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G8サミットを問う連絡会・国際調整会議         かけはし2008.3.24号

アジアの社会運動との共同で
新自由主義に抵抗する行動を



 三月八日〜九日、G8サミットを問う連絡会「国際調整会議」ワーキンググループ(連絡先・日本消費者連盟、ATTAC Japan〈首都圏〉)は、東京・小岩で七月の北海道洞爺湖サミットおよび三月からの閣僚会議に様々な疑問をいだく個人、団体でネットワークを広げながら諸イベント・対抗アクションを支援していくスタートとしてアジアの仲間と共に会議を開催した。今後も継続して、「軍事、貧困、貿易・金融・公共サービス・債務・気候変動、農業・食料、ジェンダー」などの問題を取り上げていく予定だ。

洞爺湖サミット
って何だろう

 会議は、「洞爺湖サミットって何だろう? 私たちができることは何か?」のタイトルを掲げ、五つのセッションを設定し活発に論議と交流を深めた。
 セッション〈1〉「G8サミットに取り組む国内のネットワークから」
 小倉利丸さん(連絡会)は、「G8で日本政府は何を打ち出そうとしているのか」をテーマに三月の環境会議を皮切りに全国十ヶ所で開発・労働・司法・アフリカ開発会議・エネルギー・財務・科学技術・外務の閣僚会合が行われることを紹介し、その性格と目的などを解説した。とくに日本が地球温暖化・環境問題の議題を通してイニシアチブをとり、環境ビジネスの権益拡大や経済的影響力を強めていくねらいを持っていると分析した。
 下澤嶽さん(JANIC事務局長)は、「G8サミットNGOフォーラム」の取り組み経過や、環境NGO、貧困問題、人権問題などを取り組む百十四団体が参加していることを報告。さらにフォーラムの各国政府と機構への提言活動や「(七夕の)タンザク・キャンペーン」(四月〜七月)、「オルタナティブサミット」(七月六日〜八日)の取り組みを紹介した。
 山浦康明さん(日本消費者連盟副代表)は、「G8サミットを問う連絡会」(三十二団体、百五十人が賛同)の結成経緯と目的を報告し、「G8は企業活動を優先し、環境破壊を黙認してきた。G8では地球温暖化を主要議題としているが、原子力発電の積極的推進、CO2排出権取引などビジネスを前提としている。さらに巨大アグリビジネスを優遇し、輸入産物に対する関税の撤廃を促したことから、世界中の小規模農家の生活基盤を破壊した。安全基準の引き下げにより遺伝子組み換え作物(今後、動物までも)を普及させてきた」と批判した。
 越田清和さん(G8サミット市民フォーラム北海道)」は、「北海道の市民はG8サミットで何を訴えるか」をテーマに報告し、「フォーラムは『G8は歓迎しない』というスタンスで諸個人・グループが集まった。六月十四日、十五日に『フェアートレードフェスティバル』、七月一日からは基地、女性、開発、先住民、森林問題に関する市民サミットを行う。七月五日に札幌でピースウオーク。六日〜八日がオルタナティブサミットを開く」と述べ、参加を呼びかけた。
 木下ちがやさん(「サミット人権監視弁護士ネットワーク」事務局)は、外国人を入国の際に監視するUSビジットシステムを批判、サミット警備と称して権力の人権侵害が繰り返される危険性があることを提起し、監視と警戒を強めようと訴える。
 また、三月六日、会議に参加する予定だった韓国の友人(アジア女性委員会)が成田で入国を拒否されていることが報告された。〈韓国の友人は、三月八日に入国を認められたが、当局は三時間におよぶ不当な拘留と尋問について、なんら説明しないままだ。〉

