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「安全・安心」を問う集会                かけはし2010.7.19号

「防犯」なら何でもアリか?

好きほうだいに
のさばる警察

 七月十日、「東京都安全・安心まちづくり条例」改悪に反対する共同声明は、渋谷・ 勤労福祉会館で「『「防犯』なら何でもアリか? 警察のさばるな!『安全安心』を問う7・10 集会」を行った。
 集会は主催者の基調報告から始まり、「昨年、東京都は『安全・安心まちづくり』条例の改悪を強行した。インターネットカフェ(マンガ喫茶)を『犯罪の温床』と決めつけ、利用者の身分証による本人確認、利用記録の三年間保存などを義務付けてネットカフェを警察の監視下に置くという。身分証を持たず、宿代わりに使ってきた人たちが路上へと追いやられてしまう」と糾弾した。
 そのうえでネットカフェ規制条例によるプライバシー侵害の危険性、警察の職権乱用の危険性が増すことを強調し、警察権力に対する監視強化、反対キャンペーンを継続してとりくんでいくことを訴えた。
 日本の治安政策などを研究する清水雅彦さん(札幌学院大学教授:憲法)は、「安全・安心まちづくりとは?」をテーマに講演した。(講演要旨別掲) 
 清水さんは、冒頭、警察権力が「体感治安の悪化」などという主観的なキーワードによって民衆に不安を煽り、監視社会・ 管理社会化を構築中であることを強調した。企業が物を売るために危機感を煽り、体臭や口臭の不安をつのらせる手口と同じである。耐震工事詐欺でもこの手法が使われた。警察と警察OBの天下り先であるセキュリティ産業が一体になって不安を煽れば煽るほど彼らに利益がもたらされるという構図である。

東京都総合防災訓
練に反対しよう!

 参加団体発言では、「いらない!APEC神奈川の会」が、「世界の支配者たちの、 自らの延命のための会議がAPECだ。さらに『テロ対策』の名のもとに人権侵害の監視強化、警備体制が敷かれている。自由貿易や監視強化・軍事ではなく、戦争も貧困もないアジア太平洋を作りだしていくために十一月十三日、十四日のAPEC会議開催中に反対デモ・集会を開催予定だ。ともに抗議のアピールを行っていこう」と呼びかけた。
 続いて外国人労働者の労働・人権防衛を取り組むAPFS労組、麻生邸リアリティツアー事件国家賠償請求訴訟団、野宿労働者のメッセージ紹介、豊島区生活産業プラザの室内監視カメラを撤去させた連帯労働者組合、福祉・反失業問題を取り組む 府中派遣村、野宿労働者排除反対・宮下公園のナイキ公園化反対運動を取り組んでいる渋谷のじれんから、この間の活動報告と連帯アピールが行われた。
 最後に主催者から東京都総合防災訓練が八月二十九日(日)に文京区で強行されることが報告された。
 さらに「防災訓練と称して民衆を『テロ対処』態勢、国民保護態勢に動員し、治安弾圧態勢強化に動員しようとしている。訓練は、東大、東洋大、小学校、公立私立中学校などの校内が訓練会場だ。児童生徒を動員することも目論んでいる。七月二十三日(金)/午後六時/東京芸術劇場五F中会議室で米軍・自衛隊参加の東京都防災総合訓練に反対する実行委員会の結成集会を行う。ともに反対の声を上げていこう」とアピールした。      (Y)

