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〈ハンギョレ21〉緊急世論調査             かけはし2010.6.21号

本物の戦争はないでしょう? 49・1%
「地方選をねらった北風煽り」52・9%

南北間の緊張の高まりに不安

 会社員ユン・ソンミン氏(41、仮名)は不安だ。「天安艦」の事態以降、南北間に緊張が高まるとともに、毎日の暮らしがけだるく重いものになった。20歳の頃、若い年で韓国(朝鮮)戦争を経験したアボジ(父)と最近、口論となった。アボジは銀行に預けてあるカネをすべて下ろして現金で保管しろ、と指示した。ラーメンと米を備蓄しておく、という線で妥協した。
 戦争勃発の可能性に対する心配は同じようなものだった。だがその診断は異なった。ユン氏はイ・ミョンバク大統領とハンナラ党が6月2日の地方選挙をねらって強硬一辺倒で「北風煽り」をしていると見ている反面、彼のアボジはキム・デジュン、ノ・ムヒョン政府のポジュギ(見返りを求めない援助)が核兵器や魚雷となって戻ってきたというハンナラ党の主張を鉄石のように固く信じていた。

戦争を煽りたてる保守メディア

 ユン氏が海軍士官学校の同期たちと会った場は、腕力ざたが繰り広げられんばかりだった。北韓(北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国)の潜水艦の浸透と魚雷攻撃によって天安艦が沈没したという軍の発表以降も、釈然としない点が多い。明白かつ鮮明な証拠がなく、国民が軍の発表を全的に信頼していないようだと語った後、「士官学校の同じ釜の飯を食った奴が、なんでそんなこと言うのか。他の国もみんな信じているのに、そもそもどの国の国民なのか」というののしりを受けなければならなかった。合理的な疑いは居場所がなかった。ユン氏は、それまでは見えてなかった跳び越えられない壁を切実に感じた。
 ユン氏は「花が散ってからこそ、ようやくそこは春だったということを悟った、という言葉に共感する。平和も、民主主義も一瞬にして壊れかねないガラスの器のようなものだった」と語った。ユン氏だけではない。そうこうするうちに戦争が起きるのではないかという心配は5月24日、対北強硬対応を発表したイ・ミョンバク大統領の対国民談話や、翌日の「全面戦争を含む強硬措置によって対処していく」という北側の正面からの対応以降、広範に広がり始めた。
 南北間で行き交っている言葉について見れば、事態はすでに戦争に突入した。南北将軍級会談の北側の団長は「北に対する心理戦の手段(20キロメートル先まで届くという対北宣伝用の巨大拡声器などを指す)を直接、照準撃破射撃する」と脅した。キム・テヨン国防長官は「交戦規則上、比例性の原則に従って対応する」と語った。対北宣伝ビラの撒布や拡声器によって我々の安保がしっかりしたものになるのかは分かりようがないが、対北心理戦の開始、発砲―真っ向からの対応の手順をコントロールできない状況に広がりかねない。それなのに有力日刊紙を自称している〈東亜日報〉は「開城工団(工業団地)の人質の事態」を仮定し、特戦車の投入や韓米ミサイル砲撃計画などを伝えつつ、戦争を煽りたてている。
 〈ハンギョレ21〉は天安艦の事態以降、市民が感じている戦争への不安感がどの程度なのか、戦争も辞さずという論者たちの主張にどのぐらい共感しているのか、1994年6月の北核の事態以降、緊張感が最高潮に達した南北関係をどのようにほどいていかなければならないのかに関して5月26日、緊張世論調査を実施した。韓国社会世論研究所(KSOI)に依頼した今回の調査は、全国の19歳以上の成人男女700人を対象に、電話・面接方式で行った。誤差の範囲は±3・7%だ。
 結果を要約すると、応答者の半分ほどが戦争勃発の不安感を持っていた。大部分は、戦争は避けなければならないし、対話の努力を続けなければならない、との意見を持っていることが明らかになった。戦争辞さず論者たちが主張しているように、天安艦沈没事件について軍事的やり方によって報復すべきだとか、北韓とは対話が不可能なので戦争を甘受しなければならないとの意見は極めて少数にすぎなかった。
 まず、「天安艦沈没事件について、政府が対北強硬措置をうち出し、北韓もこれに真っ向対応している状況にあって、戦争が勃発するかも知れないとの不安感をどのぐらい感じているか」を聞いた。「不安ではない」(不安ではないほう30・1%、ほとんど不安ではない20・1%)は応答が50・2%で、「不安だ」(極めて不安8・6%、不安なほう40・5%)は応答49・1%とほとんど差異がなかった。戦争勃発の可能性に対する不安感は、直接に軍召集の対象となり得る20代、30代と戦争経験のある60代以上で相対的に高かった。地域別では大都市に暮らしている応答者の不安感が平均よりも低かったが唯一、大邱の応答者の不安答弁比率(53・1%)が高かった。性別では、不安だと感じた女性応答者の比率が54・7%である反面、男性応答者は43・2%だった。