アジアからの
もう一つの声

 セッション〈2〉は、「G8サミットーーもう一つの声」というテーマで次々と問題提起が行われた。
 インドラ・ルビスさん(ビア・カンペシーナ アジア太平洋地域担当、インドネシア)は、「なぜ世界の農民はG8を問題にするのか」という観点から自由貿易体制に組み込まれている農業生産を批判、さらにアグリビジネス、多国籍企業による農業独占と破壊を許さない新たな戦略を構築していこうと呼びかける。
 マルー・タビオスさん(ジュビリーサウス、フィリピン)は、諸大国の利益のための金融政策によって途上国の債務が不当に膨らんできたことを暴き出す。さらにG8の「地球温暖化」対策の欺まん性に焦点をあて、火力や水力発電所建設を通した環境破壊、農民たちへの暴力的な立ち退きと土地収奪を行い貧困を作りだしてきたことを批判し、途上国債務の帳消しが必要だと強調した。
 メイ・ウオンさん(グローバリゼーションモニター、香港)は、中国の外資導入と新自由主義政策、日本企業のパナソニック電池工場の健康被害、環境汚染などの悪行などを批判。さらに中国が海外進出し、現地で人権侵害、資源争奪を押し進めていることを報告した。
 イ・チャングンさん(民主労総、韓国)は、「G8が進める労働の不安定化と対抗する労働運動」をテーマにWTOとFTAを批判。とりわけ日韓FTA交渉の再開の危険性を強調し、日韓のスクラムではね返していこうとアピールした。
 アイリーン・アバノさん(マイグラント・フォーラム・イン・アジア、フィリピン)は、G8が各国に構造調整プログラムを押しつけ、アジア移住労働者の人権を否定してきたことを批判した。また、労働市場の外国人労働者の受け入れ緩和問題とセットで労働条件悪化・人権否定について取り上げるべきだと訴える。
 マリールー・マリグさん(フォーカス・オンザ・グローバル・サウス、フィリピン)は、G8サミットのメインテーマが「地球の温暖化」対策だと宣伝をしているが、、それは企業利益優先、市場原理と新自由主義政策を前提としており、これでは根本的な解決システムを作り出すことはできないと批判した。
 セッション〈3〉では、反軍事、反貧困、経済のグローバル化、環境、農業、ジェンダーなどをテーマにしてワークショップに移り、最後に今後の連携や具体的な取り組みにむけた戦略会議を行った。
 九日のセッション〈5〉では、ウォールデン・ベローさん(フォーカス・オン・ザ・グローバルサウスス代表)が「G8とは何か│その批判的検証」と題して問題提起し(発言要旨別掲)、参加者全体で論議した。最後に、二日にわたる論議のポイントをピックアップし、戦略会議として集約した。     (Y)


ウォールデン・ベローさんの報告
「人間の顔をしたグローバル化」を超えた民衆の対抗モデルを


 今年七月に行われる主要国首脳会議=G8サミットは、気候変動問題にとって重要な会議として位置づけられている。昨年十二月のバリ会議で日本政府はきわめて不誠実な対応をとった。私はG8サミットにおいて日本政府が気候変動への取り組みの妨害となることを危惧している。

サミットの歴史
をふりかえる

 ここでサミットの歴史を振り返ってみよう。
 一九七〇年代半ば、当時欧米諸国で顕著になっていた景気後退に対処するために先進国首脳会議=サミットが始まった。その第一の目的は世界経済のマクロ的管理機構を作ろうとすることであり、第二の目的は当時、発展途上国が発言力を持ってきたことに対抗しようとするものだった。今日のG8そのものが、発展途上国からの挑戦に対抗する目的を当初から持っていた。
 サミットは西側諸国における利害調整機構としては失敗した。各国の間で経済的矛盾が大きく、米・日・欧の間の調整はできなかったのである。しかし「南」の諸国に対抗する機能という面を見れば、それは成功した。
 一九八〇年代には、国際金融機関が債務を通じて「南」の諸国を搾り上げる道具となった。IMF(国際通貨基金)や世界銀行が強制する構造調整政策の背後にいたのもG8である。
 一九九〇年代、G8は企業中心のグローバル化の道具となった。G8はWTO(世界貿易機関)の設立にも大きな役割を果たした。G8はアジア通貨危機を作りだしたIMFの金融政策を支持するバックボーンだった。
 一九九〇年代末にG8は、発展途上国の要求を聞き入れるようなポーズをとらざるをえなくなった。それはエイズ、債務、気候変動への対策である。こうしたポーズに対して国際市民社会の対応は当初、傍観的なものだった。ジュビリー運動(ジュビリー・サウスではなく)は、一九九九年にドイツのケルンで行われたサミットの中でG8を利用できると考えた。しかし二十一世紀には、市民社会の多くはG8は発展途上国に先進諸国の利害を押しつける道具であると考えるようになった。
 二〇〇一年のジェノバサミットにおいて、世界の市民団体はG8に反対して大きなデモを行った。ジェノバG8に対抗するフォーラムの主張は、新自由主義的な企業主導のグローバリゼーションに反対する、というものだった。ジェノバの対抗アクションは、その後の運動のモデルとなった。それは大規模な市民の非暴力的抵抗のモデルを作った。