清水雅彦さんの講演要旨
不安感をあおり権限の拡大をめざす警察


あいまいな「体
感治安悪化」

 警察や政府が言う「治安の悪化」とは「刑法犯認知件数の増加と検挙率の低下」である。 「認知件数」とは、警察が認知したものということで犯罪の実数ではない。
「認知件数」は 犯罪実数の一部で実数と認知件数がほぼ一致するのは殺人事件である。実数の中で「認知件数」に含まれないものは、万引きされたが気がつかないなどであるが、つまり、認知件数が上がったことがそのまま実数の増加を意味しないのである。刑法犯認知件数は、一九九六年から二〇〇二年まで増え続けるが、二〇〇三年から減り始める。
 そこで「体感治安の悪化」ということが言われ始めた。「体感」とは、「体感温度」という言葉からも分かるように非常に主観的で曖昧である。本来、治安というものは客観的に考えなければいけない。認知件数の減少は本来は警察活動の縮小を意味するが、一定の治安効果を過剰宣伝し、不安感を利用して警察権限の拡大を行う。「安全」だけでなく「安心」と いう主観的な言葉を使う理由もそこにある。
 あるアンケートでは、「二年前と比べて自分の街の治安は悪くなったと思うか」という質問に、「とても増えた」と答えた人が三・八%だったのに対し、日本全体で悪くなったと答えた人は四九・八%だった。身近で悪くなっていないが、全国的には悪くなったというのである。このことは警察やマスコミの影響が考えられると分析する。 不安感を煽りながら治安政策が進められているといえる。

警察主導で進む
住民・行政組織化

 「緊急治安対策プログラム」の策定(03年8月)、「安全・安心なまちづくり全国展開プラン」の策定(06年7月)、また地域の「自主防犯活動」の組織化が行われている。自治会・町内会などの既存組織の利用だけでなく、京都府警の女性防犯組織「平安レディース」、学生組織の「大学生健全育成ボランティア・ポラリス宮城」、愛犬家による「ワンワン パトロール」、バレー協会会員の「クライムアタック」、自転車通学学生の「りんりんパトロール」など新たな組織化も行っている。東京都練馬署の「十万人の目警戒活動」は、全町会役員や防犯活動推進員を街角安全サポーターに認定し、一日のうち犯罪多発時間帯の二回、それぞれ十分ほどを自宅前で樹木の手入れ、掃除、体操、散歩を兼ねた路地の警戒や挨拶、声かけを行うというものである。
 その他、民間交番の設置など警察主導の住民の組織化が急速に進んでいる。各種事業者(コンビニ、消防署、消防団、タクシー、バス、新聞販売店、郵便局、宅配会社等)との情報提供、通報体制も作られている。最近よく見かける「パトロール中」などのステッカーはそのような協定との関連である。また、幼稚園児による「ちびっこ警察隊」「チビッコ警察官」によるパトロール、チラシ配りも行われ、「夜遊びは、すべて非行のもと」というチラシを配らせた。
 その他にも、子どもたちの規範意識を高めるとして、家庭内で主に小中学生を「防犯マン」に決めて大人を監視する取り組みも行われている(宮城県警)。携帯電話やパソコンを防犯情報配信に登録するとマクドナルドのポテトが半額になるサービスが企業との提携で行われている。
 自治体職員の警察への出向やその逆もある。生活安全条例は警察主導で行われたといわれているが、神奈川県では条例を作る際に、安全安心町づくり推進課の四十七人の常勤職員のうち五人が神奈川県警からの出向であり、課長は警察官であった。

「ゼロ・トレラ
ンス」の蔓延

 治安政策の一つである「ゼロ・トレランス」的対応が増加している。これは軽微な犯罪を重大犯罪と同様に取り締まるものである。従来は注意で済んでいたものを、任意同行、指紋採取、写真撮影する。神奈川県警は、死んだペットの犬を思い出の公園で燃やした女性を現行犯逮捕した。自転車利用者に対する取り締まりも強化されている。
 この流れでネットカフェ規制条例がある。プライバシー侵害はもちろんのこと、警察の立ち入りによる営業の自由の侵害など警察権限の拡大である。
 また、Nシステムを管理しているのは本来は交通警察であるが、実際は公安警察が政党や活動家の動向を調べるために利用したり、警察官の管理にも使われている。現在のNシステムは運転席と助手席に座っている人物の撮影もするが、菅直人の女性問題はNシステム情報だと言われている。
 九四年に生活安全警察が誕生してからは、警察内の力関係は、徐々に公安から生活安全警察へシフトされ、現在、警備・公安部門の減員、生活安全警察の増員がされているが、「地域安全活動の推進」という名目で権力の肥大化は進んでいる。