「必要ならば全面戦も」6・9%


 今回の調査で表れた戦争勃発の可能性に対する不安感は、2006年10月の北韓による第1次核実験直後に南北間の緊張が高まっていた時点の似たような調査と比較しても、高いほうだ。当時は「今後5年以内に韓(朝鮮)半島で戦争が起こる可能性」を問う質問において、直接比較するのは難しいけれども、応答者の18%だけが戦争勃発の可能性があると答えた。「不安感」と「可能性」の差異を考慮したとしても、戦争勃発の可能性を高く考えれば考えるほど不安感が高まるものなので、今回の調査において表れた戦争に対する不安感は、以前の南北関係緊張の局面において表れていた不安感と、大きさや程度の面でレベルが異なるとの解釈が可能だ。
 実際に戦争が起きたら、どう対応するのか、を聞いた。「家族と共に避難」(32・1%)、「後方で戦闘兵力支援」(28・6%)、「生業に従事」(26%)の順だった。「軍に入隊して戦闘に乗り出す」という応答は6・9%だった。徴集対象となり得る20代(19歳含む)と30代も「入隊」の応答がそれぞれ18・4%、4・3%である反面、「避難」の応答は48・1%、39・7%だった。
 「戦争を覚悟してこそ平和を守ることができる」というハンナラ党支持者と、「戦争と平和のうちの1つを選べ」という民主党支持者の応答傾向に大きな差異はなかった。ハンナラ党を支持するという応答者の中で、軍に入隊して戦闘に乗り出すという応答者は平均よりも低い4・9%だった。天安艦の局面で声を張り上げているイ・フェチャン代表の自由先進党を支持するとした応答者の33・4%が「入隊」を選び、人目を引いた。
 戦争が起きたなら最も心配すべきことは「死ぬこと、財産、損失など自分と家族の被害」(44・9%)で、「国家崩壊」(30・4%)と「社会の混乱、理念の対立」(18・4%)が後に続いた。
 調査に応じた応答者たちに、わが政府が天安艦沈没事件にどう対応するのが望ましいかを聞いた。「南北対話を通した緊張緩和」(35・5%)と「国連を通じた外交的圧迫」(34・7%)がほぼ同数だった。「経済的制裁」は21・1%だった。
 「軍事的やり方によって報復しなければならない」とする応答者はわずか47人(6・7%)だった。最近〈京郷新聞〉などさまざまな世論調査で応答者の70%ほどが北韓の魚雷攻撃によって天安艦が沈没したと考えており、朝、中、東(朝鮮日報、中央日報、東亜日報の3大保守新聞を指す)など保守を自認している各有力紙が社説やコラムを通じて「局地戦の可能性まで念頭において対処しなければならない」(5月25日〈東亜日報〉)、「国民が3日間だけがまんしてくれれば北韓の核心的目標を砲撃し、戦争を勝利に導くことができる」(5月24日〈中央日報〉)とし、戦争も辞さず論を説いているにもかかわらず、圧倒的多数の市民は「非軍事的対応」を注目しているのだ。ハンナラ党支持の意思を明らかにした応答者は「外交的圧迫」(39・3%)を最も多く選び、民主党、民主労働党、進歩新党、国民参与党への支持の意思を明らかにした応答者の半分以上は「対話」を選んだ。
 今回の調査をすすめた韓国社会世論研究所のユン・ヒウン調査分析室長は「キム・デジュン、ノ・ムヒョン政府の10年を経験した国民の間に、対話を通じて南北関係を平和的に導いていくことを望む共通の考え方がハッキリと形成されているという点が確認された調査」であり、「天安艦問題に対しても、対話を通じた緊張緩和や外交的圧迫を望ましい対応の方案として選んだことを見ると、軍事的対峙局面に対する拒否感が大きいものと見ることができる」と分析した。