グレンイーグル
スの落とし穴

 G8へのアクションの次の転機となったのはイギリス・スコットランドのグレンイーグルスで行われた二〇〇五年のG8である。二〇〇五年サミットでは、ブレア英首相が市民社会を政府の下に取り込もうとした。「人間の顔をしたグローバリゼーション」がその目標になった。
 ブレアのテーマは、アフリカの貧困に取り組み、債務の部分的帳消し、気候変動、エイズなどの問題に対処することだった。それはイラクにおける戦争を目立たなくさせるという意図を持っていた。そういう形で、「人間の顔をしたグローバリゼーション」という言葉でイギリスの大きなNGOを取り込むことに成功した。「社会民主主義的グローバリゼーション」の押し出しで、ボノなどの人気ある芸能人も取り込まれた。グレンイーグルスサミットは、ブレア政権とNGOとエンターテイナーの合作だった。
 それから二年、アフリカの貧困、債務、気候変動への取り組みはなに一つ約束されていない。二〇〇六年のペテルスブルクG8では本格的な取り組みはなかった。
 二〇〇七年、旧東独のロストック近くのハイリゲンダムで行われたG8の重要な特徴は、ドイツのNGOがイギリスのやり方を繰り返さなかったことだ。グレンイーグルスでの約束が反故にされたことで、ロストックの対抗アクションは、より強い主張を掲げた。「G8は出ていけ」という主張が公然と語られた。市民的抵抗への弾圧が激しく、戦闘的抵抗が行動の中心テーマとなった。様々なデモ、直接的抵抗も行われた。G8会議阻止を掲げたサミット会場に向けたデモも取り組まれた。
 ロストックではジェノバでのアクションが復活した。グレンイーグルスの時のようにNGOがG8に利用されるのではなく、明確な対抗行動が繰り広げられたのである。
 日本の市民社会は、グレンイーグルスの道を行くのか、ジェノバやロストックの道を行くのかが問われている。

否定的役割を
果たす日本政府

 昨年のドイツG8でも気候変動が最大の問題となったが、アメリカをなだめるためにきわめて薄められた内容となった。G8の政策の中心は気候変動の問題とエネルギーや経済成長を切り離すというところにある。彼らは気候変動の問題に取り組みながら、エネルギー消費の拡大や経済成長を継続する、というのだ。
 昨年のハイリゲンダム宣言は、気候変動問題に取り組みながら経済成長と消費水準の維持が可能だとしている。原発の建設、温室効果ガスの排出削減をもたらす科学技術、危険物の地下埋設、大規模ダムなどでそれが可能となるというのだ。彼らは、経済成長、エネルギー消費の拡大については妥協しなかった。
 昨年十二月のバリ会議で悪い役割を果たした政府が三つあった。アメリカ、カナダ、そして日本だ。日本は温室効果ガス削減の数値目標設定に抵抗した。日本はセクター別アプローチ、自主的削減目標という方法をとった。日本では、産業界においては京都議定書のような数値目標の設定は良くないという声が強い。産業界が日本の気候変動に関する政策を支配するようになっている。二〇〇九年にコペンハーゲンでの京都議定書枠組み見直しまでの期間に、強力な運動が必要である。今回のG8でこうした運動の流れが逆転させられることに強い危機感を持つべきだ。
 今年のサミットは、毎年あるサミットの一つではなく決定的に重要な位置を持っている。あらゆる努力が必要だ。
質問に答えて

