呼びかけ文
8・6ヒロシマ平和へのつどい2010
核と安保をけっとばせ
―― 爆心地からの想像力を ―― |
1945年7月16日午前5時半、米国ニューメキシコ州アラモゴードでプルトニウム爆弾が史上初めて炸裂。この核実験で、人類は恐るべきパンドラの箱を開けた。8月6日にウラン爆弾が広島に、8月9日にはプルトニウム爆弾が長崎に投下され、両市で一瞬のうちに数万人にのぼる市民が殺害され、年末までに20万人以上が死亡した。
戦後、この核兵器による無差別大量虐殺に対する強い怒りが、核兵器徹底批判をテーマとして人間性を深く追求する、様々な傑出した文学・芸術作品を産み出した。1954年「ビキニ被災」を機に始まった反原水爆運動は、被爆者救済運動を呼び起こし、以来、国籍・居住地を問わず全ての原爆被害者への援護・国家補償を闘い取る苦闘の運動として展開されてきた。この65年にわたる文化・社会運動の根幹は、米国政府が犯した「人道に対する罪」
の糾弾のみならず、日本国家の侵略戦争・戦後責任を厳しく問うという思想にある。深い人間性に基づいた、非人道的残虐行為への怒りと責任追及なくして、広島・長崎の反戦反核運動は存在しえない。
米露をはじめとする核保有国が、現在、核兵器の削減に向けて努力し始めたことは歓迎できる。しかし、その一方で、核抑止政策をあくまでも維持することによって、安保理5常任理事国による核の独占的保有を永久化し、原子力産業を推進させるという政策をとっている。日米安保体制とそれに基づく米軍基地、とくに、沖縄と岩国における基地の存続は、まさに米国政府のこうした核抑止政策に深く取り込まれていることを忘れてはならない。「核抑止政策」は、厳密には「政策」などではなく、ニュールンベルグ原則によって規定されている「平和に対する罪」なのである。「核抑止力」の実態は、核兵器を使って無差別大量虐殺=「人道に対する罪」を犯す計画を立て、且つその準備をしている犯罪行為に他ならない。
核兵器廃絶は、いわゆる「原子力平和利用」がある限り不可能である。核兵器製造に直結し、放射性廃棄物が劣化ウラン兵器として利用される原子力のエネルギー利用は早急に停止し、原子力産業に投資している多額の予算を、環境を破壊しない代替エネルギーの開発に振り向けることが必要である。全生態系が調和を保って存続していけるような自然環境を維持し守ることは、私たちの平和運動の重要な一部である。
このように私たちの前には、核をめぐる様々な問題が立ちはだかっている。戦争と核のない世界を私たちのものにするには、爆心地がこれまでに産み出してきた文化と思想をフルに活用し、且つ私たち独自の平和に向けての想像力を養い高め、それを現実化していかねばならない。
集会発言者と
テーマ
b「ヒロシマから」
木原省治さん(原発はごめんだヒロシマ市民の会代表、被爆二世)
b「ナガサキから」
舟越耿一さん(長崎ピースウィーク実行委員会代表、長崎大学教授)
b在外被爆者からのアピール
盆子原国彦さん(在ブラジル被爆者)
b「上関原発建設を止めよう!」
高島美登里さん(長島の自然を守る会代表)
b「米軍再編の見直しを!」
田村順玄さん(岩国市議)
b「辺野古に米軍新基地はつくらせない!」
安次富 浩さん(ヘリ基地反対協)
b「北東アジアの民衆の安全保障をどうつくりだすのか?」
湯浅一郎さん(ピースデポ代表)
b「オバマと菅政権下における危機と私たちの希望」
田中利幸
日時 8月5日(木)午後6時〜8時半
会場 広島市まちづくり市民交流プラザ 北棟研修室ABC(広島市中区袋町6―36)
参加費 1000円
日程
b8月4日(水)
ピースサイクル広島到着集会
b8月5日(木)
午後2時〜4時/フィールドワーク/平和公園・碑めぐり/午後1時〜4時半 フィールドワーク/原民喜の「夏の花」を歩く/午後1時〜5時半フィールドワーク/米軍岩国基地/錦帯橋
バスツアー/午後6時〜8時半8・6ヒロシマ平和へのつどい2010(市民交流プラザ)/午後9時〜11時全国交流会
b8月6日(金)
午前7時〜「市民によ る平和宣言」&「8・6新聞意見広告」配布/午前7時45分〜8時15分 グラウンド・ゼロのつどい(原爆ドーム前)/午前8時15分〜8時25分 ダイ・イン(原爆ドーム前)/午前8時30分〜9時 ノー・ニュークス・ウォーク(原爆ドーム前〜中国電力本店前)/午前9時〜11時 脱原発座り込み(中国電力本店前)/午前9時〜11時 フィールドワーク/広島城周辺 徒歩コース/午後1時〜4時半 フィールドワーク/宇品・比治山 自動車コース
賛同団体
ピースリンク広島・呉・岩国
広島YWCA
呉YWCA
第九条の会ヒロシマ
ピースサイクル広島ネットワーク
郵政労働者ユニオン中国地方本部
呼びかけ人
