認させてくれた。ほかならぬ9月23日に発表された総不税(総合不動産税)の緩和方案が、それだ。
周知のように総不税はノ・ムヒョン政府が作ったもので、地方自治体が賦課する財産税のほかに一定基準を超過する土地や住宅の所有者に対して国税庁が別途、累進税率を適用して国税を賦課する制度だ。
住宅は世帯別住宅分の公示価格の6億ウォン超過者に、土地は世帯別合算の土地分の公示価格の3億ウォン超過者、そして人別別途合算の土地分の公示価格の40億ウォン(サービス業などは200億ウォン)の超過者に賦課される。2008年初めを基準として総不税を払っている世帯は28万6354で全世帯数の2・1%に該当する。ひとことで言えば総不税は大韓民国の上位2%の資産階級が出している税金だったのだ。
総不税を無力化するための悪煽動は、朝・中・東(「朝鮮日報」、「中央日報」、「東亜日報」の右派メディアを指す)とハンナラ党がグルになってずっと続けてきた。そして悪煽動の白眉は「総不税=税金爆弾」という奇怪な論理だった。大統領の広報企画官パク・ヒョンジュクは「総不税は懲罰的性格が強く、過度な税金爆弾の性格があり、緩和すべき」だと主張した。そして自由先進党も既得権勢力の政党としての役割を忠実に果たした。自由先進党の代弁人は「長期的に総不税を財産制の還元方式によって廃止することが望ましい」と語り、イ・フェチャン総裁は「正常でない税金爆弾、税制は当然にも廃止されて然るべきだ」と語った。そして遂に総不税を事実上、無力化させる方案が提出された。
9月23日、政府が発表した方案によれば、総不税の納付基準を6億から9億ウォンへと上向調整し、税負担の上限ラインも増やす、と発表した。これによれば28万6354世帯のうち半分を超える18万3159世帯が授恵を被ることになり、ソウルでは13万3484世帯となる。ところでソウルでも江南区(3万1556世帯)、端草区(2万6391世帯)、松坡区(2万4716世帯)だけで8万2663世帯となる。それこそ江南の土地長者政権の本質を見せつけるものであり、2%のための資本家政権のプレゼント以外の何物でもない。
税制再編案のプレゼント
総不税改編方案の発表以前に資産階級のためのもう1つのプレゼントがあったのだが、それはまさに9月1日に発表された税制改編案だ。企画財政部(省)の発表通りであれば、今後の執権期間中の年度別減税額をすべて合算すると75兆ウォンに達するという。税金が減ると言うのだから、よさそうなものだがその実状・恵沢は国民の大多数である労働者・庶民たちとはおよそ程遠い、資本家や持てる者たちのためのものだ。例えば、法人税率を引き下げ、総合所得税も引き下げ、甚だしきに至っては勤労所得税の場合、減税の恵沢の27・6%が0・7%の高所得層に還元され、結局のところ減税の恵沢の78%は所得上位10%に該当されるばかりだ。
税制改編案で最も露骨な内容の中の1つが不動産の分野だ。今回の案は譲渡所得税の非課税上限ラインを6億ウォンから9億ウォンに引き上げた。ところで全国で6億ウォンを超えるマンションが群がっている所はソウル・江南だ。それだけか? 1世帯1住宅長期保有特別控除の場合も、9億ウォンまでは3年間の保有期間さえ超せば譲渡税が免除されることになるが、このような超高価住宅も江南が最も多い。
そのうえ総合不動税も課標適用率を昨年の水準で凍結し、税負担の上限ラインを縮小させたが、結局これは公示地価6億ウォン以上の高価格住宅の所有者に恵沢となる。結局、税制改編案も江南の土地長者たちのためのものだ。
今回の税制改編案が持てる者たちのためのものであることを彼らは隠してはいない。カン・マンス企画財政部長官は「今回の税制改編案こそは新しい政府が発足してからの金持ちのための最初の政策」だと語った。そうしつつ政府は「わが国の租税負担率が高く、成長率が減じて二極化がひどくなった」と主張する。だが韓国で各企業が実際に出している租税負担率が決して高くはなく、法人制、相続税などを減免される資本家たちはいても、それによって投資が活性化して雇用が増えたり、富の社会的還元がなされた例はほとんど見つけがたいというのが冷厳な現実だ。
これは結局、資本家たちの腹だけを肥やしてやり、そうでなくとも最小限の形式的な水準にも及ばない社会福祉予算のための税金さえ不足するに至らしめているのだ。
攻撃は続く……そして
今、韓国経済は極めて深刻な危機を目前にしている。株価の暴落、外貨不足の事態がどこに向かうのか、行方を知らずまごついている。物価は上がり、働き口はなく、おまけに食材さえ危機だ。
ところでイ・ミョンバク政府の経済担当だと称するカン・マンス企画財政部長官が、このような民生の危機について言った言葉が見事と言うべきか、ぶざまと言うべきか。彼は国会の民生特別委員会で「二極化は時代のトレンド」だと語った。持てるものとてなしに生まれたことを怨んだりせずに、じっと口をつぐんでいる、という発言だ。然り! 彼らにとって大韓民国の国民は、せいぜい上位2%〜10%の資産階級だけなのだ。
残りは資産階級のために存在している消耗品として認識されているのだ。
すぐにも税制再編と総合不動産税の改編によって地方財政や社会福祉予算が大幅削減される見通しだ。総不税の収入は3分の2が減るものと見られる。結局、絶対貧困層はもちろん、労働貧困、社会的弱者に対する攻撃として現れ、社会的貧困は一層拡大するだろう。
住宅が居住空間ではなく投機の対象となった世の中、家を2軒以上、持った者たちがあまりにも多くて住宅が不足しているという世の中、家を建ててもその価格が余りにも高くて、労働者民衆はカネがなくて到底、住むことのできない世の中、このような「倒錯した世の中」にいつまで耐えなければならないのか?
今こそ労働者階級の政党が求められる時でないわけがない!(「労働者の力」第150号、08年10月9日付、ク・ナムス/会員)
注 伝貰(チョンセ)。一定の金額を払って他人の不動産を一定期間、借りる関係。契約期間が終われば支払った金額は戻される。その間、貸し主は預かったカネを運用して利益を得る。月貰(ウォルセ)、借家の月払い家賃。
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