 気候変動の阻止と成長の両立という、成長・消費を軸にした経済的モデルは持続可能ではない。彼らは技術的解決が可能だという。しかしその技術的手段が問題なのだ。四十年先に可能となる手段を待つことなどできない。この一年という形で問題が迫っている。
 原子力利用の拡大という方策は、原子力産業にとっての勝利だろう。彼らは二〇一三年から二〇三〇年まで毎年二十基ずつ原発を増やしていくという。それにともなう事故の危険など完全に無視されている。日本はこの点で多くの教訓や経験を持っている。
 そうしたことを無視した「技術的解決」の誤りを突き出していこう。消費を現在のレベルで拡大していくかぎり、問題は全く解決しない。バイオエネルギーの利用拡大によってますます多くの土地が奪われれば、未来の危機ではなくますます現在の危機が浮かび上がる。この生産モデルと消費モデル、資本主義的生産モデルを続けていくかぎり未来はない。(報告要旨)




中国政府はチベットでの弾圧・虐殺を直ちにやめろ

民衆の大規模な
抗議のたたかい

 一九五九年に中国のチベット支配に対してチベット人民が蜂起した記念日にあたる三月十日以後、中国チベット自治区のラサで、チベット人住民による中国政府と共産党の支配に対する大規模な抗議行動が展開され、十四日には暴動にまで拡大した。派出所、政府系機関のビル、銀行や学校、病院、中国人の経営する商店などが放火、破壊され、街頭での警官隊や軍との衝突も始まった。抗議行動はチベット自治区だけではなく甘粛省や四川省、青海省にまで広がっている。闘いの規模は天安門事件のあった一九八九年にチベットで起きた暴動以来の規模に達した。その時、戒厳令を敷いて弾圧したのは当時チベット自治区の党委員会書記であった現国家主席の胡錦濤だった。
 中国当局の情報統制によりいまだ詳細な情報は不明であるが、軍・警察が戦車、装甲車を動員して暴動の弾圧に乗り出し、在インドのチベット亡命政府の発表によれば軍と警察の発砲などにより八十人が殺されたとしている。他方、中国の新華社通信は「暴動」によって十人の市民が死亡したと発表している。

民族的抑圧と
資本による搾取

 中国政府は、今回のチベット人民の抗議闘争の拡大が「ダライ・ラマ14世派の策動によるもの」と非難する一方、厳重な報道管制を強化し、国際的な調査団の受け入れをも拒否した。外国人観光客や中国人旅行者のチベットへの入境も禁じられ、チベットから退去する外国人のビデオ映像は消去され、カメラも没収されているという。中国当局はチベットの「反動分子」との「戦争」をも訴えている。これに対してダライ・ラマは中国政府によるチベットでの弾圧の拡大を「文化的虐殺」と非難している。
 今回の「暴動事件」の根本的原因は、中国政府と共産党によるチベット人民への自由と民主主義的権利の抑圧にある。軍事的・警察的弾圧、宗教的・文化的自由の圧殺、漢人資本による低賃金労働者としてのチベット人への超搾取と差別に対する批判と怒りが、中国共産党一党独裁支配への闘いとして一挙に噴出したのである。したがって問題は、民族的・文化的・宗教的なものであると同時に社会的なものである。
 いま、中国政府と中国共産党は、急速度の経済成長による矛盾の噴出と格差の拡大への不満・批判が大衆的な規模で広がることを何よりも恐れている。北京五輪の成功を支配の安定化のための至上命題とする中国政府と共産党の官僚は、労働者のストライキ闘争を抑え込み、新彊ウイグル自治区やチベット自治区での自由と権利を求める闘いを事前に弾圧するために躍起となっている。その一方で、北京五輪の成功のためにも国際的に問題が広がり、人権圧殺大国としての姿が前面化していくことを回避しなければならない。

自決権を擁護し
民主主義と人権を

 われわれはチベット民族の自決権を擁護し、中国政府と共産党による少数民族の権利への圧殺、人権破壊に抗議し、チベット人民の闘いに対する武力弾圧を糾弾する。中国政府は弾圧をやめ、すべての情報を開示し、国際的調査団を受け入れよ。
 全世界で亡命チベット人を先頭にした中国政府への抗議の闘いが広がっている。チベット人民の自治と民主主義的・民族的権利のための運動に連帯しよう。
    (3月16日、純)


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