赤木弘子(広島YWCA)/足立修一(弁護士)/池田幸慶(9条があぶない!三原市民の集い)/石岡敬三(グローイングピース)/遠藤章人 (上関原発を考える広島20代の会)/大月純子 (わたしたちの性と生を語る会・広島代表)/大野明彦(郵政労働者ユニオン広島中央支部長)/岡田和樹 (上関原発を考える広島20代の会)/岡本珠代 (岡本非暴力平和研究所)/岡本三夫(広島修道大学名誉教授)/尾崎幸雄
(郵政ユニオン広島東支部長)/郭文鎬(在日韓国民主統一連合広島本部代表)/嘉指信雄(NO DOヒロシマ・プロジェクト代表)/上関英穂(郵政労働者ユニオン本部執行委員)/遠藤章人(上関原発を考える広島20代の会)/木原省治(原発はごめんだヒロシマ市民の会代表)/木村浩子(呉YWCA
We Love9条)/久野成章 (環境社会主義研究会)/久保まさかず(広島の歴史をみてまわる会)/久保田十一郎(日本キリスト教団西中国教区・広島西分区牧師会)/佐々木 孝(第九条の会ヒロシマ)/実国義範(平和を考える市民の会・三次)/柴田もゆる (教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま)/進藤狂介(被爆問題研究者、山口県)/田中繁行(呉ピースサイクル)/田中利幸(広島市立大学広島平和研究所教授)/竹本和友(ピースサイクル広島ネットワーク事務局長)/竹原陽子(広島花幻忌の会会員)/伊達 工(ピースサイクル全国ネットワーク共同代表)/谷本大岳(ピースサイクル広島ネットワーク副代表)/田村順玄(岩国市議、ピースリンク岩国世話人)/坪山和聖(日本軍「慰安婦」問題を考える会・福山)/戸村良人(広島YWCA
ヒロシマの今から過去を見て回る会)/豊永恵三郎(被爆者、韓国の原爆被害者を救援する市民の会広島支部長)/長尾真理子(呉YWCA
We Love9条)/永冨弥古(呉YWCA We Love9条)/
難波郁江(広島YWCA会長)/中峠由里(呉YWCA We Love9条)/西岡由紀夫(ピースリンク呉世話人)/新田秀樹(ピースリンク広島世話人)/橋本 真(九条の会・はつかいち)/馬場浩太(広島修道大学名誉教授)/日南田成志(イラク平和テレビ局in
Japan広島)/平岡 清(郵政労働者ユニオン中国地方本部委員長)/平岡典道(ピースリンク広島・呉・岩国)/平賀伸一(広高教組呉地区支部平和教育推進委員長)/藤井純(第九条の会ヒロシマ)/増見新次(郵政労働者ユニオン呉支部長)/三嶋研二(郵政労働者ユニオン中国地本副委員長)/溝田一成(脱原発へ!中国電力株主行動の会)/村田民雄(市民運動交流センター・ふくやま代表)/森 輝幸(郵政労働者ユニオン安芸府中支部長)/森瀧春子(核兵器廃絶をめざすヒロシマの会共同代表)/山田忠文(東北アジア情報センター運営委員)/山田禮正(人民の力)/湯浅一郎 (ピースリンク呉前世話人、当実行委員会前代表)/横原由紀夫 (広島県原水禁元事務局長)/吉井信夫 (ピースサイクル広島ネットワーク代表)/吉田正裕 (東北アジア情報センター運営委員)/渡田正弘 (グローバリゼーションを問う広島ネットワーク)/
(5月24日現在)
b主催:
8・6ヒロシマ平和へのつどい2010実行委員会(代表/田中利幸)
b事務局:
住所 広島市西区天満町13―1―709
電話 090―4740―4608 FAX 082―297―7145
Eメール
kunonaruaki@hotmail.com
HPhttp:
//www.d6.dion.ne.jp/~knaruaki/
郵便振替「8・6つどい」01320―6―7576
賛同カンパ:1口、1000円
VAWW│NETジャパンシンポジウム
「脱帝国/脱植民地」のフェミニズムをめざして
女性国際戦犯
法廷から10年
七月十日、東京・四谷の「幼きイエス(ニコラ・パレ)」で「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW―NETジャパン)は、「2010年VAWW―NETジャパン総会シンポジウム――『韓国併合』100年・女性国際戦犯法廷10周年――脱帝国/脱植民地のフェミニズムをめざして」を開催した。
冒頭、VAWW―NETジャパン共同代表の西野瑠美子さんは、シンポの趣旨を次のように説明した。
「韓国併合一〇〇年、女性国際戦犯法廷十年という節目の年にあたる今年、私たちは十二月に『法廷』後十年の運動を振り返るシンポジウムをアジア女性資料センターや、アクティブ・ミュージアム女たちの戦争と平和資料館(wam)などとともに企画している。私たちはそこで第一に、日本帝国主義の侵略・植民地支配の下で女性がどのような存在だったのか、いかにそこに組み込まれていったのかを問い、帝国のフェミニズム・植民地のフェミニズムを浮き彫りにする作業が必要だと感じている」。