ハンナラ党支持者も「北風」36%

 このような流れは「戦争危機説」に関する他の質問でも確認できた。応答者の半分(49・9%)が「北韓は嫌だが、戦争は避けなければならない」と答え、「北韓は協力の対象なので、対話の努力を継続しなければならない」との意見が39・1%だった。「北韓とは対話が不可能なので戦争を甘受しなければならない」は9・5%にとどまった。
 それならば誰が、どんな目的で世論の流れに逆らって戦争を煽っているのか。今回調査の応答者の半分ほど(52・9%)は「天安艦の事態に対するわが政府の対応は地方選挙をねらった過度の北風煽りだとの主張」に共感を表した(極めて同意17・7%、同意するほう35・2%、全く同意しない12・7%)。民主党など野党支持の意思を明らかにした応答者の大部分が、「選挙用の北風」だと考えていることが明らかになった。ハンナラ党支持の応答者のうち35・8%ほどが、これに同意した。
 応答者10人中7人は「政府の強硬対応が株価の下落、為替レートへのマイナス影響など、経済的危機につながっている」との主張に共感した。「全く、そうだ」が18・8%、「まあ、そうだ」が50・2%だった。「そうではないほう」20・7%、「全く違う」が4・7%だった。
 これと関連して、イ・ミョンバク大統領をはじめとして政府・与党の人々が、よくよく目をこらして見るべき調査がある。韓国社会世論研究所は2006年10月の調査で、北韓の核実験以降、何が最も不安なのかを聞いた。戦争に対する恐怖ではなく、経済だった。応答者の36・7%は「海外資本の離脱、物価の上昇など経済的危機」を挙げた。「米国の北韓爆撃」(19・2%)、「南韓に対する北韓の核攻撃」(15・7%)、「日本など周辺国家の核武装競争」(14・9%)、「北韓問題をめぐる南韓内の葛藤の高まり」(11・8%)は優先順位では経済への不安よりも、ずっと下位だった。天安艦の局面を利用した緊張づくりが短期的には安保のイシューを強く印象づけることによってハンナラ党支持勢力の結集にプラスとなるかも知れないとしても、長期化して経済に否定的な影響を及ぼしたり、実際に生活を脅かすほどの安保問題として広がるならば、国民にソッポを向かれかねない。
 天安艦沈没に関するさまざまな疑惑がきれいさっぱり消え去って、真実が完全にその姿を現した後でこそ問われなければならない質問ではあるが、「天安艦沈没の原因が北韓の攻撃」だという前提について、わが軍が警戒・作戦などで失敗した責任(〈ハンギョレ21〉812号「責任者を逮捕せよ」の記事で、政府の発表が真実ならば、韓国海軍は交戦において致命的打撃を受けたのであり、その「敗北」の責任は政府責任者、軍責任者が負うべきだ、と主張した)をいかに問うべきか、意見を聞いた。「責任の所在を見極め、懲戒や警告など人事の措置にとどめるべきだ」という意見が52・5%で最も多かった。けれども「法に則って厳正に処罰すべきだ」(37・8%)という意見も多かった。支持党別では画然たる差異を示した。ハンナラ党支持応答者の62・2%が前者を、民主党、民主労働党、進歩新党、国民参与党などはほとんど同じ比率で後者を選んだ。

「戦争は決して起こしてはならない」74%


 最後に、戦争一般に関して聞いた。韓国戦争は60年前のことだが、西海(黄海)での軍事的衝突は1999年と2002年、そして昨年11月まで3度もあった。近来、最も大きな戦争だったイラク戦争やアフガン戦争にはわが軍が派遣されもし、決してよその国のことではない。
 応答者の73・7%が「戦争は決して起こしてはならない」と答えた。18・8%は「必要ならば最小限の局地戦は可能だ」と答えた。6・4%だけが「必要ならば全面戦も可能だ」と答えた。反戦の世論は、性別では女性が、年齢別では30、40代が、地域別では光州、全南が、職業別ではホワイトカラー層が、支持政党別では民主党など野党支持者が平均より10%ポイント近く高かった。(「ハンギョレ21」第813号、10年6月7日付、キム・ボヒョプ記者)


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