治安対策と新
自由主義は一体

 今の社会は、いつ、誰が犯罪者になるか分からないといわれている。突然の解雇を背景とした犯罪、高齢者の万引きの増加に見られるような福祉、社会保障の貧困による犯罪が増加するという予測のもと、「不可視のまなざし」(ミシェル・フーコー)の効果を狙うというのである。囚人がいつも看守に見られていると思いこみ脱走を諦める効果のことである。これが相互監視へ発展し、警察の民衆化と民衆の警察化を増幅させる。地域住民の警察化で過剰監視、検問、所持品検査を行った事例が出ている。
 権力による監視、私的領域の価値感への介入により、警察が描く「生き方」「健全」の概念の強制が処罰をセットに強まっている。
 治安対策強化は新自由主義政策を背景にしている。犯罪原因、背景としての新自由主義政策にメスを入れることが必要だ。
 〈編集・文責 編集部〉




資料
宅配便事業統合に伴う業務混乱についての緊急申し入れ
郵政労働者ユニオン中央執行委員長 松岡幹雄


 七月一日に出発した「ゆうパック」と日通「ペリカン便」の、現場実態を無視した性急な統合によって大混乱が広がった。こうした事態は予測されていたことであり、混乱はすべて経営陣の責任である。しかし経営側は責任回避のため、あたかも「不慣れな職員」のせいであるかのようにメディアに語っている。七月六日、郵政ユニオンは松岡執行委員長名で下記の申し入れを行った。

郵便事業株式会社 代表取締役社長 鍋倉 眞一 殿
郵政労働者ユニオン
中央執行委員長 松岡 幹雄

 7月1日からのゆうパックの配達遅れは5日までで合計32万個、現在でも遅れが続き、現場の混乱は収束していない。ゆうパックへの利用者の信頼は大きく揺らぎ、すでに大口顧客のゆうパックからの撤退という危機的な事態を迎えている。こういう事態の中で、仕分け作業、配達業務、苦情対応など社員は昼夜を問わず必至に頑張っている。しかし、その頑張りに水を差す信じがたい会社の対応が行われている。7月4日日本郵便ホームページ上に次のようなお知らせが掲載されている。

 宅配便事業統合に伴うゆうパックの送達状況について「郵便事業株式会社においては、7月1日にJPエクスプレス株式会社のペリカン便を承継し、ゆうパックとしてサービス提供を開始したところですが、一部業務の不慣れなどにより、現在、送達の遅れなどの状況が発生しております。」
 また、各社報道で鍋倉社長の記者会見が報道されているが、その内容は、「原因について『不慣れな職員がおり、手違いもかさなった』」(東京新聞7月5日朝刊)といずれも今回の業務混乱の原因を社員の不慣れにきし、自らの経営責任は不問にふしている。現時点で、混乱を早期に収拾することが先決であり、この時点で責任論を展開することは控えなければならない。しかし、一連の発言や報道、さらに日本郵便会社の広報を見るにつけ労働組合としてこれをそのまま無視しておくことはできない。誰が、最繁忙時期に統合をすることを決めたのか。拠点ターミナルの選定に無理はなかったのか。各ターミナルや支店段階、また、JPEX内でどれほどの訓練、研修、業研が開催されたのか。現場では端末機器も配備されず端末操作の研修を短時分で済ましたのではなかったのか。業務混乱の最大の原因は、けっして「不慣れ」などではなく、「統合時期の誤り」と「準備不足」にあり、危機意識を持った現場からの様々な苦言や提言、要員措置要求をことごとく無視してきた幹部管理者の上意下達の意識と現場軽視の姿勢にこそあると考える。組合としてはこれらの強い問題意識をもっており、次の申し入れに対して早急に対応されたい。
             

一、 ホームページ掲載「お知らせ」について組合指摘部分を撤回すること。
二、 社長記者会見の全容を明らかにし、マスコミ各社報道についての見解を示すこと。
三、会社として今回の業務混乱の原因を明らかにし、労働組合および社員に説明すること。
四、 会社幹部の経営責任を明確にし、社員に対し謝罪すること。
五、業務混乱によって休憩時間がとれず、また超勤時間数をオーバーし業務に従事している社員が多数に及んでいる。全国的に実態を把握し、調査の上支給措置を講じること。
六、 深夜におよび業務につき、タクシーでの帰宅あるいはホテルでの仮眠となった社員も多数いる。給与規定を準用し、実費分を補償すること。
以上。
   2010年7月6日


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