「第二に、女性戦犯国際法廷がめざした『不正義を正す』=『正義の実現』という課題はいかに達成されたのか。日本の戦争犯罪を裁いた東京裁判ではアジアの女性への犯罪行為については裁かれなかった。東京裁判には植民地主義への問い直しはなかった。『慰安婦』の存在は書証としては提出されたものの、裁かれることはなかった。むしろ性暴力の被害者は、『家族の名誉』を汚したとして、隠される存在だった」。
「国際法学者の阿部浩己さんは、国際法は男性中心主義・国家中心主義・欧米中心主義的価値を再生産する、と警告している。女性国際戦犯法廷が目指したものは二十世紀の総括であり、二十一世紀につながる運動的課題の提出だった。それは分断され、破壊された人間の関係性からの再生だ。犯罪への不処罰を終息させ、被害者の破壊された身体的一体性を回復することが求められている」。
帝国と植民地の
フェミニズム
基調報告を「帝国のフェミニズム、植民地のフェミニズム」と題して宋連玉さん(青山学院大学教員/朝鮮ジェンダー史)が行った。
宋さんは植民地期に表象された日本と朝鮮のイメージが「日本=男、朝鮮=女」というそもそもジェンダー化されたものであったこと、さらに朝鮮の男は「強健な身体と遅れた知能」を持つ者としてイメージされ、朝鮮の女は「両班(朝鮮の支配層)の女」を軸に「不自由な生活、再婚の許されない、大家族の犠牲とされる女性」としてイメージされた存在だったことから切り出した。宋さんはまた、植民地法としての朝鮮民事令が一方で伝統的慣習を政治的に利用しつつ、「宗族社会」を解体し安定的な家制度を作ろうとするものだったが、それは一夫一婦制の下で「性差別」をよりシステム化する機能を果たした、と指摘した。
宋さんはまた、戦争下での朝鮮人一般女性は「産めよ増やせよ」政策から排除され、男性を代替する低廉・非熟練の労働力として動員されたこと、植民地期を通じて女性は絶え間のない分断と自己分裂を強制され、女子教育など「近代化」の担い手が解放後に「親日派」として歴史的に批判されるなどの事態に直面せざるをえなかったことなどを取り上げた。その一方で米国発のフェミニズムが、民族運動に関わった女性たちを過小評価する問題点をも指摘した。
朝鮮植民地支配
と総力戦遂行
続いて「大日本帝国の総力戦遂行とジェンダー・民族」と題して、河かおるさん(滋賀県立大学教員/朝鮮近代史)が報告した。
河さんは多くの日本の女性史研究が「一国史」的問題を抱えており、日本のアジア侵略との関係で「性」「階級」「民族」を統合的に把握する必要性があると強調した。河さんは戦争期の日本の朝鮮に対する労働政策・女性政策の詳細な分析の中から「植民地女性に対しては産む母たることを奨励しない一方で、労働力・『娼婦』として動員することとひきかえに、日本人女性に対しては産む母たることと、良き妻たることを奨励したという性的役割の植民地主義的構造がある。大日本帝国下の性・生殖に対する抑圧体制やジェンダー戦略は、こうした構造を視野に入れなくては語れない」と提起した。
最後に「『慰安婦』問題解決運動にみるフェミニズムとナショナリズム」と題して金富子さん(東京外国語大学教員/VAWW―NET運営委員)が報告した。
金さんは、日本のNHK番組改ざん事件、中学教科書からの「慰安婦」記述の後退、ジェンダーフリー・バッシングや『マンガ・嫌韓流』などの流れ、韓国での「ニューライト」の登場、ソウルの「戦争と女性人権博物館」建設に対する反対、「国民基金」解散前後の韓国挺対協への批判などを取り上げながら、性差別とレイシズムを結びつけた家父長制的ナショナリズムに立ち向かう必要性を提起した。
さらに金さんは、日本軍「慰安婦」問題について「女性抑圧」がその基本であり「加害国国民」や「被害民族」などの「ナショナルな枠組みが優先されるとすれば、フェミニズム的な連帯は遠のくだろう」(山下英愛『ナショナリズムの狭間から』)といった論議を批判した。金さんは「慰安婦」問題はDVやセクハラと同じ「普遍的なジェンダー暴力」ではなく、「日本国民によって従属化させられた文化や女性への暴力」であることを指摘し、「民族かジェンダーか」といった不毛な二項対立ではなく「人種的偏見とジェンダー差別」の双方を統一して捉える必要性を訴えた。
金さんは運動の目標として、植民地主義とレイシズムに基づくナショナルな枠組みを前提として「慰安婦」制度がかたち作られたのであり、このナショナルな枠組みを無化してしまうと日本国家の法的責任をも無化してしまうことになりかねない、と語った。また運動の方法としては国境を超えたフェミニズム的連帯の必要性を訴えつつ、「植民地主義の問題に取り組むことなくして戦後補償の問題には取り組めない」と締めくくった。(K)
|